米海兵隊のドクトリンを読む③ MDCP 1-3 Tactics その4
第4章 迅速であること:Chapter 4 Being Faster
「すばやく打て、厳しく打て、正しく打ち続けろ。敵に敵部隊を強化し、あなたの背中を討つ余裕と機会を与えるな[i]」
-ホランド・M・スミス
「歩兵にとって本当に効果的なのは・・・・敵が考えると同じく軽快になること・・・。移動性が、とりわけ武力の対決で必要である。素早くて機敏な移動さらに迅速と知的な戦術的柔軟性は、真の要点である[ii]」
-ジョン・A・イングリッシュ
通常、兵器について考えることは、個人のライフルまたはピストル、部隊の機関銃と迫撃砲、または、航空機はミサイル、爆弾または砲について考えることを意味する。兵站担当者は兵器がトラック、ブルドーザーとパワーショベルを含むと認識するだろう。一部の海兵隊員は、歩兵、パイロットと兵站担当者のために同時に優位性(advantage)を生み出す彼らの最も強力な兵器の一つを見落している。その武器は、スピードである。
戦闘におけるスピード:SPEED IN COMBAT
スピードが兵器であるとはどういうことか?もう一度スポーツについて考える。ホッケーでのブレークアウェイは武器としてスピードを利用する。氷上で素早くパックをパスすることによって、チームは相手がディフェンスを構成する偶然(chance)を拒否する。スピードは、組織化された方法で反応する相手の実力(opponent’s ability)を回避する。バスケットボールでの速攻は、同じ結果を求める。二つ又は三つのパスで、相手の全員が反応する前に、ボールは相手コートにあり得点する。
スピードのこの結果は、たいてい当面の到達目標を越えて到達する。何度、我々はインバウンドしたボールを奪い、そして、直ぐに再び得点し、そして、さらに三度も、速攻で得点するチームを見たか?彼らは落ち着きを取り戻すことができないために、速攻の犠牲者はラリーの犠牲者になる。この犠牲者は、信頼(confidence)を失う。パスは、迷い、合図は混乱し、怒りが燃え上がり、口論が起こる。このラリーで総崩れになる。この攻囲されたプレーヤーは、間違いなく敗北を見る。彼らはコート上で実質的に何もできない羽目になる。
この同じことは、戦闘において起こすことができる。一貫して敵より早く移動し、行動できる大隊、戦闘機または兵站車列は強力な優位性(advantage)を有する。
1943年6月の、サイパンの会戦におけるホランド・スミス将軍の積極的な、精力的な戦術は、日本軍の守備を破る際に著しく成功することを証明した。スミス将軍のサイパンの戦術計画は、「より良く地上での攻撃を推し進めるために予備部隊による掃討のための強力な抵抗拠点を回避して・・・・敵に絶え間ない圧迫」を適用することを要求した[iii]。長い間、水陸両用作戦(amphibious operations)におけるスピードの価値を教え込まれ、スミス将軍の迂回戦術は、日本軍の固定化した防御を続ける日本軍を極度の戦術的不利(tactical disadvantage)な立場に陥れた。これらの戦術は、日本軍の防御を孤立させ減殺することで、とても効果があることを証明した。スミス将軍のスピードの使用は力の増殖器のように役に立った、そして、海兵隊負傷者をも減らした。
英国空軍(British Royal Air Force)は、第二次世界大戦のバトル・オブ・ブリテン(the Battle of Britain)において、速やかに英国空軍の撃墜されたパイロットを回復させ、基地に彼らを戻し、新たな航空機を配置し、再度午後に闘えるようにしたことによってある程度ドイツ軍を負かした。撃墜されたドイツ人のパイロットは簡単には回復できず、そしてドイツ空軍は交換に必要な長距離航空機は少なかった。最終的には、ドイツ軍のパイロットと航空機の損失は、ドイツ軍に昼間の爆撃を断念し、精度に欠ける比較的効果のない夜間の攻撃を強いることになった。
偉大なリーダーは、戦闘におけるスピードの価値を何度も述べた。「私は会戦を失っても、私は時間を失うことはない」と、ナポレオンが語っている[iv]。ネイサン・ベッドフォード・フォレストは彼の多くの勝利の秘密を教える。「最初に出会った時に奪え[v]」「会戦の大事な日が来たら、訓練を思い出し、他の何よりも攻撃のスピードと暴力が成功への確かな道であるのを思い出せ[vi]」と、パットン将軍は1943年に語っている。歴史の名将は様々な点で異なるが、彼らに共通するのは、スピードの重要性のセンスであった。
1983年の「アージェント・フュリー(Urgent Fury、押さえ切れない憤怒)」作戦に、第8連隊第2大隊上陸チームの海兵隊員は、彼らの指揮官(レイ・スミス中佐)が訓練したように速く行動した。彼らがグレナダ陸軍の作戦将校を捕獲したとき、その作戦将校は「あなた方は、我々が予期しなかったとても多くの場所にとても迅速に現れ、抵抗が絶望的であることは明確であった、それで、私は、私の上司に我々の武器を置き、隠れるよう勧めた[vii]」と彼らに話した。あなたが兵器として使用できるのはスピードである。
スピードとは何か?WHAT IS SPEED?
「スピードとは何か?」、単純な答えがあるように見える。スピードは、速く進むことである。毎時数マイル以上で車を運転する時、我々が考えるスピードである。
これは、同様に戦術における答えの一部である。我々は、敵に対して主導性と優位性(advantage)を獲得するためにスピードを利用する。たとえば、戦車大隊が攻撃するとき、戦車は地上をできるだけ早く進む。バルク将軍は、ロシア軍戦車は彼らの攻撃において第二次世界大戦において地形を利用したかどうかを尋ねられた。将軍は、地形を利用したけれども、より多くスピードを利用したと答えた。この質問者は続けて「どちらが、防御するのに難しいか?」と問うと、「スピード」と、バルク将軍が答えた[viii]。
物理的スピード-毎時マイル以上で移動する-は、本来強力な兵器である。敵への我々の接近に関して云えば、移動のスピードは、敵の反応時間を減らす。我々が、敵の回り又は敵を通り抜けるとき、敵が反応できるより速く状況は変化する。一度我々が敵を通り過ぎれば、敵の見当違いな反応を生む。全ての3つのケースでは、スピードは、敵-特に敵の心理-に対して、恐れ、ためらいと無力を負わせるという影響を与える。思い出しなさい。敵の心理を攻撃することは機動戦(maneuver warfare)の中心的な信条である。
スピードと時間:SPEED AND TIME
軍事的な感覚では、単純に速く進むというスピード以上に、迅速に行動することと無謀に行動することとの間に極めて重要な違いがある。時間については、我々はタイミングと密接に関連する要因を常に考えなければならない。スピードと時間は、密接に関連している。実際、スピードは時間に関して定義-マイル/毎時またはキロメートル/毎時-される。戦術では、これが意味するものは、時間が常に最大の重要なものであるということである。行動する時に費やすことができない時間は、効果的に行動する方法について考えることに費やさなければならない。
我々は敵と交戦状態にあるときでも、我々は常に速く移動しない。時々、我々はまったく移動しない。それにもかかわらず、全ての瞬間は、我々が座ったままでいる時でさえ、最大に重要なままである。行動を計画するのに1日費やす大隊参謀は1時間使う人より明らかに遅い。燃料補給のために3時間を費やす戦車大隊は、2時間費やす人よりも遅い、同じように100マイル毎の燃料補給は、200マイル毎の燃料補給より遅い。一旦、目標を取った後に食事のために座った中隊は、迅速に敵奥深く押し進んだ者より遅い。1日に航空機を3ソーティだけ飛行する戦闘機戦隊は、敵に対する効果において、6ソーティ飛行するより遅い。損害を受けた車両を修理して活動に戻すのに2日を費やす維持整備チームは、敵に対する効果において、一晩中それを行うことができるものより遅い。
時間を最大限使用することは、我々が移動する時に単に早くなるように戦闘でスピード出すために重要である。このことは、参謀として仕えるか、部隊-飛行機部隊、戦闘戦務支援部隊、地上戦闘部隊、すべて-内で仕えるかに関わらず重要である。良い戦術家は、一定の緊張感を持つ。我々は我々が何もしていなければ気がとがめる。我々は時間を決して浪費しない、そして、我々は事象が起きるテンポに決して満足していない。「より速く!より速く!」と、我々が我々自身に、そして、他の人に常に言う。スピード、そして時間が兵器であることを我々は知っている。
タイミング:TIMING
我々はテンポを生み出すために、スピードを活用し時間を使う。テンポは、単に、最も速く行動する、または、最も早い機会という事ではない。それはタイミング-適切な時間に行動する-という事でもある。
タイミングは戦闘のリズムについての認識を必要とするので、我々は我々の優位性(advantage)のため、そのリズムを活用することができる。常にピークのテンポで作戦することは物理的に不可能である。たとえ我々が資源の経済的使用を通して作戦サイクルを拡大することができるとしても、我々はトップ・スピードで際限なく作戦することができない。我々は兵員を休ませなければならず、我々の補給品を補充しなければならない。技能のテストは、状況が要求する速いペースを作り出し、維持することが出来、そして、我々が傷つくことのない時に回復することができる。
タイミングは、何時行動すべきかと同様に重要なこととして、何時行動すべきでないことを知っていることを意味する。スピードは重要な戦術的兵器であるが、それは、より良い時期の到来の状況である。我々の作戦コンセプトが牽制(diversion)を含んでいるならば、我々は牽制(diversion)を行うための時間を可能にする必要がある。我々が敵のために待伏せを仕掛けたならば、我々は敵が完全に罠に納まるための時間が必要である。状況がまだ成形中であるならば、我々が行動方針に関わる前に更にそれを開発することを望むだろう。たとえば、守備側によって一般に起きる誤り(error)は、あまりに早い逆襲(counterattacking)である。それで、敵は遮断したり包囲されたり破壊されるよりはむしろ単に押し戻されるだけになる。決定的な行動は我々の到達目標である、そして、それは妥当な瞬間に生ずるように調節されなければならない。
行動するために時間があり、他に舞台を整え、待つ時間がある。行動しないことの決心からの利益は、後々の関与のための貴重な資源とエネルギーを節約するということである。一部のリーダーは、一定の、優先度の無い活動に、彼らの部隊のエネルギーを浪費する。全ての活動は任務を支えない。部隊のエネルギーは簡単に補充されないので、決定的な到達目標(decisive goals)だけに向けて消費される貴重な資源として取り扱われなければならない。
相対的なスピード:RELATIVE SPEED
早く進み、そして、効率的にするという時間の使用は、ふたつとも「スピードとは何か?」という答えである。しかしながら、何か他のものが考慮されなければならない。それは敵である。戦争のすべてにおいて、スピードは相対的である。スピードは我々が敵より、より速く行動する場合だけ軍事的に意味がある。我々は、敵を遅くすることによって、または、我々自身のスピードを増大することによってそうすることができる。
1982年のフォークランド諸島の会戦において、英陸軍はゆっくり移動した。地形は難しく、天候はひどく、装備品の多くを兵員の後方に動かす必要があった、すべてのものが英陸軍の速度を落とした。にもかかわらず、英陸軍は、アルゼンチン軍-初期の配置についたら基本的に動かなかった-より彼らのほうが、より速く移動したのでスピードではまだ優位性(advantage)を有していた。相対的なスピードのその優勢は、英陸軍が戦役を通して主導性を維持することを可能にした。
スピードの維持:CONTINUING SPEED
一貫して、相対的なスピードの優越は、時間を経ても継続しなければならない。我々が動いていない時には敵に優位性(advantage)、主導性を渡すことになるので、敵より速く動くだけでは十分ではない。ほとんどの部隊は断続的なスピードの連発を管理することができるが、連発の間に回復するための考慮すべき間は停止しなければならない。停止している間、彼らは彼らの優位性(advantage)を失いそうになる。我々は我々がフルスピードで無期限に作戦することができないことを認識し、そして、課題は一貫して敵より速いことである。
スピードを維持するための一つの方法は、諸兵種連合の効果を利用することである。歩兵または乗車部隊は機動、再補給、又は回復のために一時的に接触を断たなければならない時、航空機または砲兵で圧迫を続けることができる。機動は無制限に維持することができないが、勢い(momentum)は敵を常に不利な立場(disadvantage)にし続ける諸兵種連合効果の巧みな計画策定によって維持できる。
ここでは、兵站のスピードが決定的になる。物理的な消耗が要因となるけれども、停止は兵站によって再び駆動される。地上または飛行機部隊は、装備修理、維持と再補給のために停止しなければならない。支援諸部隊は彼らが必需品を供給することができて、すばやく維持を遂行することができるならば、スピードの損失を最小にすることができる。したがって、彼らは敵が主導性を得る前に戦闘部隊が移動することを可能にする。
スピードと変化:SPEED AND CHANGE
一貫して敵より速く行動するために、すばやく移動することが必要である。それは、一つの行動からもう一つの行動まで迅速に転移する(rapid transitions)ことが必要でもある。戦闘には転移(transitions)の多くの型がある一方で、覚えておくべき重要なものは転移(transitions)が摩擦(friction)を生み出すということである。摩擦(friction)の削減は、摩擦(friction)が転移(transitions)の間際に作り出すテンポの損失を最小にする。他の部隊より、より速く、より滑らかに転移(transitions)をすることができる部隊は、より大きな相対的なスピードを持つと云われる。
18世紀には、速い転移(fast transitions)-時には、機敏さ(agility)と呼ばれる-の重要性は縦隊隊列から横隊隊列に転換するときに示される。もし軍が横隊に迅速に展開することができなく、結果として、交戦状態にまだ縦隊のままで入った場合は、それはたいてい叩かれてしまう。多くの教練(drills)はこの難しい転移(transitions)を行うことに専念され、それによって戦闘において迅速に達成できる。今日、我々は部隊を、休止することなく一つの隊形からを他の隊形に迅速に転移させる会戦教練(battle drills)の熟練度と迅速な行動教練(action drills)を開発する。
それは同様に組織が効果的に迅速に変化できることは重要である。迅速に変化する会戦の状況に基礎を置く組織編成において、要求される変化を効果的に達成することは機敏さを増大し、反応時間を減少させる。会戦教練(battle drills)とリハーサルは、迅速に変化する組織にとっての手続きを円滑にすることができる。これらの転移(transitions)が、より速く出来るほど、部隊は、より効果的になる。
転移(transitions)が生ずる時間と空間のこの場所は、摩擦点(friction point)と名づけることができる。戦術で一般に遭遇される摩擦点(friction point)は、集結地域から攻撃地域へ、パトロール移動隊形から待伏せ態勢へ、防御的態勢から攻撃態勢へ、ある機動から他の機動へ、その他の移動することを含む。この転移(transitions)は、単に位置の変化と教練(drills)だけでなく海兵隊員の心(minds of Marines)における態度の変化を含む。我々は、我々の精神的な焦点を一つの移動からもう一つの移動に移行しなければならない。
速い転移(fast transitions)の重要性の最新の例は、航空戦闘から得られる。朝鮮戦争では、米軍パイロットは、彼らの北朝鮮で中国軍の相手に対して約10:1の高い殺傷比率を達成した。一見して、これはやや驚くべきである。敵の主要戦闘機(Mig-15)は、多くの重要な点で米軍のF-86より優れていた。それはより速く上昇し加速できた、そして、それはより良い維持された旋回率を持った。しかしながら、F-86は、決定的な-しかしあまり明白でない-二点で、MiGより優れていた。第一に、強力な水圧コントロールを持っていたので、F-86は一つの機動からからもう一つの機動までMiGより早く転換することができた。第二に、そのバブル風防のため、F-86パイロットはより良い視界を持った。このF-86より良い視野は、より良い状況認識(situational awareness)を与えて、そのうえパイロットをよりすばやく変化する状況を理解することを可能にすることで速い転移(fast transitions)に貢献した。
米軍パイロットは、これらの二つ優位性(advantage)に基づく新たな戦術を開発した。彼らがMiGと交戦状態に入ったとき、彼らは一連の機動を通してそれらを思い出すよう求めた。機動におけるF-86の、より速い転移(transitions)は、パイロットが位置的優位性(position advantage)に変換する時間的優位性(time advantage)を与えた。たいていMiGパイロットが起きていることを認識したとき、彼らはパニックを起こし、それによって全て米軍パイロットの仕事をより容易にした。
これらの戦術は、速い転移(fast transitions)が全体的なスピードと時間的優位性(time advantage)に貢献する方法を例示する。より広い意味での時間とスピードのこの重要性は、ジョン・ボイドの努力でもたらされた。米空軍の元大佐であるボイドは様々な会戦(battles)、戦役(campaigns)と戦争(wars)の歴史を学んだ。彼は数値的に劣った部隊が彼らの相手を破ったことと、彼らが突然、予期しない変化、または一連の変化などの他の側面を示すことでそうしたことに注目した。優越した部隊は適時の方法で変化に適応することができなかったので犠牲になった。一般に、勝者は比較的小さなコストで打ち破ることが出来た[ix]。
この研究は、紛争を観察-指向-決心-行動(OODA)の時間の競争的サイクルとして見るボイド理論を導いた。第一に、紛争へのそれぞれの部隊は、彼自身、彼の環境、彼の敵を観察することによって小競り合い(fray)に入る。戦術では、これは本能としての狩猟の採用、捜すこと、積極的に見ること、敵を捜し出すこと、そして、敵が何を行っているか、行おうとしているか見ること、と同等に考える。それも、敵の心の中に入り込んで敵の次の動きを予期することを含む。
第二に、それらの観測に基づいて、戦闘員は、状況、つまり、状況のメンタル・イメージを生み出して、状況認識(situational awareness)を獲得すること、を指向する。この認識は、計画を立てるため基盤になる。一般に、指向が、より良いほど、計画はより良い。
次に、この指向に基づいて、戦闘員は行動方針を決める。この決心は、部下の間で彼らの計画策定と実行のために普及することができる計画に開発される。
最後に、戦闘員は行動するか、決心を効果に変える。戦術では、これは決心または計画が実行される実行フェーズ段階である。この行動が状況を変化させたときは、戦闘員が再び観察し、そして、新たにサイクルを開始する。ボイドのサイクルは、別名OODAループである。
このボイド理論は、言葉「機動(maneuver)」を定義するのを助ける。それは一貫して我々の相手より速いことを意味する。我々の最初の行動で敵が観察し、指向するので、我々の第二の行動として、観察し、指向し、決定し、行動しなければならない。我々が第三、第四、第五の動きを行うことで、我々の行動と敵の反応の間の時間的間隔はますます広がる。我々の敵は、パニックを起こし、追いつくことに遅れをとる。敵が我々の侵入に反応しようと努力すれば、我々は敵の予備と指揮統制を攻撃する。敵が敵の移動予備で逆襲すれば、我々はヘリボーン部隊で回避する。敵が行うことすべては、あまりに遅れることになる。
したがって、「スピードは、何か?」という質問への軍事的な答えは単純でない。それにもかかわらず、それは戦術のすべての側面にとって中心的である。ジョージ・パットン将軍は、「小さな作戦では、大きな場合のように、スピードは成功の不可欠な要素である[x]」
我々は、急ぐことでスピードを混乱しないために慎重さも訓練もしなければならない。パットン将軍は、この観測を得た。
性急(haste)とスピード:これらの二つ言葉には大きな違いがある。性急は、部隊が適当な偵察がなく、適当な支援射撃の用意がなく、そして利用可能なすべて人が揃う前に関与する時に存在する。このような攻撃の結果は、行動する部隊を早めに得るが、行動をとてもゆっくりとしたものにする。
スピードは必要な偵察をし、適当な砲兵[の支援]を与え・・・・すべての[利用可能な]人を揃えることによって獲得され、それで予め定められた計画による攻撃を始める時に火力に要する時間が最低限に減らされる[xi]。
より速くなること:BECOMING FASTER
今、我々は明らかにスピードの重要性を確認する。我々は、速いことを望む。どのように、我々はそれを行うか?
我々は時間の重要を認識することによってスタートする。海兵隊員のリーダーとして、我々はことを速く起こすことの責任を持つ。時間の、緊急の重要性の我々の感覚は、我々の行動を指示しなければならない。我々は心の中でそのセンスを生み出して、構築するために働かなければならない。
一旦、我々がそれを持つならば、スピードを増大するために、我々が行うことができる多くのことはそこにある。第一に、我々はすべてを単純にし続けることができる。単純さは、スピードを助長し、複雑性は、ものを遅くする。単純さは、我々の計画、我々の参謀(大きな参謀は、戦争の最も偉大な時間の消費者の一つである)、我々の指揮統制と我々自身の行動にとって中心的でなければならない。
第二に、スピードは分権化(decentralization)を通して増大される。分権化(decentralization)は、機動戦(maneuver warfare)の実行の重要なコンセプトである。どのようにして、コントロールを維持しながら我々は分権化(decentralization)を達成するか?我々は、努力の必要とされたコントロールとその実行の分権化(decentralization)を与える二つ主要なツールを使う。これらのツールは、任務戦術(mission tactics)と指揮官の意図(commander’s intent)である。
任務戦術(Mission tactics)は、任務はどのように完成していなければならないかを特定することのない部下への任務の割当てである。それは、機動戦(maneuver warfare)の鍵となる信条である。任務戦術(Mission tactics)において、より上級の指揮官は任務を述べて、その目的を説明する。隷下の指揮官は、任務と上級指揮官の意図(higher commander’s intent)に基づくタスクを達成するために必要な戦術を決定する。このようにして、それぞれのリーダーは、指揮系統を通じて情報(information)を上げ、命令が下るのを待つことなく状況の変化に応じて、すばやく行動することができる。スピードは、この分権化(decentralization)プロセスによって大いに増大される。ジョン・A・イングリッシュの著書「歩兵について(On Infantry)」によると、分権化(decentralization)は現代の戦争の最も重要な特徴の一つである。「今日の混乱しほぼ混沌とした戦場環境では、最も小さな集団は、特に決定的瞬間においてもおそらく集合し続けるだろう[xii]」とイングリッシュは書いた。このような周囲の事情(circumstances)では、個人は、目的についての知識または彼らのタスクの背景となる意図で武装され、成功に彼らを導くことができる彼らのリーダーの周りに集まる。
この指揮官の意図(commander’s intent)は、任務戦術(Mission tactics)を通して指定されるタスクを達成するために全体にわたる目的を与える。周囲の事情(circumstances)は変化するだろうが、目的を達成するための意図と行動を明確に理解する部下は、自分達だけで努力の拡散の危険を冒し、またはテンポを損失することなく変化する環境に適応することができる。隷下の指揮官は、上級指揮官の承認を得てすべての決心を走らせるよりむしろ、他の部隊と横の調整をし、彼ら自身の主導性で、この任務を運ぶことができる。
より速くなるための第三の道は経験(experience)である。経験は、スピードを産む。経験は、部隊に他の経験しなかった部隊よりも優位性(advantage)を与える。これは、ベテラン部隊が、若々しい、試されてない部隊より通常大いに早い理由である。我々が状況をよく知っているか、少なくとも何を予想するべきかについて一般に知っているならば、我々は考えることができて、行動して、より速く移動する。平時には、我々の海兵隊員は、おそらく戦闘のベテランでない。まだ、我々は彼らに戦術的決心ゲーム(tactical decision games)、砂盤訓練(sand table exercises)、ウォーゲーム、野外演習とリハーサルを通じて経験を与えることができる。これらと訓練の他の方式は、戦闘のストレスと混同を減らすのを助ける。
より速くなるのに我々を助ける経験のもう一つの方法は、暗黙のコミュニケーション(implicit communications)を用いることである。暗黙のコミュニケーション(implicit communications)は、ほとんど現実に話すか書くことを必要としない意思疎通である。たとえば、二人の中隊長は、お互いに調子が良いのを知っている。彼らは、彼らの大隊長が確立されたSOP(standing operating procedures)を持っているので、戦争へのアプローチに関して教育された隷下の指揮官も同様に考える。したがって、どのように他はおそらく、多くの異なる状況で反応することであるだろうとお互いに知っているから、B中隊長はたいてい行動においてC中隊長と話す必要はない。もしB中隊長が機会を生み出すならば、C中隊長はそれの優位性(advantage)を活用する。それは、暗黙のコミュニケーション(implicit communications)である。それは、明示されたコミュニケーション(explicit communication)-言葉のやり取りや、無線または電話を通じてメッセージを交換する-より早くより信頼できる。
もちろん、暗黙のコミュニケーション(implicit communications)は、時間とともに開発されなければならない。これは、部隊結束と相互の信用(trust)を強化する行動を必要とする。これには、彼らの部隊内で人をまとめ続け彼らに割り当てられたことを安定させることが求められる。それは、共に良いチームを続けることを意味する。それは、ホレイショ・ネルソン提督がそうしたように、我々の部隊で兄弟の楽団を開発することを意味する。彼は、彼の旗艦のキャビンに集まった彼の海軍大佐と、彼らが異なる交戦で戦った方法、どのようにして彼らはこれまたはその相手を破ったかという戦術について話すことで多くの夕暮れの時を過ごした。トラファルガーで ネルソン提督が「英国はすべての者が自分の義務を果たすことを期待する」そして、「行動を終えよ」とシグナルを出す必要があったような非常に強固な共有された考え方(way of thinking)は、それらの夕暮れから起こった[xiii]。時には、言葉は共有された経験と理解にとって、通常明白な意味以上の意味を持つ。
スピードを経験から獲得するもう一つの方法は、横のコミュニケーション(lateral communication)または調整の開発にある。全てコミュニケーションが指揮系統を上下するならば、行動はゆっくり動く。すべてのレベルの指揮官とリーダーが横に理解し合うならば、我々がリーダーとして 直接に他のリーダーと話すならば、行動は大いに、より速く動く。横のコミュニケーション(lateral communication)は、ミッション・オーダー(mission orders)の自然な結果でない。それは、訓練中に熟練していなければならない。それは、部下が割り当てられた任務と指揮官の明示された意図に基づく主導性を働かせることができることを見いだした過去の経験を持つ、より上級の指揮官の信頼(confidence)の結果から生じる。
横のコミュニケーションの良い例は、飛行機から出てくる。空中では、航空機の飛行のパイロットは、当然の事として横方向に理解し合う。他の者と話す必要のあるパイロットはそうする。メッセージは任務指揮官を通じて行う必要はなく、他のパイロットに中継される。パイロットがそのように話そうと努力するならば、事象は、コミュニケーションを急激に上回るだろう。この同じ手順は、地上戦闘部隊と兵站部隊によって同様に用いられるだろう。
より速くなる第四の方法は、指揮官自身の位置を摩擦のその場所(the point of friction)に置くことである。この場所は、主たる努力(main effort)であり、支援努力であり、または、後方であるだろう。前線に身を置く指揮官は、状況の進展に従って会戦をすぐに左右することができる。同じ理由で、指揮官は夜間の移動時には重要な交差路に、前線に補給する部隊の場所に、防御における逆襲部隊が位置する所に、指揮官の位置を選択する。鍵となるものは、我々が我々の部隊の行動を最も左右する所である。海兵隊員として、最も摩擦点(friction point)が生じる所は正面から導かれると信じているが、他の場所からも起きる。したがって、我々は、我々の場所を選ばなければならない。
第二次世界大戦と彼の全ての経歴を通して、ルイス・B・”チェスティ”プーラー中将は、海兵隊員は闘いがあったところから導かなければならないと信じていた。「この指揮所の職務は、それが見られないならば米陸軍と海兵隊を破滅させる[xiv]」と、彼がガダルカナルの第7海兵連隊第1大隊の部隊指揮官であった時に語っていた。大隊長として、プーラー将軍は通常彼の大隊の要点の背後に直接身を置き、先導中隊の背後に直接大隊本部部隊を置いて彼の部隊の行動を左右した。この場所から、彼は、交戦の結果に彼の意志と個人的な影響を強要することができた。状況次第で、彼の姿は、行進の場所に、彼の外辺部の場所にと他の場所でも、見つけることができた。彼のアイデアは、彼が行動を最も左右する所に居るということであった。
最終的に、それは、より速いだけでなくて、時間を通してそのスピードも維持するために重要である。この持久力は、身体的適性および精神的な適性(physical and mental fitness)を通じて可能になる。身体的適性は、より速く動くためのスピード、エネルギー、機敏さだけを開発するのではないが、長い期間におけるスピードを維持するための持久力を開発する。持久力では、我々は敵を追い越すだけでなくて、彼がそうすることができるより長い間、高いテンポも維持する。精神的適性は、より長い期間集中して、問題の表面下に入り込む実力(ability)を構築する。この理由から、適合性はすべての海兵隊員の生活で、重要な部分を果たす。「高い身体的な状況は、勝利への核心である」と、パットン将軍がかつて言った[xv]。
結論:CONCLUSION
我々は我々の相手より、より速くなければならない。これは、我々が速く移動しなければならないが、より重大なことには、我々は我々の敵より、より速く行動しなければならないことを意味する。この狙い(aim)は、敵の部隊が反応することができるより我々がより速く行動することができる我々の戦術を仕立てることにある。我々の敵より速く計画し、決心し、実行する我々の実力(ability)は、我々が活用することができる優位性(advantage)を生み出す。我々は、まさに我々のスピードを改善する方法を議論すべきである。本書の読者は、速くなる追加の方法について考えるだろう。あなたがうまくいく方法を見いだした時、それについて仲間の海兵隊員を教えれば、彼らはそれも使うことができる。あなたをより速くするためのものは、たとえこの本になくても良いものである。
ノート
[i] ロバート・デブス・ハインル・ジュニア退役米海兵隊大佐「軍事および海軍引用辞典」220ページ
[ii] ジョン・A・イングリッシュ著「歩兵について」(NY: Praeger, 1984) 223ページ
[iii] ジーターA.アイズリーとフィリップ・A・クロウル著「米海兵隊と水陸両用戦争:その理論と太平洋における実践」(Princeton, NJ: Princeton University Press, 1951) 338ページ
[iv] ピーター・G・ツォラス著「戦士の言葉:引用本:セソストリス3世からシュワルツコフまで、紀元前1871年から1991年まで」(London: Cassell Arms and Armour, 1992),434ページ
[v] ロバート・デブス・ハインル・ジュニア退役米海兵隊大佐「軍事および海軍引用辞典」63ページ
[vi] 「指揮」、時間(January 25, 1943) 61ページ
[vii] 「レイ・スミス米海兵隊大佐へのS・R・シューメーカー大尉による電話インタビュー」1991年3月12日Washington, D.C.
[viii] 「ヘルマン・バルク将軍へのウィリアム・S・リンドのインタビュー」1980年6月6日Washington, D.C.
[ix] ウィリアム・S・リンド著「機動戦ハンドブック」(Boulder, CO: Westview Press, 1985) 5–6ページ
[x] ジョージ・S・パットン・ジュニア将軍著「私が知っていた戦争」(NY: Bantam Books, Inc., 1979) 323ページ
[xi] ジョージ・S・パットン・ジュニア将軍著「私が知っていた戦争」330₋331ページ
[xii] ジョン・A・イングリッシュ著「歩兵について」217ページ
[xiii] A. T. マハン米海軍大佐著「ネルソンの生涯: 英国の海の力の具体化」(Boston: Little, Brown, and Co., 1899) 730ページ
[xiv] FMFRP 12-110「ガダルカナル島での戦闘」(September 1991)33ページ
[xv] ジョージ・S・パットン・ジュニア将軍著「私が知っていた戦争」376ページ
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