ウクライナから将来の軍隊への教訓(第8章) (The Army War College)

MILTERMで、既に紹介しているウクライナから将来の軍隊への教訓(序章から第1章まで)(第2章から第3章まで)(第4章)(第5章)(第6章)(第7章)に続く、ウクライナから将来の軍隊への教訓(第8章)を紹介する。ウクライナとロシアの将官の交代劇に関して戦力の維持の観点から得られる教訓について述べている。(軍治)

行動喚起:ウクライナから将来の軍隊への教訓

Call to Action: Lessons from Ukraine for the Future Force

まえがき

序章:ウクライナから将来の軍隊への教訓

エグゼクティブ・サマリー

第1章 ウクライナの歴史と展望

第2章 1991年から現在までの米国とウクライナの安全保障協力:さまざまな記録

第3章 ウクライナの場合:復元性による抑止

第4章 2022年のロシア・ウクライナ戦争における作戦術

第5章 インテリジェンス

第6章 火力

第7章 ミッション・コマンド

第8章 効果的な戦闘リーダーシップの維持:ロシア・ウクライナ戦争からの考察:Sustaining Effective Combat Leadership: Observations from the Russia-Ukraine War

Brian A. Dukes and Vincent R. Scauzzo

キーワード:指揮所(command posts)、ザルジニー(Zaluzhny)将軍、シルスキー(Syrsky)将軍、教育、交代(replacement)、経験、コミュニケーション、信頼

現代の大規模でマルチドメインの戦闘作戦の何が、作戦・戦略訓練を修了し、国際的に評価されている軍人であるヴァレリー・ザルジニー(Valery Zaluzhny)将軍に、戦争を経験するまで戦争について何も知らなかったと言わしめたのだろうか[1]?現代戦(modern warfare)は非常に複雑で、マルチドメイン作戦(MDO)に基づき、スケールが大きく、情報のスピードが速く、急速に進化する技術に後押しされている。このような新たな力学が、戦闘指導者の限界を緊張させ、訓練や経験によって得られた優位性に挑戦していることは間違いない。

ロシア・ウクライナ戦争は、マルチドメイン作戦(MDO)を遂行するほぼ対等な間で、大規模戦闘作戦(LSCO)として区別されているため、現代戦を評価するユニークな機会を提供している。このような環境の中で、大きな戦闘損失にもかかわらず、リスクを管理し、復元性を持続させるという厳しい現実に直面し、戦闘指導者は、ここ数十年、模擬的な環境でしか訓練されてこなかった大規模戦闘におけるマルチドメイン作戦(MDO)の複雑な争いの中で、訓練や経験以上に追い詰められている。本章では、上級のリーダーシップの性格的特徴(personality traits)、身体的要件(physical requirements)、兵站的支援(logistical support)といった側面を検証し、米軍のリーダーシップが将来の大規模戦闘作戦(LSCO)で生き残り、機能できるように、現在の米陸軍の慣行とウクライナ戦争で見られた慣行を比較する。

米陸軍内のリーダーシップ

米陸軍フィールド・マニュアル3-0「作戦(Operations」の第8章では、指導者はどのように行動すべきか、指導者は何を言うべきか、指導者はいつそれを言うべきかを説明し、戦闘において効果的な指導者となるために必要な性格的特徴を明らかにしている。この章は、米陸軍における指導者としての要件をより明確に理解しようとする者にとっては、精査に値するものであるが、学者たちが詩的かつロマンティックに歴史上の偉大な軍人たちに帰結させたのと同じリーダーシップ特性の多くを列挙している。例えば、ペリクレス(Pericles)、ルキウス・クインティウス・シンチナトゥス(Lucius Quinctius Cincinnatus)、ヘンリー5世(Henry V)、ジョージ・ワシントン(George Washington)将軍は、勝利に必要な特徴(traits)を持っていた。

フィールド・マニュアルに記載されている特性の多くは、簡単に教えられるものではない。信を持ち、リスクを理解し、的確な判断を下し、適切な存在感を示し、高潔で知的、道徳的な全体的な卓越性を備えている[2]。教室でリーダーシップの技術を学び、訓練で実践することはできるが、多くのリーダーシップの技能は最前線での時間から生まれる。(少なくとも大規模戦闘作戦(LSCO)という点では)米陸軍が長い間経験してこなかったことだ。

リーダーであること:あなたの人々とあなた

現在、米軍は戦闘における作戦を遂行するために、指揮・統制(C2)に大きく依存している。指揮・統制(C2)により、下層部の小集団の指導者たちは、前線にいる指導者たちの足手まといになったり負担になったりすることなく、上層部の指導者たちの優先事項や任務を遂行することができる。米陸軍は、指揮・統制(C2)用兵機能を堅持することに加え、ミッション・コマンド哲学(mission-command philosophy)を体現することになっている。そのため、米陸軍は、すべての上層部の指導者がリーダーシップの負担を分かち合うことを認めなければならない。負担を共有することは、規律ある主導性(disciplined initiative)を要求するリーダーシップの文化を通じてのみもたらされる[3]。会戦において、リーダーシップの負担の分かち合いは、しばしば、直接の命令なしに行動する主導性を持ち、最終的な到達目標を追求することを上司から信頼されている指導者による大胆な行動の形で現れる。

特に、下級将校が大きな裁量権を持つ指揮・統制(C2)システムの中で作戦する場合、信頼感を築くには一定の技能と属性が必要である。上記の無形の特性に加えて、有能な指導者は体力があり、部隊と一緒に行動することを厭わない者でなければならない。精神的に熱意があり、大胆な計画を立てるだけでは不十分であり、そのような大胆なことを実行するためには、適切な身体的活力がなければならない。指導者は、兵士が指導者とともにミッションに参加することで、より容易に人々を鼓舞することができる[4]。この条件は、偉大さのはけ口であると同時に、無能さを牽制するものでもある。一方では、偉大な指導者は自分自身に自信を持つようになり、そのまま継続するはずである。同時に、無能な指導者、つまりエネルギーと熱意において兵士に及ばない指導者は、急速に遅れをとり、兵士からの尊敬を失って、より優れた指導者が指揮を執るようになる。

体力を維持することは、軍隊において指導者が戦場に立ち会うという大きな使命と一致する。すべての階級の指導者は、個人的な模範によって指導し、同僚や部下と直接コミュニケーションを取らなければならない[5]。より多くの指導者が戦闘に立ち会い、同じように戦闘に従事している同僚や部下とコミュニケーションを取れば、指導者は次に何をすべきかについて、より多くの情報に基づいた決定を下すことができ、他の下級の指導者が自分の役割をどのように扱っているかを直接見ることができる[6]

また、危険な会戦条件(battle conditions)にも果敢に立ち向かおうとする姿勢を示すことは、部下のモチベーションを高め、下級の指導者に勇気を与えることができる。指導者がどこに身を置くべきかは、さまざまな要因によって決定されるが、指導者は戦闘に立ち会うことで生じる一定のリスクを念頭に置くべきである。軍事学者の中には、「複雑さ、知的な議論、好奇心を受け入れる」オープンな性格を、指導者にふさわしい性格とみなす者もいる[7]。優れた指導者が部下をよく知り、部下を信頼し、部下が彼女を信頼するならば、彼女は責任を委譲することができるはずであり、その結果、部隊全体が、取組みの統一と共有された到達目標を維持しながら、不必要な兵站的ハードルなしに、効率的に戦闘に従事することができる。

リーダーであること:学生であること

ザルジニー(Zaluzhny)のように、戦史書を読み、演習を行い、大規模戦闘作戦(LSCO)を経験してもなお、戦闘への備えができていないと感じることはある。しかし、教育と戦術・戦略の批判的分析によって、軍隊は向上することができる。指導者志望者は、過去の出来事、失敗した戦略、成功した戦略、重要人物について、できるだけ深い知識を身につけるべきである[8]。もし指導者志望者が過去の偉大な指導者の姿を知らなければ、現在のリーダーシップの到達目標を特定することは非常に難しくなる。指導者がさまざまな手本や方法を学んだら、あとは学んだ原則を自分のスタイルに当てはめて練習や戦闘に臨むことができる[9]。歴史を学ぶことの利点に加え、上級指導者は自らが教育者であり指導者でなければならない。教育者や指導者になることで、将来の上級指導者は過去の経験を分析し、闘いや指導に関する新たに発見した知識を将来の戦争に応用し、その過程で知識を次世代に伝えることができるようになる。

ウクライナ軍におけるリーダーシップ

ウクライナ戦争1年目には、米陸軍が将来の大規模戦闘作戦(LSCO)に備えて最大限の準備をする方法を決定するために参考にできる複数の指導者が明らかになった。ウクライナ軍はこの10年でルネッサンスを遂げた。ウクライナ軍はもはや、ソビエト崩壊後の時代遅れの手法に頼るのではなく、西側同盟国を模倣し、その優れた戦術、後方支援、戦略的手法を駆使して、より効果的に紛争に備えようとしている。これまでのウクライナの取組みの成功は、国民の心と兵士の勇敢さ(どちらも崇高なものだ)によるものだと言えるが、ウクライナの戦闘部隊(fighting force)のリーダーシップは分析に値する。なぜなら、そのリーダーシップは、抑えきれない愛国心と根性を最大限に生かして効果を上げることができる国家の指導者たちで構成されているからだ。

ザルジニー(Zaluzhny)将軍

鉄の将軍」というニックネームを持つザルジニー(Zaluzhny)は、21世紀で最もタフで、最も堅実で、最も逞しい指導者の一人として、すでにその遺産を築いている。ザルジニー(Zaluzhny)のウクライナ軍総司令官(最高司令官であるヴォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領の1つ下の階級)までの道のりは異例かもしれないが、その道のりは、現在のウクライナ軍がロシア軍に対して有効であることの象徴として機能している[10]

1973年、ザルジニー(Zaluzhny)はウクライナ北部のソ連軍駐屯地に生まれた。コメディアンになることを夢見たザルジニー(Zaluzhny)は、家族同様、兵役に就いたが、ユーモアのセンスは衰えなかった[11]。ザルジニー(Zaluzhny)はソ連崩壊後の1990年代、オデサ陸軍士官学校とウクライナ国防大学に通った。この研究所とアカデミーに通うことで、ザルジニー(Zaluzhny)はまたとない機会を得た。一方では、ザルジニー(Zaluzhny)はソ連時代の戦闘とリーダーシップの方法に精通し、それはソ連解体後もロシア軍が使い続けることになる。ザルジニー(Zaluzhny)は今でもロシア軍参謀総長のヴァレリー・ゲラシモフ(Valery Gerasimov)大将を心から尊敬している[12]。しかし、ザルジニー(Zaluzhny)は米軍も研究し、最終的には修士論文で西側諸国のやり方と現代のウクライナのシステムを比較した[13]。ザルジニー(Zaluzhny)は、ウクライナ軍は多くのことをうまくやっているが、指導者育成という重要な分野が欠けていることに気づいた[14]

ザルジニー(Zaluzhny)が2014年に国防大学での教育を卒業する頃には、ロシアはクリミアに侵攻していた。ザルジニー(Zaluzhny)は東部戦線の旅団司令官として、ウクライナの軍事システムの戦闘遂行方法を変え始めた[15]。ザルジニー(Zaluzhny)は米国やNATOと緊密に協力し、ウクライナの下士官訓練モデルを改善し、より下級の指導者が主導性を取れるようにした[16]。ウクライナ軍はもはや、任務が失敗し兵力が失われたときに下級将校をスケープゴートにしたり、将校が指揮官の盲目的な部下になったりすることはない[17]。その代わり、将校は上官と意思疎通を図り、命令に従い、その場その場で自らの判断で行動する能力を持つようになった[18]。ザルジニー(Zaluzhny)はクリミア危機の上級指導者を務めていたとき、この「人の管理」という習慣を「宗教」として扱っていた。2021年、ゼレンスキー(Zelensky)大統領は、年齢も階級も自分より上の他の候補者を差し置いて、ザルジニー(Zaluzhny)を現職に昇格させた。

開戦以来、ウクライナ軍がロシア軍に対して持っていた最大の利点は、「あらゆるレベルでの意思決定を行う自由(freedom to make decisions at every level)」だった[19]。2014年にザルジニー(Zaluzhny)が開始した作戦変更により、ウクライナ軍は今回の開戦まで数年間、欧米流の手法を実践することができた[20]。ウクライナ軍は若手指導者を育成することができたため、信頼と尊敬の念が部隊全体に浸透している。ザルジニー(Zaluzhny)は、ウクライナ国軍の指導者全員にこのような考え方を持ってほしいと考えている。だからこそ、彼は特定の上級指導者を下級指導者の模範となるような別の階級に任命したのであり、また、彼が言うように「タスクに耐えられなかった」10人の将官を解雇したのである[21]

現代的な思考を持ち、戦闘の実績があり、時に残忍な将軍であることに加え、ザルジニー(Zaluzhny)は謙虚さを保っている。ザルジニー(Zaluzhny)は下士官を中佐と同じように尊重し、自分がキャリアを積んでいた頃の同格の将校よりも、言語、技術、文章に関する訓練や知識が豊富な若い世代の指揮官の知性(intelligence)を尊重している[22]。ザルジニー(Zaluzhny)は、自分が常に最も頭が切れるわけでも、最も情報に通じているわけでもないことを知っており、洞察力や情報については現場の下級指導者に頼らざるを得ない[23]

ザルジニー(Zaluzhny)は卓越した指導者かもしれないが、彼はまだ一人の男に過ぎず、一人の男が軍全体のパフォーマンスを決定することはできない。この点で、ウクライナの国防大臣オレクシィ・レズニコフの、ウクライナのこれまでの軍事的成功についてのコメントは最もふさわしい:「一人の星の話ではなく、軍事エリートの星座の話なのだ(It’s not a story of one star, but a constellation of our military elite)」[24]

オレクサンドル・シルスキー上級大将

オレクサンドル・シルスキー(Oleksandr Syrsky)大将がモスクワ高等連合軍司令部学校に通っていたころ、サンクトペテルブルクはまだレニングラードと呼ばれていた。ザルジニー(Zaluzhny)と同様、シルスキー(Syrsky)もソ連の文化的・軍事的伝統の中で育ち、教育を受けた[25]。2013年から14年にかけてのウクライナ危機では、シルスキー(Syrsky)はドネツ盆地地域の地上司令官として「国家主権と国家安全保障の防衛における卓越した任務」を果たし、称賛された[26]。反テロ作戦の参謀長として、シルスキー(Syrsky)はロシア軍が使っていた会戦戦術(battle tactics)と戦略をつぶさに観察することができた。2013年にNATOのメンバーとブリュッセルでウクライナ軍の近代化方法について話し合った後、シルスキー(Syrsky)は西側の分散型指揮の強力な支持者となった[27]。2つの紛争の間に、シルスキー(Syrsky)はウクライナ陸上軍の指揮・統制(C2)システムの変革に尽力し、個人の技能を最大限に発揮させ、軍全体がより効率的に機能できるようにした。シルスキー(Syrsky)の部隊の士気は彼の最優先事項であり、「軍の精神を感じる(feel the spirit of the army)」ためには、現場での部隊との定期的な交流と関与が必要だと彼は考えている[28]

シルスキー(Syrsky)が実施した変更により、シルスキー(Syrsky)はウクライナ陸上部隊の指揮官として、現在の戦争の場で、西側の軍事戦術と戦略の知識を駆使して、熟知しているロシアの軍事計画を打ち負かすことができるようになった。とはいえ、シルスキー(Syrsky)は「あらゆる事態を想定する軍人」として知られているかもしれないが、ロシア軍がキーウを攻撃してくることをすぐには予測できなかったことを認めている[29]。それでもシルスキー(Syrsky)は、NATOのプレイブックにあるシステムを採用して、迅速に解決策を考案することができた。

まず、シルスキー(Syrsky)はキーウを囲む2つのリングに兵を配置した。1つは首都のすぐ近く、もう1つは敵の進攻を食い止めるためにできるだけ市街地から離れた場所である。次に、シルスキー(Syrsky)は地域を小さなセクションに分割し、各セクションに近隣の軍事教育センターから将官を配置した。シルスキー(Syrsky)は、これらのセンターからも大隊を動員し、「首都を防衛できるのは機械化旅団1個だけであった」ため、訓練用の大砲を配備した。このような配分と委任によって、シルスキー(Syrsky)は常に情報を得ることができる一方、戦闘では各指揮官が自由に判断できる理想的な指揮系統(chain of command)が構築された[30]

9月後半、シルスキー(Syrsky)はハリコフ地方に駐留し、反撃の準備をしていた。シルスキー(Syrsky)は、ロシア軍がイジウムやロシアのベルゴロドに大量に駐留している最中に攻撃するという大胆な計画は、敵の心には不可能に映るだろうと予測していた。同時にシルスキー(Syrsky)は、他のウクライナ軍がロシア軍を南のヘルソン方面に引き寄せ、ロシアの防衛線に切れ目を作るつもりだった。『ワシントン・ポスト』紙のインタビューで、将軍はその計画を振り返って、「戦争の歴史上、陽動作戦、つまり副次的な軸への攻撃が主軸に変わるケースは数多くある。その見込みは十分にあった。なぜなら、敵は、我々が主打撃を与えたまさにその場所を攻撃するとは絶対に予想していなかったからである」[31]と語った。

(ロシア軍の指揮系統(chain of command)が非効率的で煩雑であったため)ウクライナ軍が何かを企んでいることを察知するロシア人がいたにもかかわらず、差し迫った攻撃の知らせが重要な場所に伝わることはなかった。シルスキー(Syrsky)がザルジニー(Zaluzhny)に攻撃のアイデアを持ちかけたとき、ザルジニー(Zaluzhny)はシルスキー(Syrsky)を信頼し、危険な作戦に必要なすべての火力を彼に与えた。一週間以上も早く、ウクライナ軍は分散していたロシア軍をうまく利用し、この地域から追い出すことに成功した。手薄なウクライナ軍にとって、これは驚くべき成果だ[32]

シルスキー(Syrsky)がこの2つの会戦(battles)で成功を収めたのは、創造的思考、資源と人材への信頼、そして個人的な主導性のおかげである。シルスキー(Syrsky)が導入に貢献したウクライナ軍の現在の構造とやり方がなければ、おそらくどちらの会戦(battles)も幸運な結果にはならなかっただろう。

リーダーシップ交代の事例

ウクライナは、負傷したり戦死したりした将校の交代に関する情報をあまり発表していない。しかし、指導部の交代は適性に基づいて行われている。フリホリイ・ハラハン(Hryhoriy Halahan)少将は、ウクライナ軍の特殊作戦部隊司令官として、2020年8月からドネツクとルハンスクの部隊を率いていた。大きな領土損失の後、2022年7月25日、ゼレンスキー(Zelensky)大統領は彼をヴィクトル・ホレンコ(Viktor Horenko)少将に交代させ、ハラハン(Halahan)をテロ対策センター副所長に退かせた[33]

2022年11月前にウクライナがヘルソン奪還の準備をしていたとき、もう1つの事例が起こった。当時、アンドレイ・コヴァルチュク(Andriy Kovalchuk)少将はザルジニー(Zaluzhny)やシルスキー(Syrsky)と同じように育ち、ソ連と西側の両方の軍事方法に精通しており、南部で10万の部隊を率いていた[34]。2013年から14年にかけてのウクライナ危機の名誉あるベテランであるコヴァルチュク(Kovalchuk)は、その時点までの戦争で成功した指導者だった。しかし、その称賛と経験をもってしても、彼のヘルソン戦線での反撃計画は、長期にわたる忍耐と徹底的な熟慮に基づくものだった。コヴァルチュク(Kovalchuk)のあまりのためらいの結果、キーウは彼を、今回の指揮官の役割により適していたオレクサンドル・タルナフスキー(Oleksandr Tarnavsky)准将と交代させた[35]

ロシアモデルの検証(および再検証)

「ロシアは心で知ることも、マイルで測ることもできない。彼女の地位は唯一無二であり、種類もない。ロシアは信じるしかないのだ」[36]。ロシアの政治の論理破りの本質は、何十年もの間、西側の分析官たちを謎に包んできた[37]。全能のロシア連邦軍参謀本部は、その権力と威信において、米国の軍と政府のどの役割も凌駕しており、軍事的勝利だけでなく、政治的利益にも等しい注意を払って、国家の武力活動を管理している。このように国家の武力活動を管理するために、ロシアのシステムは極めて中央集権的(centralized)でトップダウン的な構造になっている。

米国をはじめとする多くの西側諸国が複雑なチェック・アンド・バランスシステム(complex check-and-balance systems)を採用し、軍内の権限を分散させているのに対し、ロシアの中央集権システム(centralized system)は、軍から熟慮や迷いを排除しようとするものである[38]。しかし、ロシアのシステムは、軍から柔軟性を奪うものでもある。戦略レベルでは、参謀本部が必要な物資をすべて予見し、戦争の行動方針を決定する。戦術レベルでは、上級指揮官が状況を正しく判断し、下級将校に命令を伝えなければならないが、下級将校には熟慮の余地も個人の主体性もほとんどない[39]。ロシアのシステムでは、ボトムアップのフィードバック・システムがなく、役割内での厳格な専門化がないため、上司は細かい管理を強いられ、部下が取ったあらゆる主導性は上司の責任となるため、上司に多大なプレッシャーがかかる[40]

ロシア軍内部の硬直性と組織的な不信感が、多くの人が成功すると考えていたウクライナでの失速を招いたのだろう。戦争の初期段階において、多くの西側諸国の報道機関は、ウクライナ軍が第二次世界大戦以来の割合でロシア軍将官やその他の上級将校を殺害していると報じた[41]。これらの報道は、ウクライナのインテリジェンスに基づいていた。ロシア軍司令部のトップダウンの本質からすれば驚くべきことではあったが、多くの人がもっともらしいと感じた[42]。ロシア軍の前線配置に上級将校がいることは、ロシア軍のドクトリンや文化の中では合理的な予想である[43]。戦争の初期段階におけるロシア軍の成績が悪かったため、最前線に上級将校を配置する必要があったのだろう。もうひとつの可能性は、上級指導者が電子通信の使用中に検出されるリスクを回避するために、はるかに前方に移動したことである[44]

加えて、ロシアは2013年から14年にかけてのウクライナ危機以来、同国が使用してきた大型でハイテクを駆使し、識別が容易な指揮所(command-post :CP)のデザインをいまだに採用している。当時、ロシアの無人偵察機はウクライナの指揮所(CP)の位置を特定することができた。次に、特殊部隊がウクライナの無線を妨害し、ネットワークを破壊することで、旅団は指導部との通信能力を失う。そして、ロシアはこれらの指揮所(CP)の旅団を攻撃し、破壊し、その過程で指揮官を殺害した[45]。しかし、ロシアがロシア・ウクライナ戦争で古いデザインの指揮所(CP)を使い続けているのに対し、ウクライナは前の戦争から学んだ教訓を生かし、デザインを近代化した[46]

軍事分析官や政治科学者たちは、頑固で硬直した、生まれつき不信感を抱いているロシアの指揮系統(chain of command)が、いかに多くのロシア軍将官の死につながったかを数え切れないほど書いてきた[47]。分析官や科学者たちは、このようなロシア人特有の態度、戦争初期段階での失敗、明らかに時代遅れの指揮所(CP)デザインが組み合わさり、ウクライナ政府関係者によれば、戦争開始後数カ月の間に約12人のロシア軍将官が戦死したことを示している[48]

しかし、戦争が進行し、分析官たちが新たなインテリジェンスをもとにロシア軍将官の死亡率が高いという主張を振り返るようになると、新たなストーリーが浮かび上がってきた。戦争初期に殺害されたロシア軍将官の数は、当初の報道よりもはるかに少なかったのだ。当初報道されていたように、戦争初期に12人以上の将官が殺害されたのではなく、2023年12月の時点では、戦争全体で7人の将官が殺害され、最初の1年間に殺害されたのはわずか4人というのがコンセンサスとなっている[49]

最近の報道と調査によれば、開戦1年目に死亡した4人のロシア軍将官を特定することができる。2022年2月28日、アンドレイ・スホベツキー(Andrey Sukhovetsky)少将がキーウ郊外のホストメル空港に着陸しようとして撃墜された[50]。4月中旬、ウラジーミル・フロロフ(Vladimir Frolov)少将が戦闘中に死亡したが、正確な死亡状況は不明である[51]。その後、5月下旬、カナマット・ボタシェフ(Kanamat Botashev)少将がルハンスク地方上空でスコイSu-25戦闘機の飛行中に撃墜された[52]。そして6月上旬、ドネツ盆地のウクライナ人入植地襲撃を指揮したロマン・クトゥゾフ(Roman Kutuzov)少将が戦死した[53]。2023年6月、夏の反攻作戦の最中まで、ロシア軍の将官が戦死することはなかった[54]。2件の空爆事件を除けば、これらの将官がどのように戦死したかを示す明確なパターンは浮かび上がってこない。決定的に重要なのは、これらの戦死について、リーダーシップのドクトリンの欠陥を明確に指摘するものは何もないということだ。

戦争初期のロシア軍将官の戦死に関する最初のインテリジェンスは間違っていた。ウクライナ側が報告した高い数字は、戦争のナラティブを統制し、国内および同盟国の士気を高めるための試みだった可能性が高い。戦争序盤の再検証は、これまでのロシアの上級指導者の経験について、答えよりも多くの疑問を投げかけるだけかもしれない。軍事分析官たちは、戦争が終わるまで、ロシア軍の損失の全容を知ることはないだろう。今のところ、死亡した将官の数が少ないことは、トップダウンで限定的な指揮・統制(C2)能力を持つロシアの軍事指導のスタイルが、これまで評価されてきた以上に信用に値するかもしれないことを示している。

ロシアの闘い方(way of fighting)が将官をリスクの高いシナリオに置くように見えるのと同様に、またロシアにとって開戦が劣勢であったのと同様に、彼らはこの同じリーダーシップ・スタイル、あるいはおそらく未知の適応した指導スタイルで何とか持ちこたえている。これまでの戦争で失った将官はほんの一握りであり、ロシアは報告されている1,300人の将官から後任を見つけるのにほとんど苦労しなかったようだ[55]。加えて、ロシア軍の将官を殺害することが、ロシア軍のパフォーマンスにどの程度悪影響を及ぼすのか疑問視する声もある[56]。少なくとも、ロシア軍のリーダーシップの方法を否定する証拠がない以上、その能力を早急に否定すべきではないだろう。

戦争の勝敗を左右するのは上級指導部(senior leadership)だけではない。しかし、上級指導部(senior leadership)は効果的な部隊の重要な構成要素であり、現段階では、ロシアの上級指導部(senior leadership)に有効な戦略とそうでない戦略を特定するのは難しい。ロシア軍将官の死亡に関する当初の報道では、ロシアのリーダーシップのスタイルは、より主導権を重視する西側のリーダーシップのスタイルに比べて圧倒的に劣っているように思われた。しかし、ロシア軍将官の死亡に関する西側の現在の知識と、全体的な戦争の停滞状況を踏まえれば、西側諸国はそのような早急な判断を下すことには慎重であるべきだ。とはいえ、ウクライナがソ連時代のようなトップダウンのリーダーシップを取っていたとしても、現在のウクライナの状況が良くなるとは限らない。この方法でウクライナ軍が成功することを想像するのは難しい。しかし、想像するのが難しいからといって、それが不可能というわけではない。前述のように、ロシア流の軍事的リーダーシップは多くの人にとって謎である。軍事分析官は、ロシア・ウクライナ戦争が続く中で、そして戦争が終結した後も、このリーダーシップのスタイルについて深く研究する必要があるだろう。

現在の米国の指揮所理論

ロシア・ウクライナ戦争以前から、米陸軍の要員は現在の陸軍指揮所(CP)の兵站に対する懸念と不快感を表明していた[57]。戦いの技術の近代化と戦闘におけるマルチドメイン作戦(MDO)の普及により、従来の指揮所(CP)は今や誰にとっても、特に上級指導者にとっては時代遅れで危険な場所となっている。ミッション・コマンドの哲学(philosophy of mission command)が導入され、指揮・統制(C2)用兵機能が採用されている大規模戦闘作戦(LSCO)において、指揮所(CP)は、指導者がタスクを委任し、戦場からの情報を処理できる空間を提供するために極めて重要である。米陸軍は、指揮所(CP)が「ミッション・コマンドの行使において指揮官を支援する」ために存在することを強調している[58]。今日、指揮所(CP)はマルチドメイン作戦(MDO)のさまざまな要素を監視できるコンピュータやその他の機器で一杯である。専門的なハードウェアの増加は、指揮所(CP)の会戦の管理(managing the battle)をはるかに効果的にしたが、このハードウェアは指揮所(CP)を大きくし、攻撃を受けやすくもした[59]。対反乱(counterinsurgency)のために指揮所(CP)が20年間進化してきたことと相まって、極めて技術的に高度でありながら、太くとぼしい構造が残っており、この構造をターゲットにする手段を持たない部隊に対する作戦を小まめに管理するのに理想的である[60]。しかし、この種の構造は大規模戦闘作戦(LSCO)には不向きである。

大規模戦闘作戦における将来の指導者にとっての重要な論点

行動下のリーダーシップ

ウクライナの上級指導者たちは、米国やNATO諸国が互いに敵対しない限り、決して持ち得ないユニークな優位性を持っている。現在、ウクライナ軍に所属する上級指導部(senior leadership)の多くは、高等教育時代にソ連流の戦い方と指導の訓練を受けた。中にはモスクワの軍事機関で学んだ指導者もいる。こうした知識は、ウクライナ軍の取り組みを改善するための明確な基準点となり、ロシア軍がどのように作戦を遂行しているかについての大きな洞察力を与えてくれる。

さらに、ウクライナは最近、ロシアとの大規模戦闘作戦(LSCO)に参戦し、西側の新戦術を開発し、実戦で実践する時間を得た。米陸軍は近年、大規模戦闘作戦(LSCO)で戦っていないが、本章で言及した上級指導者たちが強調しているように、米陸軍はまだ歴史を学ぶことができる。現代の将官は勉強家であり、敵と効果的に戦うためには、敵の軍隊の文化や態度を含むあらゆる側面を理解しなければならない。米国が将来、中国やその他の敵対者との戦争を懸念するのであれば、ウクライナ人がロシア人の方法を理解しているのと同様に、米国も敵対者の方法を熟知していなければならない。

米国やNATOは、ウクライナ軍がこの9年間に採用した大規模戦闘作戦(LSCO)リーダーシップの方法を採用していないが、それでも米国やNATOはウクライナのこれまでの成功に勇気づけられる:ウクライナの手法は効果がある。ザルジニー(Zaluzhny)、シルスキー(Syrsky)ら、西側の分権化した指揮(decentralized-command)、ミッション・コマンドの哲学(mission-command philosophies)を熱心に取り入れ、実践してきた将官たちは、ウクライナ軍の限られた資源を最大限に活用するために、その重要性を強調している[61]。この種の軍事システムは、トップの指導者が適切な技能をもって指揮できなければ機能しない。ザルジニー(Zaluzhny)とシルスキー(Syrsky)は、大規模戦闘作戦(LSCO)戦闘のすべての要素を通じて、部下や指導者を指導する能力が高いことを証明している。

このような効果的な直線的コミュニケーションは、軍事組織にはめったにない[62]。このようなボトムアップとトップダウンのコミュニケーションによって信頼が生まれ、信頼によって個人の主体性が高まる。ザルジニー(Zaluzhny)は、自分が「ここで最も賢い人間」ではないことを認めているが、将軍たちを信頼し、前線での作戦指揮を任せている[63]。マーク・ミリー(Mark Milley)元統合参謀本部議長も、将軍のリーダーシップのスタイルは、主導性の出口をうまく作り出すものだと認めている[64]。米陸軍の課題は、マイクロマネジメントをせずに効果的な指揮・統制(C2)システムを採用することだろう[65]

昔ながらのリーダーシップの哲学、戦術的通信システムの故障、敵からの効果的なターゲッティングと精密射撃は、現代の大規模戦闘における一般的な予想というより、ロシアの異常事態を表している[66]。とはいえ、過去20年間の対反乱(counterinsurgency)における米国の経験とは異なり、上級兵力の損失は大規模戦闘の忘れられた事実であることは、歴史が証明している[67]。精密射撃と電子・サイバー戦の組み合わせは、大規模戦闘作戦(LSCO)戦域とそれ以遠のすべての編隊にとって、より大きなリスクとなる。最大の電子・サイバー指標を生み出す編隊と場所が、最もターゲットにされやすい。したがって、すべての部隊は、生存性を高めるために、指標の削減や重要拠点への配備拡大など、より大きな緩和策を実施しなければならなくなる。

本章で紹介したウクライナの将官をはじめ、最前線で活躍する多くの将官は、米陸軍の教本でリーダーシップに必要な資質として挙げられている個人的特徴(personal traits)を備えている。しかし、ウクライナ人はさらに、「適切なタイミングで適切なことを適切な方法で言う」というウクライナ人ならではの「ユーモア」という属性を取り入れた[68]

すべての人が生まれつきユーモアに富んでいるわけではないので、士気と上層部間の相性を高めるこの戦略が、それぞれの指導者にうまく機能するとは限らない。同時に、過剰に冗談を言うことでリラックスしすぎていることを示すべきではない。そのような行動は、信頼感や権威を低下させる恐れがあるからだ。指導者は、ユーモアと戦争の深刻さや悲しみとのバランスをとらなければならない。戦争を取材したジャーナリストたちは、ザルジニー(Zaluzhny)とコヴァルチュク(Kovalchuk)を、極度の危機的状況にあっても、機知に富み、賢い人物と評している[69]。ユーモアを戦略的に用いることで、指導者は、下級の指導者や兵士には謙虚で親しみやすい人物に見える[70]。戦略的なユーモアは、緊張を解きほぐし、指導者自身を含め、人々を平静に保つことができるため、高ストレスの場面でも安定した態度を保つことができる。

リーダーシップの兵站

指揮所(CP)の問題を解決するために、米陸軍はすでに米陸軍技術出版物6-0.5「指揮所の組織と作戦(COMMAND POST ORGANIZATION AND OPERATIONS)」で認めているが、指揮所(CP)は機敏性(agility)、収束性(convergence)、耐久性(endurance)、縦深(depth)の信条に従わなければならない[71]。指揮所(CP)を最適化するために、米陸軍は指揮所(CP)を物理的な大きさに依存しないようにし、データへの依存度を高め、人的側面を最大化しなければならない(つまり、指揮所(CP)におけるリーダーシップを最大化し、各指揮所(CP)に駐屯する人員が多すぎないようにする)。指揮・統制(C2)とミッション・コマンドは、指導者と部下の信頼関係に依存しているため、先に挙げた理由により、指導者は会戦(battles)に立ち会わなければならない。模範を示すリーダーシップと組み合わされたコミュニケーションは、信頼を浸透させるのに役立つ。したがって、現代の指揮所(CP)は、指導者と部下の間に親近感を持たせるために、冗長なコミュニケーション形態を備えていなければならない[72]

物理的な空間は、米陸軍にとって最も解決困難な問題だろう。指揮・統制(C2)での作戦がより多くのドメインで高度化するにつれて、指揮所(CP)との間で常に情報の流れを確保するためのより多くのツールが必要となる。指揮所(CP)は電波を発し、背の高いアンテナやその他の付属品を備えているため、ジャミングや位置追跡のターゲットになりやすい。サイズの問題に対する一つの解決策は、情報処理機器の大半を戦場から遠く離れた場所に移動させ、クラウドから必要なデータやインテリジェンスにアクセスできる衛星指揮所(CP)を使用することだろう。もちろん、この選択肢の欠点は、指揮官が戦場の実際の状況を直接体験できないことである[73]。米陸軍が最終的にどのような変更を行うにせよ、ウクライナ軍は、ロシア軍が使用している指揮所(CP)モデル(米国が使用しているものとあまり似ていないが)が、現代のマルチドメイン大規模戦闘作戦(LSCO)では持続可能ではないことを示しているため、変更はすぐに行う必要がある。

結論

米陸軍技術出版物6-0.5は、指揮は学(science)というより術(art)であると述べている[74]。優れた指導者が持つべき要素は、理論的には定量化できるかもしれない。しかし、実際には、戦闘におけるその実行と使用は主観的なものである。戦闘において最も必要とされる瞬間においてのみ、これらの特徴(traits)や美徳(virtues)が定義され、勇気(courage)が明白な形をとる。この瞬間においてのみ、決意(determination)、思いやり(compassion)、威厳(dignity)、名誉(honor)が姿を現す。この瞬間においてのみ、指揮所(CP)の配置が効果的であるか、そうでないか、そして次の瞬間には、これらの定義が変わる。

ロシア・ウクライナ戦争という戦略的変曲点(strategic inflection point)である現在の瞬間は、軍事分析官に、将来の戦闘における決断の根拠となる材料を事実上無限に提供している。リーダーシップの方法論は、あまり変わらないものもあれば、大きく変わるものもある。そしてまた、優れた指導者は、それぞれの新しい展開に素早く適応する能力を備えているため、際立っている。このような指導者は、訓練の活用、資源や人材の活用によって、同僚と一線を画している。

ロシア・ウクライナ戦争は、戦闘における指導者の最も重要な仕事が信頼を確立することであることを示している。信頼の結果、ウクライナ軍の各メンバーは会戦で闘う自信を持つことができる。指導者が兵士とコミュニケーションをとり、兵士が高い技能を持つ指導者の言うことを聞き、従えば従うほど、信頼は高まり、勝利の可能性は高まる。

ノート

[1] Simon Shuster and Vera Bergengruen, “Inside the Ukrainian Counterstrike That Turned the Tide of the War,” TIME (website), September 26, 2022, https://time.com/6216213/ukraine-military-valeriy-z luzhny/.

[2] Headquarters, Department of the Army (HQDA), Operations, Field Manual 3-0 (Washington, DC: HQDA, 2022), 8-4–8-6.

[3] HQDA, Operations, 8-15–8-16.

[4] Charles Allen and Craig Bullis, “Developing Senior Leaders Who Want to Follow,” War Room (website), March 6, 2019, https://warroom.armywarcollege.edu/articles/senior-officers-who-soldiers-follow/.

[5] HQDA, Operations, 8-8.

[6] HQDA, Operations, 8-11.

[7] Allen and Bullis, “Developing Senior Leaders.”

[8] HQDA, Operations, 8-3; and Allen and Bullis, “Developing Senior Leaders.”

[9] Jeremy Smith, “Leadership during Large-Scale Combat Operations,” Military Review ( January-February 2020).

[10] David M. Herszenhorn and Paul McLeary, “Ukraine’s ‘Iron General’ Is a Hero, but He’s No Star,” Politico (website), April 8, 2022, https://www.politico.com/news/2022/04/08/ukraines-iron-general-zaluzhnyy-00023901.

[11] Shuster and Bergengruen, “Ukrainian Counterstrike.”

[12] Shuster and Bergengruen, “Ukrainian Counterstrike.”

[13] Shuster and Bergengruen, “Ukrainian Counterstrike.”

[14] Dan Bigman, “‘It’s Churchillian’: Lessons from Ukraine’s Military Commander-in-Chief,” Chief Executive (website), July 5, 2022, https://chiefexecutive.net/leading-in-crisis-lessons-from-ukraines-military-commander-in-chief/.

[15] Herszenhorn and McLeary, “Ukraine’s ‘Iron General.’ ”

[16] Jim Garamone, “NCOs Key to Ukrainian Military Successes against Russia,” Department of Defense (DoD) (website), February 28, 2023, https://www.defense.gov/News/News-Stories/Article/Article/3313982/ncos-key-to-ukrainian-military-successes-against-russia/.

[17] “An Interview with General Valery Zaluzhny, Head of Ukraine’s Armed Forces,” Economist (website), December 15, 2022, https://www.economist.com/zaluzhny-transcript.

[18] “General Valery Zaluzhny.”

[19] Shuster and Bergengruen, “Ukrainian Counterstrike.”

[20] Bigman, “ ‘It’s Churchillian.’ ”

[21] Shuster and Bergengruen, “Ukrainian Counterstrike.”

[22] Bigman, “ ‘It’s Churchillian’ ”; and Herszenhorn and McLeary, “Ukraine’s ‘Iron General.’ ”

[23] “General Valery Zaluzhny.”

[24] Shuster and Bergengruen, “Ukrainian Counterstrike.”

[25] “ Who Is Oleksandr Syrsky, the Head of Ukraine’s Ground Forces?,” Economist (website), June 8, 2023, https://www.economist.com/the-economist-explains/2023/06/08/who-is-oleksandr-syrsky-the-head-of-ukraines-ground-forces.

[26] Inna Semenova, “Exclusive: How Colonel-General Oleksandr Syrsky Became an Architect of Ukrainian Victory,” New Voice of Ukraine (website), September 8, 2022, https://english.nv.ua/nation/nv-profile-of-colonel-general-oleksandr-syrsky-ukraine-war-50270772.html.

[27] Semenova, “Exclusive.”

[28] Semenova, “Exclusive.”

[29] Paul Sonne et al., “Battle for Kyiv: Ukrainian Valor, Russian Blunders Combined to Save the Capital,” Washington Post (website), August 24, 2022, https://www.washingtonpost.com/national-security/interactive/2022/kyiv-battle-ukraine-survival/.

[30] Sonne et al., “Battle for Kyiv.”

[31] Isabelle Khurshudyan et al., “Inside the Ukrainian Counteroffensive That Shocked Putin and Reshaped the War,” Washington Post (website), December 29, 2022, https://www.washingtonpost.com/world/2022/12/29/ukraine-offensive-kharkiv-kherson-donetsk/.

[32] Mick Ryan, “A Tale of Three Generals—How the Ukrainian Military Turned the Tide,” Engelsberg Ideas (website), October 14, 2022, https://engelsbergideas.com/essays/a-tale-of-two-generals-how-the-ukrainian-military-turned-the-tide/.

[33] Ukrainian Service, “Zelenskiy Replaces Commander in Eastern Ukraine after Territorial Losses,” Radio Free Europe/Radio Liberty (website), July 6, 2022, https://www.rferl.org/a/zelenskiy-replaces-commander-eastern-ukraine/31959885.html.

[34] Cristian Segura, “Trained by Moscow and NATO and Hardened in Donbas: The Generals Who Outfoxed Putin’s Forces in Ukraine,” El País (website), November 16, 2022, https://english.elpais.com/international/2022-11-16/trained-by-moscow-and-nato-and-hardened-in-donbas-the-generals-who-halted-russias-invasion-of-ukraine.html.

[35] Khurshudyan et al., “Ukrainan Counteroffensive.”

[36] Fyodor Tyutchev, Izbrannoe (Rostov-on-Don, RU: Phenix, 1996).

[37] Ofer Fridman, “The Russian Mindset and War: Between Westernizing the East and Easternizing the West,” Journal of Advanced Military Studies (2022): 24–34.

[38] Alexis A. Blanc et al., The Russian General Staff: Understanding the Military’s Decisionmaking Role in a “Besieged Fortress” (Santa Monica, CA: RAND Corporation, 2023).

[39] Lester W. Grau and Charles K. Bartles, The Russian Way of War: Force Structure, Tactics, and Modernization of the Russian Ground Forces (Fort Leavenworth, KS: Foreign Military Studies Office, 2016), 2–21.

[40] Blanc et al., Russian General Staff.

[41] Meredith Deliso, “ Why Russia Has Suffered the Loss of an ‘Extraordinary’ Number of Generals,” ABC News (website), May 8, 2022, https://abcnews.go.com/International/russia-suffered-loss-extraordinary-number-generals/story?id=84545931; William Booth, Robyn Dixon, and David L. Stern, “Russian Generals Are Getting Killed at an Extraordinary Rate,” Washington Post (website), March 26, 2022, https://www.washingtonpost.com/world/2022/03/26/ukraine-russan-generals-dead/; and Brendan Cole, “Russian Generals Killed in War ‘Unbelievably High’: Japanese Intelligence,” Newsweek (website), February 9, 2023, https://www.newsweek.com/russian-generals-killed-war-ukraine-japanese-intelligence-1780131.

[42] Senior Defense Official, “Senior Defense Official Holds a Background Briefing,” DoD (website), March 25, 2022, https://www.defense.gov/News/Transcripts/Transcript/Article/2979038/senior-defense-official-holds-a-background-briefing/; and Paul D. Shinkman, “Pentagon Downplays Reports of Russian Generals’ Battlefield Killings,” US News & World Report (website), March 21, 2022, https://www.usnews.com/news/national-news/articles/2022-03-21/pentagon-downplays-reports-of-russian-generals-battlefield-killings.

[43] Grau and Bartles, Russian Way of War.

[44] Stephen Bryen, “The Fatal Failure of Russia’s ERA Cryptophone System,” Asia Times (website), May 26, 2022, https://asiatimes.com/2022/05/the-fatal-failure-of-russias-era-cryptophone-system/.

[45] Amos C. Fox, “On the Employment of Armor,” Armor: Mounted Maneuver Journal 132, no. 1 (Winter 2019): 5.

[46] David Axe, “ The Ukrainians Keep Blowing Up Russian Command Posts and Killing Generals,” Forbes (website), April 23, 2022, https://www.forbes.com/sites/davidaxe/2022/04/23/the-ukrainians-keep-blowing-up-russian-command-posts-and-killing-generals/.

[47] “Why Are So Many Russian Generals Dying in Ukraine?,” Economist (website), March 31, 2022, https://www.economist.com/the-economist-explains/2022/03/31/why-are-so-many-russian-generals-dying-in-ukraine; and Austin Wright, “Why Russia Keeps Losing Generals,” Foreign Policy (website), July 20, 2022, https://foreignpolicy.com/2022/07/20/why-russia-keeps-losing-generals-ukraine/.

[48] Julian E. Barnes, Helene Cooper, and Eric Schmitt, “U.S. Intelligence Is Helping Ukraine Kill Russian Generals, Officials Say,” New York Times (website), May 4, 2022, https://www.nytimes.com/2022/05/04/us/politics/russia-generals-killed-ukraine.html.

[49] “Russian Casualties in Ukraine. Mediazona Count, Updated,” Mediazona (website), December 27, 2023, https://en.zona.media/article/2022/05/20/casualtieseng; Isabel van Brugen, “ Russia Has Lost at Least Seven Generals in Ukraine War,” Newsweek (website), November 30, 2023, https://www.newsweek.com/russia-military-losses-generals-ukraine-war-1848294; and Jeff Schogol, “How Many Russian Generals Have Been Killed in Ukraine?,” Task & Purpose (website), December 27, 2023, https://taskandpurpose.com/news/russian-generals-ukraine-killed/.

[50] Adita Sangal et al., “March 11, 2022 Russia-Ukraine News,” CNN (website), updated March 12, 2022, https://www.cnn.com/europe/live-news/ukraine-russia-putin-news-03-11-22/index.html; Tom Demerly, “Reports: Russian Airborne Forces Commander Killed by Sniper in Hostomel,” Aviationist (website), March 4, 2022, https://theaviationist.com/2022/03/04/general-andrey-sukhovetsky-killed/; and Noelle Wiehe, “Russian General Killed in Ukraine Fighting, Putin Confirms,” Coffee or Die Magazine (website), March 4, 2022, https://coffeeordie.com/russian-general-killed.

[51] James Hookway, “ Russia Loses Another Major General in Ukraine Fighting,” Wall Street Journal (website), updated April 18, 2022 , https://w w w.wsj.com/livecoverage/russia-ukraine-latest-news-2022-04-15/card/russia-loses-another-major-general-in-ukraine-fighting-7bHXbR97hCy4IBVxJsjL ; and Patrick Reilly, “Russian General Vladimir Frolov Killed in Ukraine,” New York Post (website), April 16, 2022, https://nypost.com/2022/04/16/russian-general-vladimir-frolov-killed-in-ukraine/.

[52] Olga Ivshina, “ ‘Стингер’ на выходе из атаки, взрыв в воздухе и… Всё.” Российские паблики обсуждают гибель летчика-генерала,” BBC News [Русская служба] (website), May 24, 2022, https://www.bbc.com/russian/features-61559430; and “Russian Major General Shot Down over Ukraine – BBC Russian,” Moscow Times (website), updated May 25, 2022, https://www.themoscowtimes.com/2022/05/24/russian-major-general-shot-down-over-ukraine-bbc-russian-a77788.

[53] Matt Murphy, “Ukraine War: Another Russian General Killed by Ukrainian Forces – Reports,” BBC News (website), June 6, 2022, https://www.bbc.com/news/world-europe-61702862.

[54] “Top Russian Officer Killed in Ukrainian Counteroffensive, Says Moscow-Backed Official,” Reuters (website), June 13, 2023, https://www.reuters.com/world/europe/top-russian-officer-killed-ukrainian-counteroffensive-says-moscow-backed-2023-06-13/.

[55] Aila Slisco, “Putin Replaces Top Military After Generals Killed,” Newsweek (website), December 6, 2023, https://www.newsweek.com/putin-replaces-top-military-after-generals-killed-1850241.

[56] David Axe, “The Ukrainians Are Killing a Lot of Russian Generals. It Won’t Help End the War,” Forbes (website), March 27, 2022, https://www.forbes.com/sites/davidaxe/2022/03/27/the-ukrainians-are-killing-a-lot-of-russian-generals-it-wont-help-to-end-the-war/.

[57] Milford Beagle, Jason C. Slider, and Matthew R. Arrol, “The Graveyard of Command Posts: What Chornobaivka Should Teach Us about Command and Control in Large-Scale Combat Operations,” Military Review (May-June 2023).

[58] HQDA, Command Post Organization and Operations, Army Techniques Publication 6-0.5 (Washington, DC: HQDA, March 1, 2017), iv.

[59] Beagle, Slider, and Arrol, “Graveyard of Command Posts.”

[60] Beagle, Slider, and Arrol, “Graveyard of Command Posts.”

[61] “Who Is Oleksandr Syrsky.”

[62] Ryan, “Tale of Three Generals.”

[63] “General Valery Zaluzhny.”

[64] Shuster and Bergengruen, “Ukrainian Counterstrike.”

[65] Beagle, Slider, and Arrol, “Graveyard of Command Posts.”

[66] Shinkman, “Pentagon Downplays Reports.”

[67] Robert S. Rush, “General and Flag Officers Killed in War,” War on the Rocks (website), August 7, 2014, https://warontherocks.com/2014/08/general-and-flag-officers-killed-in-war/.

[68] Oksana Torop, Svyatoslav Khomenko, and Kateryna Khinkulova, “Valerii Zaluzhnyi, the Man behind Ukraine’s Counter-Offensive,” BBC News (website), June 14, 2023, https://www.bbc.com/news/world-europe-65901723 .

[69] Vladislav Davidzon, “The Commander of the Southern Front Lives to Fight Another Day,” Tablet Magazine (website), August 1, 2022, https://www.tabletmag.com/sections/news/articles/commander-southern-front-kherson-ukraine.

[70] Bigman, “ ‘It’s Churchillian.’ ”

[71] HQDA, Command Post Organization, 3-6.

[72] Beagle, Slider, and Arrol, “Graveyard of Command Posts.”

[73] Michael Peck, “ Ukraine’s Attacks on Russian Commanders Have the US Army Worried about Its Own ‘Fat and Ponderous’ Command Posts,” Business Insider (website), July 6, 2023, https://www.businessinsider.com/ukraine-attacks-on-russia-us-army-command-post-vulnerability-2023-7.

[74] HQDA, Command Post Organization, 8-5.