エスパー国防長官、将来の海軍艦隊の道を示す。

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掲載:2020年10月13日
作成:フォーキャストインターナショナル(FI)社
投稿:Shaun McDougall FI社アナリスト
(この論評は米国人のアナリストが米国内に向けて出したブログです)

Esper Charts Course for Future Navy Fleet October 13, 2020 – by Shaun McDougall 

無人の水上および潜水艇は、海軍の計画された艦隊で主要な役割を果たす。
写真は開発中のCommon Unmanned Surface Vehicle(CUSV)の初期型式、ノーフォーク海軍基地でのCitadel Shield-Solid Curtain 2020でのデモ中に、エリザベス川で自律機動を行う。
出典:米国海軍/マスコミュニケーションスペシャリスト3等兵曹レベッカ M.リンキー

 

米国防長官のマーク・エスパーは、2045年までに500隻以上の有人および無人の艦船で構成される海軍艦隊を建設する計画の概要を示した。
計画されている艦隊は、より大型の潜水艦コンポーネント、より多くの小型水上戦闘艦、全てのタイプの有人及び無人/有人水上および海中艇の組み合わせの特徴を備えている。
エスパー国防長官は、この将来の艦隊は、大国間の競争の要求に対処するためによりバランスが取れており、より分散した運用をサポートすると主張している。

海軍は通常、年度の予算要求と一緒に30年間の造船計画を発表するが、今年、その計画はエスパー国防長官の承認を得られなかった。海軍の長期造船計画のその額の適正さと実現可能性について納得できなかったため、エスパー国防長官は海軍の将来の部隊構造のより広範な研究を要求した。
その将来の海軍スタディ(FNFS)は現在完了しており、バトルフォース2045と称する新しい造船目標を示している。

エスパーは、戦略予算評価センターが主催するイベント中に、バトルフォース2045のハイライトを大まかに説明した。海軍は、来年初めの2022会計年度予算の発表を待つのではなく、今年末までに完全なFNFSとその新しい30年間の造船計画を議会に提出すると述べた。

海軍は近年、355隻の艦隊を建造するという目標を追求してきている。これは、2016年の部隊構造評価(FSA)に由来する要求である。
2020会計年度の長期造船計画では、355隻の目標は2030年代半ばまで達成されないことが明らかになっていた。
新しいバトルフォース2045計画では、2035年までに355隻の従来の戦闘部隊を構築し、2045年までにその部隊を500隻以上に拡大することが求められている。
海軍の現在の戦闘部隊は296隻の船で構成されている。

エスパー国防長官によれば、最優先事項は攻撃型潜水艦の艦隊を70から80隻に増やすことだ。海軍は現在50隻の攻撃型潜水艦を運用しており、以前は66隻の潜水艦に到達することを目標としていた。この拡大は、バージニア級の調達をできるだけ早く年3隻に増やし、合計7隻のロサンゼルス級の潜水艦に燃料を補給することによって達成される。

エスパー国防長官はこの論点を突き、「他に何もしなければ、攻撃型潜水艦に投資すべきだ」と述べた。海軍の2021会計年度の予算要求には、バージニア級原子力潜水艦が1隻しか含まれていなかったが、下院歳出委員会は、マークアップで2隻目のボートを追加することを推奨した。上院はまだ法案を取り上げていない。

海軍は引き続き手ごわい空母の存在に依存する事になる、軍はその空母部隊がどのようになるかを纏めていない。エスパー国防長官によると、新しい計画には、8隻から11隻のニミッツ級とフォード級の空母が含まれ、アメリカ級の水陸両用艦を基礎にする可能性のある最大6隻の軽空母が追加されている。軽空母は海外での存在感を高めると同時に、大型空母をより重要なハイエンド運用に振り向ける事が可能だ。

新しい軽空母は、アメリカ級強襲揚陸艦を基礎においている可能性。
ここに示されているのはUSSアメリカ(LHA 6)。
出典:U.S。海兵隊 /下級伍長 ダナ・ビーズリー

海軍は現在11の空母を運用しており、これは法律で規定されているしきい値である。
スーパーキャリアの計画数に関する不確実性は確かに整理する必要があり、単一のキャリアと航空団でさえ、調達、運用及び保守の支出に数十億ドルの影響を与える。
空母部隊の構成は、残りの艦隊の運用方法にも影響を与える。
海軍がその大型空母艦隊を削減するために議会は法律を変更しなければならないだろう、そして議員達は過去にそうすることに難色を示してきた。

既存の艦隊を追加の軽空母で補う計画は、大型空母艦隊を削減するという運用上のリスクの一部を軽減するだろう、しかし、それが議会の懸念を沈めるのに十分であるかどうかはまだわからない。勿論、海軍が多大型空母の数をそのままにすることも可能であり、その時点で最大の問題は、それらの資産を維持するための経費となる。

エスパー国防長官は、空母艦隊の適切なハイーロー・ミックスに関する更なる研究に期待していると述べた。彼はまた、戦闘機、タンカー、早期警戒機、電子攻撃機など、あらゆる種類の無人艦載機の開発を要求した。 MQ-25A無人タンカーはすでに計画中だが、無人ミッションセットが拡張されることは明らかである。

自律型船舶は将来の艦隊のかなりの部分を占めると予想され、バトルフォース2045では140から240隻の無人又は、任意で有人運用出来る様々なタイプの水上および海中船舶を要求している。
これらの艦艇は、ミサイルの攻撃や機雷敷設艦から監視や補給に至るまでの任務を課され、攻撃と防御の両方で使用されることとなる。
エスパー国防長官は、無人水上艦のテストが実行されていることを強調したが、その概念はまだ揺籃期にあり、海軍は、まだ無人船を艦隊にどのように統合するかを決めたばかりの状況だ。海上で必要なメンテナンスに間に合うかなど、調整するための兵站上の懸念もある。

シーハンター自律型無人水上艦は、2016年の就役以来DARPAと米海軍による試験を受けている。
出典:DARPA

新しい部隊構造計画では、海軍の小型水上戦闘艦隊が、以前の計画の52隻と比較して、60〜70隻に増加する。このカテゴリには、沿海域戦闘艦と、最近フィンカンティエリ社[1]が契約した新しいフリゲートクラスが含まれる。
空母部隊と同様に拡張された小さな水上戦闘機の艦隊は、全体的な能力を高め、大型水上戦闘部艦をより複雑な任務のために振り向けることが出来る。

海軍の艦隊は全体として駆逐艦のような大型船に重点を置いているが、中国の成長中の海軍は、小型のフリゲート艦、コルベット艦、ミサイル艇を多数保有している。
米国の小型水上戦闘部隊を増やすことは、駆逐艦を追加購入するよりも費用がかからず、駆逐艦がオーバーキルになる可能性のある分散型作戦を円滑にする。

エスパー国防長官は、70から90隻の戦闘兵站船への要望の概要を説明したが、軍はこの数が将来の戦闘作戦をサポートするのに十分であるかどうかまだ研究中であると語った。この数字には、海兵隊をより機敏で機動性のある部隊に変えることを目的としたフォースデザイン2030計画の一部として海兵隊が望んでいる中型兵站船が含まれる予定である。

エスパー国防長官は、彼のスピーチの中でフォースデザイン2030への支持を表明した。これには海兵隊のための新しい水陸両用作戦艦も含まれる。
最終的に、水陸両用作戦艦隊は、以前の38隻の要求から、50〜60隻への増加となる。しかし、エスパー国防長官は、水陸両用艦の要求を確定するには、さらに多くの作業が必要であると述べた。

大規模な水上戦闘艦隊については議論されなかったが、今年初めのメディアの報道によると、新しい評価では、現在の目標の104隻を80から90隻に減らした大型水上戦闘艦要求となっている。海軍にはすでに91隻の駆逐艦と巡洋艦が艦隊に保有しているため、バトルフォース2045は、古い艦艇が退役するのにペースを合わせて駆逐艦を調達する可能性がある。

エスパー国防長官はまた、海軍の当初の355隻の要求における合計39隻の指揮艦と支援艦について具体的に話し合っていない。
エスパー国防長官によって議論されたすべての船の数を合計すると、全体の艦隊の数量は529隻から692隻の船の間のどこかに落ち着くことになる。
これらの数字は、80から90隻の艦船と、39隻の指揮および支援船からなる大型水上戦闘艦隊を想定している。
保留中の30年間の造船計画には、より具体的な数値が必要である。
以下の表は、現在の戦闘力、2016年のFSAの目標である355隻、および戦闘力2045の一部としてエスパー国防長官によって概説された下限と上限を比較している。

 *エスパー国防長官は大型の水上戦闘機や指揮および支援船については議論していなかったため、
これらの数値は最良の見積もりを表している。
出展: Forecast International Get the data  Datawrapper

新しい部隊構造の概念がテーブルにあるので、問題は計画が現実的であるか手頃な価格であるかということになる。

エスパー国防長官は、これらの目標を達成することは長期的に容易ではなく、「偏狭な利益、予算の不確実性、産業能力、およびその他の競合する要因が我々の大望に異議を唱えるだろう」と明確に述べた。海軍はすでに造船プログラムを支援するための資金を解放する方法に取り組んでいるが、この計画を実行可能にするためには、造船に関わる経費を記録的なレベルで維持する必要があるのが現実である。

海軍の最近の予算に対する努力に照らして、エスパー国防長官は、国防総省全体から造船に追加の資金を提供することに同意した。此には、戦闘軍レビュー、第4の不動産改革、及びその他のコスト削減策からの資金を含んでいる。このスタンスは、予算の独自の部分のために戦っている他の軍、特に、宇宙プログラムへの資金提供を強化することを目標とする新生の宇宙軍からの反発をもたらす可能性がある。

これらの予算改革のすべてにより、エスパー国防長官は、造船を進めるために海軍予算の大幅な増額部分を十分に割り当てることができた。
エスパー国防長官は、海軍の総予算の13%が造船プログラムを支援し、1980年代のレーガン増強期間中の新造船の平均支出率に匹敵すると述べた。
レーガンが在任中の海軍の年間予算は平均で約2,090億ドル(2021会計年度ドル換算)であり、これは2021会計年度に軍が要求した2,070億ドルと同等である。

最新の要求では、造船のために199億ドル、つまり全体の約9.6%が確保されたが、これは当初の計画よりも大幅に低いものである。
造船会計は、海軍の2020会計年度予算の11.4%、2019会計年度予算の10.6%を占めた。2021会計年度の船舶への13%の割り当ては、合計270億ドルになる。

海軍の最新の5年間の支出計画では、現在のドル価格で2,155億ドル、又は2021会計年度の固定ドル換算で2,064億ドルの平均年間支出が要求されている。
エスパー国防長官の概算の13%の見積もりでは、造船の年間予算は、現在のドル価格で年間平均約280億ドル、又は2021年度の固定ドル換算で268億ドルになる。
比較のために、造船会計は、2010年以来、平均181億ドル(インフレ調整なし)であり、2021会計年度の5年間の支出計画では、造船に年間平均237億ドルを要求していた。

海軍の最終年度予測は、インフレ調整後の今後5年間の実質成長率がゼロである国防総省の予算に基づいている。均一な予算は一般的に最良のシナリオと見なされており、パンデミックの財政的および経済的影響により防衛予算が削減され、より大型艦隊計画のための資金を解放することがさらに困難になる可能性がある。

エスパー国防長官はまた、予算がタイムリーで、予測可能で、維持されることを確実にするために議会からのより多くのサポートを望んでいる。
過去10年間は、その点で予算の混乱があり、予算管理法の支出制限により、何年にもわたる決議の継続、予算の遅延及び予測できない支出パターンが生じていた。
BCAの支出制限は、2021会計年度に失効する。これにより、少なくとも1つの官僚的な障害が解消される。
彼はまた、新しいプログラムに優先順位を付けるために、レガシー機器を売却するための議会のサポートを望んでいる。
議員達は、運用寿命がまだ残っているレガシーシステムの廃止に抵抗することが多く、その傾向が続くと、海軍が資金を解放するのが難しくなる。

海軍の最初の4隻の沿海域戦闘艦の退役計画は、一部の議員達からの反発に直面。
この写真は、クラスのリードシップであるUSSフリーダム(LCS 1)。
出典:米国海軍/マスコミュニケーションスペシャリスト一等兵曹ジェームズR.エバンス

国防長官はまた、海軍の新しい予算権限額を求めている。これにより、軍は年末に残っている義務的資金を期限切にしないで造船会計に移すことができる。この動きには議会の承認が必要だが、議員がこの概念を受け入れるかどうかはまだ分らない。
もしそうなれば、国防総省の海外作戦会計があらゆる種類の優先事項の裏金になるなど、新しい予算権限額が悪用される可能性のある抜け穴に変わるのを防ぐために、多くの制限が伴う可能性がある。

事態をさらに悪化させる可能性があるため、議会予算局は、海軍が造船プログラムの長期コストを過小評価していると繰り返し警告している。
海軍の2020会計年度の造船計画の2019年10月の分析では、CBOは、海軍の241億ドルの見積もりと比較して、長期コストは年間平均310億ドル(2019年のドル換算)になると見積もっている。不一致の多くは、将来の艦船の設計、特に将来の大型水上戦闘艦と将来の攻撃型潜水艦についての不確実性に要約されている。
CBOはまた、海軍が造船業界の労働力と資材の高いインフレ率を適切に説明していないと主張した。

CBOの見積もりが正しければ、海軍は野心的な艦隊拡張計画に資金を提供する上でさらに大きな課題に直面するだろう。
海軍も過去にコスト管理の問題に直面しており、たとえば、フォード級空母、沿海域戦闘艦、DDG1000駆逐艦は当初の計画よりもはるかに高価になっている。
初期の自律技術による学習曲線も、特に長期保守の分野でコストリスクをもたらす。

海軍が希望するサイズに艦隊を建造できるかどうかに関係なく、バトルフォース2045は、少なくとも将来の買収決定がどのように導かれるかについての見解を提供する。

最初の焦点は、潜水艦の調達、少数の水上戦闘機の強化を試み、無人能力の開発を継続することである。同時に、ロジスティクスとメンテナンスは重要な優先事項であり、特に、軍はメンテナンスの滞留から抜け出すために努力する。
エスパー国防長官は、当局は海軍に対する過剰な要求とそれに続く保守インフラと予算への負担を認識している必要があると述べた。
船の数を増やすことで、個々の艦船にかかる運用上の負担を軽減できる、より大きな部隊を維持することは、それ自体に新たな課題をもたらすこととなる。(黒豆柴)


[1] フィンカンティエリ社:イタリア・トリエステに本社を置く総合造船グループ企業。