知的な強み(インテレクチャル・エッジ):将来の戦争と戦略的競争における競争上の優位性

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米軍をはじめとする西側の軍事力が、ロシアや中国に比べて相対的に低下してきたと言われて久しい。この背景には、米国が冷戦の崩壊以降、イラクやアフガニスタンといった戦争に焦点を置き、大国との戦争を想定した準備を国家予算だけでなく軍事に関わる思考的な探求を継続してこなかったことが挙げられるであろう。この間、ICTをはじめとする技術革新は目覚ましく、安価にこれらの技術は使用可能になり、更にこれらの進展に合わせてBIG DATAや人工知能といった革新的な知的な取り組みは軍事にも適用可能なことが拍車をかけている。

米国の軍事思想の根底にあったと思われる消耗戦(attrition warfare)思考を反映したような重装備は、敵対する国家の軍事的脅威でありえたし、それが抑止効果に大いに貢献していたことは間違いないであろう。

国家の技術の優位性が、その国家の軍事的優位性に結びついていたともいえる。しかし、同時に進行していたグローバル化の波は、米国を中心とする西側の技術の優位性を段々と低くし、個々の軍種別の装備の性能で見れば、優位性は極めて不安定なものとなったといえるであろう。それは、あらゆるドメインで活躍するであろう能力に言えることである。一つのドメインでの消耗戦(attrition warfare)思考によるところの優位性を得ることは非常に困難な状況にある。

対等かほぼ対等な力を持つ敵対者に対して、機動戦(maneuver warfare)思考による打開が求められるところであろう。機動戦(maneuver warfare)は、単に機動(movement)の優位性を指しているのではないことは、軍事学に詳しい方々には言うまでもないが、それは、知的な挑戦でもある。

ここで紹介するのは、National Defense University Pressが編纂するJoint Force Quarterly (JFQ)の記事である。著者のMick Ryan氏は、豪国防大学の学長であり多くの軍事に関わる執筆に関わっている。中でも、昨今のAI等の技術の進展における軍事的バランスが不安定化する中で、軍人の知的な能力の開発・育成の重要性を唱えている。

知的な活動は正に人間の認知的領域に関わる分野であり、人工知能の開発とその適用に焦点が当てられがちであるが、兵士個々の認知的能力向上も忘れてはならないことであろう。War-GamingのみならずVirtual Reality技術やAugumented Reality技術、Mixed Reality技術を存分に駆使した仮想環境(Virtual Environment)を構築し大いに活用することは、財政的懸念を有する西側諸国の軍事力を高める上での救いとなるであろう。仮想環境で認知的能力向上することは、上級指揮官や幕僚から一兵士に至る、あらゆる階層の軍人にとって機動戦(maneuver warfare)思考を高めることにもつながると信じるところである。(軍治)

知的な強み(インテレクチャル・エッジ):将来の戦争と戦略的競争における競争上の優位性 – The Intellectual Edge: A Competitive Advantage for Future War and Strategic Competition –

By Mick Ryan [1]

Feb. 7, 2020

Joint Force Quarterly 96の記事から

2018年8月7日に地中海で行われたリライアントマーメイド2018の演習中、米ミサイル駆逐艦カーニーからイスラエル艦ラハヴ(左)、イスラエル艦スファ(中央)、米海軍艦リロイグラマンを観察する米海軍少尉(写真:米海軍Ryan U. Kledzik)

21世紀初頭、進歩の列車が再び駅から出ていく。これはおそらく、ホモサピエンスと呼ばれる駅を出る最後の列車になるであろう。この列車に乗り遅れた人は二度とチャンスを得ることができない。そこに席を得ようとするには、21世紀の技術、特にバイオ技術とコンピューターアルゴリズムの力(power)を理解する必要がある。・・・残されたものは絶滅に直面することになる。

ユヴァル・ノア・ハラリ

ホモ・デウスにおける人間開発の未来に関するユヴァル・ハラリの警告は、将来の軍事指導者の知的開発をリードする人々への明確な呼びかけをするものである[2]。ハラリとその他のハイジ・トフラー、アルビン・トフラー、ニック・ボストラム、アンドリュー・クレピネヴィッチ、トーマス・X・ハメスとイアン・モリスは、人間と戦争に対する技術の潜在的な将来の影響について推測している[3]。これらの将来のビジョンにはさまざまな予測が含まれているが、軍事機関内の将来の知的開発を知らせる有用な質問を投げかけているものである。

世界は現在、新たな産業革命の始まりにいる可能性がある。この革命は、接続性、バイオ技術、およびさまざまな形態の特化型人工知能[4]を含むシリコンベースの技術によって支えられている。世界経済フォーラムの創設者であるクラウス・シュワブによって「第4次産業革命」と言われ、ビジネス、エンターテイメント、コミュニケーション、輸送、および国民経済を混乱させている[5]。これまでの産業革命のように、これが社会とその構成コミュニティの発展と相互作用の方法を変えることはほぼ確実である。科学の進歩、商業化、革新(innovation)の普及は、人々がアイデア、価値、興味、社会規範を開発し、交換するときに展開する社会プロセスである[6]

社会を一掃する変革(transformations)は、必然的に政府が国家安全保障を評価する方法に変化をもたらすであろう。ケネス・ペインが最近指摘したように、「培養された人間にとって、技術、戦い(warfare)、社会は動的にリンクされている[7]」 これは、新しい時代の軍事組織が軍事作戦を行う方法にも変化がカスケードされることを意味するものである。

この革命の新技術が軍事機関に与える影響は、アミール・フサイン、ウィリアムソン・マレー、ポール・シャール、シーン・マクフェイト、ハメスなど、さまざまな著者によって調査されている[8]。しかし、マクフェイトが最近書いたように、「戦闘員がするより先に戦い(warfare)が進化する[9]」したがって、軍事機関がこれらの新しい技術の使用を最適化する場合、新しい軍事コンセプトと組織的アプローチへの投資を行う必要がある。これらの進化したアイデアと組織は、将来の軍事指導者の知的準備に対する進化したアプローチによって支えられなければならない。

The Military and Education: An Evolved Intellectual Edge:軍事と教育:進化した知的な強み(インテレクチャル・エッジ)

今後20年間で、ほとんどの西側の軍隊は彼らの敵対者よりも小さくなり、技術的優位性は低下するであろう。この課題に加えて、彼らは新しい超技術的で、地域を超え、ますます分散化した物理的サイバー作戦環境で戦うことになる。ますます致命的な兵器システムと情報とバイオ技術の融合の出現に支配されて、将来の紛争空間は、主に技術レベルの競技場になるであろう。米国の国家防衛戦略委員会によるものなどの最近の出版物[10]は、何世紀にもわたって西側の軍事機関の保護であった技術的強み(テクノロジカル・エッジ)がどのように低下したかを説明している[11]

ジョセフ・ダンフォード米海兵隊大将が説明したように、戦略的および技術的変化のペースは増加している[12]。軍事力が能力の優位性を生み出す場合、それらは以前の時代の場合よりも短命である可能性が高い[13]。したがって、西側の軍事機関は、さらなる優位性の源泉(sources of advantage)を進化させなければならない。永続的な技術的強み(テクノロジカル・エッジ)を欠いており、多くの場合、前の時代の大量の部隊に頼ることなく[14]、唯一の他のオプションは知的な強み(インテレクチャル・エッジ)である[15]

この知的な強み(インテレクチャル・エッジ)は、相互に関連する2つの異なる方法で明らかにする。1つ目は、個々の専門的な習熟である。個人の知的な強み(インテレクチャル・エッジ)は、その人が潜在的な敵対者を創造的に考え抜く能力である。これは、機関が提供できる幅広い訓練、教育、および経験に加えて、長期にわたる継続的な自己学習への個人的な献身に基づいている。ますます、個人に対するこの知的な強み(インテレクチャル・エッジ)は、人間と人工知能のチーム化による認知的支援によって支えられる。ますます、合成生物学と人工知能は、一般的な優位性と人間の知的力と協調して使用しなければならない。フランク・ホフマンはこれを「システム3」思考と表現した。そこでは、生物的知性と機械知性の統合適用における新生分野が、軍人の知的な強み(インテレクチャル・エッジ)の発展にとってますます中心になる[16]

知的な強み(インテレクチャル・エッジ)の2番目は制度である。リーダーシップと計画策定において知的な強み(インテレクチャル・エッジ)を持つことは非常に重要ですが、それはまた、組織全体の集合的な知的な強み(インテレクチャル・エッジ)でもある。これにより、さまざまなレベルのグループが、個人の異なる多様な知性を効果的に活用して、短期、中期、および長期の複雑な制度上の問題を解決できるようになる。この制度的な知的な強み(インテレクチャル・エッジ)は、部隊デザイン、作戦コンセプト、兵站、ネットワークセキュリティ、キネティックとノン・キネティックの一体化、および人材開発と才能管理(talent management)の課題に適用する必要がある。

この知的な強み(インテレクチャル・エッジ)は、展開された部隊から教育訓練機関、戦略的計画策定組織まで、超専門的な知的軍事文化の発展に沿って構築されなければならない。このシステムの人々は、敵対者と比べてより速く、より成功するように文脈化、計画、決定、行動、および適応できる必要がある[17]。この進化した文化の中で最高のものであるエリート軍事思想家は、私たちが現在エリートアスリートを祝福し、評価しているのと同じ方法で祝福され、育まれなければならない。このエリート思考を奨励する制度的インセンティブを強化し、潜在的に、昇進経路と才能管理(talent management)システムを適合させる必要がある。

21世紀の軍事およびより広範な国家安全保障の成果を達成するための卓越性は、これを制度的問題に統一された方法で適用しながら、知的な強み(インテレクチャル・エッジ)で支援する方法で彼らの人材を育成できるそれらの機関によって達成される。制度的知的な強み(インテレクチャル・エッジ)の究極の表現は、戦略的競争で戦うことなく勝つ能力容量(capacity)、または関与しなければならないいかなる戦い(fight)にも勝つその強みを適用する能力容量(capacity)のいずれかである。この知的な強み(インテレクチャル・エッジ)を構築するには、軍事機関はまた、この進化したエッジの開発に影響を与える2つの追加の文脈的要素を高く評価する必要がある。

最初の要素は、より広い安全保障環境での継続性である。将来の環境のさまざまな要素によって引き起こされる混乱に関係なく、いくつかの永続的な特性もある。一つは、人間同士がお互いにまだ戦争をしている可能性である。もう1つは、人間がなせる業の本質(nature of work)と軍事組織の構造は、数千年以上にわたって進化し続けるということである。将来の軍事指導者が準備しなければならない文脈を提供するため、この継続性を理解することが重要である。

2番目の要素は、情報技術(information technolog)と生物学的技術(biotechnology)の融合がもたらす圧倒的な影響である。何千年もの間、軍事指導者たちは彼らの知性と戦争の道具を適用して、彼らの望ましい目標を達成してきた。しかし、時代に関係なく、これらの軍事指導者は、会戦(battle)、戦役(campaign)、戦争(war)に勝つための全体的なアプローチの一部として機械やその他の道具を使用した。今や世界は、人間と機械が完全に共生する時代の絶壁にある。人工知能の急速に進化する能力は、軍事指導者および政治指導者によるより良い意思決定を支援するという約束を有している。歴史上初めて、人間と機械は、戦争と戦略的競争の認知的側面の多くにおいて、真に対等なパートナーである可能性がある。この新しい知的な強み(インテレクチャル・エッジ)を進化させるには、軍人の育成におけるさまざまな制度的適応が必要である。

2019年12月10日、沖縄、キャンプシュワブでの戦争をテーマにした戦略ボードゲーム「メモワール44」のゲーム中に海兵隊の駒が死亡(写真:米国海兵隊Timothy Hernandez)

A Design for Future Intellectual Development:将来の知的な開発のためのデザイン

進化した知的な強み(インテレクチャル・エッジ)を構築するには、一連の新しいアプローチと進化したアプローチが必要になる。しかし、それは本質的には人々に関するものである。軍人は、スキルを拡大し、準備されていない可能性のあるさまざまな活動に自らを適用する知的な能力容量(capacity)に集中できなければならない。これには、適切なレベルのリソースを適用するための事業体全体のアプローチが必要であり、現代および将来の課題に対応する軍事要員の訓練に焦点を当て、より広範な国家安全保障施設内で軍事的“術と科学”を適用する。ただし、このシステムが大規模な軍事的事業体内でどのように作戦として機能するかについてのデザインは、戦略によって推進される必要がある。この戦略は、今後20年間の軍事組織の能力目標から望ましい最終目標を引き出す必要があり、さまざまな制度的、教育的、技術的要素に依存する。

戦略的ビジョン(Strategic Vision。教育、訓練、経験、才能管理(talent management)、およびその他のメカニズムを通じた軍人の育成は、軍事機関に不可欠な「ソフトウェア」を提供する[18]。したがって、将来の軍人、特にその指導者に関する制度的に承認された見解が必要である。これは、将来の軍事能力と国家安全保障政策のより広範な見解の一部を形成すべきである。米国の文脈では、最近の国防戦略における専門的な軍事教育(PME)の「停滞」との記述は、戦略変革の出発点と推進力を提供する[19]

戦略的関与(Strategic Engagement。志を同じくする軍事機関、さまざまな軍種、志を同じくする国々の間の関与は、アイデアの共有の強化を進化させ、受け入れ続けなければならない。軍事教育の一連のコンセプトとデザインがオンラインで共有されているが、これは機関間で常に複製されているわけではない。ベストプラクティスカリキュラム、優れた学術職員、新しい学習アプローチ、および新しい軍事理論の共有の強化は、西側の軍事同盟に対する将来のアプローチの基盤の1つでなければならない。

ただし、戦略的関与は、志を同じくする機関の共有および交換活動を超えて拡大する必要がある。民間の大学との連携が重要である。これらの民間機関では、人文科学全体にわたって何世紀にもわたって学習が行われている。民間の大学は、学部レベルおよび大学院レベルの軍事要員のスキルをさらに磨くための知的な厳しさを提供できる源泉である。彼らはまた、公式に認可された政策とは異なるかもしれない国家安全保障の観点を提供することができ、軍事学生に現代の国家安全保障政策の独特の慣習をより注意深く分析することを強制する。

将来、教育、および適応(Futures, Education, and Adaptation。軍事機関のカリキュラムは、その人々が作戦する将来の環境についての制度的見解によって知らされなければならない。軍事教育は、未来の仕事を引き受ける軍事とそれを越えた組織とのより緊密で実質的な連携を形成しなければならない。将来の情報に基づいた見解と、将来の統合の将校が受け取る知的開発の類型から、透明で論理的な経路が存在する必要がある。関連性を維持し、ベストプラクティスの最前線に留まるために、専門的軍事教育(PME)システムは、適応のメカニズムで将来の仕事を補完する必要もある。このシステムには、変更の必要性を特定し、変更に関する情報に基づいた決定を行い、それらの変更をタイムリーかつ効率的な方法で実施するための正式なメカニズムが必要である。

継続的な長期的職歴学習(Continuous Career-Long Learning。将来の軍事機関は、将来の軍事指導者が職業上の旅のさまざまな段階で何ができなければならないのかを機能的に説明した連続体を必要とする。制度的なカリキュラムはこれを支えなければならない。ただし、産業時代の生産ラインであってはならない。それは、個々に調整された知的開発が構築される可能性のある「バックボーン」を形成する必要がある。ウィリアムソン・マレーとアレン・ミレーは、戦間期の軍事革新の調査において、軍事指導者が職歴を通じて継続的な学習を行ったときに、革新的なアイデアや技術を主導し、投資できることを見出した[20]。継続的な学習には、他の重要な成果もある。

第一に、継続的な学習に対するより全体的なアプローチには、軍事機関の才能と職歴管理システムを支援するという追加の利点があるはずである。第二に、軍事要員が必要とする学習成果の種類について、より多くのコース修正を伴う一連の「小さな賭け」を可能にする。これは、長年離れた限られた数の学習介入に依存しているため、将来の課題に備えて人々が「大きな賭け」をするという現在のアプローチとは対照的である[21]。短期および長期の自宅学習の機会と、公式なオンライン学習および自己学習のための精選されたハブを組み合わせたものは、将来の継続的な学習に最適なアプローチである。

世界規模の専門的軍事教育(PME)エコシステムでのガイド付き自己開発(Guided Self-Development in a Global PME Ecosystem。軍事機関での公式な教育は、現代または将来の統合将校の知的開発におけるすべてのニーズをカバーすることを望まない。したがって、公式な教育は自習を通して補わなければならない[22]。この自習は、公式な教育経験を補完するものであれば最も効果的である。その意味するところは、軍事組織は、将来の統合将校が専門的能力を補完するために、インターネットやその他の情報源を使用して、機関から「プル・ダウン」ことができるキュレーション・リソースを提供する必要があるということである。これらの専門的な開発資料のキュレーション・ハブは、非公式のリソースを補完し、同盟パートナー全体で広く利用でき、戦略的環境または技術開発の変化に適応するために迅速に変更できる。したがって、それらは軍事学校や軍事アカデミーよりも短い適応サイクルのリソースで構成されている可能性がある。

スキル、再スキル、反復(Skill, Re-Skill, Repeat。将来の環境は、職業と産業の建設と破壊が以前の産業革命よりも早く起こる環境である。ハラリが最近予測したように、「20世紀に政府が若者のための大規模な教育システムを確立したように、21世紀には大人のための大規模な再教育システムを確立する必要がある[23]」したがって、将来の軍事機関は、技術と戦略的状況の変化に応じて、スキルを身に付け、迅速にスキルを再構築するシステムを所有する必要がある。現在の軍事組織は、これらの新しい技術の深刻な影響と、技術革新の歴史的に前例のない加速のために、今後5〜10年で軍事指導者の全世代を再教育する必要があるかもしれない[24]

強化された技術的リテラシー(Enhanced Technological Literacy。極超音速、宇宙ベースの能力、情報技術(information technolog)、生物学的技術(biotechnology)などの高度な技術の範囲は、軍事組織を通じて急速に広がり始めている。しかし、機関がこれらのシステムを効果的に使用する場合、情報に基づいたユーザーが必要になる。したがって、軍事組織には、軍事システムのアルゴリズムの開発と人工知能のデザインにおいて、単なる深い技術専門家以上のものが必要になる。英国政府の最近のレポートで説明されているように、新しい技術を使用する熟練労働者は、基本的な知識を持ち、より多くの情報に基づいたユーザーと、高度なスキルを持つ専門家が混在する必要がある[25]。今後数年間、ほぼすべてのランクレベルで、軍事要員は、新しい破壊的な技術のスペクトルの基本的なリテラシーを必要とする[26]。これには、アプリケーションの知識、あるレベルの保証と品質管理を提供する方法、およびそれをあらゆるレベルで新しいコンセプトや人間組織と最適に組み合わせる方法が含まれている必要がある[27]

アクセスの容易性(Accessibility。現代の統合教育と個人訓練の多くは、居住環境で提供されている。これにより良い学習成果が得られますが、統合学習の機会にアクセスできる軍人はごくわずかである。軍事機関は、教育が継続的かつ自立できる真につながりのある力を生み出すために、地理的、技術的、文化的な障壁を打開しなければならない。将来の軍事指導者を育成するシステムは、役割、階級、または場所に関係なく、軍事メンバーと国防民間人がアクセスできるようにする必要がある。軍事機関はこの分野で民間教育部門から多くのことを学べると同時に、高度分散学習イニシアティブ(Advanced Distributed Learning Initiative)などの取り組みを活用している[28]

2019年9月18日、ロードアイランド州ニューポートの海軍士官訓練コマンドで新しい操船指揮士官の仮想環境カートシステム[29]を最初にテストする士官候補生学校のクラス01-20の学生(写真:米海軍Darwin Lam)

配信と学習者の関与の革新(Innovation in Delivery and Learner Engagement。技術の変化のペースは、訓練と教育に対する長年のアプローチを混乱させている。技術は、学習に対するより「接続された」アプローチを可能にした。これにより、古い(または遺産の[30])機関教育モデルと新しいデジタル対応アプローチとの間にギャップが生じている。過去に既存のモデルから除外された可能性のある学生向けに、新しい学習アプローチが利用可能になった。

最近のデジタル時代の技術は、このより高度な学習アプローチを支えている。生物学的技術(biotechnology)と情報技術(information technolog)の革命は、軍事的専門職に個人や機関の知的能力を高めるための複数の経路を提供する。人工知能は、軍が彼らの人員を教育する方法を大きく変え、軍人の教育を支援するための潜在的な活動の拡大された範囲を支えまる[31]。生物学的技術(biotechnology)、特にニューロ技術(neurotechnology)は、認知機能の強化、移植された記憶、脳の拡張された知識の使用などの機能を提供して、より良い人工知能アルゴリズムに情報を提供する[32]。これらの技術が将来の軍事指導者の学習と育成に与える影響は、西側の軍事機関間の協調した革新の分野かもしれない。

しかし、学習アプローチのすべての進化が高度な技術に基づいている必要はない。ウォーゲミング(wargaming)は、軍事機関で長い歴史を持つ応用学習の効果的な方法である。将来の指導者が軍事作戦の準備と実施を視覚化できるようにするウォーゲーミング(wargaming)の使用は、将来の合同将校の準備に必要な要素である。これらのウォーゲーム(Wargame)は、洗練されたコンピューターゲームである必要はない。シンプルなデスクトップゲームは、多くの場合、学生を引き付け、協調のスキルや影響力のスキルなどの追加の成果をもたらすのに効果的である[33]。一体化された影響力作戦と宇宙能力を含める要件は新しいかもしれませんが、将来の学習ニーズとの関連性を保持するために、ウォーゲーミング(wargaming)の方法論を進化させることができる[34]

トーマス・X・ハメスは、「反対の主張にもかかわらず、戦争は消えていない。どちらかといえば、頻度と期間が増加している。武力紛争は、国家と非国家主体間の関係の中心的存在を維持している。それは、人間の意志の文脈であり、したがって不確実性のドメインであり、人間の情熱(passion)、摩擦(friction)、霧(fog)によって悪化する。技術は明快さや簡潔さをもたらさないであろう[35]」グローバルな安全保障環境は進化し続けている。戦い(warfare)は人間の本質を保持しながら、技術的に複雑になりつつある。軍事組織は、技術と量(mass)の適用が解決しない将来の脅威に対処する能力を持たなければならない。よりよく考え、サービスメンバーと機関の知的な強み(インテレクチャル・エッジ)を構築することによってのみ、将来の国家安全保障目標を確保するための能力容量(capacity)を向上させることができる。必要なスキルの多くは変化する可能性があり、これらの力(force)の人間の構成は進化し続けるが、将来の紛争の要求に対する軍隊の知的準備は永続的な要件である。

現在、世界中の軍事組織は、自分たちの作戦がどのようにコンセプト化され実行されるか、そして人々がどのように採用、訓練、教育されるかに影響するさまざまな新しい状況に直面している。これらの新しい状況で将来のリーダーの知的な強み(インテレクチャル・エッジ)を開発する際、軍隊は新たに考え、行動しなければならない[36]

ノート

[1] Mick Ryan, AMオーストラリア陸軍中将はオーストラリア国防大学の学長である。

[2] ユヴァル・ノア・ハラリ著「ホモ・デウス : テクノロジーとサピエンスの未来」(河出書房新社)

[3] アルビン・トフラーとハイジ・トフラー著「戦争と反戦争:今日の世界的なカオスを理解する:War and Anti-War: Making Sense of Today’s Global Chaos」(邦訳なし)、ニック・ボストラム著「超知性:経路、危険度、戦略:Superintelligence: Paths, Dangers, Strategies」(邦訳なし)、アンドリュー・クレピネヴィッチ著「7つの致命的なシナリオ:軍事未来学派が21世紀の戦争を検証:7 Deadly Scenarios: A Military Futurist Examines War in the Twenty-First Century」(邦訳なし)、トーマス・X・ハメス著、R.D. フッカー編「“将来の紛争”経路のチャート化:新政権の戦略的選択:“The Future of Conflict,” in Charting a Course: Strategic Choices for a New Administration」(邦訳なし)https://inss.ndu.edu/Portals/68/Documents/Books/charting-a-course/charting-a-course.pdf?ver=2016-12-08-154300-120で参照可能、イアン・モリス著「人類5万年 文明の興亡─なせ西洋が世界を支配しているのか」(筑摩書房)の中で、人間と将来の戦略に対する技術と潜在的なシンギュラリティ(特異点)の影響について述べている。

[4] 【訳者註】Narrow AI:特化型人工知能、 Artificial General Intelligence(AGI):汎用人工知能

[5] クラウス・シュワブ著「第4の産業革命:The Fourth Industrial Revolution」(邦訳なし).

[6] 前掲、91ページ.

[7] ケネス・ペイン著「戦略、進化、戦争:類人猿から人工知能へ:Evolution and War: From Apes to Artificial Intelligence」(邦訳なし)13ページ.

[8] アミール・フセイン著「超戦争:人工知能の世紀における紛争と競争:Hyperwar: Conflict and Competition in the AI Century」(邦訳なし)、ウィリアムソン・マレー著「米国と戦争の未来:プロローグとしての過去:America and the Future of War: The Past as Prologue」(邦訳なし)、シーン・マクフェイト著「新たな戦争のルール:恒久的な無秩序の時代における勝利:The New Rules of War: Victory in the Age of Durable Disorder」(邦訳なし)、トーマス・X・ハメス著「安価な技術が米国の戦術的支配に挑戦する:Cheap Technology Will Challenge U.S. Tactical Dominance」Joint Force Quarterly 81(邦訳なし)

[9] シーン・マクフェイト著「新たな戦争のルール」250ページ

[10] 「共通の防衛の提供:国防戦略委員会の評価と勧告」https://www.usip.org/sites/default/files/2018-11/providing-for-the-common-defense.pdf

[11] このことは、イアン・モリス著「人類5万年 文明の興亡─なせ西洋が世界を支配しているのか」(筑摩書房)の中で見事に検証されている。

[12] 2016年ワシントンDCフォートレスリーJ.マクネア、「国防大学卒業式でのダンフォード大将の発言」http://www.jcs.mil/Media/Speeches/Article/797847/gen-dunfords-remarks-at-the-national-defense-university-graduation/で参照可能

[13] 一時的優位性(transient advantage)という用語は、競争的戦略に関する2103の記事で使用されている。ルース・ガンサー・マクグラフ著「Ruth Gunther McGrath、「一時的優位性:Transient Advantage」ハーバードビジネスレビュー(https://hbr.org/2013/06/transient-advantage)を参照

[14] しかしながら、トーマス・X・ハメスが書いたように、21世紀の大量は、無人の空・陸・海の能力を大規模に使用することによって潜在的に生成される。 トーマス・X・ハメス著「将来の紛争」を参照のこと。

[15] 私(ミック・ライアン)は以前、「21世紀の紛争と競争のためのオーストラリアの知的な強み(インテレクチャル・エッジ):重心シリーズ(Canberra: Australian National University, 2019)」と「将来の知的な強み(インテレクチャル・エッジ)を開発するための価値提案(The Forge, November 28, 2018)」で、知的な強み(インテレクチャル・エッジ)の根拠について書いている。http://sdsc.bellschool.anu.edu.au/experts-publications/publications/6825/australian-intellectual-edge-conflict-and-competition-21stおよびhttps://theforge.defence.gov.au/publications/value-proposition-developing-future-intellectual-edgeを参照のこと。

[16] フランク・ホフマン著「破壊的技術と現代戦争の未来についての健全な懐疑論:Healthy Skepticism about the Future of Disruptive Technology and Modern War(Foreign Policy Research Institute, January 4, 2019)」www.fpri.org/article/2019/01/healthy-skepticism-about-the-future-of-disruptive-technology-and-modern-war/

[17] 2017年のオーストラリア陸軍専門軍事教育(PME)戦略の開発にも同様の論理が適用された。特に、Tom McDermott豪陸軍中佐の貢献に感謝する。

[18] 軍事機関内の「ソフトウェア」の必要性については、ダイマ・アダムスキー著「軍事改革の文化:The Culture of Military Innovation (Stanford, CA: Stanford University Press, 2010)」を参照

[19] 「2018年の米国の国防戦略の概要:米国の軍事的競争力の強化(Summary of the 2018 National Defense Strategy of the United States of America: Sharpening the American Military’s Competitive Edge)」

[20] ウィリアムソン・マレーとアレン・ミレー編著「戦間期の軍事的革新:Military Innovation in the Interwar Period」

[21] 例えば、指揮参謀大学で1年、戦争大学で1年.

[22] このグローバルエコシステムの例として、Grounded Curiosity Webサイトには、米国、オーストラリア、英国などの主要な同盟パートナー間で専門的軍事教育(PME)に利用できる相互接続されたオンラインリソースのデータベースがある。https://groundedcuriosity.com/guide-military-blogs-and-podcasts/を参照

[23] ユヴァル・ノア・ハラリ著「なぜ技術は暴君を好むか:Why Technology Favors Tyranny(The Atlantic, October 2018)」(邦訳なし)、http://www.theatlantic.com/magazine/archive/2018/10/yuval-noah-harari-technology-tyranny/568330/を参照

[24] 加速する技術開発のペースは、複数の書籍やレポートのテーマである。マックス・ブート著「戦争は新たなものを創り出す:技術、戦い、歴史 1500年から今日(War Made New: Technology, Warfare, and the Course of History, 1500 to Today)」、グローバル・ストラテジック・トレンド「未来は今日から始まる(The Future Starts Today)第6版」https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/771309/Global_Strategic_Trends_-_The_Future_Starts_Today.pdf参照可能

[25] ローリー・ポイントとエド・ポトン著「英国における人工知能と自動化(Artificial Intelligence and Automation in the UK)」https://researchbriefings.parliament.uk/ResearchBriefing/Summary/CBP-8152で参照化

[26] これには、アプリケーションの知識、あるレベルの保証と品質管理を提供する方法、およびそれをあらゆるレベルで新しいコンセプトや人間組織と最適に組み合わせる方法が含まれている必要がある。ミック・ライアン著「将来の戦争に向けた知的準備:人工知能はどのように専門的な軍事教育を変えるか(Intellectual Preparation for Future War: How Artificial Intelligence Will Change Professional Military Education)」War on the Rocks, July 3, 2018、https://warontherocks.com/2018/07/intellectual-preparation-for-future-war-how-artificial-intelligence-will-change-professional-military-education/参照可能

[27] これを達成するためのアプローチは、ミック・ライアン著「未来の地上部隊のためのヒューマンマシンチーミング(Human-Machine Teaming for Future Ground Forces)」で検討されている。https://csbaonline.org/uploads/documents/Human_Machine_Teaming_FinalFormat.pdf参照可能

[28] 高度分散学習イニシアティブのウェブサイト(https://adlnet.gov/)を参照のこと

[29] 【訳者註】操船指揮士官の仮想環境-知的な指導システム。船上業務のための海軍士官の訓練は、仮想技術の使用により大幅に進歩した。https://www.onr.navy.mil/en/About-ONR/History/tales-of-discovery/conning-officer-virtual-environment-intelligent-tutoring-system

[30] ラルフ・ダウティ、リンウェルズII、セオドア・C・ヘイレス編著「革新的学習:国家安全保障の鍵(Fort Leavenworth, KS: Army University Press, 2015)」におけるキャシーダウンズ著「急速に進化し、デジタル化された学習環境:制度的リーダー、教育者、学生への影響」

[31] このことは、ライアン著「将来の戦争への知的準備」、マイケル・ホロヴィッツとケーシー・マホニー、「人工知能と軍隊:技術は戦いの半分に過ぎない」(いずれもWar on the Rocks, December 25, 2018)で検討されている。https://warontherocks.com/2018/12/artificial-intelligence-and-the-military-technology-is-only-half-the-battle/で参照可能

[32] 人間の増強を含むバイオテクノロジーに関連するさまざまな問題は、ロバートE.アームストロング他編著「生物学が触発する革新と国家安全保障(Bio-Inspired Innovation and National Security; Washington, DC: NDU Press, 2010)」検討されている。https://ndupress.ndu.edu/Portals/68/Documents/Books/CTBSP-Exports/Bio-Inspired-Innovation.pdf?ver=2017-06-16-111126-690で参照可能

[33] 豪国防大学は、特に統合および連合および省庁間の共同計画策定を必要とする大規模な国全体の問題で、単純なデスクトップゲームが非常に効果的であることを発見した。.

[34] 軍事教育におけるウォーゲーミングの問題は、複数の記事や出版物で検討されている。これらには、エリザベスバーテルス著「あなたのウォーゲームを最大限に活用する:意思決定者への実践的アドバイス(“Getting the Most Out of Your Wargame: Practical Advice for Decision Makers,” War on the Rocks, January 26, 2016)」、エリザベス・バーテルス著「ウォーゲーミング才能のパイプラインの構築:2トラックソリューション(“Building a Pipeline of Wargaming Talent: A Two Track Solution,” War on the Rocks, November 14, 2018)」、ベンジャミンジェンセン著「ようこそ戦闘クラブへ:将来のウォーゲーミング(“Welcome to Fight Club: Wargaming the Future,” War on the Rocks, January 4, 2019)」がある。それぞれ以下で参照可能、https://warontherocks.com/2016/01/getting-the-most-out-of-your-wargame-practical-Advice-for-decision-makers/、https://warontherocks.com/2018/11/building-a-pipeline-of-wargaming-talent-a-two-track-solution/、https://apps.dtic.mil/dtic/tr/fulltext/u2/1001766.pdf

[35] トーマス・X・ハメス著「“将来の紛争”」17ページ.

[36] エリオットA.コーエン著「ビッグスティック:ソフトパワーの限界と軍事力の必要性(The Big Stick: The Limits of Soft Power and the Necessity of Military Force (New York: Basic Books, 2017))」226ページ、ミック・ライアン著「軍事の専門職をマスターする、パートIII:現在および将来の能力(“Mastering the Profession of Arms, Part III: Competencies Today and into the Future,” War on the Rocks, March 23, 2017)」https://warontherocks.com/2017/03/mastering-the-profession-of-arms-part-iii-competencies-today-and-into-the-future/で参照可能