米海兵隊の「遠征前進基地作戦(EABO)に関する暫定マニュアル」 第5章

「序文」および「第1章 はじめに」「第2章 作戦上の思考態度」、「第3章 計画策定と組織へのアプローチ」、「第4章 インテリジェンス作戦」に引き続き、「第5章 情報環境での作戦(Operations in the Information Environment)」を紹介する。「Operations in the Information Environment」という中で使用される「Information Environment」は、2016年6月に当時のAshton B. Carter 国防長官名で発出された「STRATEGY FOR OPERATIONS IN THE INFORMATION ENVIRONMENT」という戦略文書に登場する安全保障環境、戦略環境、作戦環境についての環境認識を大きく変えた特徴的な用語である。この新たな環境での作戦の在り方を示した戦略文書に基づく米統合参謀の佐羽扇コンセプトとして、2018年7月に公表された米統合参謀の「Joint Concept for Operating in the Information Environment」が挙げられる。

米海兵隊は、2016年6月の「STRATEGY FOR OPERATIONS IN THE INFORMATION ENVIRONMENT」を受けて2017年7月には、「Marine Air Ground Task Force Information Environment Operations Concept of Employment」という「情報環境での作戦(OIE)」を行うための運用コンセプトを公表している。

「第5章 情報環境での作戦(Operations in the Information Environment)」は、これらのコンセプトを遠征前進基地作戦(EABO)のコンセプトに適用させたものと言えるであろう。言い換えれば米国防総省や米統合参謀が考える「情報環境での作戦(OIE)」の概要を、遠征前進基地作戦(EABO)の暫定マニュアル「第5章」を読み解くことで大まかに類推することが出来るとも言えよう。(軍治)

 

第5章 情報環境での作戦:CHAPTER 5 Operations in the Information Environment

5.1 全般:GENERAL

5.2 目的と範囲:PURPOSE AND SCOPE

5.3 情報環境の基本:INFORMATION ENVIRONMENT BASICS

5.3.1 情報環境における敵対者の活動:Adversary Activities in the Information Environment:

5.3.2 軍事的情報力:Military Information Power

5.3.3 情報用兵機能:Information Warfighting function

5.4 情報環境における作戦(OIE)の機能FUNCTIONS OF OPERATIONS IN THE INFORMATION ENVIRONMENT

5.4.1 指揮・統制と重要システムの確保:Assure Command and Control and Critical Systems

5.4.2 情報環境の戦闘空間認識の提供:Provide Information Environment Battlespace Awareness

5.4.3 ネットワーク、システム、情報への攻撃と活用:Attack and Exploit Networks, Systems, and Information

5.4.4 国内の聴衆と国際的な聴衆に知らせる:Inform Domestic and International Audiences

5.4.5 海外のターゲットとする聴衆に影響を与える:Influence Foreign Target Audiences

5.4.6 敵対者の意思決定者を欺く:Deceive adversary Decision Makers

5.4.7 情報能力、情報資源、情報活動の統制:Control Information Capabilities, Resources, and Activities

5.5 情報環境における作戦のための能力領域:CAPABILITY AREAS FOR OPERATIONS IN THE INFORMATION ENVIRONMENT

5.5.1 電磁スペクトラム作戦:Electromagnetic Spectrum Operations

5.5.2 サイバースペース作戦:Cyberspace Operations

5.5.3 宇宙作戦:Space Operations

5.5.4 通知作戦:Inform operations

5.5.5 影響力作戦:Influence operations

5.5.6 欺瞞作戦:Deception operations

5.6 情報環境における沿岸部隊作戦の構造:STRUCTURE OF LITTORAL FORCE OPERATIONS IN THE INFORMATION ENVIRONMENT

5.7 情報環境における作戦の整合と一体化:OPERATIONS IN THE INFORMATION ENVIRONMENT ALIGNMENT AND INTEGRATION

5.7.1 上位部隊階層の連携と調整:Higher Echelon Alignment and Coordination

5.7.2 海軍の一体化:Naval Integration

5.7.3 特殊作戦部隊の一体化:Special Operations Force Integration

5.8 権限:AUTHORITIES

第5章 挿話:vignette

第5章 情報環境での作戦:CHAPTER 5 Operations in the Information Environment

5.1 全般:GENERAL

遠征前進基地作戦(EABO)を実行する能力は、同盟国、敵対者のいずれにも共鳴する戦略的決意を示すものである。遠征前進基地作戦(EABO)は、友軍、同盟国、敵対者の戦略、作戦、戦術の意思決定に、直接的、間接的に、競争の連続体(competition continuum)全体に影響を与える可能性を持っている。

遠征前進基地作戦(EABO)は、敵対者の行動を抑止または妨害し、争われた海上地域(contested maritime area)での友軍の行動を可能にすることで、情報環境に大きな影響を与える可能性がある。逆に、遠征前進基地作戦(EABO)の物理的な到達範囲や影響力のはるか外から発生した情報環境(IE)における敵対者の行動は、遠征前進基地作戦(EABO)に具体的な影響を与える可能性がある。

5.2 目的と範囲:PURPOSE AND SCOPE

情報環境における作戦(operations in the information environment:OIE)とは、作戦環境のすべてのドメインにおいて、競争上の優位性または戦闘力の潜在力を高め、防護するために、軍事的情報力を生成、保持、または適用するために行われる行動と定義される。統合部隊(joint force)は、米国の国家目標を追求するため、関連する行為主体を保証し、抑止し、強制し、競争の連続体(competition continuum)全体に情報を活用する。

沿岸部隊(littoral forces)は主に、敵対者の指揮・統制ネットワークへのアクセス、米国の存在に対する支持の構築、敵対者の侵略の抑止、敵対者の信頼の崩壊、悪意のある振舞い(behavior)の暴露と対抗、沿岸部隊(littoral forces)の指揮・統制(C2)およびインテリジェンス・監視・偵察(ISR)ネットワークの防護・防衛のために情報環境における作戦(OIE)を実施する。

この章は、遠征前進基地作戦(EABO)を支援するために情報環境における作戦(OIE)を計画策定・実行する人のためのツールである。情報環境について説明し、遠征前進基地作戦(EABO)の文脈における情報環境における作戦(OIE)の機能と能力について述べ、遠征前進基地作戦(EABO)実施中の情報環境における作戦(OIE)に関する重要な計画策定の考慮事項とタスクについて説明する。

5.3 情報環境の基本:INFORMATION ENVIRONMENT BASICS

5.3.1 情報環境における敵対者の活動:Adversary Activities in the Information Environment:

情報環境(IE)における敵対者の活動は、システム対決(systems confrontation世論操作(public opinion manipulationという2つの主要な方法で沿岸部の戦力を挫こうとするものである。いずれの方法も、米国の戦力投射を妨害し、否定することが意図されている。システム対決については、遠征前進基地作戦(EABO)に反対する敵対者は、サイバースペース、宇宙、電磁スペクトラムなどの技術的手段を用いて、友軍のインテリジェンス収集、状況把握、部隊の指揮・統制の能力を狙い、攻撃し、搾取することになるだろう。

また、遠征前進基地(EAB)の周辺、遠征前進基地作戦(EABO)を実施する部隊、米国内の聴衆の間で、不信、不和、不安を煽ろうとすることも考えられる。現代の情報環境(IE)の本質を考えると、遠征前進基地(EAB)は常に監視されていることを想定しなければならない。その結果、敵対者は米軍部隊(US forces)と米国に対して、地域的・世界的に世論を動かそうとするだろう。

5.3.2 軍事的情報力:Military Information Power

国力の軍事的手段を拡大解釈すると、相互に補強し合う2つの要素、すなわち物理的戦闘力(physical combat power軍事的情報力(military information powerが含まれる。軍事的情報力は、競争の連続体(competition continuum)全体に広く適用できる。

軍事作戦の基本的な機能を果たすために敵対者が必要とする情報を操作し、否定し、破壊する能力は、大きな優位性をもたらす。好意的な世論を醸成することも、競争上の優位性を生む。武力紛争や武力紛争以下の競争において、敵対勢力は、これらの戦闘力の優位性を獲得し維持するために、絶え間ない闘争を続けている。

軍事的情報力の本質は、情報の生成、保存、拒否、投射を通じて、相手(opponent)に対して意思や影響力を行使する能力である。これらの行動は、すべてのドメインで行われる物理的行動と情報環境での作戦を通じて組織、調整、実行されるが、これらはすべて情報用兵機能(information warfighting function)の下で一体化、同期化されている。

5.3.3 情報用兵機能:Information Warfighting function

情報用兵機能(information warfighting function)には、作戦の計画策定と実行を支援するために、他の用兵機能(warfighting functions)との意図的な一体化と同期を含む、情報の管理と適用が含まれる。海兵隊は、軍事的情報力を構築し、活用するために情報環境における作戦(OIE)を実施する。遠征前進基地作戦(EABO)は、信頼できる致死性のメッセージを伝え、それを使用する決意を示すことによって、相手(opponent)の振舞い(behavior)を変えることを意図している。したがって、遠征前進基地作戦(EABO)は基本的に情報環境における作戦(OIE)の応用である。

5.4 情報環境における作戦(OIE)の機能FUNCTIONS OF OPERATIONS IN THE INFORMATION ENVIRONMENT

情報環境における作戦は、7つの機能からなり、すべてのドメインにおける潜在的な競争力または戦闘力を増大、維持、または活用することを狙いとした活動の集合体を包含している。これらの機能は、沿岸部隊(littoral forces)に戦略的結果に影響を与える可能性のある様々な方法と手段を提供する。以下に、情報環境における作戦(OIE)の機能を説明する。

5.4.1 指揮・統制と重要システムの確保:Assure Command and Control and Critical Systems

遠征前進基地作戦(EABO)を含む統合作戦をすべてのドメインで成功させるためには、信頼できる情報への確実なアクセスが必要である。この要件は、指揮・統制(C2)システムの完全性を維持し、意思決定の優位性に寄与する。相手(opponent)は友軍の指揮・統制(C2)、インテリジェンス・監視・偵察(ISR)、兵器システム内の情報を操作、混乱、破壊しようとする。

その目的は、難読化、混乱、友軍の結束を砕き、遠征前進基地作戦(EABO)部隊の機能と闘う能力を否定することであろう。したがって、遠征前進基地作戦(EABO)に参加する部隊は、友軍の情報の完全性を維持するために積極的な攻勢的行動と防勢的行動を取らなければならない。これには、作戦保全とシグネチャ管理の両方の基本が含まれる。

厳しい環境下で他の種類の作戦を実施する際に指揮・統制(C2)と重要なシステムを保証する原則は、遠征前進基地作戦(EABO)にも同様に適用される。沿岸部隊(littoral forces)は、特にサイバースペースや電磁スペクトラム(electromagnetic spectrum :EMS)において、敵対者のターゲッティング・サイクルを無効化または遅延させ、敵対者に対する時間的優位を作り出すために、低シグネチャの放射が可能な小さい物理的足跡(physical footprints)のシステムを採用しなければならない。

遠征前進基地作戦(EABO)は、海軍および統合作戦を支援する特定の任務を遂行するため、紛争、劣化、拒否された環境で実施される。沿岸部隊(littoral forces)は、海軍情報戦および海兵隊情報環境における作戦(OIE)の支援と緊密に連携し、指揮・統制(C2)システム全体の健全性と状態に対する潜在的脅威と脆弱性をほぼリアルタイムで監視しなければならない。また、遠征前進基地作戦(EABO)は、すべてのドメインにおける指揮・統制(C2)ネットワークの信頼性と復元性に貢献し、任務遂行に不可欠なタスクを確実に遂行しなければならない。

ネットワークとデータの優先順位付けに基づく信頼性、復元性、穏やかな劣化(graceful degradation[1]は、包括的な海軍指揮・統制(C2)アーキテクチャの健全なデザイン、アーキテクチャを構成するシステムの効果的な一体化、戦術レベルでの人的および自動的手順に関するネットワーク運用者の効果的な訓練によって達成される。

沿岸部隊(littoral forces)は、敵対者がどのように友軍の指揮・統制(C2)システムを狙い、関与しようとするのかを理解し、敵対者の指揮・統制(C2)システムへの潜在的影響を軽減するために、適切な対応を積極的に展開しなければならない。到達目標は、敵対者の影響を吸収しながらも、効果的に機能し続け、任務目標を支援できる海軍の指揮・統制(C2)アーキテクチャを構築することである。

遠征前進基地作戦(EABO)を実施する沿岸部隊(littoral forces)は、「指揮・統制と重要システムの確保」機能を果たすために、いくつかの重要なタスクを遂行しなければならない。

  •  指揮・統制(C2)システムおよびその他の重要なシステムの全体的な健全性と状態をほぼリアルタイムで監視する。
  •  指揮・統制(C2)システムおよびその他の重要なシステムに対する脅威と脆弱性をほぼリアルタイムで監視する。
  •  重要なシステムが危険にさらされたとき、または攻撃されやすくなったときに警告を提供する。
  •  防勢的サイバースペース作戦defensive cyberspace operations :DCOをほぼリアルタイムで統制・監視し、防勢的サイバースペース作戦内部防衛策(DCO-IDM)を採用する。
  •  指揮・統制(C2)システムおよびその他の重要なシステムの使用から発せられる電磁波およびサイバースペースのシグネチャを監視し、マップ化する。
  •  電磁スペクトラム(EMS)依存システムの使用を監視し、電磁スペクトラム(EMS)相互干渉(fratricide)を特定し、最小限に抑える。

5.4.2 情報環境の戦闘空間認識の提供:Provide Information Environment Battlespace Awareness

遠征前進基地作戦(EABO)は、海軍の艦隊センサー・ネットワークを強化し、情報環境の理解を深めることで、海軍の戦力投射に貢献することができる。情報環境(IE)の脆弱性、脅威、機会、そしてそれらが戦略的、作戦的、戦術的に及ぼしうる影響を理解することは、競争の連続体(competition continuum)全体に柔軟な対応を可能にする。情報環境(IE)とすべてのドメインで柔軟な対応策を提供するには、時間と資源が許す限り、多くの情報源から関連情報を収集し、融合させる能力が必要である。

遠征前進基地作戦(EABO)は、意図的、非意図的の両方の方法で、情報環境(IE)に影響を与える。これらの影響は、すべてのドメインに影響を与え、地域と世界の聴衆に影響を与え、友軍と敵(foes)と中立的な立場の人々の見方を形成することになる。これらの影響を理解することは、遠征前進基地作戦(EABO)を支援するために情報環境(IE)で可能な対応策の開発を支援し、任務の達成と海軍の作戦の成功に不可欠となる。

沿岸部隊(littoral forces)は、すべてのドメインにわたって情報環境(IE)特有の状況を評価しなければならない。これには、沿岸部隊(littoral force)の物理的、技術的、管理的なシグネチャが、近くの観測者や、インテリジェンスまたは火力の解決策を求める敵対者にどのように見え、理解されるかを理解することが含まれる。

この取組みには、情報環境(IE)と作戦環境(OE)の相互関係をできる限り完全に把握するために、評価とほぼリアルタイムの行動を融合させることが必要である。この取組みは、情報環境(IE)における潜在的な影響を理解した上で、すべてのドメインにわたる意図的な青部隊の活動を計画策定し、実行することにつながるはずである。これには、情報環境(IE)の効果を判断し、状況がどのように変化するかを理解するために、青部隊の活動を測定し、評価することが必要である。

沿岸部隊(littoral forces)は、「情報環境戦闘空間認識の提供(Provide Information Environment Battlespace Awareness)」機能において、いくつかの重要なタスクを遂行しなければならない。

  •  情報環境(IE)の実行時の見積を開発・維持する
  •  技術的、組織的、または人間的なターゲットとターゲット・システムのパラメータ、ターゲットの指揮・統制(C2)ネットワークとノード依存性、サイバースペース作戦の能力と行動、宇宙作戦の能力と行動、電磁スペクトラム作戦(EMSO)の能力と行動に関するインテリジェンス、指標、警告を情報環境(IE)実行見積に組み入れること。
  •  次のような環境情報を情報環境(IE)の実行予測に組み込む:基盤となる地理空間インテリジェンス、気象情報、電磁環境、サイバースペースの物理層、サイバースペースの論理層、サイバースペースの社会層情報(ソーシャル・メディア情報を含む)、ローカル、地域、グローバル・メディアの分析を含むオープン・ソース情報(OSINT)、視覚情報(VI)、敵衛星監視識別、市民情報など。
  •  指揮・統制(C2)システムと重要なシステムの健全性、状態、脆弱性、指揮・統制(C2)システムと重要なシステムの使用から発せられる電磁波とサイバースペースのシグネチャ、作戦地域内の隣接司令部、上位司令部、米国政府機関の情報の相互干渉(fratricide)を防ぐための通信戦略、計画、命令、調整指示、電磁スペクトラム(EMS)格差の例、戦闘空間(battlespace)全体における情報環境における作戦(OIE)のアセットの位置、場所、積載物、任務など、友軍情報を情報環境(IE)実行予測に組み入れること。
  •  海軍と統合部隊(joint force)の情報環境における作戦(OIE)に関する情報を、競争者、敵対者、敵、中立国の情報環境における作戦(OIE)と融合させ、情報環境(IE)における脆弱性、脅威、機会を特定する。

5.4.3 ネットワーク、システム、情報への攻撃と活用:Attack and Exploit Networks, Systems, and Information

海上戦力の投射(Maritime power projection)には、「敵対者の部隊や後方支援を破壊したり、敵部隊が友軍の敵兵器の射程内に接近するのを阻止するための広範な攻撃的軍事作戦」が含まれる[2]。遠征前進基地作戦(EABO)は、伝統的な戦闘力と軍事的情報力の両方を通じて、敵対者のネットワーク、システム、およびその基盤となる情報をターゲッティングし、関与することで、海上戦力投射とその他の海軍機能を支援する。

遠征前進基地作戦(EABO)は、従来の攻撃効果の範囲と致死性をスタンド・オフ能力のみと比較して向上させるとともに、すべてのドメインと電磁スペクトラム(EMS)にまたがる情報固有の目標への「接近経路(avenues of approach)」を提供する可能性がある。敵のネットワーク、システム、情報を効果的に攻撃し、利用するためには、多くの変数間の関係を包括的に理解し、任務達成に最も適したターゲットを特定することが必要である。

遠征前進基地作戦(EABO)を実施する沿岸部隊(littoral forces)は、敵対者のネットワーク、システム、情報に接近することで、作戦上または戦略上の効果を得ながら、特定の任務の遂行においてターゲッティングの柔軟性を獲得することができる。沿岸部隊(littoral forces)は、技術的および非技術的な手段により、敵対者の情報依存性をターゲットとし、敵対者の機能または効果的な意思決定能力を混乱させる。技術的手段は、敵対者のデータと基盤となる情報ネットワークをターゲットとし、非技術的手段は、敵対者の意思決定システムの人間的・社会的要素をターゲットとする。

5.3節で後述する情報環境における作戦(OIE)の能力領域は、敵対者の意思決定や行動能力を攻撃するための潜在的な経路を提供する。従来の戦闘力能力には、敵対者のネットワーク、システム、情報への攻撃も含まれるようになった。しかし、いつ、どのようにターゲットと交戦するかを決定することは、シグネチャを管理し、紛争環境下で前進し続けるという遠征前進基地作戦(EABO)の要件とバランスを取る必要がある。

「ネットワーク、システム、情報の攻撃と活用」機能では、沿岸部隊(littoral forces)は以下の重要なタスクを実行しなければならない。

  •  作戦地域全体で、ほぼリアルタイムで火力のコンセプトを支援し、それと同期した情報環境における作戦(OIE)の攻撃・活用能力を使用する。
  •  上級司令部(HHQ)、艦隊、統合タスク部隊と連携し、電子戦(EW)作戦、攻勢的サイバースペース作戦(OCO)、インテリジェンス作戦(通信インテリジェンス(SIGINT)を含む)を監視し、電磁スペクトラム(EMS)の相互干渉(fratricide)を回避し、所望の効果を達成するための代替の行動方針(courses of action)や複合的解決法を推奨すること。
  •  敵のネットワーク、システム、情報をターゲットとした情報環境における作戦(OIE)任務の実施と調整する。
  •  人間の動的ネットワーク、社会的ネットワークのリンクとノード、雰囲気、環境特性、個人の意図に関する状況認識を共有できるように、上級司令部(HHQ)機関と調整する。
  •  電子攻撃要求や宇宙支援要求などの支援要求(RFS)を提出し、ターゲッティング・プロセス全体を通して矛盾を解消する。
  •  電磁スペクトラム作戦(EMSO)関連の支援要求(RFS)と指揮・統制(C2)アーキテクチャ、情報収集計画、サイバースペース火力計画、空域統制命令、統合制限周波数リスト(JRFL)との不整合を解消する。

5.4.4 国内の聴衆と国際的な聴衆に知らせる:Inform Domestic and International Audiences

通知作戦(Inform operationsは、一般市民の知識、知覚(perceptions)、態度、振舞い(behavior)に影響を与え、組織的評判を維持しながら、友軍の目標達成を支援しようとするものである。敵対者は、地元、地域、世界の世論を米海軍部隊(US naval forces)に対して揺さぶる積極的な情報作戦を展開し、米軍の作戦の信用を失墜させようとする。

遠征前進基地作戦(EABO)では、さまざまな聴衆、一般市民、利害関係者を特定し、明確で正確なコミュニケーションによって情報を提供し、作戦や制度の目標に対する理解と支持を確立するとともに、誤ったナラティブに対抗するための専用作戦が必要である。遠征前進基地作戦(EABO)を支援する情報提供活動には、戦略的メッセージを強化し、地元、地域、世界のパートナーや同盟国を安心させるため、上級司令部(HHQ)のコミュニケーションアセットと常に連携し、主要な一般市民と日常的に関わることが必要である。

日々の競争においても、競争の連続体(competition continuum)を通じても、沿岸部隊(littoral forces)にとって、自らの作戦が地域住民と環境に与える影響を理解することは、極めて重要な関心事である。また、通知作戦は、友軍の作戦を損ねることを狙いとした敵対者の偽情報戦役(disinformation campaigns)・プロパガンダ戦役(propaganda campaigns)を積極的に先取りし、これに対抗し、緩和しなければならない。

沿岸部隊(littoral forces)は、上級司令部(HHQ)と連携し、適切な権限を与えられれば、主要な国民やその他の関係者を対象とした意図的かつ協力的なコミュニケーション戦略を実行し、望ましい時間と場所において戦闘能力を発揮できるよう、十分に寛容な作戦環境を整えなければならない。

コミュニケーション戦略と作戦(COMMSTRAT)の海兵隊員は、戦略的メッセージを強化するために、聴衆、公衆、利害関係者に向けて発表する、あらゆるレベルの戦争を支援する情報成果物を作成する。

印刷物であれデジタル・メディアであれ、沿岸部隊(littoral force)の指導者による公式メッセージは、友軍部隊の活動をより大きな戦略的目的に結びつけ、敵対者のプロパガンダや偽情報に対抗する手段であると同時に、国家レベルの意思決定者を含む米国民からの信頼性を維持することにより、組織や司令部の評判を維持する役割も果たす。

キー・リーダー・エンゲージメント(KLE)[3]は、個人と個人との直接的で価値あるコミュニケーションを提供する。どのリーダーや聴衆に関わるかだけでなく、いつエンゲージを行うかについても慎重に検討する必要がある。遠征前進基地作戦(EABO)の目標は、キー・リーダー・エンゲージメント(KLE)の目的と意図を決定するのに役立ち、意思決定者は、リーダー同士の直接対話、メディアとの連携、または遠征前進基地作戦(EABO)の目標を支援するために主要なオーディエンスに情報を提供するその他の機会など、どのように関与するのが最善かを判断できるようになる。

遠征前進基地作戦(EABO)を実施する沿岸部隊(littoral forces)は、「国内外の聴衆に情報を提供する」機能を果たすために、いくつかの重要なタスクを遂行しなければならない。

  •  上級司令部(HHQ)のコミュニケーション戦略と作戦(COMMSTRAT)、統合部隊(joint force)広報、地域の米国政府(USG)コミュニケーション取組みとの一体化と同期化(例:戦略的コミュニケーションを実施し、コミュニケーション効果を評価するための米国大使館の広報担当官など)。
  •  すべての遠征前進基地作戦(EABO)を記録するために地表面、地下面、航空写真VIを取得する。
  •  情報環境(IE)に影響を与える遠征前進基地作戦(EABO)行動(物理的攻撃、部隊移動、心理作戦(PSYOP)、すべての民事(CA)作戦を含む)をほぼリアルタイムで実施、調整、監視すること。
  •  指揮・統制不能または劣化した環境(C2D2E)での作戦画像の取得、処理、送信
  •  指揮・統制不能または劣化した環境(C2D2E)におけるビジュアル情報/コミュニケーション成果物の作成と発信
  •  上級司令部(HHQ)と明確なリリース権限のプロセスを確立し、関連するスピードでのコミュニケーションを確保する
  •  影響力作戦との緊密な一体化と同期を図り、情報の相互干渉(fratricide)を防ぐ。

5.4.5 海外のターゲットとする聴衆に影響を与える:Influence Foreign Target Audiences

相手(opponent)との軍事的な競争は、本質的に情報中心である。影響力作戦は、友軍の目標達成を支援するために、知覚(perceptions)、態度、意思決定、振舞い(behavior)に影響を与えようとするものである。例えば、海軍の戦力投射は、前方に構えた海軍の戦力によって世界的な抑止を図る戦略である[4]

このような抑止力は、競争者や敵対者に影響を与え、戦略目標に有害な行動を制限させるための取組みである。遠征前進基地作戦(EABO)は、海軍の戦力を前方に配置する能力を提供し維持することで、この取組みを支援する。一方、影響力行使は、国家の戦略目標を強化し、遠征前進基地作戦(EABO)を容認する環境を作り出すようにデザインされなければならない。

沿岸部隊(littoral forces)は、作戦環境(OE)でのすべての行動が情報環境(IE)のターゲットとする聴衆に影響を与える可能性があることを理解して作戦しなければならない。部隊の物理的機動、民軍作戦、軍事情報支援作戦(military information support operations :MISOは、遠征前進基地作戦(EABO)環境を形成する上で重要な役割を果たす。作戦デザインの段階では、これらの活動が対象者に影響を与える価値を理解し、遠征前進基地作戦(EABO)の計画策定プロセスに組み込まなければならない。

遠征前進基地作戦(EABO)を実施する沿岸部隊(littoral forces)は、「外国人ターゲットに影響を与える」機能を果たすために、いくつかの重要なタスクを遂行しなければならない。

  •  軍事情報支援作戦(MISO)を監視する
  •  軍事情報支援作戦(MISO)メッセージとテーマの発信を調整する。
  •  民事(CA)作戦を調整する
  •  すべての影響力作戦(influence operations)の継続的な評価を支援
  •  ターゲットリストの認識を維持し、ターゲッティング・プロセスにおいて承認されたターゲットとする聴衆に対して効果を指名し、上級司令部(HHQ)の火力支援計画と影響力作戦(influence operations)を調整する。
  •  拡声器、リーフレット、その他の印刷物、対面、ラジオ放送などによる音声、視覚、映像メッセージの普及のため、遠征心理作戦(expeditionary psychological operations)チームや有機的能力との作戦を調整する。
  •  遠征コミュニケーション戦略と作戦(COMMSTRAT)作戦支援チーム(OST)との作戦調整する。
  •  拡声器、リーフレット、その他の印刷物、対面、ラジオ放送など、文字と映像による情報の取得、作成、伝達のための指向性画像処理能力などの有機的な能力を調整する。
  •  インテリジェンス要件開発、インテリジェンス収集、監視、偵察、ターゲッティング、サイト開拓、調査、戦闘評価(combat assessment)によるコミュニケーション戦略と作戦(COMMSTRAT)と遠征コミュニケーション戦略と作戦(COMMSTRAT)作戦支援チーム(OST)の支援を調整する。
  •  ターゲットとする聴衆の分析を行い、開発および関与のための聴衆を推奨し、優先順位をつける。

5.4.6 敵対者の意思決定者を欺く:Deceive adversary Decision Makers

欺瞞行動(Deception actions)とは、敵対者の意思決定者を意図的に欺くことである。ターゲットに特定の行動を取らせたり、取らせなかったりすることで、友軍の目標達成に貢献することが狙いである。

この機能は、影響力機能とは主に次の4つの点で異なる。(1)意図する効果、(2)はるかに限定された特定のターゲットとする聴衆への焦点、(3)ターゲットの探知能力への焦点、(4)行動の実行に必要な権限である。この機能を成功させるには、物理的な行動と特殊な能力との一体化が必要である。

遠征前進基地作戦(EABO)を支援するための欺瞞作戦を計画策定・実行する際の留意点については、付録Aの「秘密区分有り」事項を参照すること。

沿岸部隊(littoral forces)は、「敵対者の意思決定者を欺く」機能において、いくつかの重要なタスクを遂行しなければならない。

  •  欺瞞行動(deception actions)が上位の計画と整合し、一体化されるように調整し、保証する。
  •  作戦保全(OPSEC)および戦術的な欺瞞を支援するための計画、調整、実行
  •  戦術レベル指揮官を支援するための欺瞞行動(deception actions)のタイミングとテンポを調整し、欺瞞行動(deception actions)と欺瞞行動(deception actions)に影響を与える可能性のある他の作戦(電磁スペクトラム作戦(EMSO)、攻勢的サイバースペース作戦(OCO)、防勢的サイバースペース作戦(DCO)、コミュニケーション戦略と作戦(COMMSTRAT)、火力、機動など)と同期するようにすること。
  •  部外からの脅威を防ぐための対インテリジェンス担当者の取組みを常に意識すること
  •  管理用、物理用、技術用のシグネチャの使用を計画、調整、管理する。

5.4.7 情報能力、情報資源、情報活動の統制:Control Information Capabilities, Resources, and Activities

この機能は、軍事的情報力の創出と活用に不可欠である。この機能を通じて、情報環境における作戦(OIE)の能力、資源、活動がすべての作戦と同期化される。情報環境における作戦(OIE)のマルチドメインな本質は、時間と空間の両方において、垂直方向と水平方向の調整を必要とする。計画策定および実行を通じて、意識、タイミング、およびすべての用兵機能(warfighting functions)との緊密な調整が、効果的な情報環境における作戦(OIE)に不可欠である。

遠征前進基地作戦(EABO)を支援するための情報環境における作戦(OIE)は、沿岸部隊(littoral force)と上位・隣接部隊の情報環境における作戦(OIE)調整要素間の同期化、および任務目標との整合化が必要である。情報活動を適切に管理・一体化するためには、沿岸部隊(littoral forces)が委員会(boards)、事務局(bureaus)、センター、セル、ワーキング・グループ(B2C2WG)を主催し、参加することで、日々のバトル・リズム(battle rhythm)を支援することが必要である。

沿岸部隊(littoral forces)は、「情報能力、資源、活動の統制」機能において、以下の重要な任務を遂行しなければならない。

  •  沿岸部隊(littoral force)の任務と作戦に関連するすべての情報環境における作戦(OIE)を追跡、監視、表示する。
  •  上級司令部(HHQ)の指示に従い、情報環境における作戦(OIE)の運用を調整・管理する。
  •  任務、出現した戦闘空間(battlespace)の状況、友軍の能力と配置に基づき、ニア・リアル・タイムで再作業と再プログラムの推奨を行う。
  •  指揮官の情報環境における作戦(OIE)関連権限の最新リストを維持する。
  •  海軍と統合作戦を支援する情報環境における作戦(OIE)のタイミングを調整する。
  •  海軍、統合、または国の支援要求を含む、緊急の要件とリーチバック支援の要求を調整する。

5.5 情報環境における作戦のための能力領域:CAPABILITY AREAS FOR OPERATIONS IN THE INFORMATION ENVIRONMENT

情報環境における作戦(OIE)の能力領域には、沿岸作戦の一部として情報環境における作戦(OIE)を計画・実行するための6つの情報固有の分野が含まれる。これらの能力領域は、技術的分野と認知的分野のいずれかに位置づけられる。技術的能力分野には、電磁スペクトラム作戦、サイバースペース作戦、宇宙作戦があり、認知的能力分野には、情報作戦、影響力作戦、欺瞞作戦がある。

5.5.1 電磁スペクトラム作戦:Electromagnetic Spectrum Operations

電磁スペクトラム(EMS)における軍事作戦は、電磁波作戦環境(EMOE)における電磁波エネルギーの送受信を伴う。電磁スペクトラム作戦(EMSO)は、電磁波作戦環境(EMOE)を開拓し、攻撃し、防護し、管理するために軍隊が行う軍事行動である。

電磁スペクトラム(EMS)は機動空間であり、その中で機動を行うことは他のドメインでの機動と同様、3次元の位置と時間が必要である。協力・競争の間には、電磁スペクトラム作戦(EMSO)は電磁スペクトラム(EMS)への十分なアクセスを確保するために実施される。武力紛争に発展すると、電磁スペクトラム作戦(EMSO)は電磁スペクトラム(EMS)の優位性を確保することに移行する[5]

電磁波作戦環境(EMOE)を開拓、攻撃、防護、管理する電磁スペクトラム作戦(EMSO)の行動は、電子戦(EW)、電磁スペクトラム(EMS)管理、インテリジェンス、宇宙、サイバースペースの各任務分野の要員とシステムに依存している。遠征前進基地作戦(EABO)は、制約され、混雑し、争われる電磁波作戦環境(EMOE)で実施される。競争の連続体(competition continuum)を通じて、沿岸部隊(littoral forces)は電磁スペクトラム(EMS)へのアクセスが拒否され、劣化し、または中断された状態で遠征前進基地作戦(EABO)を実施することになる。

遠征前進基地作戦(EABO)は、電磁スペクトラム(EMS)へのアクセスが非許容的である場合の任務と戦力へのリスクを理解しつつ、海軍の戦力投射に電子攻撃を取り入れるために、専用の電磁スペクトラム作戦(EMSO)の計画策定と実施を取り入れることが最も重要である。敵対者および中立の行為主体の電磁スペクトラム(EMS)内での行動を軽減するために、沿岸部隊(littoral forces)は電磁スペクトラム(EMS)の機動、シグネチャ管理、および大規模な海軍戦役(naval campaign)を理解する必要がある。

電磁スペクトラム作戦(EMSO)の計画策定と運用(employment)を成功させるには、いくつかの要素を考慮する必要がある。

  •  センサーとシューターの「キル・チェーン」を短縮するために、インテリジェンス・監視・偵察(ISR)フィードと電磁スペクトラム作戦(EMSO)ペイロードを致死および非致死火力と融合させるための戦術、技術、手続き(TTP)。
  •  電磁スペクトラム作戦(EMSO)を計画、実施、調整するために利用できる権限
  •  電磁スペクトラム作戦(EMSO)のアジャイル/動的運用により、友軍の電磁波干渉(EMI)を最小化
  •  電磁スペクトラム(EMS)相互干渉(fratricide)の可能性を特定するための電子戦(EW)、収集、通信計画の調整
  •  電子攻撃要求と指揮・統制(C2)アーキテクチャ、インテリジェンス収集、サイバースペース火力、空域統制、統合制限周波数リスト(JRFL)との調整
  •  電磁スペクトラム作戦(EMSO)のタイミングとテンポは、シグネチャ管理計画の計画と調整されている

5.5.2 サイバースペース作戦:Cyberspace Operations

サイバースペース作戦には、3つの異なる取組みがある。国防総省情報ネットワーク(DODIN)作戦、防勢的サイバースペース作戦(DCO)、および攻勢的サイバースペース作戦(OCO)である。国防総省情報ネットワーク(DODIN)作戦と防勢的サイバースペース作戦(DCO)は最も一般的であり、指揮・統制(C2)を確保するために重要である。

遠征前進基地作戦(EABO)が敵対者のインフラに近いことを考えると、サイバードメインは機会と脆弱性の両方を提供する。防勢的サイバースペース作戦(DCO)と選択的攻勢的サイバースペース作戦(OCO)は、作戦地域内の現地のインフラを評価し、構築し、防護するために実施することができる。このような作戦の目的は、敵対者のアクセスを拒否し、戦略、作戦、戦術の目標達成のための環境を整える可能性がある。

しかし、電磁スペクトラム作戦(EMSO)と同様に、攻勢的サイバースペース作戦(OCO)はシグネチャ管理の原則に従って実行されなければならず、敵対者の脆弱性をさらに暴露する可能性があるため、慎重に選ばれた信号と能力だけを敵対者に見せたり利用させたりする必要がある。

サイバースペース作戦の計画策定と運用(employment)を成功させるには、いくつかの要素を考慮しなければならない。

  •  指揮・統制(C2)ネットワークと重要なシステムの健全性と状態を継続的に監視するために必要な戦術、技術、手続き(TTP)と能力
  •  サイバースペースにおけるフル・スペクトラムの作戦を支援し、サイバースペースにおける緊要地形を特定するためのカスタマイズされたインテリジェンス。
  •  防勢的サイバースペース作戦内部防衛策(DCO-IDM)の取組みに必要な戦術、技術、手続き(TTP)と能力で、悪用のターゲットとなりやすいサイバースペースの緊要地形に基づき、ネットワーク、兵器システム、指揮・統制(C2)システムを評価する。
  •  指揮・統制(C2)および重要システムをターゲットとする敵の能力を打ち負かすために、外部から提供された攻勢的サイバースペース作戦(OCO)アセットを調整し、使用するために必要な戦術、技術、手続き(TTP)、作戦コンセプト(CONOPS)、および権限
  •  友軍の電磁波干渉(EMI)を最小化するために、電磁スペクトラム作戦(EMSO)や他の特殊能力とのサイバースペース作戦を調整する。
  •  ターゲッティング・プロセスを通じた支援要求(RFS)の調整

5.5.3 宇宙作戦:Space Operations

宇宙作戦とは、米軍部隊(US forces)の能力を向上させるために、宇宙にあるアセットに影響を与えたり、直接利用したりする作戦のことである。米国防総省(DOD)の宇宙軍とは、宇宙と地上のシステム、機器、施設、組織、人員、またはそれらの組み合わせで、宇宙作戦を実施するために必要なものである。

宇宙作戦は、統合部隊(joint force)に宇宙機能を提供するために存在する。宇宙能力は、宇宙統制(特に航法戦)、位置・航法・タイミング(PNT)、インテリジェンス・監視・偵察(ISR)、衛星通信(SATCOM)、環境監視、ミサイル警告を含む。これらの宇宙能力を活用する能力は、電磁スペクトラム(EMS)とサイバースペースを介して、希望する宇宙能力を提供するシステムにアクセスすることに依存する[6]

沿岸部隊(littoral forces)は、遠征前進基地作戦(EABO)の実行のための計画策定の早い段階で宇宙作戦を考慮しなければならない。敵対者の宇宙での行動は不可避であり、敵対者は宇宙の作戦環境を否定し、低下させ、混乱させる効果をもたらす。宇宙空間がいつ、どのように影響を受けるかを理解することで、意思決定者は宇宙空間の能力の利用可能性と任務や戦力に対するリスクについて知ることができる。

沿岸部隊(littoral forces)は、ある種の宇宙能力が否定され、劣化し、あるいは破壊された場合に、どのように遠征前進基地作戦(EABO)を実施するかを理解しなければならない。宇宙能力は電磁スペクトラム(EMS)とサイバースペースに大きく依存している。したがって、電磁スペクトラム(EMS)やサイバースペースにおける敵対者、友好国、中立国の行動による宇宙への影響を理解するために、これらの情報環境における作戦(OIE)能力分野の計画担当者と連携することが必要である。

遠征前進基地作戦(EABO)を支援する宇宙作戦を計画策定・実行する際の考慮事項については、付録Aの「秘密区分有り」事項を参照されたい。

宇宙作戦の計画策定と運用(employment)を成功させるには、いくつかの要素を考慮する必要がある。

  •  遠征前進基地作戦(EABO)を支援するための戦術、技術、手続き(TTP)と宇宙からの資源を活用する能力
  •  衛星通信(SATCOM)と位置・航法・タイミング(PNT)に関する遠征前進基地作戦(EABO)要件の調整
  •  収集とシグネチャ管理(SIGMAN)を支援するために、インテリジェンス・監視・偵察(ISR)衛星の能力を宇宙ドメインで認識するための戦術、技術、手続き(TTP)と能力。
  •  ターゲティング・プロセス全体を通して支援要求(RFS)を確実に調整するための戦術、技術、手続き(TTP)

5.5.4 通知作戦:Inform operations

通知作戦(inform operations)は、誤った情報(misinformation)に対抗し、事実を立証し、艦隊の行動を文脈に即して説明することで、知覚(perceptions)を形成するものである。伝統的なメディア、ソーシャル・メディア、対面での情報発信を通じて、不正確な情報を修正し、対抗のナラティブを伴う敵対者のプロパガンダに反論して信用を失墜させる。

沿岸部隊(littoral forces)は、艦隊および軍種司令部と連携し、戦略、作戦、戦術目標を支援するために、国内、ホスト国、連合、国際、敵対者の聴衆とコミュニケーションをとる。このような取組みは、状況認識と指揮・統制(C2)を強化する上で極めて重要である。遠征前進基地作戦(EABO)の目標を支援するための一体化を確実にするため、作戦の計画策定プロセスの中に組み込まなければならない。

通知作戦は、沿岸部隊(littoral force)を構成するすべての要員の責任であるが、コミュニケーション戦略と作戦(COMMSTRAT)、情報・知識管理、民事を専門とする要員が、主に情報作戦戦略を計画、調整、実行することになる。

通知作戦の計画策定と運用(employment)を成功させるには、いくつかの要素を考慮する必要がある。

  •  上級司令部(HHQ)のナラティブに関する知識。これは、統合部隊(joint force)や地域の米国政府(USG)のコミュニケーション取組みとの一体化を必要とする。
  •  公開情報を収集・分析するための戦術、技術、手続き(TTP)と能力
  •  現地のホスト国国民をマイクロターゲットにしてメッセージを発信する当局の存在
  •  情報の相互干渉(fratricide)を防ぐための影響力作戦や軍事欺瞞作戦(MILDEC)との連携
  •  コミュニケーション効果の測定:ニュース、ソーシャル・メディア、オンライン・フォーラムなど、あらゆる文章コンテンツから意味や感情を抽出し、認知度向上、傾向把握、問題管理、作戦や組織の評判に対するリスク軽減を行う、ネットワークやアプリケーション・ベースのデータ可視化・探索ツールの使用が必要。
  •  公開情報の公開権限の状況
  •  シグネチャ管理(SIGMAN)が劣化した環境下での情報成果物の作成と発信の能力
  •  作戦的評価(operational assessments)への支援

5.5.5 影響力作戦:Influence operations

影響力作戦(Influence operations)は、情報環境(IE)の人間的側面における認知的効果を求めるものである。その到達目標は情報環境(IE)における知覚(perceptions)を形成することである。効果的な影響力戦役(influence campaign)を計画するためには、環境内の様々な行為主体に影響を与える作戦は、文化、生活経験、社会的関係、イデオロギー、行為主体のグループ内外の影響力を考慮に入れなければならない。影響力作戦(Influence operations)には、作戦保全(OPSEC)、軍事情報支援作戦(MISO)、シグネチャ管理、民事、その他の特殊技術能力が含まれるが、これらに限定されない。

全ての沿岸部隊(littoral force)の行動は、物理的な移動、作戦環境(OE)での機動、情報環境(IE)での特定の行動にかかわらず、艦隊の作戦に有益となるように、敵対者および中立国の主要な意思決定者に影響を与える能力を有している。

影響力作戦の計画策定と運用(employment)を成功させるには、いくつかの要素を考慮する必要がある。

  •  上級司令部(HHQ)ナラティブの知識
  •  公開情報を収集・分析するための戦術、技術、手続き(TTP)と能力
  •  ホスト国の地元住民を含む様々な聴衆に軍事情報支援作戦(MISO)のメッセージを公開するための現地レベルでの権限
  •  広報作戦、民事作戦、民軍作戦との調整
  •  防護対象者リストの作成支援
  •  軍事的欺瞞(MILDEC)、シグネチャ管理(SIGMAN)、作戦保全(OPSEC)への支援
  •  作戦的評価(operational assessments)への支援

5.5.6 欺瞞作戦:Deception operations

欺瞞作戦(Deception operations)は、敵対者の意思決定者を欺くことで、友軍の目標に有益な行動を敵対者に取らせる、あるいは取らせないことを目指す。遠征前進基地作戦(EABO)を支援するための欺瞞作戦を計画策定・実行する際の留意点については、付録Aの「秘密区分有り」事項を参照すること。

5.6 情報環境における沿岸部隊作戦の構造:STRUCTURE OF LITTORAL FORCE OPERATIONS IN THE INFORMATION ENVIRONMENT

遠征前進基地作戦(EABO)の実行に関わるすべての要員は、日々の情報環境における作戦(OIE)の役割を担っている。しかし、情報環境における作戦(OIE)の機能を計画、調整、実行することを主な責務とする情報実現者(enablers)が存在する。これらの専門家は、情報環境における作戦(OIE)がより大きな作戦デザインと同期し、戦略目標に沿ったものであることを保証する。

沿岸部隊(littoral forces)は、現在の部隊構成で、どの情報環境における作戦(OIE)機能を効果的に実行でき、また、できないかを意図的にテストし、評価(evaluate)しなければならない。この評価は、前方に配置された支援者と、作戦地域外からリーチバック支援を行う専門家の間で、情報環境における作戦(OIE)の適切な役割分担を決定するのに役立つ。

沿岸部隊(littoral force)が地元や敵対者のインフラに近いことは、遠征前進基地作戦(EABO)の主な利点である。それは、艦隊の作戦を支援し、敵対者の能力を否定するために、独自のアクセスとターゲティングの機会を提供するためである。沿岸部隊(littoral force)の主要な課題は、作戦の計画策定プロセスに情報環境における作戦(OIE)を一体化する最も効果的な方法を決定することである。

情報環境における作戦(OIE)の一体化には、いくつかの選択肢がある。最も満足のいく方法は、情報環境における作戦(OIE)の主要調整官が沿岸部隊(littoral force)の主要参謀将校と同等の地位を占め、計画策定・実行時に全用兵機能(warfighting functions)の代表として均衡を保つことである。

代替案としては、独立した情報環境における作戦(OIE)セルとして、あるいは火力・効果調整セルの中で、情報環境における作戦(OIE)の専門知識を沿岸部隊(littoral force)の作戦部署(operations section)に完全に一体化することである。沿岸部隊(littoral force)の指揮官は、作戦の計画策定の中に情報環境における作戦(OIE)を一体化するための最適な組み合わせを見つけるため、参謀構造を試行するものとする。

遠征前進基地作戦(EABO)の独特な特性により、沿岸部隊(littoral force)は遠征前進基地作戦(EABO)任務のための最も効果的なタスク編成と装備のテーブルを決定することが要求される。遠征前進基地作戦(EABO)を実施する部隊に含まれる情報固有の実現者(enablers)の適切な組み合わせは、作戦上の要件によって決定されなければならない。最低限、次のような実現者(enablers)を考慮する必要がある。

情報環境における作戦(OIE)主導する計画担当者(OIE Lead Planner。情報環境における作戦(OIE)リード・計画担当者は、沿岸部隊(littoral force)の参謀における情報環境における作戦(OIE)の計画策定と実行の中心的な役割を果たす。このスペシャリストは

  •  情報用兵機能(information warfighting function)を作戦のデザイン、計画策定、実行に一体化する。
  •  情報環境における作戦(OIE)機能の同期化
  •  情報環境における作戦(OIE)の日常的な実行を管理する

サイバースペース作戦チーム(Cyberspace Operations Team。沿岸部隊(littoral forces)は、サイバースペース運用者が遠征前進基地作戦(EABO)任務を支援するために最も効果的な場所を決定する。多くの場合、サイバースペース・作戦・チームは、沿岸部隊(littoral force)の大本営から地理的に離れた位置から沿岸部隊(littoral force)を支援するのが最も効果的であろう。サイバースペース・作戦・チームは

  •  戦術部隊と作戦部隊を支援する防勢的サイバースペース作戦(DCO)と国防総省情報ネットワーク(DODIN)作戦を計画、一体化、調整する。
  •  特定の戦術的、作戦的、戦略的目標を達成するために、能力、責任、権限を与えられれば、攻勢的サイバースペース作戦(OCO)を実行する。

コミュニケーション戦略と作戦チームCommunications Strategy and Operations Team。コミュニケーション戦略と作戦(COMMSTRAT)チームは、コミュニケーションに関する相談、リサーチと分析、計画策定と一体化、評価(assessment)と評価(evaluation)、メディアとの関わり、問題管理、危機管理、イメージの収集、マルチメディア成果物の作成と普及を行うことができる人材で構成されている。情報環境(IE)に直接、毎日、世界的に関わることができるため、組織の信頼性を強化する正確で真実味のある情報により、情報環境(IE)に大きく有利な影響を与えることができる。コミュニケーション戦略と作戦(COMMSTRAT)チーム

  •  上級司令部(HHQ)のコミュニケーション戦略と作戦(COMMSTRAT)と一体化し、作戦地域の聴衆、公衆、利害関係者を特定する。
  •  正確で真実味のある、タイムリーで適切な情報を、特定された一般聴衆に提供する。
  •  地表、地下、航空写真、動画メディア、グラフィック・デザイン、作戦や計画策定の要件を支援する複製などの機能を提供する。

民事チーム(Civil Affairs Team。民事チームは、沿岸部隊(littoral forces)と現地の民事当局との間の指揮官によるパイプ役である。民事チームは

  •  任務の目標を達成するため、軍、政府組織、非政府組織、市民間の関係を構築し、維持し、影響を与え、利用する[7]
  •  前方作戦環境におけるアクセスを容易にし、寛容な関係を維持する。

心理作戦チーム(Psychological operations Team。心理作戦(PSYOP)チームは、戦術、作戦、および戦略レベルで影響力作戦を支援することができる。沿岸部隊(littoral force)の場合、心理作戦(PSYOP)チームは、以下を行う。

  •  友軍の行動や目標に有益な形で、外国の聴衆の振舞い(behavior)に影響を与える。
  •  沿岸部隊(littoral force)が外国人に影響を与える能力を高めるための作戦的行動と戦術的行動を促進する。
  •  軍事的欺瞞作戦を支援する

電子戦チーム(Electronic Warfare Team。電子戦の任務は、複数のドメインにわたるさまざまなプラットフォームから実行される。電子戦(EW)実現者(enablers)は、沿岸部隊(littoral force)を支援するための攻撃的・防御的電子戦の実施に必要な経験と専門知識を提供する。電子戦(EW)チームは以下を行う。

  •  敵対者の電磁スペクトラム(EMS)へのアクセスと利用を形成、制限、混乱、悪用、または攻撃するようにデザインされた作戦を計画し実行する。
  •  電磁スペクトラム(EMS)における友軍の行動の自由(freedom of action)を守る。

5.7 情報環境における作戦の整合と一体化:OPERATIONS IN THE INFORMATION ENVIRONMENT ALIGNMENT AND INTEGRATION

情報環境における作戦は、孤立して行われるものではない。すべての情報環境における作戦(OIE)の能力分野の実現者(enablers)は、より大きな情報企業からの利用可能な支援とそれに対する責任を理解した上で活動しなければならない。上位部隊階層との調整は、(1)特定の情報環境における作戦(OIE)の活動を実行するための適切な権限を確保し、(2)これらの活動を作戦的目標および戦略的目標に整合させることの両方にとって不可欠である。

5.7.1 上位部隊階層の連携と調整:Higher Echelon Alignment and Coordination

遠征前進基地作戦(EABO)を支援する情報環境における作戦は、地理的(geographic combatant commands)と機能的戦闘軍(functional combatant commands)に、前方に展開した情報資源と能力を活用し、戦略目標を直接支援する機会を提供する。

敵対者の兵器交戦ゾーン(WEZ)内で遠征前進基地作戦(EABO)を実施する部隊は、独自の配置とアクセスを獲得し、将来の作戦に備えて環境を整えるために利用することができる。遠征前進基地作戦(EABO)を実施しながら情報環境における作戦(OIE)活動を活用するために、沿岸部隊(littoral forces)は海軍の番号付き艦隊、統合部隊、およびより広範な情報コミュニティとの接続と関係を行使し、テストする必要がある。

海兵隊の情報戦機能は、沿岸部隊(littoral forces)が遠征前進基地作戦(EABO)を実施するために活用できる、さまざまなスキルセットと能力を提供する。ほとんどの情報環境における作戦(OIE)能力は、海兵遠征部隊(MEF)情報グループに所属する。また、各戦闘軍(combatant commands)の軍種構成部隊内にも、計画策定・調整部門が存在する。

海兵隊本部は、海兵隊情報コミュニティ全体に対して戦略的計画策定と指針を提供する。遠征前進基地作戦(EABO)の情報環境における作戦(OIE)実施者は、海兵隊の専門知識を結集して活用できるだけでなく、遠征前進基地作戦(EABO)を支援する情報環境における作戦(OIE)の実施中に得た教訓は、システムおよび部隊のデザインと、海兵隊全体の情報能力のさらなる開発を推進するものである。

5.7.2 海軍の一体化:Naval Integration

遠征前進基地作戦(EABO)の海軍的性質から、沿岸部隊(littoral forces)は艦隊の目標と緊密に連携して情報環境における作戦(OIE)を実施することが求められる。情報環境における作戦(OIE)の計画担当者および実現者は、海軍情報作戦戦指揮官(IWC)と緊密に連携し、多くの場合、複合戦の認知の下に作戦するべきである。沿岸部隊(littoral force)の情報環境における作戦(OIE)実現者(enablers)と各行動部隊(units of action)は、遠征前進基地作戦(EABO)が艦隊の作戦を支援することを理解しなければならない。

遠征前進基地作戦(EABO)を支援する情報環境における作戦(OIE)は、遠征前進基地作戦(EABO)の成功を可能にするだけでなく、遠征前進基地作戦(EABO)任務での役割を通じ、艦隊の作戦を支援する。沿岸部隊(littoral force)の情報環境における作戦(OIE)実現者(enablers)は、情報作戦戦指揮官(IWC)との支援関係と、艦隊の目標を支援する役割を理解しなければならない。

情報環境における作戦(OIE)と非正規戦(IW)の関係は、海兵隊の情報環境における作戦(OIE)能力分野と海軍の非正規戦(IW)分野の海兵隊の相互理解を深めるために、広範な実験、試験、一体化した訓練が必要である。海軍の非正規戦(IW)任務を念頭に置き、沿岸部隊(littoral forces)は遠征前進基地作戦(EABO)を支援する能力を成熟させるため、新たな技術能力と情報環境における作戦(OIE)実現者(enablers)の試験と実験を行うべきである。

続く実験では、また、沿岸警備隊の情報環境における作戦(OIE)と非正規戦(IW)が、遠征前進基地作戦(EABO)を通じて艦隊の目標をいかに具体的に支援できるかを検証する必要がある。米国沿岸警備隊の国際的な関与と作戦環境(OE)内のパートナーの能力構築の取組みも、意図的な情報環境における作戦(OIE)の一体化を必要とする。

最後に、海軍が情報環境における作戦(OIE)活動を確実に一体化するためには、次の2つの変数が不可欠である。(1)指揮官が遠征前進基地作戦(EABO)を支援するために、すべての情報環境における作戦(OIE)機能を柔軟に実行するために必要な権限を理解すること、(2)これらの権限を活用することである。

5.7.3 特殊作戦部隊の一体化:Special Operations Force Integration

特殊作戦部隊の一体化は、特に協力と競争において、情報環境における作戦(OIE)を実施するために不可欠な手段を提供する。特殊作戦部隊(SOF)独自の権限、関係、能力は、指揮官の意図を満たすために、すべての機能と能力分野にわたって情報環境における作戦(OIE)を実施するためのアクセスや配置を提供する。情報環境における作戦(OIE)はしばしば、武力紛争の閾値未満で競争するための重要な手段を提供する。

また、遠征前進基地作戦(EABO)や沿岸部隊(littoral force)の優先順位と取組みの目標(lines of effort)のための条件を可能にし、設定するものである。特殊作戦部隊(SOF)は、競争において優位に立ち、それを維持するための環境を整え、海軍遠征部隊が紛争に勝利できるようにするために、情報環境における作戦(OIE)を採用することが多くなっている。

5.8 権限:AUTHORITIES

効果的な情報環境における作戦(OIE)は、競争の連続体(competition continuum)全体の中で同時に実行されるマルチドメインの活動を必要とする。指揮官は、しばしば許可として特性付けられる権限(ある行為を実行したり、ある行動を取ったりする力)を十分に理解しなければならない。

行動することを肯定的に許可するものだけでなく、行動することを制限するもの、そしてその権威の承認がどこにあるかを考えなければならないのである。したがって、権限は、人が行動の自由(freedom of action)を有する「左右の限界」を提供し、権限を保持する部隊階層を決定する[8]

特定の情報機能を実行し、特定の能力を使用する権限は、沿岸部隊(littoral force)が日常的な定常作戦を行っているか、武力紛争中に遠征前進基地作戦(EABO)任務を遂行するよう命じられたかによって、異なる部隊階層に存在する。地域的戦闘軍(GCC)または統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)は、将来の遠征前進基地作戦(EABO)任務の条件を整えるため、情報環境における作戦(OIE)関連のタスクを指示することができる。

遠征前進基地作戦(EABO)の任務が与えられると、沿岸部隊(littoral force)の指揮官と参謀は、有機的および事業全体情報能力を活用して情報環境における作戦(OIE)の7つの機能を実行し、遠征前進基地作戦(EABO)任務を実行するための条件を作戦環境(OE)で設定しなければならない。

任務別の指揮関係は、指揮官が配属された部隊や付属部隊に対して持つ権限を定義するものである。効果的な指揮関係は、情報環境における作戦(OIE)の能力を迅速かつ効果的に活用することを可能にする。多くの場合、宇宙、サイバースペース、電磁スペクトラム(EMS)の能力を活用する権限は、沿岸部隊(littoral force)より上位のレベルに存在する。いくつかの権限は戦闘軍レベル(combatant command level)にあり、あるいはさらに高いレベルに保持されているが、他の権限は作戦指揮官に委譲されている[9]

下位レベルへの権限委譲は、敵対者に対して優位に立ち、それを維持するための柔軟性を指揮官にもたらす可能性がある。沿岸部隊(littoral force)は、訓練や実験の中で、現在与えられていない権限を責任を持って行使する能力を示さなければならない。

情報環境における作戦(OIE)の目標を達成するためには、適切な状況認識と、実行するための作戦統制が不可欠である。これらの要素により、指揮官は任務に対するリスク、部隊に対するリスク、隣接する活動に対するリスクを理解することができる。

沿岸部隊(littoral forces)は、可能な限り権限を簡素化しなければならない。敵対者の兵器交戦ゾーン(WEZ)内にある遠征前進基地作戦(EABO)は、命令への応答性と行政当局の許認可に高い優先度を置いている。情報環境における作戦(OIE)のすべての側面を実行する権限は、現在、沿岸部隊(littoral force)レベルには存在しない。情報環境における作戦(OIE)の権限要件のギャップを特定することは、沿岸部隊(littoral forces)がすべての情報環境における作戦(OIE)機能を実行できるようにするための遠征前進基地作戦(EABO)のテストと実験における沿岸部隊(littoral forces)の主要な関心事であるべきである。

第5章 挿話:vignette

ナラティブの戦い:203X年の漁業論争

BATTLE OF NARRATIVES: A FISHING DISPUTE IN 203X

ロビンソン大佐が指揮を執る

Colonel Robinson Takes Command

ロビンソン(Robinson)大佐は興奮と少しの不安を抱きながら第25海兵沿岸連隊(MLR)の指揮に就いた。作戦地域(AO)では再び緊張が高まっていた。今回は、ダコタ(Dakota)海に面する国々の人口増加が主な原因であった。そのため、各国の漁船は自国民を養うために、より多くのタンパク質を持ち帰る必要に迫られていた。

同時に、第25海兵沿岸連隊(MLR)の海兵隊員たちは、ロビンソン大佐がこのような環境でうまく指導できるのか、当然ながら興味津々で、少しばかり神経質にもなっていたかもしれない。海兵隊員が事態に深く関与することは誰もが感じていたが、それが具体的にどのようなものなのかは分からなかった。

ダコタ(Dakota)海の漁業権は何十年も前から争われていた。より多くの漁獲物を持ち帰らなければならないという圧力は、この海の有限な魚類資源にますます大きな負担をかけることになった。セントラリア民主共和国(DRC)は、他の多くの国の排他的経済水域(EEZ)と相反する「領海(territorial sea)」の主張を続けていた。

セントラリア民主共和国(DRC)のトロール船団が国境沿い、特に近隣諸国が主張する排他的経済水域(EEZ)内で漁業を行おうとすると、他国の沿岸警備隊や漁船から抵抗を受けることが多く、「体当たり(shouldering)」と衝突行動(ramming actions)、「突っ込み」、「放水銃(water cannon)」、「国際メディアやインターネットによるナラティブの競争」などが発生した。

指揮官交代から間もなくして、海兵沿岸連隊(MLR)に警告命令が出された。セントラリア民主共和国(DRC)がダコタ(Dakota)海で力をつけていることを受け、戦闘軍(COCOM)では柔軟な抑止力を検討していた。この警告は、セントラリア民主共和国(DRC)の侵略をいかに抑止するかという選択肢を提示するよう、統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)に指示した。海兵遠征部隊(MEF)と第8艦隊はそれに従って任務を与えられ、海兵沿岸連隊(MLR)と他の海軍部隊はタスク部隊として編成された。

インテリジェンス担当官は、セントラリア民主共和国(DRC)の漁船団がダコタ(Dakota)国の排他的経済水域(EEZ)を侵犯していることの概要を説明した。特に「浅堆域ジョン(John’s Bank)」付近で活発に行われている。この海域には多くの海洋生物が生息しており、また浅い水深には炭化水素が豊富に存在すると考えられている。インテリジェンスは、セントラリア民主共和国(DRC)が漁船の数で優位に立ち、ダコタ(Dakota)沿岸警備隊を圧倒して「浅堆域ジョン(John’s Bank)」を事実上統制することを到達目標としていると評価した。

セントラリア民主共和国(DRC)も「浅堆域ジョン(John’s Bank)」地域を選んだのは、ダコタ(Dakota)とセントラリア民主共和国(DRC)しか領有権を主張していないため、セントラリア民主共和国(DRC)が複数の領有権者を相手にするのではなく、一対一の威嚇ゲームになったからである。また、水平線の向こうにはセントラリア民主共和国(DRC)海軍の水上行動群がいるが、必要なら支援できる範囲であった。

ロビンソン大佐は、いくつかのメモを書き終えると、顔を上げて最初の計画策定の指針を行った。

先ず、双方は致死性の軍事力を使わずに、情報環境での作戦によってこの争いに勝とうとするナラティブの戦い(battle of narratives)と考えている。沿岸警備隊の船や漁船が他の船にぶつかったり、水鉄砲を使ったりと、多少の暴力はあるかもしれないが、武力紛争は避けようとするはずである。セントラリア民主共和国(DRC)は、このような状況を作り出すことで、できるだけ多くのものを得たいと考えているが、そのためにはできるだけ低いコストで行いたいと考えている。

タスク部隊80(TF 80)のマクガイア提督との会話によれば、セントラリア民主共和国(DRC)に対して、攻撃者であることを明らかにし、あらゆる情報手段を用いて、政治的コストを高める必要があるとのことである。

主な到達目標は、ダコタ(Dakota)がセントラリア民主共和国(DRC)の侵犯を防ぐことによって、排他的経済水域(EEZ)に対する主権を示すのを助けることである。我々は、ダコタ(Dakota)国がセントラリア民主共和国(DRC)の隣人によるいじめにもかかわらず、自分たちの排他的経済水域(EEZ)を守る権利が十分にあることを主張できるよう、強力なストーリーを押し出すことで支援する必要がある。その際、多国間ナラティブの場を設けると、セントラリア民主共和国(DRC)にとって事態が複雑になる。

作戦将校(OpsO)はタスク部隊80(TF 80)と第8艦隊が情報戦作戦の指揮・統制(C2)をどのように構成する予定か確認するように。情報環境における作戦(OIE)運用のコンセプト(CONEMP)は全て情報作戦戦指揮官(IWC)を経由して承認される必要がある。提出するものすべてをタスク部隊や艦隊の目標に関連付け、彼らがイエスと答え、積極的な関与に必要な許可や権限を簡単に与えられるようにしよう。

たとえ戦闘軍(COCOM)レベルであっても、前もってトリガーを調整したり、承認された運用のコンセプト(CONEMP)の条件が満たされたときに上位の権限を使用する許可を事前に調整しておけば、そのレベルで特定の権限を保持していても問題ない。言い換えれば、我々が機会を見つけたら、それを利用できるようにしたい。つまり、必要に応じて上位の司令部が我々に代わって行動する準備が必要で、しかも迅速に!また、海兵情報グループ(MIG)との連携も重要である。

最後に2つ考えておきたいことがある。1つ目は、必要であれば騒音の中に隠れることができるよう、十分なデコイや擬態を計画に盛り込むこと。2つ目は、海兵隊と船員はセントラリア民主共和国(DRC)に創造的な挑戦をする方法を知っている。セントラリア民主共和国(DRC)がこの種のことに長けていることも知っている。

ロビンソン大佐の指導で、参謀は元気を取り戻した。質問をして、自分たちの考えている技法について話し合った後、作業に取り掛かった。その後、数日間にわたる進行中のレビューを経て、参謀は確認ブリーフィングのために再集合した。インテリジェンス将校から簡単な状況説明があった後、作戦将校が引き継いだ。タスク編成と部隊配置の概要を説明した後、彼女はすぐにブリーフィングの核心に触れた。

指揮官我々はタスク部隊80(TF 80)と作戦コンセプト(concept of operations)を調整した。そして彼らは我々の計画に非常に協力的だった我々は望むものをすべて手に入れたわけではないが、この2、3日問題を解決した後、我々が求めていた効果を達成する方法を考え出した。いわば、すべての引き金に指をかけるわけではないにせよ、である。

この作戦の中心テーマは、「検知による抑止(deterrence by detection)」である。セントラリア民主共和国(DRC)の人が悪いことをしているのを目撃したら、その証拠をもとに、セントラリア民主共和国(DRC)が自分たちの利益のために他人の天然資源を搾取しているというナラティブを展開することができる。もちろん、これにはさまざまな側面があるが、これが主なメッセージである。我々はタスク部隊80(TF 80)や第8艦隊と協力し、同じようなことを考えていたので、今では統合部隊海上構成部隊指揮官(JFMCC)と戦闘軍指揮官(CCDR)を通じて調整するようになった。

戦闘軍指揮官(CCDR)は国務省と連携し、地域的な協力メッセージを発信している。国務省は、セントラリア民主共和国(DRC)がダコタ(Dakota)の排他的経済水域(EEZ)を侵犯し、他国の船舶を危険にさらしているなどの証拠を提示すれば、多国間の問題にするのに協力してくれるだろう。

検知による抑止は、すべてのドメインで有効である。いくつかの例を挙げよう。まず、タスク部隊80(TF 80)を支援し、「浅堆域ジョン(John’s Bank)」を常時、すべてのドメインで監視する。海兵沿岸連隊(MLR)は長距離無人水上艦(LRUSV)と無人航空機(UAV)を通して視覚的なカバーの大部分を提供することになる。タスク部隊や他の支援機関の秘密の手段を使って無人機で合図を送り彼らが集めたビデオ映像でメディアに我々のナラティブを流すんだ

メッセージは、あるトリガーに従ってあらかじめ調整されている。例えば、セントラリア民主共和国(DRC)の沿岸警備隊がダコタ(Dakota)漁船を妨害する映像を撮影した場合、その映像をどこに送れば、地域内外の複数のメディア・チャンネルを通じて、ソーシャル・メディアも含めて迅速に公開されるかが分かっている。タスク部隊80(TF 80)の情報作戦戦指揮官(IWC)ショップは、メッセージが地域の言語に正しく翻訳されるように、率先して取り組んでいる。

もう1つの例は、防勢的サイバー作戦を一体化して、我々のナラティブを支援する方法である。タスク部隊80(TF 80)と第8艦隊を通じ、「名指しで恥をかかせる(name and shame)」メッセージを発信している。セントラリア民主共和国(DRC)が何らかの形で我々のネットワークに干渉しようとするのを捕らえたい。その証拠をつかんだら、事前に調整し承認されたいくつかのメッセージを発信する。

これを実現するために、海兵沿岸連隊(MLR)のすべてのネットワークに侵入検知機能を持たせる予定である。さらに良いことに、少なくともこの地域における我々のナラティブの強さについては、ダコタ(Dakota)海兵隊との長年の演習や戦域安全保障協力(TSC)が実を結んでいると思う。防勢的サイバースペース作戦(DCO)チームもダコタ(Dakota)海兵隊のネットワークを監視することになったが、これはダコタ(Dakota)海軍のネットワークもすべて監視することになるわけで、基本的には同じものですからね。

我々は、適切なきっかけがあれば、事前に調整し承認された別のメッセージのセットも準備している。これらのメッセージはすべてダコタ(Dakota)メディア・チャンネルを通じて発信され、その後、地域メディアにも速やかに流されるだろう。ダコタ(Dakota)海兵隊はとても小さいので、我々よりも早く同じメッセージをソーシャル・メディアに載せることができるだろう。

我々はタスク部隊80(TF 80)を通じて、ダコタ(Dakota)沿岸警備隊と行動を一体化する。タスク部隊の米国沿岸警備隊の連絡係が、彼らのカッターの航行スケジュールと計画されたパトロールルートを提供してくれるだろう。まだ確認は取れていないが、タスク部隊80(TF 80)はダコタ(Dakota)沿岸警備隊に対しても同様の防勢的サイバースペース作戦(DCO)支援を行うことができそうである。

火曜日のIPRで、評価計画(assessment plan)について質問されたことを憶えているか?さて、閣下、これを評価報告書にすることなく、ここにあなたのRFIに対する答えを述べる。まず、はい、我々は評価作業のほとんどを他者に任せることができる。GCIOC、MARFORCYBER、第10艦隊が主な支援機関である。また、A/Bメッセージテストや改善されたメッセージの推奨などを行う自動化ツールなど、ご質問の自動化が可能であることも確認した。

すべてのアウトプットは、我々のバトル・リズム(battle rhythm)に容易に一体化されるだろう。もう1つの主な質問に対する答えも「イエス」である。評価指標は戦闘軍指揮官(CCDR)まで一体化されており、そのシステムも自動化されている。例えば、ダッカ海兵隊がソーシャル・メディアに発信するものについては、トレンドやリーチに関する評価指標がある。

例えば第8艦隊の誰かが指標のデータを入力すると、全員がリアルタイムでそれを見ることができる。我々のレベルでは、主に対面での接触機会があるため、全体としてはもう少し個別のデータ地点があるが、すべてのデータ地点は共通の指標にフィードインされる。

最後に、最後の主な質問ですが、我々はこのナラティブをより長い戦役遂行(campaigning)の時間軸で維持することができるようになる。現在の危機は数カ月は続くと思われるが、いずれは収束すると思われる。この予測は、セントラリア民主共和国(DRC)が過去に行った漁船による洪水対策が、やがて沈静化したという過去の傾向に基づいている。

また、セントラリア民主共和国(DRC)が「浅堆域ジョン(John’s Bank)」周辺に何百隻もの船を維持しようとすれば、特にそれらの到達目標に向かって目立った進展がない場合は、大きなコストを課すようになるだろう。この危機が去れば、我々は海兵沿岸連隊(MLR)の占有領域(footprint)を通常のローテーション活動にまで縮小することができるだろう。とはいえ、ダック海兵隊にこうした機能の多くを担わせることで、本当の意味で前進している。

しかし、ダコタ(Dakota)海兵隊、そして海軍は、政府がナラティブの戦いを効果的に行うために必要な情報をどのように入手すればよいかを理解した。しかし、ダコタ(Dakota)海兵隊や海軍は、自国政府がナラティブ・バトルを効果的に闘うために必要な情報の入手方法を理解している。彼らは独自のプロセスやシステムを使用するが、何を探し、それを入手したらどう行動すべきかを知っているはずである。この有事が去った後、我々は監視の役割を担うことになると思うが、それでも長期にわたって「ナラティブの闘い」を闘う支援をすることに変わりはないだろう。

ノート

[1] The term “graceful degradation” describes systems that continue to run at some reduced level of performance after one or more components fail. It is a level below “fault-tolerant” systems, which continue operating at normal speed and performance despite a component failure.

[2] JCS, DOD Dictionary, 136.

[3] 【訳者註】米陸軍マルチドメイン変革(米陸軍参謀総長文書#1)では「軍事及び主要指導者とのエンゲージメント(KLEs, Key Leader Engagements):米陸軍の関係(構築)は、高官とのエンゲージメントから始まる。KLEsは、関係を前進させ、パートナーシップの障害を打破し、戦略的な利益の活用を促すものである。KLEsはそのための「最初のツール」である。2020年の一年間でも、米陸軍長官と米陸軍参謀総長は、米陸軍の取り組みを世界規模で促進するため、海外のカウンターパートと100回近いエンゲージメントを行った。米陸軍構成部隊司令官は、安全保障協力を改善するために必要な、持続的なエンゲージメントの提供を続ける」とある。

[4] OPNAV, Naval Warfare, NDP 1, 22.

[5] Joint Chiefs of Staff, Joint Electromagnetic Spectrum Operations, JP 3-85 (Washington, DC: US Department of Defense, 2020), I-1 to I-11.

[6] Joint Chiefs of Staff, Space Operations, JP 3-14 (Washington, DC: US Department of Defense, 2018), II-1 to II-8.

[7] Headquarters, US Marine Corps, Marine Air-Ground Task Force Information Operations, MCWP 3-32 (Washington, DC: US Marine Corps, 2018), 3-15.

[8] Joint Chiefs of Staff, “Insights and Best Practices Focus Paper,” Authorities (Washington, DC: US Department of Defense, 2016), 2.

[9] Refer to the classified portion of appendix A for specific authorities for OIE functions.