イランの濃縮ウラン備蓄が核合意に違反

掲載:2019年7月1日
作成:フォーキャストインターナショナル(FI)社
投稿:Derek Bisaccio FI社アナリスト
(この論評は米国人のアナリストが米国内に向けて出したブログです)

Iranian Enriched Uranium Stockpile Breaches Nuclear Deal  July 1, 2019 – by Derek Bisaccio
イランの濃縮ウラン備蓄が核合意に違反

2019年2月、イランのモハンマド・ザリフ外務大臣語る

イランの低濃縮ウランの備蓄量は、2015年にイラン政府と世界の主要国との間での核合意で定められた制限に違反した。

7月1日、イランのメディアは、イラン政府は、低濃縮ウラン(LEU)の最大限の上限を超え、300キログラムの制限を超えていると報じ始めた。
イランのモハンマド・ザリフは、次のように述べている。「私が受けた報告によれば、イランはその計画に従って300キログラムの制限を超えた。我々は以前からそうなると発表していた。」
「我々は我々の予定とそれによる行動を明確にしている。包括共同作業計画の規定の枠内でイランが行使できる権利の一部だと考えている」と語った。

イランは、LEUが制限を超えたことを除いて、現在の保有している備蓄量を明確にしなかった。
イランの核エネルギー機関の報道官、ベアノーズ・カマルバンディ氏は、イランが高濃縮ウランの保有量が制限に近づくにつれ、純度3.7%をこえ20%の濃縮を開始すると発表した。ウランベースの核兵器の生産には、純度90%以上の高濃縮ウランの十分な量が必要だと考えられている。
米国は、イランはやがては、核兵器の生産を目指しているとの疑いを持っている。イランは、否定している。
国家の原子力活動を監視している国際原子力機関のスポークスマンは、BBCニュースの声明の中で、「我々の検査官は現場にいて、LEUの備蓄が確認され次第、本部に報告する」と述べた。

米国が核合意の取り決めから離脱した後、2015年の核協定によって設定された制限を破るというイランの決定は、1年以上に渡っている。
ここ数カ月の間に、この地域のアメリカの同盟国に対するイラン勢力による攻撃と同様にホルムズ海峡付近での一連の不可思議な破壊事件の中で、両国間の緊張が劇的に高まっている。

先月、ドナルド・トランプ米大統領は、イランが領空を侵されたと主張しているアメリカのRQ-4無人航空機をイランが攻撃したことを受けて、軍事攻撃を命じたがその後中止した。
米国は、無人機が国際空域で撃墜されたと発表している。
(黒豆芝)