2025年米陸軍変革イニシアティブ(ATI)部隊構造と組織の提案 (米国連邦議会調査局)

第2次トランプ政権での米軍の変革、特に米陸軍の変革については、MILTERMでは、「2025年4月30日付国防長官の覚書「米陸軍の変革と取得改革」」、「米陸軍変革イニシアティブ(Letter to the Force)」で紹介してきたところである。最近では、元空将の柿原氏が、地経学研究所(IOG)に「トランプ2.0政権の戦力態勢見直し -「力による平和」を実現できるか-」を寄稿され、同盟国が抱える課題について触れている。ここで紹介するのは、米国連邦議会調査局(Congressional Research Service)の「米陸軍変革イニシアティブ(ATI)」に関する米連邦議会議員向けに求められた報告書である。2003年以降の戦力構造見直しを踏まえたうえで今回行おうとしている変革について説明し、課題をまとめている。未だに現トランプ政権としての国家防衛戦略は明らかになっていないがゆえに、変革の取組みのみが独り歩きする印象をぬぐえない。同盟国にとってはその変革の概要を知ることは意味のあることと考えるところである。この報告書に出てくるM-1E3戦車、エイムポイント戦力構造取組み、マルチドメイン・タスク部隊、安全保障支援旅団などについては以下のMILTERMの投稿をご覧いただきたい。「米陸軍の新M-1E3エイブラムス戦車近代化計画 (Congressional Research Service)」、「米陸軍の「照準点戦力構造取組み」:The Army’s AimPoint Force Structure Initiative」、「米議会の調査レポートの抜粋(MDTF、ReARMM、SFAB)」(軍治)

2025年米陸軍変革イニシアティブ(ATI)部隊構造と組織の提案

-背景と連邦議会にとっての課題-

2025 Army Transformation Initiative (ATI) Force Structure and Organizational Proposals:Background and Issues for Congress

Publication Date: 07/22/2025

Author:  Feickert, Andrew

米国連邦議会調査局(Congressional Research Service:CRS)

https://crsreports.congress.gov

R48606

要約

2025年4月30日、ピート・ヘグセス(Pete Hegseth)米国防長官は覚書「米陸軍の変革と取得改革(Army Transformation and Acquisition Reform)」を発表し、米陸軍長官に以下を指示した。

包括的な変革戦略を実施し、戦力構造(force structure)を合理化し、無駄な支出を排除し、取得プロセスを改革し、非効率な防衛契約を近代化し、偏狭な利害関係を克服して米陸軍を再建し、戦士の倫理観を回復し、抑止力を再確立する。

この指示は、米陸軍に対し、とりわけ米陸軍部隊の再編、冗長とされる司令部の縮小、統合、閉鎖、旧式とされるシステムの調達終了、非効率または冗長とされる事業(programs)の中止または縮小を米陸軍に求めている。本報告書は、米国防長官の指示に対応して米陸軍がとった措置のうち、戦力構造(force structure)、司令部および関連組織、一部の兵器システムに関するものを取り上げている。

米国防長官の指示は、連邦議会がその監督、承認、充当の役割の一部として考慮しうる国家安全保障上の意味を持つ。例えば、部隊規模と編成に関して、連邦議会は米陸軍の現役部隊と予備部隊の最終兵力(the end strength)を設定する。米国連邦議会はまた、米陸軍の再編、給与と福利厚生、訓練、装備、基地、およびインフラストラクチャー整備のための資金を承認し、充当する。

2025年5月1日、米国防長官の指示を受けて、米陸軍長官ダン・ドリスコル(Dan Driscoll)と米陸軍参謀総長ランディ・ジョージ(Randy George)米陸軍大将は、「米陸軍変革イニシアティブ(the Army Transformation Initiative)」またはATIと呼ばれる「包括的な変革戦略(a comprehensive transformation strategy)」を実施するための「部隊への書簡:米陸軍変革イニシアティブ(Letter to the Force: Army Transformation Initiative)」を発表した。

米陸軍変革イニシアティブ(ATI)は、連邦議会にとって懸念材料となる様々な国家安全保障上の影響を及ぼす可能性がある。その例としては、戦闘軍(Combatant Command)の要請を支援するための米陸軍部隊の可用性、陸軍地上作戦の有効性、そして米陸軍変革イニシアティブ(ATI)が提案する既存の司令部部隊への変更の有効性などが挙げられる。

さらに、米陸軍の戦力構造(force structure)を変革させる指示は、議員の選挙区や州にある米陸軍基地に影響を与える可能性があり、影響を受ける基地周辺やその近くの地域社会に経済的な影響を与えるかもしれない。また、計画されている米陸軍変革イニシアティブ(ATI)提案は、米陸軍変革イニシアティブ(ATI)提案の兵器システムの中止や調達数量の変更に関わる産業を含め、地元や州の防衛関連産業にも影響を与える可能性がある。

米陸軍変革イニシアティブ(ATI)が指示する措置の範囲と複雑さのため、このレポートでは、米陸軍の戦力構造(force structure)、司令部とコマンド、および特定の兵器システムに対する米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の潜在的な影響にのみ焦点を当てている。

米陸軍変革イニシアティブ(ATI)に関する連邦議会の潜在的な問題としては、以下のようなものが考えられる。

  • 米陸軍が戦闘軍(Combatant Command)の要求を満たす能力、
  • 米陸軍変革イニシアティブ(ATI)と米陸軍の能力の変化
  • 米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の米陸軍実装計画、
  • 米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の効果測定指標(MOE)
  • ゴールデン・ドーム(Golden Dome)国土ミサイル防衛要件が米陸軍変革イニシアティブ(ATI)に与える影響。

背景

2025年4月30日、ピート・ヘグセス(Pete Hegseth)米国防長官は覚書「米陸軍の変革と取得改革(Army Transformation and Acquisition Reform)」を発表し、米陸軍長官に以下を指示した。

包括的な変革戦略を実施し、戦力構造(force structure)を合理化し、無駄な支出を排除し、取得プロセスを改革し、非効率な防衛契約を近代化し、偏狭な利害関係を克服して米陸軍を再建し、戦士の倫理観を回復し、抑止力を再確立する[1]

この覚書は、以下に関する措置を指示した。

  • 将来の戦いのために、今、米陸軍を変革する、
  • 無駄な事業(programs)や時代遅れの装備と言われるものを排除する、
  • 戦力構造(force structure)と労働力の最適化
  • 取得と予算運用の改革と最適化。

この覚書は、選択された「戦争に勝つ能力」の完了日を2026年から2028年までと定めているが、指示された措置の多くには具体的な完成時期は割り当てられていない。

米陸軍戦力構造措置の簡単な歴史

連邦議会が1775年に米陸軍を創設して以来、米陸軍は何度も部隊の再編成や変革を行ってきた。こうした変更は、安全保障上の要件の変化、国家の戦争や紛争に対処するため、戦車や核兵器などの新兵器の導入、予算上の考慮など、さまざまな理由から生じてきた。第二次世界大戦と朝鮮戦争の後、米陸軍は増大するソ連とワルシャワ条約機構の脅威に対応するために変革と再編成を行った。1991年の冷戦終結後、米陸軍は再び変革を行った。より現代的な文脈では、米陸軍は2000年以降、以下のセクションで簡単に説明するように、5つの主要な機会に戦力構造(force structure)を変革してきた。

2003年:モジュラー陸軍[2]

2003年、米陸軍の現役部隊と予備役部隊がイラクとアフガニスタンでの長期戦闘作戦に参加する中、米陸軍は「21世紀の安全保障環境における課題に適切に対応し、特に、世界規模のテロとの戦い(GWOT)に統合で闘い勝利する」ために、部隊全体のモジュール再編成を開始した[3]。米陸軍協会は、モジュール型部隊構想を「運用中の陸軍(すべての構成要素)を、より大規模で、より強力で、より柔軟で、より迅速に展開可能な部隊(rapidly deployable force)へと全面的に再デザインするとともに、米陸軍を師団中心の構造から旅団戦闘チーム(BCT)を中心とした構造へと移行させる大規模な変革の取組み」と説明している[4]

2012年:陸軍の縮小と再編[5]

2012年1月、米国防総省(DOD)は、将来の安全保障上の潜在的課題と予算上の制約の見直しに基づく米国防戦略指針を発表した[6]。この指針は、米陸軍の世界的な態勢とプレゼンスをリバランスすることを意図したもので、アジア太平洋地域や中東など、潜在的な問題が発生する可能性が高い地域に重点を置いていた。この戦略の一環として、現役構成部隊(AC)の陸軍最終兵力(Army end strength)は2017年末までに57万人から49万人に削減されることになっていた。2013年6月、米陸軍は、米陸軍の35個の現役構成部隊(AC)旅団戦闘チーム(BCT)から12個の旅団戦闘チーム(BCT)を削減し、いくつかの支援部隊や司令部部隊も削減すると発表した。さらに、米陸軍州兵(ARNG)の旅団戦闘チーム(BCT)も同様の方法で再編される予定だった。12個の現役旅団戦闘チーム(BCT)の縮小の一環として、2個の装甲旅団戦闘チーム(BCT)がヨーロッパから撤退した。

2017年:陸軍の戦力構造に関する決定[7]

2017会計年度米国防授権法(P.L.114-328)は、現役構成部隊(Active Component)および予備役構成部隊(Reserve Component)の兵士を101万8,000人に維持することを認めた。これは、米陸軍全体を98万人に削減するという以前の計画よりも増加した数である。最終兵力(end strength)の増強は、「ほぼ対等な能力を持つハイエンドな敵対者に対する能力格差に対処してこれを縮小し、近代化のギャップを縮小し、既存部隊の即応性を向上させる」ことを意図したものである[8]。この米総陸軍の総兵力(total Army end strength)増強に伴い、米陸軍は、以前は廃止予定だった多数の部隊の維持を含む、一連の戦力構造の変更(force structure changes)を開始した。

2018年:米陸軍のエイムポイント戦力構造構想[9]

2018年、米陸軍はマルチドメイン作戦(MDO)のコンセプトを発表し、従来の世界中の暴力的過激派への対抗から、主にロシアと中国を中心とする修正主義的勢力への対抗へと焦点を転換した[10]。米陸軍はエイムポイント戦力構造構想(AimPoint Force Structure Initiative)と呼ばれるものを通じてマルチドメイン作戦(MDO)能力を構築することを意図していた。エイムポイント戦力構造構想(AimPoint Force Structure Initiative)は、旅団レベル以下ではほとんど変化がないものの、師団、軍団、戦域司令部といった上位層では大きな変化が予想される、柔軟な部隊構成となる予定だった。エイムポイント戦力構造構想(AimPoint Force Structure Initiative)の一環として、米陸軍は第5軍団(V軍団)と命名された新たな軍団司令部の発足を発表した。第5軍団はケンタッキー州フォート・ノックスにあり、ポーランドにローテーションで前方駐留する[11]。これは、部隊の一部兵士がローテーションでポーランドに派遣されることを意味する。

2024年陸軍戦力構造変革イニシアティブ[12]

2024年2月、米陸軍は「将来の脅威により適切に対応できるよう、軍の近代化と変革を継続する戦力構造の変更」を発表した[13]。この発表と併せて、米陸軍は「陸軍戦力構造の変革」という米陸軍白書を発表した。この変革の一環として、米陸軍は新たな部隊の開発する予定である。

  • マルチドメイン・タスク部隊(MDTF)
  • 間接火力防護能力(IFPC)大隊、
  • 対小無人航空システム(C-sUAS)大隊
  • 機動短距離防空(M-SHORAD)大隊。

米陸軍はまた、戦闘航空旅団(CAB)の戦力構造の変更(force structure changes)も計画した。

2025年国防総省が指示する陸軍の戦力構造、組織、兵器システムの措置[14]

米国防長官が2025年4月30日に米陸軍長官に出した「陸軍の変革と取得改革」指示は、米陸軍に対し、とりわけ次のことを求めている。

  • 2027年までに、移動する陸上・海上目標を攻撃できる長距離ミサイルを実戦配備する。
  • 2027年までには、電磁波支配(electromagnetic dominance)と沿空域支配(air-littoral dominance)を達成する。
  • 2026年末までに全師団に無人システム(UMS)と地上/空中発射型効果装置を配備する。
  • 対無人航空システム(C-UAS)の移動性と経済性を改善し、2026年までに機動小隊(maneuver platoons)に、2027年までに機動中隊(maneuver companies)に機能を統合する。
  • 2027年までに、戦域、軍団、師団本部で人工知能(AI)を活用した指揮・統制を可能にする。
  • 有人航空機、過剰な地上車両(高機動多輪車両(HMMWV)、旧式無人航空機(UAV)など)を含む、旧式システムとされるものの調達を終了し、非効率的または冗長とされる事業(programs)を中止または縮小する。
  • 時代遅れの兵器システムや不必要な気候関連の取組みなど、旧来の後方支援(sustainment)にかかる支出を削減する。
  • 司令部を統合して、キネティック火力とノン・キネティック火力、宇宙配備型能力、無人システムを同期させることができる戦闘力を生成する。
  • 有人攻撃ヘリコプター編成を削減・再編し、敵対者を圧倒できる安価なドローン・スウォームで増強する。
  • すべての構成要素にわたって厳選された装甲部隊と航空部隊を含む、時代遅れとされる編成を廃止する。
  • 米陸軍将来コマンド(AFC)と訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)を1つのコマンドに統合する。
  • 米陸軍戦力コマンド、米陸軍北方軍(ARNORTH)、米陸軍南方軍(ARSOUTH)を統合し、国土防衛と西半球の同盟国との連携に焦点を当てた単一の司令部とする。
  • 統合弾薬コマンドと米陸軍後方支援コマンドの統合を含む米陸軍装備コマンド(AMC)内の司令部および部隊を統合・再編し、運用効率を最適化し、支援能力を合理化する。

米陸軍の「部隊への書簡: 陸軍変革イニシアティブ(ATI)[15]

2025年5月1日、米国防長官の米陸軍改革・取得改革支持を受けて、米陸軍長官と米陸軍参謀総長は「包括的な改革戦略」(陸軍改革イニシアティブ、略称ATI)を実施するための「部隊への書簡:陸軍改革イニシアティブ」を発表した。陸軍変革イニシアティブ(ATI)に関する「部隊への書簡」は、米陸軍の戦力構造(force structure)、組織、兵器システムに関する最初のステップを概説しており、その中には以下が含まれる。

  • 長距離ミサイルと近代化無人航空システム(UAS)[16]を編成に導入する。
  • M-1E3戦車[17]を装備化する。
  • 将来型長距離攻撃機(FLRAA)[18]を開発する。
  • 対小型無人航空システム(C-sUAS)[19]の能力ギャップを埋める。
  • 指揮・統制ノードをAIで統合して意思決定を加速し、主導性を維持する。
  • 米陸軍省本部(HQDA)の職員1,000人を削減する。
  • 米陸軍将来コマンド(AFC)と米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)を単一のコマンドに統合し、戦力の創出、戦力デザイン、戦力開発を単一のコマンドの下で行う。
  • 米陸軍北方軍(ARNORTH)と米陸軍南方軍(ARSOUTH)を統合し、米陸軍戦力コマンド(FORSCOM)を西半球コマンドに改組する。
  • マルチドメイン・タスク部隊(MDTF)[20]を戦域司令部と連携させる。
  • 指揮構造を合理化するために将官のポストを削減する。
  • 現役構成部隊(AC)の戦闘航空旅団(CAB)ごとに1個航空騎兵飛行隊を削減することにより陸軍航空を再編成する。
  • 航空後方支援維持要件を統合強化し、作戦即応性を高める。
  • 全ての歩兵旅団戦闘チーム(IBCT)を移動型旅団戦闘チーム(MBCT)に転換し、よりスリムな編成で移動性と致死性を向上させる。
  • AH-64Dなどの時代遅れの有人攻撃機、HMMWVや統合軽戦術車両(JLTV)[21]などの過剰な地上車両、グレイ・イーグル(Gray Eagle)などの時代遅れの無人航空機(UAV)の調達を中止する。
  • 時代遅れ、必要な時期が遅い、価格が高い、あるいは維持が困難とされる能力を提供する事業(programs)を中止する。

過去の会計年度に開始された陸軍戦力構造の継続的な変更

米陸軍の戦力構造(force structure)における過去の会計年度に開始された一部の変更は米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の下でも継続される予定である。陸軍改革イニシアティブの書簡では米陸軍の部隊と組織の変更に関する予備的な詳細がいくつか提供されているが、米陸軍当局は2025年5月6日に部隊数の増加を計画していると証言し、そのような取組みは米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の結果ではなく、過去の会計年度からの継続的な取組みであると指摘した[22]。昨年度の変革計画から米陸軍の戦力構造(force structure)に追加される部隊には、以下が含まれる。

  • 2025会計年度第4四半期(7月1日~9月30日)までに、機動短距離防空砲兵(M-SHORAD)大隊1個と師団防空大隊3個を編成する[23]
  • 9個の統合火力防護能力(IFPC)大隊、グアムのパトリオット/IFPC混成大隊、および2個の追加のパトリオット大隊[24]
  • すでに生産中の3個の追加の中距離能力(MRC)砲列[25]

米陸軍は2024年の決定に基づき、第1情報作戦コマンドを閉鎖すると発表した[26]。同コマンドは2025年5月8日に廃止された[27]。さらに、次のことが指摘された。

米陸軍は第1情報作戦コマンドに代えて、地域に特化した戦域情報優位性分遣隊を編成する。これらの部隊は情報戦とサイバー戦に重点を置き、同様に新設されたマルチドメイン・タスク部隊(MDTF)と緊密に連携する。マルチドメイン・タスク部隊(MDTF)は現在、ドローンなどの最新技術を既存および新たな戦場戦術に活用・統合する試験を行っている[28]

前会計年度からの継続的な戦力構造の変更(force structure changes)のもう一つの例として、2024年に発表された米陸軍の戦闘航空旅団(CAB)の戦力構造の変更(force structure changes)が挙げられる[29]。米陸軍変革イニシアティブ(ATI)計画では、現役部隊の戦闘航空旅団(CAB)ごとに1個航空騎兵飛行隊を削減し、航空後方支援要件を統合することを求めている。

米国防総省の戦力構造提案に対する連邦議会の反応

米国防総省の戦力構造の変更(force structure changes)の可能性と、戦力構造(force structure)に関する議論において連邦議会が果たす役割について、一部の議員が言及した。2025年3月、米国防総省が戦闘軍構造(Combatant Command structure)の変更を検討しているとの報道[30]を受け、上院軍事委員会委員長のロジャー・ウィッカー(Roger Wicker)上院議員と下院軍事委員会委員長のマイク・ロジャース(Mike Rogers)下院議員は、次のような共同声明を発表した。

米国の各戦闘軍(combatant commands)は、米国の用兵槍(warfighting spear)の穂先である。そのため、米国防総省がホワイトハウスや連邦議会との調整もなく、海外駐留米軍の大幅削減を含む主要な戦略的問題について、一方的な変更を検討しているとする報道を非常に懸念している。われわれは、同盟国やパートナーが同盟構造を強化するために貢献を増やすことを確実にするためのトランプ大統領の取組みを支持し、海外での米国のリーダーシップの継続を支持する。そのため、厳格な省庁間プロセス、各戦闘軍指揮官(combatant commanders)や統合参謀本部との調整、連邦議会との協力なしに行われる、わが国の用兵構造(warfighting structure)の大幅な変更は受け入れられない。そのような動きは、世界中で米国の抑止力を弱体化させ、米国の敵対者との交渉の立場を損なうリスクがある[31]

この声明と、2026会計年度米国防法案に付随する報告書の文言案を踏まえると[32]、上院と下院の軍事委員会は、米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の取組みを監督する上で中心的な役割を果たすつもりなのかもしれない。

他の議員は、米陸軍変革イニシアティブ(ATI)が選挙区内の米陸軍施設に与える影響について懸念を表明している。バージニア州議会代表団は2025年6月3日付の米陸軍長官と米陸軍参謀総長に宛てた書簡で、米陸軍将来コマンド(AFC)(テキサス州オースティンに所在)と米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)(バージニア州フォート・ユースティスに所在)を統合する米陸軍の計画に懸念を表明した[33]。バージニア州議会代表団は2025年6月10日までに以下の事項を要請した。

  • 米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)と米陸軍将来コマンド(AFC)の合併提案に至った完全な分析。これには、コスト削減、任務の整合と特定された冗長性、施設への影響、生活費評価、米陸軍将来コマンド(AFC)に4つ星を維持する正当性、米陸軍が関連性があるとみなすその他の情報が含まれる。
  • 米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)と米陸軍将来コマンド(AFC)の合併案の予定スケジュール。
  • 米陸軍が分析を完了する際に特定した関連リスクについての議論。これには、米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)および米陸軍将来コマンド(AFC)にとって任務に対する許容可能なリスクレベルを米陸軍がどのように決定したかを含まれる。
  • 提案されている米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)と米陸軍将来コマンド(AFC)の統合を実行するために使用される、米陸軍の現在の2025会計年度予算、2026会計年度の大統領予算要求に伴う予算枠の変更、および予想される予算増加の議論を含む、関連するすべての予算枠の特定。
  • 米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)と米陸軍将来コマンド(AFC)の合併を支持するすべての追加関連資料を、軍事委員会と米国防歳出委員会に提出するためのスケジュール[34]

この情報が、要請通り2025年6月10日までにバージニア州の代表団に提供されたかどうかは、米国連邦議会調査局(CRS)には不明である。米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)と米陸軍将来コマンド(AFC)の合併について、米陸軍参謀総長は「新統合司令部は『変革・訓練コマンド(Transformation and Training Command)』として知られ、現在米陸軍将来コマンド(AFC)の本拠地であるテキサス州オースティンに本部を置く」と述べたと伝えられている[35]。ウィットマン(Wittman)下院議員は、米陸軍は米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)と米陸軍将来コマンド(AFC)の合併について「内部検討プロセス」を実施しており、2025年6月末までに結果が出る予定だと述べたという[36]。この内部検討が2025年6月末までに完了し、その結果が連邦議会に提出されたかどうかは米国連邦議会調査局(CRS)には不明である。

2026会計年度陸軍予算要求に対する連邦議会の懸念

陸軍変革イニシアティブ(ATI)に関連する米陸軍の2026会計年度予算要求の詳細について、多くの議員が懸念を表明している。2025年6月4日、米陸軍の2026会計年度予算要求に関する下院軍事委員会(HASC)の公聴会で、マイク・ロジャース(Mike Rogers)委員長の冒頭発言は次のようなものだった。

本日は、政権の米国防総省の2026会計年度予算要求についてのレビューを、米陸軍と共に始める。残念ながら、米陸軍の予算要求に関する具体的な情報はまだ届いていない。また、1カ月以上前に米陸軍長官と米陸軍参謀総長が発表した陸軍の変革イニシアティブ(ATI)についても、詳細な情報は得られていない。

より近代的で機敏かつ装備の充実した米陸軍を開発するという目標を我々は共有している、と私は言うとき、この委員会のほとんどのメンバーの意見を代弁していると信じている。

そして、米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の幅広い構造は期待できる。

    • 最新の戦闘員能力を迅速に提供する。
    • 戦力構造(force structure)の最適化。
    • そして無駄や時代遅れの事業(programs)を排除する。

しかし、我々はあなたの宿題を見る必要がある。これほど重要なオーバーホールは、徹底的な要件の評価に基づいて行われるべきだ。そして、提案されている具体的な変更の詳細な「青写真(blueprint)」と、米陸軍がそれをどのように実施する計画なのかを含むべきである。我々はそれらの評価と「青写真(blueprint)」を見る必要がある。また、米陸軍変革イニシアティブ(ATI)を実施するためのスケジュールも提示していただきたい。

これらの詳細は、連邦議会が変革の取組みを理解し、評価し、最終的に資金を提供するのに役立つ[37]

ロジャーズ(Rogers)は、米陸軍に陸軍変革イニシアティブ(ATI)の「青写真(blueprint)」がないことを指摘し、他の委員も、例えば、米陸軍の米陸軍変革イニシアティブ(ATI)支援分析の欠如について、同様の懸念を表明した[38]。また、米陸軍後方支援コマンドと統合弾薬コマンドの統合や、災害救援活動、特にハリケーンの際に使用されてきたUH-60ブラックホーク・ヘリコプターを運用する米陸軍予備役第11戦域航空コマンド第158航空連隊第1強襲ヘリコプター大隊の活動停止について、作戦や能力に関連する懸念を表明した委員もいた[39]。公聴会の中で、エリック・ソレンソン(Eric Sorenson)下院議員は米陸軍指導部に対して次のように述べた。

我々は皆、米陸軍が致死性で、今日と明日の課題に対応できるようにしたいと考えている。しかし、あなた方は詳細がほとんどなく、予算も示されず、我々の多くの疑問に答えることもできない計画を提示した。そして今、我々はこの計画がどのように実行されるのかを、指導部ではなく、私の選挙区の有権者から聞かされている[40]

2025年6月5日、米陸軍の2026会計年度予算要求に関する上院軍事委員会(SASC)の公聴会で、ロジャー・ウィッカー(Roger Wicker)委員長はドリスコル(Driscoll)米陸軍長官に「有機産業基盤から他の構想に資金を吸い上げようとする彼の計画に対して」に反対するよう警告し、次のように述べた。

長官、あなたの[陸軍改革イニシアティブ]メモには、パインブラフ兵器廠(アーカンソー州)、ブルーグラス米陸軍補給廠(ケンタッキー州)、レッドリバー米陸軍補給廠(テキサス州)の閉鎖の可能性について記載されていました。再産業化に重点を置くことを踏まえ、この点については慎重に検討する必要があると警告しておきます[41]

2026会計年度国防権限法(NDAA): 連邦議会の反応

業界誌「インサイド・ディフェンス(Inside Defense)」が入手した、下院軍事委員会の報告書草案の写しには、提案されているH.R.3838「効率的な執行と納入のための調達の合理化および2026会計年度米国防権限法案:委員長署名」に付随するものとされており、「陸軍変革イニシアティブ」について次のような文言が含まれていた。

委員会は、戦場でもはや意味をなさないシステムを売却し、新システムをより迅速に実戦配備するという米陸軍の意図を支持するが、委員会は、米陸軍がその計画を連邦議会に提示した方法、裏付けとなる分析の欠如、2030年、2035年、そしてそれ以降の米陸軍のあるべき姿に関する戦略とビジョンの明らかな欠如を懸念している。米陸軍は、陸軍変革イニシアティブに関連する能力および事業(programs)の売却案と投資案について、完全な予算詳細、トレードオフ、リスク評価をまだ提供していない。さらに、委員会は、無駄の排除と最適化を追求する米陸軍の将来の戦力構造(force structure)と最終戦力ターゲット、また、現役および予備役ごとに計画されている部隊の解散または新任務の割り当ての詳細について知らされる必要がある。

したがって、委員会は米陸軍長官に対し、2025年10月1日までに下院軍事委員会に、2026会計年度の将来年度米国防計画全体にわたる予算の影響と資金要件、能力ベースの要件、計画された売却の結果としての能力ギャップの特定、および陸軍変革イニシアティブの取組みの実装計画(implementation plan)について説明するよう指示する。

さらに、委員会は米陸軍長官に対し、陸軍変革イニシアティブやより広範な変革の取組みの一環として行われる追加的な変更案について、実施の30日前までに連邦議会の米国防委員会に報告するよう指示する[42]

2026会計年度国防歳出法:連邦議会の反応

2026年米国防総省歳出法(H.R.4016)の下院歳入委員会報告版に添付された委員会報告H.Rept. 119-162、下院歳出委員会報告版の2026年米国防総省歳出法(H.R.4016)に付随し、「陸軍変革イニシアティブ」に関する以下の文言が含まれていた。

変革と取得改革の追求のため、2025年4月30日、米国防長官は米陸軍長官に対し、重要な能力の提供を加速させ、部隊構造を最適化し、将来の戦いの要件を満たすには時代遅れまたは不十分とみなされる事業(programs)を廃止するための包括的な変革戦略を実施するよう指示した。

当委員会は、米陸軍がよりスリムで致死性が高く、適応力のある軍隊を目指す米陸軍の意図を支持する一方で、米陸軍が連邦議会の米国防委員会に対し、陸軍変革イニシアティブ(ATI)で定められた目標を達成するための計画と根拠を提示する方法を選んだことに、当委員会は違和感を抱いている。今日に至るまで、米陸軍は、米陸軍変革イニシアティブ(ATI)に関連する能力および事業(programs)の売却案と投資案について、完全な予算詳細、トレードオフ、リスク評価をまだ提供していない。加えて、無駄の排除と最適化を追求する上で、委員会は米陸軍の将来の戦力構造(force structure)と最最終戦力ターゲットを知らされなければならない。従って、勧告を作成するにあたり、委員会は、さらなる詳細が提供されるまでは、陸軍変革イニシアティブの提案を十分に考慮することができない。

したがって、当委員会は、米陸軍長官と米陸軍参謀総長に対し、2025年7月31日までに、下院および上院の両院の米国防歳出委員会に対し、2026会計年度の予算への影響と将来数年間の米国防計画全体に必要な資金、能力ベースの要件、計画されている売却の結果としての能力ギャップの特定、陸軍変革イニシアティブの取組みの実装計画(implementation plan)について説明するブリーフィングを行うよう指示する。さらに、委員会は米陸軍長官に対し、陸軍変革イニシアティブやより広範な変革の取組みの一環として行われる追加的な変更案について、遅くとも実施の30日前までに連邦議会の米国防委員会に報告するよう指示する[43]

米陸軍が2026年度予算要求を発表

2025年6月26日、米陸軍は2026会計年度予算要求の一部を公表し始めた。米陸軍の2026会計年度予算概要によると、米陸軍は以下の主要な戦力構造(force structure)と組織上の措置を開始する計画である。

  • システムおよび装備の売却(2026会計年度に実施予定)。
    • 古い装備や要件とされるものを排除する。
      • パラディン統合マネジメント(PIM)、
      • 旧式対戦車ミサイル、
      • グレイ・イーグル
      • 高機動多輪車(HMMWV)。
  • すでに開発中または米陸軍部隊に実戦配備されている、効果のない事業(programs)とされるものに対する資金を削減する(2026会計年度に予定されている措置):
    • M10ブッカー
    • 統合軽戦術車両(JLTV)
    • 改良型タービン・エンジン(ITEP)
    • 将来型戦術的空中無人システム(FTUAS)
  • 部隊と司令部の再編(2026会計年度に実施予定)
    • 米陸軍将来コマンド(AFC)と米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)を統合し、米陸軍北方軍(ARNORTH)、米陸軍南方軍(ARSOUTH)、米陸軍戦力コマンド(FORSCOM)を西半球コマンドに統合する。
  • 米陸軍の再建(2026会計年度に予定されている措置)
    • 5個の歩兵旅団戦闘チーム(IBCT)を移動型旅団戦闘チーム(MBCT)に転換する。
    • 7個の歩兵分隊車両(ISV)を移動型旅団戦闘チーム(MBCT)に提供する。
    • 5個の歩兵旅団戦闘チーム(IBCT)相当の徘徊型弾薬(Loitering Munitions)を取得する。
    • 10個歩兵旅団戦闘チーム(IBCT)用に市販の無人航空機システム(COTS UAS)を取得する。
    • 2個の高機動砲兵ロケット・システム(HIMARS)大隊と3個のHIMARS砲列を増設する。
    • 航空騎兵飛行隊を不活性化し、航空医療搬送(MEDEVAC)部隊の規模を縮小する[44]

2026会計年度米陸軍予算書にはさらに次のように記されている。

予算は、11個の装甲旅団戦闘チーム(BCT)、14個の歩兵/移動型旅団戦闘チーム、6個のストライカー旅団戦闘チーム(合計31個の現役部隊旅団戦闘チーム(BCT))、2個の安全保障部隊支援旅団、および11個の戦闘航空旅団を支援する。2026会計年度、米陸軍はインド太平洋戦域において、迫りくる脅威(the pacing threat)との競争を支援するため、マルチドメイン能力と態勢の開発と演習を継続する。グローバル・フォース・マネジメントは、競争であれ有事であれ、作戦上の需要に応えるため、積極的かつ拡張可能な統合部隊の運用を可能にするものである。2026会計年度には、陸軍変革イニシアティブ(ATI)による戦力構造の変更(force structure changes)が含まれる。特に、14個の歩兵旅団戦闘チーム(IBCT)は、よりスリムな編成で速度、移動性、致死性を向上させるため、移動型旅団戦闘チーム(MBCT)に転換する。航空部門の再編は、航空騎兵飛行隊を不活性化し、医療避難部隊の規模を縮小する[45]

米陸軍の2026会計年度予算要求では、2個の安全保障部隊支援旅団(SFAB)を支援するとされている。現在、米陸軍には5個の現役部隊安全保障部隊支援旅団(SFAB)と1個の米陸軍州兵安全保障部隊支援旅団(SFAB)がある[46]。ある報告書によると、米陸軍は現役部隊の第4安全保障部隊支援旅団(SFAB)と米陸軍州兵部隊の第5安全保障部隊支援旅団(SFAB)を休止させ、「安全保障部隊支援旅団(SFAB)の任務からベテラン兵士を解放し、歩兵や装甲兵のような伝統的な一線部隊に配置転換する」意向だという[47]。この報告書では、さらに2個の安全保障部隊支援旅団(SFAB)を休止させるという米陸軍の明らかな計画には言及していない。米陸軍の2026会計年度予算要求では、4個の安全保障部隊支援旅団(SFAB)のうち、どの安全保障部隊支援旅団(SFAB)を休止させるかは明記されていない。

米連邦議会による監督の可能性に関する考慮事項

米陸軍が各戦闘軍(combatant commands)の要求を満たす能力

米陸軍戦力コマンド(FORSCOM)により、米陸軍は「遠征的で、地域的に従事し、作戦可能な陸上部隊」を各戦闘軍指揮官(combatant commanders)に提供している[48]。陸軍変革イニシアティブ(ATI)は、「重要な用兵能力を提供し、戦力構造(force structure)を最適化し、無駄と時代遅れの事業(programs)を排除する[49]」という意図を強調しているが、米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の下で提案されている変更が、現在の戦力構造(force structure)や既存の兵器事業(weapons programs)に対する改善であるかどうか、またその程度は不明である。また、各戦闘軍指揮官(combatant commanders)が米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の開発に何らかの役割を果たしたか、あるいは米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の変更案についてそれぞれの懸念を表明する機会があったかどうかは不明である。米陸軍の6個の安全保障部隊支援旅団(SFAB)のうち4個の安全保障部隊支援旅団(SFAB)が廃止される可能性があるが、これは主に戦闘軍指揮官の安全保障部隊支援の取組みを支援するものであり、作戦に影響を及ぼす可能性がある。米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の開発に対する戦闘軍指揮官の関与(Combatant Commander involvement)や、提案されている変更に対する懸念についての詳細がなければ、政策立案者は、米陸軍変革イニシアティブ(ATI)が戦闘軍指揮官の要求(Combatant Commander requirements)を満たす米陸軍の能力にどのような影響を与えるかについて、米陸軍および戦闘軍指導部(Combatant Command leadership)と検討することを決定するかもしれない。

米陸軍変革イニシアティブ(ATI)と米陸軍能力の変更

提案されているように、米陸軍変革イニシアティブ(ATI)は、多くの米陸軍部隊の能力に、プラスにもマイナスにも影響する可能性がある。例えば、米陸軍変革イニシアティブ(ATI)は、移動性と致死性を向上させるため、すべての歩兵旅団戦闘チーム(IBCT)をより小型の移動型旅団戦闘チーム(MBCT)に転換することを提案している。この変更は、現役部隊の14個の歩兵旅団戦闘チーム(IBCT)と米陸軍州兵の20個の歩兵旅団戦闘チーム(IBCT)に影響を及ぼし、米陸軍歩兵部隊の編成と能力の面で作戦に影響を及ぼす可能性がある。ある観察者は、別の変更案として、現役構成部隊の1個戦闘航空旅団(CAB)につき1個航空騎兵飛行隊を削減することで、「各師団に48機あるAH-64E攻撃ヘリコプターの半分を削減する」ものであり、「戦闘力の大幅な低下(a massive reduction in combat power)」であると特徴づけていると報告している[50]

また、米陸軍航空医療搬送(MEDEVAC)部隊の規模縮小案が、死傷者救助作戦や患者の生存率にどのような影響を与えるかも不明である。米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の一環としては言及されていないが、先に論じたように、米陸軍は安全保障部隊支援旅団(SFAB)[51]を廃止して経験豊富な兵士を前線部隊に配属する計画だと伝えられている[52]。連邦議会は、米陸軍の提案する変更案とその結果生じる米陸軍の能力への影響が、望ましいものであり、国家の戦争に闘い勝利するという米陸軍の使命を支えるものであるかどうかを検討する可能性がある。米陸軍の能力に対する潜在的な変化をよりよく理解するために、連邦議会は、提案されている米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の変更が、米陸軍の部隊の種類別に、特定の米陸軍部隊の能力にどのような影響を与えるのか、また、これらの変更が、米陸軍の全体的な作戦能力にどのような影響を与えるのかを調査するかどうかを検討する可能性がある。

米陸軍における米陸軍変革イニシアティブ(ATI)実装計画

米陸軍の2026会計年度予算要求では、陸軍変革イニシアティブ(ATI)に関連するいくつかの追加的な背景とコストの数字が示されているが、連邦議会の一部からは、不完全で詳細な実装計画(implementation plan)が盛り込まれていないとの評価もある。このような計画は、司令部や部隊の転換、米陸軍変革イニシアティブ(ATI)で引用された特定の装備品や兵器システム事業(programs)の売却と終了のスケジュールを含めることで、連邦議会の監視を強化できる可能性がある。実装計画(implementation plan)には、部隊転換(unit conversions)や司令部合併(headquarters mergers)に関わる特定の部隊や場所も記載される可能性がある。

米陸軍の2026会計年度予算要求には、一部の兵器システム事業(programs)の中止や変更に伴う削減見込みのコスト・データが一部含まれているものの、米陸軍変革イニシアティブ(ATI)に関連するコストと削減額の詳細な統合一覧は示されていない。さらに、米陸軍長官は米陸軍変革イニシアティブ(ATI)によって5年間で480億ドルのコスト削減が可能であると述べたとされるが、これまでに発表された米陸軍の2026会計年度予算要求では、政策立案者が米陸軍変革イニシアティブ(ATI)を監督する際に役立つような形でコスト削減が統合されていない[53]。連邦議会は詳細な米陸軍変革イニシアティブ(ATI)実装計画を要求する立法文言を提案しているが、米陸軍が詳細なコストと節約の見積もりを含むそのような計画を保有しているかどうか、また米陸軍がそのような計画を連邦議会と共有する意向があるかどうか、またどの程度共有する意向があるかどうかはまだ不明である。

米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の効果測定指標(MoE)

米国防総省と米陸軍指導部は、米陸軍変革イニシアティブ(ATI)の意図を「重要な用兵能力の提供、戦力構造の最適化、そして無駄な事業(waste programs)や時代遅れの事業(obsolete programs)の排除」と述べている[54]。前述の通り、この取組みは、米陸軍の広範な構造的および能力的変化を伴う可能性があり、その達成には数年を要し、多額の予算が投入される可能性がある。米陸軍変革イニシアティブ(ATI)が進展した場合、連邦議会は、これらの取組みに投入される資源との関係で、これらの変更が望ましい効果を達成しているかどうかを判断するために、米陸軍が採用するつもりの効果測定指標(MoE)について、米陸軍に質問するかどうかを検討する可能性がある。

例えば、米陸軍は14個の歩兵旅団戦闘チーム(IBCT)を移動型旅団戦闘チーム(MBCT)に転換し、航空騎兵飛行隊を廃止する計画である。この取組みに関連して、米陸軍はこうした戦力構造の変更(force structure changes)が望ましい効果を上げているかどうかを評価する計画を立てているのか。この情報はどのように連邦議会に提供されるのか?同様に、米陸軍は米陸軍将来コマンド(AFC)と米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)を統合し、米陸軍北方軍(ARNORTH)、米陸軍南方軍(ARSOUTH)、米陸軍戦力コマンド(FORSCOM)を西半球コマンドに統合する計画である。

この取組みに関連する監督上の潜在的な疑問としては、米陸軍はこれらの変更を評価し、追加的な価値、コスト削減、指揮・統制、人員配置、計画プロセスの効率改善をもたらしたかどうかを判断するつもりなのか、といった点が挙げられる。この情報はどのように連邦議会に提供されるのか。有効性の尺度を確立し、これらの変更を評価するプロセスを開発し、これらの調査結果を報告しなければ、連邦議会は米陸軍変革イニシアティブ(ATI)が当初の意図を満たしているかどうかを判断する手段を欠く可能性がある。効果測定指標とその後の評価がなければ、米陸軍変革イニシアティブ(ATI)は変革のための変革とみなされるかもしれない。

ゴールデン・ドーム国土ミサイル防衛要件が米陸軍変革イニシアティブ(ATI)に与える影響

2025年1月27日、ドナルド・J・トランプ(Donald J. Trump)大統領は「米国のためのアイアン・ドーム」と題する大統領令(EO)14186を発令した。この大統領令は、本土ミサイル防衛任務の範囲を拡大し、米国防総省に「次世代ミサイル防衛シールド」の開発を指示している[55]。「ゴールデン・ドーム」と名付けられたこの取組みの範囲とアーキテクチャは、政権、米国防総省、軍によって現在も開発中である。

米陸軍宇宙・ミサイル防衛コマンドによると、米陸軍の第100ミサイル防衛旅団は、次のように語っている。

地上配備型中間段階防衛システムを運用し、米陸軍宇宙・ミサイル防衛コマンドのミサイル防衛事業体の一翼を担う。それは15年以上にわたって果たされてきた役割である。地上配備型ミサイル防衛(GMD)の任務は究極の国土防衛であり、米北方コマンド(U.S. Northern Command)を支援し、コロラド州、アラスカ州、カリフォルニア州の米陸軍州兵と現役部隊の兵士によって運用されている。第100ミサイル防衛旅団は、大陸間弾道ミサイル攻撃の脅威から米国を防衛するため、大統領指示の国家安全保障任務を遂行する任務を負っている[56]

国土ミサイル防衛における米陸軍の現在の役割を考慮すると、米陸軍の兵器システムおよび防空・ミサイル防衛部隊は、ゴールデン・ドーム・アーキテクチャーにおいて役割を果たす可能性がある。現在のところ、陸軍変革イニシアティブ(ATI)は米陸軍に対するゴールデン・ドームの可能な要件について言及しておらず、ゴールデン・ドームの取組みが成熟するにつれて、米陸軍の追加部隊や兵器システムに対する要件がより明確に定義される可能性がある。米陸軍変革イニシアティブ(ATI)とゴールデン・ドームの開発が継続する中で、連邦議会はゴールデン・ドームの要件が米陸軍変革イニシアティブ(ATI)に与える影響を米国防総省(DOD)および米陸軍と検討するかどうかを検討することができる。特に、連邦議会は、ゴールデン・ドームの任務を支援するための新たな米陸軍専用部隊の潜在的な必要性、新たな部隊を設立するための人員および装備の制約、ゴールデン・ドームを支援するための追加予算があるかどうかを検討する可能性がある。

ノート

[1] Department of Defense, Secretary of Defense Memorandum for Senior Pentagon Leadership, “Army Transformation and Acquisition Reform,” April 30, 2025, https://media.defense.gov/2025/May/01/2003702281/-1/-1/1/ARMY-TRANSFORMATION-AND-ACQUISITION-REFORM.PDF.

[2] For additional information on Army Modularity, see CRS Report RL32476, U.S. Army’s Modular Redesign: Issues for Congress, by Andrew Feickert.

[3] Department of the Army, Army Strategic Planning Guidance 2005, January 15, 2005, p. 9.

[4] Association of the U.S. Army, “Torchbearer National Security Report – A Modular Force for the 21st Century,” March 15, 2005, p. 3.

[5] Information in this section is taken from CRS Report R42493, Army Drawdown and Restructuring: Background and Issues for Congress, by Andrew Feickert.

[6] Department of Defense, Sustaining U.S. Global Leadership: Priorities for 21st Century Defense, January 2012.

[7] Information in this section is taken from CRS In Focus IF10678, Army FY2017 Force Structure Decisions, by Andrew Feickert.

[8] Department of the Army, U.S. Army Public Affairs, “Department of the Army Announces Force Structure Decisions for Fiscal Year 2017,” June 15, 2017.

[9] Information in this section is taken from CRS In Focus IF11542, The Army’s AimPoint and Army 2030 Force Structure Initiatives, by Andrew Feickert.

[10] For additional information on Multi-Domain Operations (MDO), see CRS In Focus IF11409, Defense Primer: Army Multi-Domain Operations (MDO), by Andrew Feickert.

[11] Rotational forward presence is an operational concept where instead of permanently stationing a unit overseas, U.S.-based units are sent overseas on a temporary basis (usually for six to nine months) to fulfill the requirement.

[12] Information in this section is taken from CRS Report R47985, The 2024 Army Force Structure Transformation Initiative, by Andrew Feickert.

[13] Department of the Army, U.S. Army Public Affairs, “Army Changes Force Structure for Future Warfighting Operations,” February 27, 2024, https://www.army.mil/article/274003/army_changes_force_structure_for_future_warfighting_operations.

[14] Information in this section is taken from Department of Defense, Secretary of Defense Memorandum for Senior Pentagon Leadership, “Army Transformation and Acquisition Reform.”

[15] Information in this section is taken from Secretary of the Army Dan Driscoll, Chief of Staff of the Army and General Randy A. George, “Letter to the Force: Army Transformation Initiative,” May 1, 2025, https://api.army.mil/e2/c/downloads/2025/05/01/c4c9539c/letter-to-the-force-army-transformation-initiative.pdf.

[16] For additional information on Army Unmanned Aerial Systems, see CRS In Focus IF12668, The U.S. Army’s Small Uncrewed Aircraft Systems, by Daniel M. Gettinger.

[17] For additional information on the M-1E3, see CRS In Focus IF12495, The Army’s M-1E3 Abrams Tank Modernization Program, by Andrew Feickert.

[18] For additional information on the Future Long-Range Assault Aircraft, see CRS In Focus IF12771, Future Long-Range Assault Aircraft (FLRAA), by Jennifer DiMascio.

[19] For additional information on Counter Small Unmanned Aerial Systems, see CRS Report R48477, Department of Defense Counter Unmanned Aircraft Systems: Background and Issues for Congress, by Daniel M. Gettinger.

[20] For additional information on Multi-Domain Task Forces, see CRS In Focus IF11797, The Army’s Multi-Domain Task Force (MDTF), by Andrew Feickert.

[21] For additional information on the Joint Light Tactical Vehicle, see CRS In Focus IF11729, Joint Light Tactical Vehicle (JLTV), by Andrew Feickert.

[22] Statement of General James J. Mingus, Vice Chief of Staff United States Army, “On the Readiness of the United States Army, in U.S. Congress, House Committee on the Armed Services, Subcommittee on Readiness, May 6, 2025.

[23] For additional information on Mobile Short-Range Air Defense Artillery (M-SHORAD), see CRS In Focus IF12397, U.S. Army’s Maneuver Short-Range Air Defense (M-SHORAD) System, by Andrew Feickert.

[24] For additional information on Integrated Fire Protection Capability (IFPC), see CRS In Focus IF12421, The U.S. Army’s Indirect Fire Protection Capability (IFPC) System, by Andrew Feickert.

[25] For additional information on Mid-Range Capability (MRC) systems, see CRS In Focus IF12135, The U.S. Army’s Typhon Mid-Range Capability (MRC) System, by Andrew Feickert.

[26] Nicholas Slayton, “Army Shuts Down its Sole Active-Duty Information Operations Command,” Task and Purpose, June 2, 2025, https://taskandpurpose.com/news/army-deactivates-1st-information-operations-command/.

[27] Slayton, “Army Shuts Down its Sole Active-Duty Information Operations Command.”

[28] Slayton, “Army Shuts Down its Sole Active-Duty Information Operations Command.”

[29] For additional information on Army Combat Aviation Brigade (CAB) force structure changes, see CRS Report R47985, The 2024 Army Force Structure Transformation Initiative, by Andrew Feickert.

[30] See Ellie Cook and John Fang, “Map Shows US Military Commands Targeted for DOGE Cuts,” Newsweek, March 21, 2025, and Wyatt Olson, “Pentagon Proposal to Merge Combatant Commands Draws Criticism from GOP Lawmakers,” Stars and Stripes, March 20, 2025, https://www.stripes.com/theaters/us/2025-03-19/combatant-commands-merge-plan-17201617.html.

[31] Senator Roger Wicker and Representative Mike Rogers, “Chairman Wicker, Chairman Rogers Joint Statement on Reports of Potential Combatant Command Changes,” press release, March 19, 2025, https://www.wicker.senate.gov/2025/3/chairman-wicker-chairman-rogers-joint-statement-on-reports-of-potential-combatant-command-changes.

[32] See Abby Shepard, “Draft Defense Bill Would Authorize Procurement of Two Carriers, as Questions of Future Viability and Delays Surround Program,” Inside Defense, July 8, 2025, https://insidedefense.com/sites/insidedefense.com/files/documents/2025/jul/07082025_ndaa.pdf, and H.Rept. 119-162, House of Representatives, Department of Defense Appropriations Act, 2026, June 16, 2025, pp. 8-9.

[33] Letter from Representative Robert J. Wittman et al. to Secretary of the Army Dan Driscoll and Chief of Staff of the Army and General Randy George, TRADOC and AFC Merger, June 3, 2025, https://wittman.house.gov/uploadedfiles/virginia_delegation_letter.pdf.

[34] Letter from Representative Robert J. Wittman et al., TRADOC and AFC Merger.

[35] Dan Schere, “Army Internal Review of AFC-TRADOC Merger Expected to be Done this Month,” Inside Defense, June 20, 2025, https://insidedefense.com/insider/army-internal-review-afc-tradoc-merger-expected-be-done-month.

[36] Schere, “Army Internal Review of AFC-TRADOC Merger Expected to be Done this Month.”

[37] House Armed Services Committee, “Rogers: We Must Equip Our Soldiers for Tomorrow’s Fight Today,” opening statement, June 4, 2025, and U.S. Congress, House Committee on Armed Services, Department of the Army Fiscal Year 2026 Posture, hearings, 119th Cong., 1st sess., June 4, 2025, https://armedservices.house.gov/calendar/eventsingle.aspx?EventID=5170.

[38] CRS analysis of the HASC hearing: CQ Congressional Transcripts, “House Armed Services Committee Holds Hearing on the Fiscal Year 2026 Department of the Army Posture,” June 4, 2025; and Ashley Roque, “Army Leaders Need to Show Their ‘Homework’ for Transformation Plans, Lawmakers Say,” Breaking Defense, June 4, 2025, https://breakingdefense.com/2025/06/army-leaders-need-to-show-their-homework-for-transformation-plans-lawmakers-say/.

[39] CRS analysis of the Senate Armed Services Committee, “To receive testimony on the posture of the Department of the Army in review of the Defense Authorization Request for Fiscal Year 2026 and the Future Years Defense Program,” hearing (and stenographic transcript), June 5, 2025; and Roque, “Army Leaders Need to Show Their ‘Homework’ for Transformation Plans, Lawmakers Say.

[40] Meghann Myers, “Congress Would Like the Army to Show Its Work on Transformation,” Defense One, June 5, 2025, https://www.defenseone.com/policy/2025/06/congress-would-army-show-its-work-transformation/405857.

[41] Dominic Minadeo, “Senators Bare Teeth Over Potential Army Depot and Arsenal Closures,” Inside Defense, June 6, 2025, https://insidedefense.com/daily-news/senators-bare-teeth-over-potential-army-depot-and-arsenal-closures.

[42] Abby Shepard, “Draft Defense Bill Would Authorize Procurement of Two Carriers, as Questions of Future Viability and Delays Surround Program,” Inside Defense, July 8, 2025, https://insidedefense.com/sites/insidedefense.com/files/documents/2025/jul/07082025_ndaa.pdf.

[43] U.S. Congress, House Committee on Appropriations, Department of Defense Appropriations Act, 2026, report to accompany H.R. 4016, 119th Cong., 1st sess., H.Rept. 119-162, June 16, 2025, pp. 8-9.

[44] Major General Mark S. Bennett, Director, Army Budget, Army Fiscal Year 2026 Budget Overview, June 26, 2025, pp. 5-6, 10.

[45] Department of the Army, Fiscal Year (FY) 2026 Budget Estimates June 2025 Volume I, Operation and Maintenance, Army, Justification of Estimates, p. 3.

[46] For additional information on Security Force Assistance Brigades (SFABs), see CRS In Focus IF10675, Army Security Force Assistance Brigades (SFABs), by Andrew Feickert.

[47] Patty Nieberg, “Army to Eliminate 2 Security Force Assistance Brigades, Reassign Experienced Soldiers,” Task & Purpose, May 13, 2025, https://taskandpurpose.com/news/army-sfab-units-shuttered/.

[48] U.S. Army Forces Command (FORSCOM) is “the largest United States Army command and provider of expeditionary, regionally engaged, campaign-capable land forces to combatant commanders,” https://www.army.mil/FORSCOM#org-about, accessed June 10, 2025.

[49] Secretary Driscoll and General George, “Letter to the Force: Army Transformation Initiative.”

[50] R.D. Hooker, “The U.S. Army is Too Light to Win,” Defense One, May 29, 2025, https://www.defenseone.com/ideas/2025/05/us-army-too-light-win/405669/.

[51] For additional information on Security Force Assistance Brigades (SFABs), see CRS In Focus IF10675, Army Security Force Assistance Brigades (SFABs), by Andrew Feickert.

[52] Nieberg, “Army to Eliminate 2 Security Force Assistance Brigades, Reassign Experienced Soldiers.”

[53] Dan Schere, “Driscoll Estimates Army Could Save $48B Over Five Years From Restructure,” Inside Defense, May 20, 2025, https://insidedefense.com/insider/driscoll-estimates-army-could-save-48b-over-five-years-restructure.

[54] Secretary Driscoll and General George, “Letter to the Force: Army Transformation Initiative.”

[55] Executive Order 14186 of January 27, 2025, “The Iron Dome for America,” 90 Federal Register 8767, February 3, 2025, https://www.federalregister.gov/documents/2025/02/03/2025-02182/the-iron-dome-for-america, accessed June 29, 2025.

[56] Department of the Army, U.S. Army Space and Missile Defense Command (USASMDC), 100th Missile Defense Brigade website, https://www.smdc.army.mil/ORGANIZATION/100thMDB/, accessed July 9, 2025.