人民解放軍(PLA)は人工知能の可能性を過大評価しているのか? (JFQ 116)

認知戦に詳しい現職の自衛官の記事の紹介。これまでもMILTERMでは高木氏の論考を紹介してきているところである。今回は、著者紹介にある通り激職にありながら執筆された論考が米統合軍の機関誌(Joint Force Quarterly)に掲載されているので紹介するものである。中国人民解放軍の人民日報の記事を丹念に紐解き人民解放軍のAIに関する考え方をまとめられている。この記事を見て安心するか心配するかはそれぞれだろうと考えるところである。(軍治)

人民解放軍(PLA)は人工知能の可能性を過大評価しているのか?

Is the PLA Overestimating the Potential of Artificial Intelligence?

By Koichiro Takagi

著者:高木耕一郎1等陸佐は、統合幕僚監部の防衛計画部(J5)防衛課の班長。

中国重慶の人民解放軍駐屯地でデスクトップ・コンピューターでニュースを閲覧する中国兵士たち(2013年11月14日撮影)(Imaginechina/Alamy)

中国人民解放軍(PLA)は人工知能(AI)を活用し、世界トップクラスの軍隊(world-class military)を構築しようとしている。AIに基づく兵器システムを使用するコンセプトを「インテリジェント化(intelligentization)」と表現し、近年の中国の軍事改革の焦点となっている[1]。2022年10月16日の中国共産党(CCP)第20回全国代表大会で、習近平は「インテリジェント化(intelligentization」という言葉に3度言及し、人民解放軍(PLA)をより迅速に世界トップクラスの軍隊(world-class military)に引き上げると明言した[2]。2017年の第19回大会では、「インテリジェント化(intelligentization)」というコンセプトは言及されなかった。中国の研究者は、人民解放軍(PLA)はAIを使ってインテリジェント化することで米軍を追い抜くことができると主張している[3]

AIの可能性の高さを主張するのは、必ずしも人民解放軍(PLA)に限ったことではない。2017年5月、ロバート・ワーク(Robert Work)国防副長官は、AIが「戦いの本質(nature of warfare)」を変えるかもしれないと述べた[4]。人民解放軍(PLA)はワーク(Work)のように、AIが「戦いの本質(nature of warfare)」さえも根本的に変えると考えているのだろうか? それとも、人民解放軍(PLA)はAIの可能性を過大評価しているのだろうか? 人民解放軍(PLA)はAIを使って能力を強化するつもりなのか、そしてこの改革は実現可能なのか。実際、米国の専門家の中には、中国の理論家はAIや自律システムの固有の脆弱性を見落とし、その能力を過大評価していると指摘する者もいる[5]

2018年1月3日、中国河北省保定市で、中央劇場司令部の人民解放軍師団を視察中、将校や兵士と談笑する中国の習近平国家主席(Xinhua/Alamy/Li Gang)。

本研究では、人民解放軍(PLA)のAI利用に関する「人民日報(PLA Daily」の記事をレビューし、人民解放軍(PLA)がAIをどのように利用するつもりなのかを探る。そして、人民解放軍(PLA)が考えるAIの軍事利用の可能性と限界を検証する。人民解放軍(PLA)はAIの問題点や脆弱性を見落としているのか? それとも、そうした脆弱性を深く認識した上で、AIの可能性に賭けているのだろうか? こうした視点の広さと深さを見ることで、人民解放軍(PLA)のAIを重視した軍事改革の実現可能性を検証することができる。

本研究では、中国共産党(CCP)中央軍事委員会の機関紙「人民日報(PLA Daily」に掲載された軍事理論に関する記事を調査し、習近平が2022年10月の中国共産党大会で「インテリジェント化(intelligentization)」について言及した後、2023年1月から12月までに掲載された軍事理論に関する全記事、計約370本について検討した。「人民日報(PLA Daily」は長い歴史を持つ権威ある機関紙で、通常、毎週火曜日と木曜日に軍事理論に関する記事を4本掲載している。

人民解放軍(PLA)はAIをどう使おうとしているのか?

2023年に「人民日報(PLA Daily」に掲載された370本の記事のうち、132本が「インテリジェント化(intelligentization)」、つまりAIの軍事利用に言及している。これは、このトピックに焦点を当てた人民解放軍(PLA)の議論の多くを表している。記事の多くは、AIを効果的に応用できる4つの分野を指摘している。

・ 状況認識(10 記事)

・ 軍事的意思決定 (40 記事)

・ 無人兵器 (27 記事)

・ 認知ドメイン作戦(14記事)[6]

さらに、AIを使った軍事訓練、兵站、兵器開発について論じた記事もある。

状況認識

戦場における状況認識(situational awareness)とは、敵部隊と友軍部隊の状況、天候や地形などの戦場環境、戦闘過程の変化などを把握することであり、指揮官の意思決定の基礎となる。孫子は「敵を知り己を知れば百戦危うからず(if you know your enemy and know yourself, you will not be in danger in a hundred battles)」と述べている。正しい状況認識は、会戦(battle)に勝つための極めて重要な要素である。

現代戦(modern warfare)で使われる情報収集システムには、人工衛星、有人・無人車両、地上・海中のレーダーやセンサーなどがある。その種類と量は増加の一途をたどっている。現代戦(modern warfare)では、インターネットなどから収集できるオープン・ソースのデータも利用されている。さらに、人工衛星が撮影する画像の解像度が飛躍的に向上したことなどから、これらの情報収集装置から送信されるデータ量もそれぞれ拡大している。

このような膨大なデータを適切に処理するためには、AIが不可欠である。AIはメモリや計算能力において、人間よりも圧倒的な優位性(advantage)を持っている。そのため、現在そして将来の複雑な戦場の状況認識に、信頼性が高く、精度が高く、高速な情報源を提供する[7]

これまで戦場の状況認識では、データの過負荷(処理しきれない大量のデータの存在)が問題となっていた。AIはデータ過多を緩和し、情報処理能力を高めることができる[8]

技術が進歩するにつれ、将来の戦争は複数のドメインで同時に起こるようになり、AIは複雑な戦場データを収集、統合、分析することで、人間の認知能力(cognitive abilities)を高めることができる。また、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)の強力な言語解析能力により、オープン・ソース情報から有用な情報をリアルタイムで抽出することができる[9]

軍事的意思決定

AIの活用によって指揮官の意思決定スピードの高速化が期待できるとする論考は多い[10]。AIによる迅速な意思決定は、戦場での迅速な行動を実現し、主導性を獲得することが期待できる[11]。また、AIは複雑な現代戦(modern warfare)の環境においても、迅速、正確、柔軟、適応的に火力を統制し、ターゲッティングすることで、その有用性を示唆する記事もある[12]。ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)は、データ分析や自然言語処理を含む基本的なタスクにも使用でき、指揮官を支援し、意思決定の質的向上に貢献する[13]

その他の記事では、人間の意思決定を支援するための、戦場の状況を予測するAIの利用について論じている[14]。AIは、会戦(battle)において指揮官が選択した行動の成功率や効果を予測し、リスクが高く効果の低い行動の修正や改善を提案することで、会戦(battle)における目標を確実に達成することができる。また、AIは各戦闘部隊や兵器の状況をリアルタイムで把握し、戦場の状態(battlefield conditions)を正確に予測し、部隊の配置調整をタイムリーに提案することができる[15]。しかし、現在のAIには限界があり、人間に完全に取って代わることはできないと指摘する記事もある[16]。したがって、現在のAIに期待できるのは、作戦計画の作成、シミュレーション、最適化を支援することである[17]

現時点ではAIの限界はあるにせよ、AIによる意思決定は段階的に発展していくという見方もある[18]。最初の段階では、AIは人間の意思決定の質を向上させるために使われる。例えば、古代の戦争事例を大量に入力した大規模言語モデル(LLM)を使ってディープ・ラーニングを行う。戦闘前の任務分析プロセスにおいて、指揮官は歴史上の類似した戦争についてモデルに尋ねることができる[19]

第2段階では、作戦計画策定プロセス全体にAIが適用される。つまり、大規模言語モデル(LLM)は指揮官の指示を入力することで、偵察計画、射撃計画、さらには作戦計画全体を生成する。第3段階では、作戦計画策定から戦闘実施までの全プロセスにAIが適用される。この段階では、AIが戦場での意思決定を支配するようになる[20]

AIは第3段階に到達する可能性が高い[21]。AIは、米国司法試験の受験者の90%、米国生物学オリンピックの受験者の99%よりも高い得点を獲得し、卒業記録試験の語学試験ではほぼ満点を達成した。同様に、AIがほとんどの指揮官のレベルを超える可能性も十分にあるだろう[22]

さらに将来的には、そのようなAIに勝てるのはAIだけという状況が生まれるかもしれない[23]。AlphaGo(アルファ碁)は何百万もの人間対人間の対局でディープ・ラーニングを行い、人間を打ち負かした。一方、AlphaZeroは、人間の知識を学ぶことなく、何百万ものシステム対システムの対戦を共進化させることで、AlphaGo(アルファ碁)を打ち負かした。同様に、AIは人間の戦いの経験(human experience of warfare)から学ぶことなく、将来の戦争を予測することができる[24]。言い換えれば、将来のAIは、複雑で変化する戦場の状況から、敵の潜在的な意図や可能性のある行動を理解できるようになるだろう。

しかし、今日の複雑な戦場では、戦場情報ネットワークのノード数は膨大で、無数の相互作用が発生する。それゆえ、戦場のテンポについていくために数分、あるいは数秒の学習速度を達成するには、膨大な計算能力が必要であり、量子コンピューティングだけがこの要求を満たすことができると指摘する声もある[25]

無人兵器

多くの記事が、将来戦(future warfare)でより多くの無人システムが使われることを指摘している。例えば、多足歩行、四足歩行、二足歩行の人型ロボットが、戦場で兵士を支援するために使用されている。人間と異なり、これらの人型ロボットは生理的な制約がなく、感情的な要因に影響されず、危険な環境にも適応でき、不眠不休で長時間働くことができる[26]。無人兵器は一般的に有人兵器よりも小型でステルス性が高く、奇襲攻撃(surprise attacks)に適している。AIが加わることで、これらの兵器は複雑な戦場環境でも柔軟かつ自律的に行動できるようになり、より幅広い任務での奇襲攻撃が可能になる[27]。また、自律的に行動する無人兵器は、敵陣深くに侵入して重要なターゲットを攻撃することも可能である[28]

無人兵器は、高高度や深海など、有人兵器が作戦できない領域で長時間作戦することができる。無人兵器による深海での戦闘は、従来型の海戦(naval warfare)の常識を覆すことになる。自律制御された無人兵器群を使って深海を制圧し、深海から海面を攻撃することで、海上で優勢な戦力に対抗できる新たな会戦方法(new battle method)を実現できる[29]。また、無人兵器は人的資源を節約し、中国の長い国境を監視・保護するのに役立つ[30]。AIの使用は、ターゲットの探知、正確なターゲッティング、兵器の誘導技術を向上させるため、精密攻撃の精度と速度を向上させるという記事もある[31]

さらに人民解放軍(PLA)は、多数の無人兵器をグループで運用することも検討している。個々の戦闘能力は限られていても、異なる機能を持つAI搭載無人兵器のネットワークを使うことで、AIが集合知(collective intelligence)を形成する[32]。これは、鳥の群れやミツバチのコロニーのような生物学的集団のように、個々人の相互作用に基づく分散型の自己組織的行動を形成する。そしてこの集合知(collective intelligence)は、戦闘システムにおける創発現象を実現し、単一のAIでは決して持ち得ない分散型知性(distributed intelligence)を形成することができる[33]

一方、将来戦(future warfare)にはハイテク兵器を使った正規戦(regular warfare)だけでなく、ローテク兵器を使った非正規戦(irregular warfare)も含まれるとの指摘もあった。そのため、無人作戦と有人作戦の緊密な連携が重要になる[34]。また、強度の高い正規戦(high-intensity regular warfare)においては、双方の欠点を補うという観点から、有人兵器と無人兵器の併用が有効であるとの意見もある[35]

無人兵器が制御不能に陥る危険性を論じた記事もある。ある記事は、デザインや製造における欠陥を防ぐ必要性を主張し、兵器を人間の制御から完全に切り離すことのマイナス面を指摘している。また、AIを含む先端技術は諸刃の剣であり、その優位性(advantages)と欠点(disadvantages)を考慮しながら使用しなければならないと警告している。

認知ドメイン作戦

人民解放軍(PLA)は、認知(cognition)には人間の知識、経験、意識、感情、心理が含まれ、認知ドメイン作戦(cognitive domain operations)のターゲットは戦争において主体的な立場にある人間であるとする[36]。情報化時代には、暴力ではなく、インターネットメディア、ラジオ、テレビ、新聞、雑誌が人間の認知に影響を与えるために使われる。さらに、AIが活用される知能化時代には、ブレイン・コンピューター・インターフェースなどの先端技術が開発されている[37]。ソーシャル・メディアもまた、認知ドメイン作戦における主要な戦場の一つとなっている[38]

認知ドメイン作戦についても、多くの論文で同様の手法が紹介されている[39]。悪意のあるナラティブ(narratives)や偽情報(disinformation)は、ターゲットとなる人々の感情に働きかけ、人々の価値観に望ましい変化を引き起こすだけでなく、世論を動かし、行動を統制することができる[40]。また、認知ドメイン作戦は、ターゲットとなる人々のデバイスに深いフェイクを推奨するアルゴリズムを捏造し、心理的・感情的な内部対立(internal conflicts)を作り出す。さらに、ビッグ・データを使って社会集団の認知を分析し、彼らの意識を統制し誘導する[41]

正確なターゲティングは、認知ドメイン作戦における重要な要素である[42]。認知ドメイン作戦における情報は、物理ドメイン作戦における弾薬に相当する。インターネット上の大量のデータを分析することで、ターゲットにマッチした効果的な弾薬をデザインすることができる[43]。また、欧米の企業が顧客のインターネット閲覧履歴や買い物履歴などを把握し、そのニーズに合った広告を配信するのと同じ手法を、認知ドメイン作戦でも利用することができる[44]。認知ドメイン作戦は、ターゲットの特徴を的確に把握し、その特徴に応じてターゲットを攻撃し、継続的に影響を与える。このような状況において、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)は、世論を分析し、重要な情報を抽出し、その情報を基に偽情報を作成するのに有用である[45]

AIを活用した軍事訓練、兵站、兵器開発

多くの記事で、AIは合理的かつ効果的な訓練計画の策定を可能にし、訓練内容を充実させることで、訓練の効率を向上させると指摘されている[46]。AIは部隊の訓練状況の分析を支援し、訓練計画の作成に必要な手作業を減らすことで、よりタイムリーで正確な訓練計画を作成することができる[47]。また、AIを活用した訓練機器は、よりリアルな仮想戦場環境(virtual battlefield environment)を構築して部隊を訓練することができる。大量の訓練データを収集・分析することで、訓練の進捗や質を効果的に管理することが可能になる[48]。ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)は、訓練の効果を高めるのに役立つだろう。訓練データを投入することで、訓練経験を蓄積し、部隊間で共有することができるほか、具体的な訓練課題やシナリオを自動生成し、訓練効果を高めることができる[49]

2015年1月21日、雲南省昆明市の第二砲兵隊軍事基地を訪問し軍事史の説明に耳を傾ける習近平国家主席(新華社/Alamy/Li Gang)。

人民解放軍(PLA)の記事の中には、AIが兵站支援作戦の効率を向上させることができると指摘するものもある。科学・技術の発展に伴い、戦域は大幅に拡大し、多くの戦闘部隊が分散配置され、兵站支援作戦はより多様で複雑になっている[50]。このような状況下で、備蓄物資の数量、使用実績、配送ルート、配送部隊などのデータを深層学習することで、物資の需要を自動的に予測し、最適な物資配送計画を生成することができる[51]。同様に、AIは兵器の効率的な整備を実現できる[52]。兵站は計算の科学であり、計算が洗練されればされるほど、より効率的で効果的なものになることを考えれば、AIを兵站に応用することは大きな利点をもたらすだろう[53]。「人民日報(PLA Daily」の記事には、AIが兵器開発に役立つ可能性を示唆するものもある[54]

大規模言語モデル(LLM)はロボットの制御コードを生成することができ、兵器の生産工程をより正確かつ効率的にし、人件費を削減し、兵器の研究開発の効率を向上させることができる。

AIの可能性と限界に関する人民解放軍(PLA)の見解

AIの危険性と限界

レビューされた「人民日報(PLA Daily」の記事の多くは、AIの軍事利用の危険性について、次のような広範な指摘をしている。無人兵器が統制を失い、人間の操作者の意図に反して行動する危険性がある。AIの訓練データに偶発的または人為的な偏りがある場合、誤作動を起こす危険性もある。無人兵器は、戦争における意図しない先制攻撃のリスクを高める。軍事作戦のスピードは政治的意思決定者のスピードを上回る可能性があり、危機が制御不能に陥り、意図しない戦争のエスカレーションを招く。暴力的な紛争が頻発し、戦争倫理の原則(the principles of the ethics of war)や国際戦争法(the international laws of war)の規定に違反する可能性がある[55]

ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)の限界について論じた記事もある[56]。ChatGPTの本質はディープ・ラーニング(深層学習)であり、膨大で質の高い学習データを必要とする。エラーを理解することはできないし、リアルタイムで更新することもできない。ChatGPTは、膨大な学習データと強力な計算能力をもとに、学習セットの確率分布に従って次の単語が何であるかを予測することでしか動作しない。そのため、軍事作戦という特殊性から、その応用には限界がある[57]。ChatGPTは、訓練データセットに含まれない軍事分野のランダムな回答しか与えることができない。さらに、敵がデータ汚染などの悪意ある攻撃を行うリスクも存在する。

また、AIがデータに依存することによる脆弱性の議論もある[58]。機械学習には大量のラベル付きデータが必要である。軍事作戦では、偵察活動や通信傍受から大量の情報が得られるが、これらのデータはラベル付けされていない[59]。また、敵の欺瞞や偽装により、真と偽のデータが混在するが、その正確性を検証することは難しい[60]。それでも複雑な戦場環境では、大量の異常データが発生する可能性がある[61]。同様に、マルチドメイン作戦における複雑な相互作用は、データの歪曲や破損につながる可能性がある[62]。不完全なデータを読み取ることは難しく、AIの誤学習につながる。

現在のディープ・ラーニングや強化学習(reinforcement learning)の手法は、基本的に異種データ間の相関関係を求めるデータ駆動型のアルゴリズムである。そのため、複雑な軍事作戦に由来する不完全でエラーの起こりやすいデータから相関関係や規則性を導き出すことには、本質的な限界がある[63]。このことは、AIを用いた将来戦(future warfare)に新たな複雑性をもたらすだろう[64]。インターネットデータ分析、音声認識、画像認識、自律走行など、民間分野で膨大なデータに基づいて成功を収めてきたディープ・ラーニングや機械学習の手法は、軍事作戦では限界がある[65]

AIは人間のような意識を持たず、戦争の法律やルールを理解せず、倫理観や道徳観、共感性を持たないため危険だという意見もある[66]。複雑な戦場環境では、システムが制御不能になり、罪のない人々を無差別に殺害する恐れがある。このため、人々はAIがもたらす法的・倫理的問題にもっと注意を払い、人間がループに入るアプローチを通じてAIの行動を規制すべきである[67]

結局のところ、現在のコンピューター技術に基づけば、AIの発展には限界がある。したがって、技術的特異点(シンギュラリティ)が訪れるまでは、AIは人間の知能に近づくことはできても、超えることはできない。当面、人間が戦場の最高の支配者であり続けるだろう[68]。言い換えれば、人間が戦争の勝敗を決める決定的な要因であり続けるということだ[69]

AIの可能性

さまざまな問題を認識した上で、なぜ人民解放軍(PLA)はAIを活用した軍事改革を実現できると考えているのだろうか。それは、AIが「新たな戦いの形態(new forms of warfare)」をもたらすと考えているからだ。

現在のAIは、ニューラル・ネットワークのパラメーターの集合にすぎない。意識はなく、導き出した結論の背後にある動機や因果関係を理解することもできない。しかし、データの量とニューロンの数が十分に多く、モデルが十分に複雑であれば、量的な変化が質的な変化につながり、システムが何らかの不思議な機能を持つようになるかもしれない[70]。これまでのAIよりも桁違いに多くの学習データを持つChatGPTが、あたかも人間であるかのように反応することは、その十分な証拠である。したがって、現在のAIだけを見てその可能性を軽視するのではなく、「新たな戦いの形態(new forms of warfare)」をもたらすAIについて考える必要がある[71]

将来の戦争では、AIが無人兵器を制御して自律的に闘い、人間が気づかないような敵の弱点を見つけて攻撃するようになるだろう[72]。このような戦争では、斬新な戦術が用いられ、複雑で、テンポが速く、人間の常識を覆すものとなるだろう[73]。そして、AIは自らを高速でアップグレードしていく。これにより、常識や既存の戦いの理論(theories of warfare)では説明が難しい状況が生まれるだろう[74]

「新たな戦いの形態(new forms of warfare)」に関する多くの言及の背後には、一流の軍隊は戦争をデザインし、二流の軍隊は戦争に対応するという考えがある[75]。この観点からすれば、戦争の形態をデザインすることが、世界一流の軍隊であるための条件である。

「戦いの形態(forms of warfare)」をデザインするには、敵の弱点を見極め、自国の強みを生かすという先見性と非対称性が必要だ[76]

どんなシステムも、そのシステムの中ですべての問題を解決することはできない。システムの外に飛び出し、より高い、より大きな出口を求めることでしか、根本的な解決策は見つからない[77]。20世紀初頭のロンドンでは、馬車が人々の主な移動手段だった。30万頭の馬が路上を走り、その結果、道路の両側に馬糞の山ができ、大きな社会問題となった。自動車が登場し、馬車が歴史から姿を消したとき、この解決不可能と思われた問題は意味を失った。従来型の戦い(conventional warfare)が抱える問題の多くも、AIを活用した「新たな戦いの形態(new forms of warfare)」の出現によって、その意味を失うかもしれない[78]

結論

人民解放軍(PLA)はAIの危険性と限界を深く認識している。無人兵器の制御不能、偏った学習データによる誤作動、意図しない先制攻撃やエスカレーション、戦争倫理に反する危険性について幅広く論じている。これらの指摘は、AIの危険性や限界について論じた米国の記事と同じである[79]。人民解放軍(PLA)はAIの問題点を認識している。また、AIを中心とした軍事改革が新技術の過大評価に基づいている可能性があることも認識している。

新技術の可能性を過大評価した軍事理論は、しばしば失敗してきた。たとえば1920年代には、航空機の可能性を過大評価する過激な理論が登場した。イタリアのジュリオ・ドゥーエ(Giulio Douhet)を筆頭とする戦略家たちは、戦略爆撃は敵の民間人を恐怖に陥れ、航空機だけで敵の意思を制圧することで戦略的効果を達成できると主張した。しかし、第二次世界大戦では、戦略爆撃だけで降伏した国はなかった。

さらに、対空砲やレーダーなど、敵機を迎撃する手段も開発された。この新兵器の可能性に目を奪われ、それだけで戦争に勝てるという極論は破綻した。

このような理論の失敗は、新技術の可能性を過大評価し、新技術だけが戦争の勝敗を左右する戦略的影響を持ち得ると主張していることに起因する。戦いは無数の要素の複雑な相互作用に基づいており、単一の新技術が戦争に無制限の影響を与えることはあり得ない。こうした複雑性を軽視し、単一の新技術に過度の信頼を置く理論は失敗する。

AIの軍事利用に関する人民解放軍(PLA)のビジョンは、「一流の軍隊(first-class armies)は戦争をデザインし、二流の軍隊(second-class armies)は戦争に対応する」という言葉に集約される。彼らは、AIが従来の常識やルールに支配されない「新たな戦いの形態(new forms of warfare)」をもたらすと指摘している。人民解放軍(PLA)自身、この新しい戦いをデザインすることで、自らが設定したルールに基づいて米軍に勝つつもりらしい。

新しいルールを設定した軍隊は圧倒的な勝利を収める。第二次世界大戦の開戦時、ドイツがフランスに素早く勝利したのは、この論理の一例である。勝利の理由は、ドイツの革新的な電撃戦の軍事理論(innovative military theory of blitzkrieg warfare)であり、その中核技術のひとつが戦車だった[80]。フランスはドイツよりも優れた性能を持つ戦車を多く保有していた[81]。しかし、第一次世界大戦以来変わっていなかったフランスの軍事理論は、戦車を歩兵の支援兵器として扱っていた。アルデンヌの森から戦車で編成されたドイツ機甲師団の電撃攻撃に対応できなかった。

2016年11月1日、広東省珠海市で開催された第11回中国国際航空宇宙博覧会で展示された中国製CH-5(彩虹5)偵察・戦闘ドローンと対応ミサイル(Imaginechina/Alamy)。

同様に、AIを搭載した人民解放軍(PLA)は、新たにデザインされたルールに基づいて、米国とその同盟国の将来のアルデンヌを突破するかもしれない。その可能性は未知数だ。しかし、ドイツが電撃戦の理論(theory of blitzkrieg warfare)を開発したのは、戦車技術がまだ未熟だった1920年代であることを忘れてはならない。米国とその同盟国は、AIの可能性を精査し、その利点を幅広く取り入れた軍事理論を構築しなければならない。同時に、AIの軍事利用に関する中国の議論も注視しなければならない。

ノート

[1] NIDS China Security Report 2021: China’s Military Strategy in the New Era (Tokyo: National Institute for Defense Studies, 2020), 2, https://www.nids.mod.go.jp/publication/chinareport/pdf/china_report_EN_web_2021_A01.pdf.

[2] “Xi Jinping: Hold High the Great Banner of Socialism With Chinese Characteristics and Strive to Build a Modern Socialist Country in All Respects—Report to the 20th National Congress of the Communist Party of China” [习近平 高举中国特色社会主义伟大旗帜 为全面建设社会主义现代化国家而团结奋斗—在中国共产党第二十次全国代表大会上的报告], Xinhua News Agency, October 25, 2022, https://interpret.csis.org/translations/hold-high-the-great-banner-of-socialism-with-chinese-characteristics-and-strive-in-unity-to-build-a-modern-socialist-country-in-all-respects-report-to-the-20th-national-congress-of-the-communi/.

[3] NIDS China Security Report 2021, 2.

[4] Sydney J. Freedberg, Jr., “War Without Fear: DepSecDef Work on How AI Changes Conflict,” Breaking Defense, May 31, 2017, https://breakingdefense.com/2017/05/killer-robots-arent-the-problem-its-unpredictable-ai/.

[5] Ben Noon and Chris Bassler, “Schrodinger’s Military? Challenges for China’s Military Modernization Ambitions,” War on the Rocks, October 4, 2021, https://warontherocks.com/2021/10/schrodingers-military-challenges-for-the-chinas-military-modernization-ambitions/.

[6] Liu Haijiang [刘海江], “Systematically Promoting the Construction of New Combat Forces With New Capabilities in New Domains” [体系化推进新域新质作战力量建设], PLA Daily [解放军报], February 22, 2023; Wu Xia [吴瑕], Ma Jianchao [马建朝], and Xia Kan [夏侃], “Building an Operational System That Responds to Changes in the Times” [构建因 应时代发展的作战体系], PLA Daily, January 17, 2023; Ji Zili [季自力] and Chen Hong [陈虹], “Prospects for a New Picture of Intelligent Operations” [展望智能化作战新图景], PLA Daily, January 3, 2023.

[7] Chen Long [陈龙], Wang Fengchun [王凤春], and Ye Peisi [叶培思], “Prospective for the Intelligent Battlefield Situation Awareness” [前瞻智能化战场态势认知], PLA Daily, March 28, 2023.

[8] Jialin Chen [陈佳琳], Jun Xu [徐珺], and Shan Li [李山], “Empowering Cognitive Confrontation Through Artificial Intelligence” [让人工智能为认知对抗赋能], PLA Daily, April 20, 2023.

[9] Shen Bilong [沈弼龙], “Military Application of Large-Scale Modeling Technology” [大模型技术的军事应用], PLA Daily, April 11, 2023.

[10] Gao Kai [高凯] and Shi Xueqiang [史学强], “Finding the Right Priority for Command and Control” [找准指挥控制’优先级], PLA Daily, May 18, 2023.

[11] Gao Feng [高峰] and Qiao Lin [乔林], “Perspectives on the New Essentials of Military Expeditiousness” [透视’兵贵神速’新要义], PLA Daily, July 20, 2023.

[12] Dai Xuejiao [戴雪娇] and Zhang Yongyong [张永勇], “How to Achieve Dynamic Agglomeration of Excellence” [如何实现动态聚优], PLA Daily, December 21, 2023; Gao Kai [高凯] and Zhang Jiahao [张佳豪], “Focus on Striking Sensitive Targets” [注重打击时敏目标], PLA Daily, June 6, 2023; Gao Kai [高凯] and Zhang Wanghong [张旺 红], “Focus on Improving the Effectiveness of Firepower” [着力提升火力战效能], PLA Daily, February 28, 2023.

[13] Hu Xiaofeng [胡晓峰], “ChatGPT: What Should We Think” [ChatGPT: 我们该怎么看], PLA Daily, March 21, 2023; Hu Yushan [胡 玉山], “Operation + ChatGPT: What Kind of Sparks Will It Create?” [作战 + ChatGPT: 会撞出什么样火花], PLA Daily, March 21, 2023.

[14] Xu Shiyong [许世勇] and Li Tao [李涛], “Effectively Enhancing Battlefield Forecasting Capabilities” [切实增强战场预判能力], PLA Daily, May 30, 2023.

[15] Xu and Li.

[16] Liu Kui [刘奎] and Yao Chi [姚池], “Prospects for the Intelligentization of Command, Control, and Information Systems” [前瞻指挥信息系统智能化趋势], PLA Daily, December 21, 2023.

[17] Liu and Yao.

[18] Mao Weihao [毛炜豪], “Looking at War in the Era of AI” [眺望 AI 时代的战争], PLA Daily, May 25, 2023.

[19] Mao.

[20] Mao.

[21] Mao.

[22] Mao.

[23] Mao.

[24] Mao.

[25] Mao.

[26] Wang Yonghua [王永华], “Concerned About the Military Use of Humanoid Robots” [关注人形机器人军事运用], PLA Daily, June 13, 2023.

[27] Zhao Xiangang [赵先刚] and Su Yanqin [苏艳琴], “What Are the Advantages of Unmanned Intelligent Operations” [无人智能作战有哪些优势], PLA Daily, January 12, 2023.

[28] Zhao and Su.

[29] Ma.

[30] Yue Guiyun [岳贵云], Xu Kun [徐坤], and Yue Qianxin [岳乾鑫], “Building a Strong and Solid Modern Border, Sea, and Air Defense” [建设强大稳固的现代边海空防], PLA Daily, July 6, 2023.

[31] Wang Yutang [王昱棠], “A Dialectical View of Precision Strikes” [辩证看待精确打击], PLA Daily, June 20, 2023; Dong Wenjing [董文静] and Du Bingjie [杜冰杰], “Where Is the Wisdom in the Intelligent Missile?” [智能化导弹’智’在哪里], PLA Daily, August 17, 2023.

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