インドは更なる米国装備を求めているが、制裁の枠組みの懸念を残す
掲載:2019年6月26日
作成:フォーキャストインターナショナル(FI)社
投稿:Daniel Darling FI社アナリスト
(この論評は米国人のアナリストが米国内に向けて出したブログです)
インドは更なる米国装備を求めているが、制裁の枠組みの懸念を残す
インドは、今後数年間で、推定価格およそ100億ドルの米国との防衛調達契約をまとめる準備をしている。
将来の要求は、米国の制裁措置が暗い影を落とす状況を背景に展開するだろう。
アメリカの敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)案は、2017年8月2日に大統領のトランプによって署名され法として成立、国々をロシアの兵器システムの購入から阻止する事を目指している。
この制裁体制は、伝統的にロシアとの武器協定および譲渡を行ってきたアメリカの同盟国にとって特に厄介なものである。
制裁体制の下では、CAATSAに概説されている個人または団体との相当な規模の取引を行う第三者は、懲罰的制裁に対して責任を負う事になる。
その結果、米国に対して保有する金融資産の価格変動リスク割合が大きいインドの銀行は、ロシアへの支払いおよび分割払いを一時停止することを選択した。
これにより、インドとロシアサイドに、外貨とルピー・ルーブルの資金振り替えの組み合わせによりロシアの軍事装備品の供給を進めるために制裁を回避するロードマップを考案する方向に導いた。
伝統的にロシア兵器の補給線を使って軍を武装させてきたインドにとって、突きつけられた米国―ロシアの状況は、異常なフラストレーションを呈している。
1960年代初頭から今日まで、インドは約650億ドル相当のロシア軍兵器を購入してきた。
ロシア製装備はインド軍で主用装備であり、全ハードウェアの60%以上がロシアオリジナル製である。
インド国防総省が米国からのボーイングP8Iネプチューン長距離海洋多用途航空機10機の追加調達を含むプロジェクトをクリアしたが、―他にも並ぶものがあるが、―2018年10月に完了した50億ドル以上契約の下、ニューデリーがS-400 トリウームフ自走式地対空ミサイル(SAM)システムを5機調達したことは難しい問題として残って居る。
インド当局者は、米国決議のテストケースとしてトルコ政府がS-400を買収したことについて、現在進行中のトルコと米国の紛争に注目していることに疑いはない。
しかしトルコの場合は、すでにF-35 Joint Strike Fighterプログラムに参加しており、最大100機の第5世代ステルス戦闘機を獲得することを見据えていたという点で異なる。
米国の南部及び中央アジア担当主席次官補アリス・ウェルズ氏が米下院外務小委員会の6月の会合でインドのS-400の取得が米国との相互運用性の向上させるための国の能力を実際的に制限する可能性があると述べた。S-400の購入に適用されるため、包括的な国家免除はないと彼女は付け加えた。
しかし、米軍との相互運用性とCAATSAの免除を受けることは、2つの異なる点を表している。
インドでは、軍用装備品の供給の多様化と外交政策の非同盟が長年一般的なものとして存在している。
後者は容易に維持されるかも知れないが、購入者が第三者に一方を選択するよう圧力をかけられると前者は困難になる。
インドが申し出た10ユニットのP-8I購入―これは2009年に8ユニットの注文を補完し、2020年から2021年の間に納入予定の2016年の4ユニットの追加要求―に30億ドルかかると予想される。
インドはまた、24機のMH-60R Romeo Seahawk海軍ヘリコプター、NASAMS-II、および6機の追加のApache攻撃ヘリコプターの購入を準備している。
これらやその他の調達は、2027年までインド政府によって追及される2,300億ドル相当の武器やシステムの一部の支払いのより大きなものの一部である。
S-400システムのインドでの最初の納入は2020年に予定。そのユニットが引き渡されると、CAATSA制裁措置が発動される。
それゆえ、インドとロシアの防衛協力の解除に対するワシントンの希望は現実的ではないので、インドとアメリカが合意を形成するのに時は刻々と過ぎつつある。
(黒豆芝)