一体化した抑止における戦域陸軍の中心的な役割 (Military Review)

本年7月に公表された令和4年度版の「防衛白書」にある、日米共同方面隊指揮所演習(YS-81)の項では、「2021年12月、陸自及び米陸上部隊は、日米共同方面隊指揮所演習(YS-81)を実施した。本演習は、従来の戦闘領域に宇宙、サイバー及び電磁波といった新領域を加えた自衛隊の領域横断作戦と米陸軍のマルチ・ドメイン・オペレーションを踏まえた日米の連携能力向上を目的とした、日米陸軍種間で最大規模の日米共同指揮所演習であった」とある。陸上自衛隊で後方される記事等にも、「・・・自衛隊の領域横断作戦と米陸軍のマルチ・ドメイン・オペレーションを踏まえた日米の連携能力向上を図った。・・・」という表現が多くみられる。ここで表現されている米陸軍とは、ハワイに本拠を置く米太平洋陸軍(USARPAC)であり、米太平洋陸軍(USARPAC)は米国の地域的戦闘軍であるインド太平洋軍(INDOPACOM)隷下の戦域陸軍(Theater Army)である。2022年6月掲載の「インド太平洋に不可欠な陸上戦力 (米国陸軍協会の記事から)」では、「・・・米太平洋陸軍(USARPAC)は、統合太平洋多国籍訓練センター、パスウェイ作戦、フォリジャー演習という3つの主要な取り組みを通じて、一体化した抑止(integrated deterrence)に貢献している」との記述がある。

ここで、戦域陸軍(Theater Army)が、一体化した抑止(integrated deterrence)においてどのような役割があるかを整理した「Military Review May-June 2022」の論稿を紹介する。この論稿を通じて、大国間競争(great-power competition)と言われる戦略環境下に置いて、日米共同の陸軍種の訓練の意義はどこにあるのかを米側の視点から再確認できると考える。(軍治)

 一体化した抑止における戦域陸軍の中心的な役割

The Theater Army’s Central Role in Integrated deterrence

Maj. Justin Magula, U.S. Army

Military Review May-June 2022

著者:Author

ジャスティン・マグラ(Justin Magula)米陸軍少佐は、米陸軍士官学校戦略陸戦隊・未来グループ所属の陸軍戦略家。ジョンズ・ホプキンス大学で国際公共政策の修士号、米陸軍士官学校で国際関係論の理学士号を取得。以前は、第4戦場調整分遣隊と第101空挺師団に所属していた。

2021年8月21日、ドイツ・ラムシュタイン空軍基地で、米陸軍欧州・アフリカの「アリーズ・リフュージ」作戦の支援の一環として、到着するアフガン移民に備え、コットを点検する格納庫を歩く第21戦域後方支援コマンドの兵士。(写真:米陸軍カテリン・マイヤーズ軍曹)。

一体化した抑止(integrated deterrence)とは、同盟国やパートナーとともに、軍事・非軍事のあらゆる手段を駆使することである。一体化した抑止(integrated deterrence)とは、既存の能力を活用し、新たな能力を構築し、それらを新しいネットワーク化された方法で展開することである。

―米国防長官 ロイド・オースティン

2021年7月の講演で、ロイド・オースティン米国防長官は、彼の一体化した抑止のコンセプト(integrated deterrence concept)の概要を説明した。彼の考えは、米国防総省の進化する競争コンセプト(competition concepts)を進め、米陸軍と統合の競争(competition)の基本を多く取り入れ、新国防戦略でさらに発展させたものである[1]

武力紛争レベル以下の敵対者から増大する脅威に対抗する取組みにおいて、米陸軍と米統合部隊の指導者は、武力紛争に至らない競争(competition short of armed conflict)における勝利にも重点を置くようになった。ジェームズ・マッコンビル(James McConville)米陸軍大将が主張するように、米陸軍は競争(competition)という「無限のゲーム(infinite game)」に勝つ方法を学ばなければならない。なぜなら、それは「大国間の競争が大国間の紛争にならないようにするのを助ける(helps to ensure that great power competition does not become great power conflict)」からである[2]

米陸軍は、陸、空、海、宇宙、サイバーなど全ドメインで米国の敵対者と戦い続け、戦争に至らない彼らの目標の達成を阻止しなければならない。

幸いなことに、米陸軍は一体化した抑止のコンセプト(integrated deterrence concept)の礎となる組織、すなわち戦域陸軍(Theater Army:TA)をすでに採用している。戦域陸軍(TA)は、永続的な役割と機能を果たすだけでなく、同盟国やパートナーを巻き込み、戦域を設定・維持し、米陸軍と米統合部隊が競争(competition)において成功できるように限定的な不測事態対応作戦(limited contingency operations)を実施する。

これらのユニークな組織は、米陸軍と米統合部隊が全ドメイン作戦(all-domain operations)を実施し、友好国を確保するために積極的に活動し、一体化した抑止(integrated deterrence)を達成し、地理的戦闘軍指揮官(geographic combatant commanders:GCC)、統合部隊、連邦機関、同盟国、パートナーを、敵対的攻撃を阻止し、抑止が失敗した場合は迅速に対応できる相対的に有利な立場に置くために役立つ。戦域陸軍(TA)は、米陸軍と米統合部隊が当面の間、米国の敵対者に対する競争力(competitive edge)を維持するのに役立つ。

2015年以降の競争コンセプトの進化:Competition Concept Evolution since 2015

国家が常に競争(competition)しているという考え方は新しいものではないが、米陸軍は最近になって、軍事競争(military competition)における自らの役割をより明確に定義した。武力紛争のレベル以下の競争(competition below the level of armed conflict)という米陸軍のコンセプトは、2015年の米陸軍・米海兵隊白書で浮上した。米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)は、米軍の地上戦力が「有能な対等な敵を抑止または撃破するための十分な訓練、組織、装備、態勢」を備えていないことを認識した[3]

米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)はその後、2017年に出版した「マルチドメイン・バトル(Multi-Domain Battle)」でこれらの考え方を説明し、「戦力態勢の調整(calibrate force posture)」「復元性あるフォーメーションの採用(employ resilient formations)」「能力の収束(converge capabilities)」という3つの信条を用いて、敵対者と比べて米陸軍をより良い状態にしようとした[4]

2つの統合出版物も米陸軍の競争コンセプトに影響を与えた。2018年の「一体化した戦役のための統合コンセプト(Joint Concept for Integrated Campaigning)」は、一般的な二元的な平和戦争の構成を超えた競争(competition beyond the common binary peace-war construct)の考え方を発展させ、競争中に敵対者を抑止するだけではない他の役割を統合部隊に想定している[5]

翌年、統合ドクトリン・ノート(JDN)1-19「競争連続体(Competition continuum)」は、こうした考えをさらに推し進め、統合部隊は武力紛争に至らない米国の利益を増進または防衛するために統合作戦の考え方を採用しなければならないと繰り返し述べている[6]。競争(competition)は通常、間接的な行動とそれほど強烈でないリソースの支出で、長期にわたって発生する。

同様に、現地での成功が、競争(competition)の終結や永続的な利益につながることはほとんどない[7]。将来の競争(future competition)では、統合部隊が戦場で永続的なプレゼンスを維持し、長期にわたって競争に従事することが必要になる。2018年12月、米陸軍は競争コンセプトをさらに体系化した2つの米陸軍訓練ドクトリン・コマンド(TRADOC)パンフレットを発行した。「マルチドメイン作戦における米陸軍2028年(The U.S. Army in Multi-Domain Operations 2028)」と「米陸軍コンセプト:旅団以上の指揮階層におけるマルチドメイン諸兵科連合作戦2025-2045年(U.S. Army Concept:Multi-Domain Combined Arms Operations at Echelons Above Brigade 2025-2045)」である。

米国家防衛戦略の大国間競争(great-power competition)という考え方と、新たに発表された統合コンセプトとが、それぞれの文書に大きな影響を与えた[8]。「マルチドメイン作戦における米陸軍2028年(The U.S. Army in Multi-Domain Operations 2028)」では、米国が中国やロシアと継続的に競争している状態であることが記述されている。敵対者の行動を阻害するために、米陸軍は今、積極的関与(active engagement)を使って、「パートナーに向けられた強制、非従来型戦争、情報戦に対抗する(counter coercion, unconventional warfare, and information warfare directed at partners)」ことにしている[9]

米陸軍は紛争前に条件を整え、統合部隊が競争(competition)に復帰したときに利益を整理強化(consolidate gains)することになる。これらのパンフレットは、物理的、人的、および情報的環境における全ドメインすべてで能力を収束させる米陸軍の主要な指揮階層として、戦域陸軍(TA)を初めて認識するものであった。

2021年4月30日、ハワイ州真珠湾ヒッカム統合基地でのインド太平洋軍司令官交代式で、一体化した抑止のコンセプト(integrated deterrence concept)について発言・議論するロイド・J・オースティン3世国防長官。(写真:米海軍アンソニー・リベラ2等兵曹)

「旅団以上の指揮階層におけるマルチドメイン諸兵科連合作戦2025-2045年」は、マルチドメイン作戦(multi-domain operations:MDO)における戦域陸軍(TA)の役割を強調している。これは、米陸軍が戦域陸軍(TA)を調整し、訓練され準備の整った人員で満たさなければならないことを認識している[10]。戦域陸軍(TA)は、陸上兵力の運用条件を設定し、指定された戦域内で武力紛争以下の敵対者の攻撃を撃退する。

マルチドメイン作戦(MDO)では、戦域陸軍(TA)は作戦戦域全体に焦点を当て、常に隷下部隊を維持・支援する。マルチドメイン作戦(MDO)の枠組みでは、戦域陸軍(TA)は主に作戦支援地域に存在し、部隊が戦闘力を獲得し、作戦を維持し、支援地域、近接地域、縦深地域に戦力を投射する友軍の地域となる。

また、戦域で使用するために必要な戦略的および国家的アセットを入手するために、戦略支援地域の要素との調整も行う[11]。これらの文書により、米陸軍は戦域陸軍(TA)をマルチドメイン作戦(MDO)成功のための不可欠な要素であることを明確にした。

昨年、米陸軍参謀総長は2つの戦略文書を発表した。最初の「米陸軍のマルチドメイン変革(Army Multi-Domain Transformation)」は、米陸軍がどのようにして「目標点2035(Aimpoint 2035)」の要件を満たすかを概説したものである。米陸軍は、敵対者の接近阻止/領域拒否(anti-access/area-denial)ゾーン内で活動する「内部戦力(inside forces)」と、戦略レベルおよび戦域レベルの「外部戦力(outside forces)」を使って、戦域内の状況を形成することにしている。戦域陸軍(TA)は、「内部戦力(inside forces)」と「外部戦力(outside forces)」の間のハブとして機能する。

これは、米国防総省(DOD)の陸上戦力ネットワーク(landpower network)の拡大、確実な戦力投射と動的な部隊運用による戦域設定、そして新能力の開発によって統合部隊を強化するものである[12]。また、この白書では、米陸軍が戦場に永続的に存在することを求める米陸軍の「調整された戦力態勢(calibrated force posture)」イニシアチブについて説明している。

戦域陸軍(TA)は常時プレゼンスを維持し、配属部隊とローテーション部隊の組み合わせと主要能力を競争中に使用し、「調整された戦力態勢(calibrated force posture)」を支援する。「米陸軍の地域整合型即応性・近代化モデル(Army’s Regionally Aligned Readiness and Modernization Model)」は、部隊を戦闘軍(CCMDs)や統合部隊、同盟軍、パートナー軍と整合させるものである[13]。この連携により、戦域陸軍(TA)はその責任地域(area of responsibility:AOR)内に配置された軍団や師団と持続的な関係を築くことができ、競争空間(competition space)の拡大に貢献することができる。

2番目の米陸軍参謀総長論文「軍事競争における米陸軍(The Army in Military Competition)」は、米陸軍の競争コンセプトをさらに概説している。このコンセプト文書では、軍事競争を「政治的目標を達成し、敵対者が米国に不利な目標を達成する能力を否定するために用いられる活動・作戦の範囲」と定義している[14]

米陸軍は、闘うことなく目標を達成するため、敵対者を抑止するため、同盟国を確保するため、あるいは紛争に備えるために競争することができる。また、本論文では、軍事競争の3つの力学、すなわちナラティブ的競争(narrative competition)、直接的競争、間接的競争を紹介する。ナラティブ的競争は、国家が評判を競い合うだけでなく、他の2つの形態の基本的な役割を果たす。間接的競争(indirect competition)では、国家はあまり重要でない、あるいは定義が不明確な利益で優位性を求めて競争する。

直接的競争(direct competition)では、国家は明確に定義された重要な利益に対する影響力を競い合う。米陸軍は、信頼できる戦力を提示し、統合部隊のエスカレーションの優位性を実現し、政策立案者に幅広い選択肢を提供することで、競争に貢献している[15]。米陸軍は、軍事競争の3つの力学のほぼすべての側面で役割を果たし、米陸軍の競争コンセプトの中心的役割を担っている。

2021年9月4日、カリフォルニア州のディキシー火災に対する国防総省の野戦消防対応活動を支援するために車両用トレイルを歩く派遣された米軍ノース指揮下の兵士。(写真:米陸軍デイオン・キーン3等軍曹)

戦域陸軍(TA)の組織・役割・機能:Theater Army Organization, Roles, and Functions

戦域陸軍(TA)は米陸軍の主要な競争本部であり、一体化した抑止作戦(integrated deterrence operations)の拠点である。米陸軍は最近、戦域陸軍(TA)司令部、その配属部隊、戦域イネーブラを、競争においてより大きな力を発揮できるよう変更し始めた。

現在、米陸軍は5つの戦域陸軍(TA)を擁し、それぞれが地理的戦闘軍指揮官(GCC)を支援している。米北方軍(U.S. Northern Command)の米北方陸軍(USARNORTH)、米南方軍(U.S. Southern Command)の南方陸軍(USARSO)、米中央軍(U.S. Central Command)の米中央陸軍(USARCENT)、米インド太平洋軍(U.S. Indo-Pacific Command)の米太平洋陸軍(USARPAC)、米欧州軍(U.S. European Command)と米アフリカ軍(U.S. African Command)の米欧州・アフリカ陸軍(USAREUR-AF)であり、各々地理的戦闘軍指揮官(GCC)を支援する。

戦域陸軍(TA)には、主指揮所(main command post:MCP)、緊急指揮所(contingency command post:CCP)、司令部と司令部大隊の3つの司令部の構成があり、それぞれが特定の機能を担っている。同じ司令部でも、主指揮所(MCP)は主に戦域全体を見据えた管理上の司令部として機能し、緊急指揮所(CCP)は限定的な作戦任務を遂行する。

司令部と司令部大隊は、主指揮所(MCP)と緊急指揮所(CCP)に管理・後方支援を提供し、緊急指揮所(CCP)が展開する場合の維持も含む。戦域陸軍(TA)指揮官は、主指揮所(MCP)または緊急指揮所(CCP)を、責任地域(AOR)固有の、短期間または持続的な任務を達成するために調整することができる。

緊急指揮所(CCP)は、小規模な作戦で、すぐに利用でき、展開可能な指揮所として、または統合司令部の基礎として機能する。また、統合任務部隊(JTF)や地理的戦闘軍指揮官(GCC)の指揮官の下で、小規模な統合任務部隊(joint task force:JTF)や統合部隊陸上構成コマンド(joint forces land component command:JFLCC) の中核を形成することもできる[16]

主指揮所(MCP)は、緊急指揮所(CCP)が作戦、演習、または戦域安全保障協力活動のために展開する際、直接計画策定支援を行い、リーチバック能力を提供する。例えば、南方陸軍(USARSO)はハリケーン・シーズン中、カリブ海での対外災害救援(foreign disaster relief:FDR)と対外人道支援(foreign humanitarian assistance:FHA)任務のために、日常的に緊急指揮所(CCP)を派遣している。

2014年まで、戦域陸軍(TA)は、中央陸軍(USARCENT)がイラク、シリア、アフガニスタンでの作戦を管理するために採用したような、伝統的な野戦軍の役割を果たすための作戦指揮所(operational command post:OCP)も含んでいた。米陸軍は、競争作戦を管理する能力を向上させるために、再び作戦指揮所(OCP)機能を戦域陸軍(TA)司令部に追加するオプションを検討していると伝えられている。

作戦指揮所(OCP)は、統合作戦地域(joint operations area:JOA)において、戦域陸軍(TA)部隊を監督し、統合戦域イネーブラを採用することができ、主指揮所(MCP)が戦域全体に焦点を当てることを可能にする。戦域陸軍(TA)の二重の役割を持つ司令部と潜在的な作戦指揮所(OCP)の増設は、割り当てられた部隊と統合イネーブラと相まって、米陸軍と統合の成功を可能にするさまざまな役割を果たすことができるようにするものである。

戦域陸軍(TA)は、合衆国法典第10編、米陸軍規則10-87、米陸軍司令部、米陸軍種構成コマンド(Army service component command:ASCC)、および直属部隊、米国防省指令5100.01および5101.1など、さまざまな文書からその役割、機能、任務、責任を導き出している[17]。戦域陸軍(TA)は、これらの文書に概説されている米陸軍の12の責任のうち10を遂行している[18]

戦域陸軍(TA)は、軍事的関与、安全保障協力、抑止、危機対応、限定的な不測事態対処作戦(limited contingency operations)など、紛争に至らない軍事作戦全般にわたって統合部隊を支援する[19]。戦域陸軍(TA)は米陸軍省と地理的戦闘軍指揮官(GCC)の両方に奉仕し、支援する地理的戦闘軍指揮官(GCC)を代表して米陸軍司令部とのパイプ役を務める[20]。そうすることで、戦域陸軍(TA)は米陸軍が、戦闘軍指揮官の競争連続体(competition continuum)全体の作戦に対する要求を支援するために配備する兵力を調整するのを助ける。

戦域陸軍(TA)は日々、地理的戦闘軍指揮官(GCC)の米陸軍種構成コマンド(ASCC)としての主要な役割を担っている。戦域陸軍(TA)は、地理的戦闘軍指揮官(GCC)配下または戦域に移行するすべての米陸軍部隊の管理および支援に責任を負う。一般に、戦域陸軍(TA)は統合作戦地域(JOA)に展開する米陸軍部隊を支援する際にも、これらと同じ役割を果たす。地理的戦闘軍指揮官(GCC)は、緊急対応や不測事態対処作戦(contingency operations)のために、所属する戦域陸軍(TA)に統合任務部隊(JTF)や統合作戦地域(JOA)の統合部隊陸上構成コマンド(JFLCC) としての役割を求めることができる。

しかし、こうした役割を長期間にわたって果たすには、増員を必要とし、戦域陸軍(TA)が米陸軍種構成コマンド(ASCC)の全戦域的責任を果たすのを妨げることになる。例えば、第三軍は砂漠の嵐作戦とイラクの自由作戦で、統合作戦地域(JOA)統合部隊陸上構成コマンド(JFLCC)、米陸軍、戦域統合部隊陸上構成コマンド(JFLCC)として活動し、任務を遂行するために、大幅な人員増強が必要であった[21]

逆に、米太平洋陸軍が2014年から行っているように、戦域陸軍(TA)は戦域統合部隊陸上構成コマンド(JFLCC)を務めながら、司令部を大幅に増強することなく、複数の競争的役割を遂行することができる[22]

戦域陸軍(TA)は、主指揮所(MCP)を通じて、戦闘軍指揮官の日常的な作戦上の要求と米陸軍種構成コマンド(ASCC)の責任を計画、調整、遂行する。司令部は、戦域全体の第10編行政的統制(administrative control ADCON)、他の軍への米陸軍支援、および地理的戦闘軍指揮官(GCC)を支援する米陸軍執行官の責任を提供する[23]

それぞれの永続的なコミットメントを実行することで、戦域陸軍(TA)は米陸軍と米統合部隊に不可欠な支援を提供する。例えば、行政的統制(ADCON)の責任には、人事管理、後方支援、訓練、人事サービス、部隊の配備が含まれる[24]。戦域陸軍(TA)は、燃料配給、エンジニアリング、基地防衛、通信ネットワーク・インフラ、陸上航空ミサイル防衛、戦域内医療搬送、共同利用兵站、およびその他の支援の役割を通じ、他の軍種に対する米陸軍支援を提供することができる[25]

例えば、戦域陸軍(TA)は、強固な有機的維持能力を持たない海兵隊遠征部隊のような部隊に実質的な支援を提供することができる。さらに、戦域陸軍(TA)は、統合部隊航空構成指揮官と連携し、責任地域(AOR)全体の統合火力を同期化する戦場調整分遣隊や、多国間の相互運用性を支援するデジタル連絡分遣隊などの分遣隊を利用することができる。

2021年7月9日にグアムで戦域陸軍(TA)と合同軍の演習を支援するために米陸軍事前蓄積を卸下する第8戦域後方支援コマンドの作戦統制下にある第7輸送旅団(遠征)の兵士。(写真:米太平洋陸軍広報室 ケビン・マーティン2等軍曹)。

また、戦域陸軍(TA)は、軍事郵便、契約活動、国連ミッションに対する米国防総省(DOD)支援など、戦域全体に関わる重要な機能に対する米陸軍の執行代理人としての責任も担っている[26]。主指揮所(MCP)は、責任地域(AOR)内に設置された統合作戦地域(JOA)に展開する米陸軍、統合部隊、および多国籍軍の前方展開部隊を支援する。

多くの場合、戦域陸軍(TA)は資源を配分し、配下の戦域実行司令部または旅団に任務を委任し、旅団は米陸軍種構成コマンド(ASCC)の責任を果たすための詳細な計画策定と実行を完成させることになる。

戦域陸軍(TA)は、米陸軍種構成コマンド(ASCC)の役割を達成するために、7つの機能を果たしている。

◯ 戦場における米陸軍部隊の指揮・統制を行う。

◯ 戦闘軍指揮官の日常業務要件を遂行する。

◯ 米陸軍の行政的統制(ADCON)を提供する。

◯ 戦域を設定し、維持する。

◯ 作戦地域の設定と支援

◯ 獲得した利益の整理強化の計画と調整

◯ 限られた範囲、規模、期間で統合の役割を果たす[27]

これらの機能は統合部隊の作戦範囲(operational reach)を拡大し、全ドメインで敵対者に対抗することを可能にする。戦域陸軍(TA)の機能、役割、任務を理解することは有用であるが、これらの分野を検討するだけでは、戦域陸軍(TA)がどのように一体化した抑止(integrated deterrence)を支えているかについての評価は限定的である。

一体化した抑止を支える戦域陸軍(TA)のあり方:How Theater Armies Support Integrated deterrence

一体化した抑止(integrated deterrence)を直接支援する戦域陸軍(TA)の任務の多くは、「同盟国とパートナーの関与(engage allies and partners)」「戦域の設定と維持(set and maintain the theater)」「限定的な不測事態対処作戦の遂行(conduct limited contingency operations)」という3つの大きなカテゴリーに分類される。これらのカテゴリーに属する任務は、しばしば重複し、相互に支援し合っている。

これらのカテゴリーに属する任務を日常的に遂行することで、戦域陸軍(TA)は米陸軍と統合部隊が統合的な作戦を実施することを可能にする。このように高い能力を持つ司令部は、同盟国やパートナーを活用し、能力を集約し、戦域を準備し、一体化した抑止(integrated deterrence)を達成するための統合部隊の努力を支援する。

同盟国やパートナーに関与する。戦域陸軍(TA)は同盟国やパートナーに直接関与する。また、この戦線を支援するさまざまな任務で、隷下の部隊を監督し、運用する。戦域陸軍(TA)は司令部で戦域作戦支援計画を作成し、「戦略的効果を達成するために、時間、空間、目的における作戦、活動、イベント、投資を組織し、調整する[28]」。

戦域陸軍(TA)は、同盟国やパートナーを関与させ、その軍事力や能力を向上させることで、環境を形成し、地域の安定を維持することができる。戦域陸軍(TA)の関与は、当該責任地域(AOR)に対するアクセスや影響力を高める。また、米国防総省(DOD)の世界規模の陸上戦力ネットワーク(global landpower network)(同盟国やパートナーのネットワーク)を拡大し、統合および政府全体の戦略的関与の基盤を構築することができる[29]

さらに、日常的な交流を通じて、戦域陸軍(TA)はロシアや中国のような敵対者が同盟国やパートナーに影響力を築くのを防ぐことができる。戦域陸軍(TA)は、軍事的関与、教育・演習、安全保障協力を通じて、陸上戦力ネットワーク(landpower network)を拡大する。

軍事的関与には、米軍部隊と他国の軍隊または国内外の文民機関との頻繁な接触と相互作用が含まれる[30]。成功は、トップから始まる地上のプレゼンスから始まる。長期的なパートナーシップと上級指導者の交流が、相互運用性と信頼の共有を促進する。

例えば、米太平洋陸軍(USARPAC)、欧州・アフリカ陸軍(USAREUR-AF)、中央陸軍(USARCENT)はいずれも、パートナー国からの副司令官が司令部に勤務している。これらの責任地域(AOR)の米陸軍指揮官は、上級指導者との議論に日常的に参加し、年次陸上部隊太平洋(LANPAC)シンポジウムやアフリカ米陸軍コロキアムなど、「他国が米国を安全保障上のパートナーとして選ぶことを奨励する」イベントに出席することで、コミットメントを表明している[31]

太平洋、ヨーロッパ、中東の前方に駐留する戦域陸軍(TA)の部隊は、ホスト国の軍隊と毎日交流し、国家間の相互運用性と意思疎通を高めることができる。例えば、米太平洋陸軍(USARPAC)は韓国の野戦軍と2つのデジタル連絡分遣隊を常駐させている。軍事的関与には、米陸軍と国内外の文民機関との交流も含まれる。

例えば、州パートナーシップ・プログラム(State Partnership Program :SPP)は、ケニアでの平和維持要員の訓練や南米での自然災害に対する地域パートナーの準備などの取り組みを通じて、米軍部隊とそのパートナーとの永続的な関係を構築している[32]

また、演習や教育によって、米陸軍は陸上戦力ネットワーク(landpower network)を拡大し、同盟国やパートナーとの将来の作戦に備えることができる。これらの努力は、直接的競争、間接的競争、そしてナラティブ的競争において米陸軍を支援する。直接的には、行動における抑止能力を示すものである。

例えば、欧州・アフリカ陸軍(USAREUR-AF)の「ディフェンダー・ヨーロッパ21」には、パートナー国27カ国から2万8000人の部隊が参加し、104カ国を戦域全体で監視しながら多国籍軍を指揮・統制する戦域陸軍(TA)の能力(theater army’s ability)が試された[33]

多国間演習は、将校の交流、情報共有、相互の兵站支援を通じて、同盟国やパートナーに価値を提供することで、間接的競争に貢献する[34]。これらの演習は、パートナーや同盟国に対する米国のコミットメントを示すことで、ナラティブ的競争を支援する。

また、戦域陸軍(TA)は、パートナーや同盟国の将校を米陸軍の訓練コースや専門的な軍事教育に参加させるよう推薦している。例えば、米陸軍戦争大学の連合/統合部隊陸上構成部隊指揮官(C/JFLCC)課程では、年間 10~15 人の外国人将校が卒業するのが通例である。一方、現在の米陸軍大学校のレジデント・コースには、75カ国から80人の外国人フェローが参加している[35]

これらの卒業生は、米国のカウンターパートと生涯にわたる関係を築き、同盟国やパートナーとの協力関係を向上させている。

安全保障協力は、戦域陸軍(TA)が同盟国やパートナーと関与するためのもう1つの重要な手段である。安全保障協力を通じて、戦域陸軍(TA)は相手国の能力や能力を向上させ、影響力とアクセスを拡大し、パートナーに米国の利益を支援するよう促す[36]。理想的には、戦域陸軍(TA)とその下部組織の努力によって、パートナー国の内外の脅威を管理する能力が向上し、ホスト国政府が法の支配を維持できるようになることである。

戦域陸軍(TA)がこれを行う方法の1つが治安部隊支援(security force assistance:SFA)である。米陸軍の治安部隊支援旅団(SFAB)は、外国の治安部隊に助言し、軍団レベルまで治安部隊支援(SFA)を実施する。その努力は、戦域安全保障協力の目標を支えるものである。米陸軍長官のクリスティン・ウォーマス(Christine Wormuth)長官が最近述べたように、米陸軍は治安部隊支援旅団(SFAB)を利用して、「関係を発展・深化させ、アクセス拡大の機会を作り、相互運用性の機会を作る」ことができるのである[37]

戦域陸軍(TA)は対外国内防衛、安全保障部門改革、対外有償援助(foreign military sales:FMS)を監督する。一般に、対外防衛は特殊作戦が担当するが、戦域陸軍(TA)はこれらの任務に後方支援を提供し、同時に補完的な治安部隊支援(SFA)任務を遂行する。また、戦域陸軍(TA)はホスト国の安全保障部門改革も支援する。

例えば、南方陸軍(USARSO)は最近ブラジルで国境警備会議を共催し、中南米のパートナーとの国境警備を調整した[38]。同様に、対外有償援助(FSM)も同盟国やパートナーに対する米国の影響力を高める。米陸軍安全保障コマンドは、すべての戦闘軍(CCMD)の責任地域(AOR)にある国との間で、2000億ドル以上に相当する6500件以上の対外有償援助(FSM)を管理している[39]

戦域陸軍(TA)とその下部組織は、同盟国やパートナーに関与する任務を通じて、十分に構え、準備し、相互運用できるパートナーを通じて国家安全保障を向上させ、各戦闘軍(CCMD)の統合部隊のアクセス向上を可能にする[40]

戦域の設定と維持。戦域陸軍(TA)の任務の2番目の主要なグループは、戦域の設定と維持に該当する。戦域の設定は、同盟国やパートナーとの永続的な関係に大きく依存する。米国防総省(DOD)の陸上戦力ネットワーク(landpower network)を拡大することで、戦域陸軍(TA)は統合部隊の戦域設定・維持能力を向上させる[41]

戦域陸軍(TA)は、戦闘軍指揮官に戦域全体の情報、任務指揮、情報の優位性、防護、後方支援、独自の抑止力などのアセットを提供する[42]。戦域を設定することで、戦闘軍指揮官は作戦と戦略計画を成功裏に実行することができる。また、準備された戦域は、統合部隊の作戦範囲(operational reach)と一体化した戦役の取組みを維持する能力を拡大する。

戦域陸軍(TA)は通信インテリジェンス(SIGINT)、地理空間インテリジェンス(GEOINT)、カウンターインテリジェンス、人的インテリジェンス、オープンソース・インテリジェンス(OSINT)、大気圏インテリジェンス、その他のインテリジェンス能力を駆使してインテリジェンスを収集し、作成し、発信する。そうすることで、地域のデータベースとシグネチャを開発し、抑止活動を支援し、警告インテリジェンスを提供し、不測事態対応計画を改善する[43]

各戦域陸軍(TA)は、戦域または統合作戦地域(JOA)での競争活動の準備を支援するため、インテリジェンス旅団を運用している。これらの旅団は統合ターゲティングを支援し、戦域陸軍(TA)が国家レベルのインテリジェンスにアクセスするためのゲートウェイを提供する。

戦域陸軍(TA)はミッション・コマンドの取組みの一環として、地理的戦闘軍指揮官(GCC)が他の米陸軍部隊や統合部隊と効果的に意思疎通できるよう、適切に調整・配置された部隊を持つようにする。戦域陸軍(TA)は部隊を調整し、不測事態対処作戦(contingency operations)を含む競争活動のために地理的戦闘軍指揮官(GCC)を支援するために展開する。部隊の調整は、部隊が戦域に出入りする中で継続的に行われる。

戦域陸軍(TA)は、これらの部隊が地理的戦闘軍指揮官(GCC)作戦計画や有事計画を支援し、敵対者を抑止し、パートナーを保証するために適切な態勢をとっていることを確認する。戦域陸軍(TA)は、戦域全体の通信を通じて、米陸軍と米統合部隊に指揮・統制(command and control:C2)を提供する。

通信コマンド(戦域)は、戦域陸軍(TA)が統合作戦地域(JOA)内の米陸軍の通信とネットワーク・アーキテクチャを確立、維持、防御するのを助け、米陸軍と責任地域(AOR)のその他の地域との接続を提供する。戦域陸軍(TA)は、米陸軍部隊を適切な場所に適切なタイミングで配置し、地理的戦闘軍指揮官(GCC)の目標を支援するために米陸軍部隊を動的に使用し、収束させる。

戦域陸軍(TA)はまた、地理的戦闘軍指揮官(GCC)の作戦計画を支援するため、情報の優位性を確立し、維持する。司令部参謀は現在、非致死性火力を計画しているが、一部の戦域陸軍(TA)はまもなく、戦域情報優位性部隊(Theater Information Advantage Element:TIAE)と呼ばれる実験部隊を配備することになるだろう。戦域情報優位性部隊(TIAE)は「情報優位性を獲得・維持するために、意思決定を支援し、友軍情報を防護し、関係者の知覚(perceptions)、態度(attitudes)、振舞い(behaviors)に影響を与えるために、作戦環境全体にわたって、戦域連携した情報関連能力(information related capabilities)を集結させる」ものである[44]

戦域情報優位性部隊(TIAE)は、情報空間を勝つために闘い、ナラティブ的競争を成功させる。戦域陸軍(TA)は物理的ドメインと情報的ドメインの作戦を併合して、友軍の行動と敵の行動に影響を与えることができるようになる[45]

戦域陸軍(TA)は、米軍、インフラ、同盟国やパートナー、その他の重要なアセットを防護する。戦域陸軍(TA)の防護は、部隊の健康保護、人員の回復、物理的安全保障、地域の安全保障、化学、生物、放射線、核(CBRN)作戦、警察・拘置作戦、航空・ミサイル防衛など多くの任務から構成される。

これらの行動は、米軍とパートナー軍を防護し、敵対者が戦域または統合作戦地域(JOA)の作戦を混乱させる可能性のある有利な立場を得るのを防ぐものである。戦域陸軍(TA)は、港湾、飛行場、重要インフラ防護アセットの活用を通じて、陸・空・海の通信路の維持を支援する。

米陸軍航空・ミサイル防衛コマンド、第20次化学、生物、放射線、核(CBRN)支援コマンド、戦域陸軍(TA)警察コマンド、機動強化・防護旅団、地域支援グループなどの部隊は、多くの重要な防護機能を担っている。部隊を適切に配置することで、戦域陸軍(TA)は部隊とインフラを確実に防護し、戦域を継続的に活動できるよう維持することができる。

2017年5月5日、ヨルダンの合同訓練センターで行われた米陸軍中央の有事対応指揮所(CP)。米陸軍セントラルは、18カ国以上のパートナー国との年次多国籍演習であるイーガーライオン17の準備の一環として、60時間以内にCPを標準に設立した。(写真:ゾーイ・モリス軍曹、米軍中央司令部)

戦域陸軍(TA)は、独自の抑止部隊と能力を運用し、国家レベルのアセットを調整することができる。これらの部隊は、米軍が自国の利益を危険にさらすことができることを敵対者に示す。例えば、マルチドメイン・タスク・フォース(multi-domain task force)は、敵の接近阻止/領域拒否(anti-access/area-denial)ネットワークに対して、すべてのドメインで精密効果や火力を同期させ、統合の行動の自由(joint freedom of action)を可能にする戦域レベルの要素である[46]

戦域火力コマンドおよび部隊は、長距離火力を統制し、友軍部隊が重要なスタンドオフを維持する間、敵対者を危険にさらす。インテリジェンス、情報、サイバー、電子戦、宇宙部隊は、米陸軍がマルチドメイン作戦(MDO)を実施し、宇宙での行動の自由を可能にし、サイバードメインで敵対者に対抗し、情報環境で機会の窓を開くことができるようにする[47]

これらの新組織は、全ドメインから効果を発揮し、敵対者に複数のジレンマをもたらし、統合部隊の決心支配(decision dominance)を可能にし、大きな抑止力を生み出すことができる。

最後に、戦域陸軍(TA)は戦域の設定に最もよく関連するカテゴリーである「後方支援(sustainment)」を通じて、戦域を設定し維持する。戦域陸軍(TA)は毎日、戦域後方支援司令部(theater sustainment command:TSC)を通じて、責任地域(AOR)内の陸軍部隊に兵站、財務管理、契約支援、人事サービスを提供している[48]

戦域陸軍(TA)は輸送、基地の建設と運営、重要インフラの評価、部隊の配備と再配置、米陸軍の前置集積事業の維持などを行う。例えば、戦域工兵コマンド部は、通信回線、海港、飛行場を建設、維持、評価できる戦域工兵旅団の指揮・統制(C2)を提供し、戦域全体および統合作戦地域(JOA)固有の任務に対する維持要件を確実に維持できるようにする。

グアテマラ軍との連携により、2020年11月8日、グアテマラのアルタベラパスで第228航空連隊第1大隊に所属する米軍CH-47チヌークから、熱帯低気圧イータの被災者を支援するための緊急物資を降ろす統合任務部隊-ブラボ。(写真:レイチェル・サルピエトラ米空軍大尉)

戦域後方支援司令部(TSC)は維持管理だけでなく、流通網の確立と維持も行っている。第1次戦域後方支援司令部(TSC)は2006年から米中央陸軍(USARCENT)を支援し、CENTCOM AORにおける「人と装備の移動を24時間365日維持するために必要な港、フライト、通関ポイント」を管理している[49]。第1次戦域後方支援司令部(TSC)は、20カ国において毎日4万食の食事、300万ガロンの燃料、750トンの貨物、13万5千通の郵便物を提供している[50]

戦域陸軍(TA)計画担当者と戦域医療司令部は、地理的戦闘軍指揮官(GCC)のためにAOR全域で医務、歯科、獣医学支援を提供し、調整する。さらに、同盟国やパートナーとの関係を活用し、基地、上空飛行、地位協定を確立する。これらの活動は、米陸軍が統合部隊と地理的戦闘軍指揮官(GCC)を支援するために陸上兵力を使用する環境を継続的に形成している。

限定的な不測事態対処作戦の遂行。戦域陸軍(TA)は、広範な任務を対象とする限定的な不測事態対処作戦(limited contingency operations)も遂行する。不測事態対処作戦(contingency operations)の成功は、同盟国やパートナーとの効果的な関与と、戦域を設定し維持する戦域陸軍(TA)の能力にかかっている。

戦域陸軍(TA)の緊急指揮所(CCP)は、対外人道支援(FHA)、対外災害救援(FDR)、文民当局の防衛支援、非戦闘員避難作戦、平和活動、CBRN対応などの限定的な不測事態対処作戦(limited contingency operations)を行う米陸軍または統合部隊に指揮・統制(C2)を提供するのによく適している。緊急指揮所(CCP)は、航空機による人員と装備の配備が可能で、最大で1個師団規模の部隊を指揮・統制(C2)することができる[51]

緊急指揮所(CCP)は、統合部隊陸上構成コマンド(JFLCC)または統合任務部隊(JTF)の指揮官を務めることも、他の統合部隊指揮官の下で活動することもできる。いずれにせよ、緊急指揮所(CCP)は参謀の増強と、戦域イネーブラからの支援を必要とする。

各戦域陸軍(TA)の緊急指揮所(CCP)は、さまざまな任務に対応できるように待機している。例えば、米北方陸軍(USARNORTH)は米軍北方軍の責任地域(AOR)の常設統合部隊陸上構成コマンド(JFLCC)として機能する。その緊急指揮所(CCP)は迅速に展開でき、統合、省庁間、州、連邦、および地元当局との統合を可能にする通信手段を備えている。戦域陸軍(TA)は、緊急指揮所(CCP)を戦域の前方に設置することもできる。米中央陸軍(USARCENT)は、2014年に生来の決死作戦(Operation Inherent Resolve:OIR)連合統合任務部隊(CJTF)の司令部を務めたように、責任地域(AOR)での演習や作戦のためにクウェートに緊急指揮所(CCP)を日常的に置いている。

戦域陸軍(TA)は、たとえ非寛容な環境であっても、対外人道支援(FHA)または対外災害救援(FDR)任務を指揮・統制(C2)することができる。例えば、米陸軍アフリカは当初、西アフリカで発生したエボラ出血熱への国防総省の対応を「ユナイテッド・アシスタンス作戦(Operation United Assistance)」の中で監督していた。当時、米アフリカ陸軍(USARAF)司令官であったダリル・ウィリアムズ(Darryl Williams)空軍少将は、統合部隊指揮官として活動した。

緊急指揮所(CCP)は「作戦環境の評価、関係構築、作戦開始、後続要件の特定、後続部隊のためのインフラ整備」を迅速に行い、作戦を確実に軌道に乗せることができた[52]

緊急指揮所(CCP)の中には、日常的に配備されているものもある。南方陸軍(USARSO)の緊急指揮所(CCP)は、特にハリケーン・シーズン中に高いレベルの即応性を維持する[53]。緊急指揮所(CCP)は、2010年と2021年の複数のハリケーン、熱帯低気圧、ハイチ地震の後、対外人道支援(FHA)と対外災害救援(FDR)を実施するために派遣されたことがある。

また、戦域陸軍(TA)の緊急指揮所(CCP)は、文民当局の防衛支援任務も行っている。米北方陸軍(USARNORTH)は、米国内の自然災害や人災に定期的に対応している。緊急指揮所(CCP)は、米連邦緊急事態管理庁(FEMA)の地域本部と連携する米北方陸軍(USARNORTH)の防衛調整部門など、連邦および州レベルの政府機関と長年の関係を有している。昨年、米北方陸軍(USARNORTH)はカリフォルニア州の大規模な山火事のディキシー・ファイヤー(Dixie Fire)に対する米国防総省(DOD)の地上での対応を支援・監督した。

ジョン・エバンス(John Evans)米陸軍中将は、「ディキシー・ファイヤー(Dixie Fire)を抑え、その脅威にさらされている人々を守るために、全米省庁間火災センターの活動を支援することは、我々の義務であり名誉である」と述べている[54]。米北方陸軍(USARNORTH)はまた、COVID-19との戦いにおける国防総省の取り組みのための統合部隊陸上構成コマンド(JFLCC)として、海軍と空軍の医療チームを監督する役割を果たした。戦域陸軍(TA)は、アフリカでのアシュアード・ガーディアン作戦(Operations Assured Guardian)やアフガニスタンの民間人を救出するアリーズ・リフュージ作戦(Operation Allies Refuge)など、非戦闘員避難作戦(noncombatant evacuation operations:NEO)も行うことができる。

また、平和維持活動の初期段階における司令部の役割も果たすことができる。不測事態対処作戦の指揮所任務は、米陸軍の陸上戦力ネットワーク(landpower network)を拡大し、間接的競争とナラティブ的競争を通じて影響力を獲得するのに役立つ。「各国は、どのパートナーがタイムリーで有益な支援を行ったかを記憶している」ため、米国は将来、競合相手に対する影響力を持つことができる[55]

戦域陸軍(TA)が遂行するすべての役割、機能、任務は、他の任務を相互に支援する。戦域陸軍(TA)が同盟国やパートナーに効果的に関与することで、敵国の能力と性能を向上させることができる。このような関与は陸上戦力のネットワークを拡大し、将来の作戦における米陸軍の影響力と選択肢を増加させる。

米陸軍は、ホスト国の施設に部隊がアクセスできるような支援協定を結ぶことで、確立された関係により、統合部隊の戦域をよりよく設定し維持することができる。例えば、米太平洋陸軍(USARPAC)はその太平洋パスウェイズ・イニシアチブを利用して、パートナーの軍事的有効性と統合部隊との相互運用性を向上させている。

米太平洋陸軍(USARPAC)がこの地域で不測事態対処作戦(contingency operation)を実施する必要に迫られた場合、より効果的なパートナーと、作戦を展開するための戦域がさらに確立されたことになる。これらの重複する任務によって、戦域陸軍(TA)は最終的に、地理的戦闘軍指揮官(GCC)と国の目標を支援するために、その責任地域(AOR)全体にわたる複雑な一連の作戦を監督することができる。

結論:Conclusion

将来の米陸軍と統合競争のコンセプトは、敵の侵略を抑止し、同盟国とパートナーを保証し、統合部隊のエスカレーションの優越を提供し、政策立案者に最大限の選択肢を与えることができる軍隊を求めるものである。このような将来の競争と一体化した抑止のコンセプト(integrated deterrence concepts)を、戦域陸軍(TA)ほど支持している組織はない。

前方展開されるこれらの調整が可能で多目的な司令部は、独自の部隊や戦域イネーブラとともに、武力紛争に至らない作戦で国家の勝利する能力に影響を与える、膨大な距離全体での行動を巧みに組織する。

戦域陸軍(TA)は、継続的な競争において米陸軍と米統合部隊のさらなる成功を可能にし、危機、武力紛争への移行、または紛争時に米軍が対応し勝利するための舞台を整えるものである。戦域陸軍(TA)は、同盟国やパートナーを巻き込んで陸上戦力ネットワーク(landpower network)を拡大し、全ドメインで米陸軍と米統合部隊の作戦を支援するために戦場を設定・維持し、影響力、アクセス、行動の自由(freedom of action)を高めるために限定的な不測事態対処作戦(limited contingency operations)に応じる。

太平洋での戦域設定、中東での多国間演習の遂行、カリフォルニアでの山火事対策、ラムシュタイン空軍基地での非戦闘員避難作戦の支援、南米での悪天候後の重要サービスの再建など、各戦域陸軍(TA)は日々、戦闘軍(combatant command:CCMD)の支援、敵対的優位性の排除、統合部隊の能力向上にしのぎを削っているのである。

戦域陸軍(TA)は、統合部隊とわが国が将来的に一体化した抑止(integrated deterrence)を達成するために不可欠な戦略的陸上戦力を提供する。

Epigraph. Lloyd J. Austin III, “Secretary of Defense Remarks at the 40th International Institute for Strategic Studies Fullerton Lecture (As Prepared)” (speech, International Institute for Strategic Studies, Singapore, 27 July 2021), accessed 29 November 2021, https://www.defense.gov/News/Speeches/Speech/Article/2708192/secretary-of-defense-remarks-at-the-40th-international-institute-for-strategic/.

ノート

[1] While the 2022 National Defense Strategy presents new concepts and terminology, this article uses the term “competition” as found in current Army and joint concepts to refer to Army and joint force operations and actions short of armed conflict.

[2] James C. McConville, The Army in Military Competition: Chief of Staff Paper #2 (Washington, DC: Headquarters, Department of the Army, 1 March 2021), ii.

[3] David G. Perkins, “Multi-Domain Battle: Driving Change to Win in the Future,” Military Review 97, no. 4 (July-August 2017): 9.

[4] U.S. Army Training and Doctrine Command (TRADOC), Multi-Domain Battle: Evolution of Combined Arms for the 21st Century 2025-2040 (Fort Eustis, VA: TRADOC, December 2017), 2.

[5] U.S. Joint Chiefs of Staff, Joint Concept for Integrated Campaigning (Washington, DC: U.S. Joint Chiefs of Staff, 8 March 2018), vi.

[6] Joint Doctrine Note 1-19, Competition Continuum (Washington, DC: U.S. Joint Chiefs of Staff, 3 June 2019), 5.

[7] Ibid., 8–9.

[8] See Office of the Secretary of Defense, Summary of the 2018 National Defense Strategy of the United States of America (Washington, DC: Department of Defense, 2018); U.S. Joint Chiefs of Staff, Joint Concept for Integrated Campaigning.

[9] TRADOC Pamphlet (TP) 525-3-1, The U.S. Army in Multi-Domain Operations 2018 (Fort Eustis, VA: TRADOC, 6 December 2018), vii.

[10] TP 525-3-8, U.S. Army Concept: Multi-Domain Combined Arms Operations at Echelons Above Brigade 2025-2045 (Fort Eustis, VA: TRADOC, 6 December 2018), 32.

[11] Ibid., 52.

[12] James C. McConville, Army Multi-Domain Transformation: Chief of Staff Paper #1 (Washington, DC: Headquarters, Department of the Army, 16 March 2021), 15–19.

[13] Ibid., 23–24.

[14] McConville, Chief of Staff Paper #2, 1.

[15] Ibid., 2–5.

[16] Joint Publication (JP) 3-31, Joint Land Operations (Washington, DC: U.S. Government Publishing Office [GPO], 3 October 2019), II-10.

[17] See 10 U.S.C. § 7013 (1956); Army Regulation (AR) 10-87, Army Commands, Army Service Component Commands, and Direct Reporting Units (Washington, DC: U.S. Government Printing Office, 4 September 2007); Department of Defense Directive (DODD) 5100.01, Functions of the Department of Defense and Its Major Components (Washington, DC: U.S. Government Printing Office, 21 December 2010); DODD 5101.1, DoD Executive Agent (Washington, DC: U.S. Government Printing Office, 3 September 2003).

[18] See 10 U.S.C. § 7013; Army Techniques Publication (ATP) 3-93, Theater Army Operations (Washington, DC: U.S. GPO, August 2021), 4-1–4-2. The ten responsibilities that a theater army performs are: organizing, supplying, equipping, training, servicing, mobilizing, demobilizing, administering, outfitting and repairing military equipment, and “the construction, maintenance, and repair of buildings, structures, and utilities and the acquisition of real property and interests in real property necessary to carry out the responsibilities specified in this section.”

[19] JP 3-0, Joint Operations (Washington, DC: U.S. GPO, 22 October 2018), V-4.

[20] Nicholas R. Simontas, “In Defense of the Theater Army,” Military Review 97, no. 5 (September-October 2017): 32.

[21] Richard M. Swain, “Lucky War”: Third Army in Desert Storm (Fort Leavenworth, KS: U.S. Army Command and General Staff College Press, 1991); Donald P. Wright and Timothy R. Reese, On Point II: Transition to the New Campaign (Fort Leavenworth, KS: Combat Studies Institute Press, 30 June 2008).

[22] Field Manual (FM) 3-94, Armies, Corps, and Division Operations (Washington, DC: U.S. GPO, July 2021), 3-9.

[23] ATP 3-93, Theater Army Operations, 2-1–2-2.

[24] AR 10-87, Army Commands, Army Service Component Commands, and Direct Reporting Units, 2.

[25] FM 4-0, Sustainment Operations (Washington, DC: U.S. GPO, July 2019), 2-19.

[26] Department of Defense, “Welcome to DoD Executive Agent Program,” Department of Defense Executive Agents, accessed 29 November 2021, https://DOD-executiveagent.osd.mil/Agents/Search.aspx?catId=46&psaId=46&op=Or.

[27] ATP 3-93, Theater Army Operations, 1-3.

[28] FM 3-22, Army Support to Security Cooperation (Washington, DC: U.S. GPO, January 2013), 3-1.

[29] McConville, Chief of Staff Paper #1, 16.

[30] JP 3-0, Joint Operations, VI-3.

[31] Tim Devine, “The Theater Army and the Consequence of Landpower for the Indo-Pacific,” Military Review 101, no. 6 (November-December 2021): 11.

[32] “State Partnership Program,” U.S. Africa Command, accessed 29 November 2021, https://www.africom.mil/what-we-do/security-cooperation/state-partnership-program; “State Partnership Program in Latin America and the Caribbean,” U.S. Southern Command, accessed 29 November 2021, https://www.southcom.mil/Media/Special-Coverage/State-Partnership-Program-in-Latin-America-and-the-Caribbean/.

[33] Mekayla Pierre, “USEUCOM Exercises and Activities Strengthen Unity with Allies and Partners,” U.S. European Command, 23 June 2021, accessed 29 November 2021, https://www.eucom.mil/pressrelease/41395/useucom-exercises-and-activities-strengthen-unity-with-allies-and-partners.

[34] McConville, Chief of Staff Paper #2, 19.

[35] Robert Martin, “Class of 2022 International Fellows Welcomed to the War College,” U.S. Army War College, 6 July 2021, accessed 29 November 2021, https://www.armywarcollege.edu/News/archives/14094.pdf.

[36] JP 3-20, Security Cooperation (Washington, DC: U.S. GPO, 23 May 2017), I-2–I-4.

[37] Jen Judson, “Post-Afghanistan, the US Army Wants to Carve out its Role in the Pacific,” Defense News, 11 October 2021, accessed 29 November 2021, https://www.defensenews.com/digital-show-dailies/ausa/2021/10/11/post-afghanistan-the-us-army-wants-to-carve-out-its-role-in-the-pacific/.

[38] Leanne Thomas, “U.S. Army South Co-Hosts Second Multilateral Border Security Conference in Manaus,” U.S. Army South, 4 October 2021, accessed 29 November 2021, https://www.arsouth.army.mil/News/Article-Display/Article/2798424/us-army-south-co-hosts-second-multilateral-border-security-conference-in-manaus/.

[39] Tim Hanson, “USASAC Leads Charge in Foreign Military Sales for the U.S. Army,” Army.mil, 25 March 2021, accessed 29 November 2021, https://www.army.mil/article/244660/usasac_leads_charge_in_foreign_military_sales_for_the_u_s_army.

[40] Michael Hartmayer and John Hansen, “Security Cooperation in Support of Theater Strategy,” Military Review 93, no. 1 (January-February 2013): 29.

[41] H. Clint Kirk IV and Armando Hernandez, “Access to Africa: Setting the Theater for Long-Term Strategic Success,” Association of the United States Army, 18 October 2017, accessed 29 November 2021, https://www.ausa.org/articles/africa-setting-theater-strategic-success.

[42] Joseph John Shimerdla and Ryan Kort, “Setting the Theater: A Definition, Framework, and Rationale for Effective Resourcing at the Theater Army Level,” Military Review 98, no. 3 (May-June 2018): 61.

[43] ATP 3-93, Theater Army Operations, 5-4.

[44] Lisa M. Litchfield, “USACAPOC(A) and Interoperability in MDO at JWA,” U.S. Army Reserve, 4 August 2021, accessed 29 November 2021, https://www.usar.army.mil/News/Article/2720101/usacapoca-and-interoperability-in-mdo-at-jwa/.

[45] U.S. Joint Chiefs of Staff, Joint Concept for Operating in the Information Environment (JCOIE) (Washington, DC: U.S. Joint Chiefs of Staff, 25 July 2018), vii–ix.

[46] McConville, Chief of Staff Paper #1, 12.

[47] Sydney J. Freedberg Jr., “Army’s Multi-Domain Unit ‘A Game-Changer’ in Future War,” Breaking Defense, 1 April 2019, accessed 29 November 2021, https://breakingdefense.com/2019/04/armys-multi-domain-unit-a-game-changer-in-future-war/.

[48] ATP 3-93, Theater Army Operations, 5-5.

[49] “1st Theater Sustainment Command: First Team! ,” 1st Theater Sustainment Command, 21 November 2017, accessed 29 November 2021, https://www.1tsc.army.mil/Portals/35/documents/20171121%20-%201st%20TSC%20Fact%20Sheet%20One%20page.pdf?ver=2018-07-26-143643-780.

[50] Ibid.

[51] ATP 3-93, Theater Army Operations, B-1.

[52] Joint Staff J-7 Joint and Coalition Operational Analysis (JCOA), Operation United Assistance: The DOD Response to Ebola in West Africa (Suffolk, VA: Joint Staff J-7 JCOA, 6 January 2016), 6, accessed 7 December 2021, https://www.jcs.mil/Portals/36/Documents/Doctrine/ebola/OUA_report_jan2016.pdf.

[53] Ashley Dotson, “US Army South Prepares for Hurricane Season,” Army.mil, 16 August 2020, accessed 29 November 2021, https://www.army.mil/article/238181/us_army_south_prepares_for_hurricane_season.

[54] Lauren Padden, “ARNORTH Concludes Military Wildland Fire Ground Response Operation in California,” U.S. Army North, 29 September 2021, accessed 29 November 2021, https://www.arnorth.army.mil/Media/News/Article/2792941/arnorth-concludes-military-wildland-fire-ground-response-operation-in-california/.

[55] McConville, Chief of Staff Paper #2, 17.