ウクライナから将来の軍隊への教訓(第12章)(The Army War College)

MILTERMで、既に紹介しているウクライナから将来の軍隊への教訓(序章から第1章まで)(第2章から第3章まで)(第4章)(第5章)(第6章)(第7章)(第8章)(第9章)(第10章)(第11章)に続き、第12章を紹介する。この章は、防護に関する内容である。科学・技術の進展を取り入れられ、戦いのドメインがサイバースペース、宇宙と電磁スペクトラムと広がり、それに伴い脅威の実態が変化してきている。このことは防護すべき対象も変化してきていることを意味するが、防空に関しては引き続き重要な課題である。防護についてどのような対応が必要なのかを考える一助になると思う。(軍治)

行動喚起:ウクライナから将来の軍隊への教訓

Call to Action: Lessons from Ukraine for the Future Force

まえがき

序章:ウクライナから将来の軍隊への教訓

エグゼクティブ・サマリー

第1章 ウクライナの歴史と展望

第2章 1991年から現在までの米国とウクライナの安全保障協力:さまざまな記録

第3章 ウクライナの場合:復元性による抑止

第4章 2022年のロシア・ウクライナ戦争における作戦術

第5章 インテリジェンス

第6章 火力

第7章 ミッション・コマンド

第8章 効果的な戦闘リーダーシップの維持

第9章 後方支援:兵站

第10章 大国間競争の時代における戦略的人的予備役

第11章 ロシア・ウクライナ戦争の機動についての教訓

第12章 防護:電子、航空、民間人、インフラ:Protection: Electronic, Air, Civilian, and Infrastructure

Matthew S. Holbrook

キーワード:防護、サイバー、電磁波、指揮所、無人航空システム、補給線、橋

部隊を守り、維持する必要性は、歴史を通じて戦闘で成功するための重要な側面であった。ロシアのウクライナ侵攻も例外ではない。ロシアの事実上無制限な蛮行、民間インフラ(そして多くの場合、民間人自身)への多大なターゲッティング、過去の紛争ではあまり問題にされなかったドメインへの編入は、21世紀の大規模戦闘作戦(LSCO)において米国とその同盟国を待ち受けているかもしれない戦いの種類(type of warfare)を垣間見せている。最長の戦争であったアフガニスタン戦争が終結した今、米国はウクライナの経験から得た貴重な教訓を学ぶべきだ。なぜなら、米国は将来、これまでとは全く異なる紛争に直面する可能性に直面しているからだ。デビッド・バーノ(David Barno)退役中将と同僚のノラ・ベンサヘル(Nora Bensahel)は、次のように的確に指摘している。

今日、米陸軍と米海兵隊のほぼすべての中級指導者は、反乱軍と戦い、複雑で要求の厳しい非正規戦環境で戦闘作戦を遂行する重要な経験を持っている。しかし、大規模な砲撃、迫撃砲、ロケット砲の継続的な攻撃を受けた指導者は、事実上皆無である。誘導ミサイルや爆弾による精密攻撃を受けたこともない。最近の戦争で米陸軍や米海兵隊の部隊が化学兵器の攻撃を受けたり、核爆発による放射性降下物に直面したりしたことはない。戦術通信ネットワークの妨害や深刻な混乱に対処した部隊はほとんどなく、敵の戦闘機、巡航ミサイル、ドローンによる航空攻撃(air attacks)に直面した部隊も存在しない。米軍に対する主な脅威が路側爆弾や小火器によるもの、そして自爆攻撃者である以上、こうした致命的な脅威(deadly threats)から部隊を守ることは、当然のことながら優先事項ではなかった。しかし、その優先順位は今すぐにでも変えなければならない[1]

2021年4月、米陸軍将来コマンド(US Army Futures Command)は、「刻々と変化する作戦環境(ever-changing operational environment)」に備えて指導者を準備させようとする「米陸軍将来コマンドの防護のコンセプト2028Army Futures Command Concept for Protection 2028」を発表した[2]。このパンフレットの中で、米陸軍将来コマンド(AFC)は従来の防護要素における主要な「ギャップと継ぎ目(gaps and seams)」を明らかにしている[3]。現在のウクライナ紛争では、いくつかのギャップが非常に困難で致命的(deadly)であることが証明されている。本章では、ロシア軍とウクライナ軍の成功例と失敗例を通して、防護のコンセプト(Concept for Protection)を検証する。米国はまだ学ぶべきことが多いが、ロシア・ウクライナ戦争は、米国が過去20年間に経験した紛争とはまったく異なる種類の紛争に関与する覚悟を持つべきであることを示している。米国は戦略的変曲点(strategic inflection point)に直面しており、重要性が高まっている複数のドメインにわたって、兵力防護に新たな要求が突きつけられている。大規模戦闘作戦(LSCO)における防護の進化する課題に歩調を合わせるために、米国はサイバースペースと電磁スペクトラム、航空防衛とミサイル防衛、そして民間と軍事の両方の重要インフラに重点を置かなければならない。

新たなサイバーと電磁波の脅威

2022年2月24日の朝が明けると、カリフォルニアを拠点とする電気通信会社Viasatは、ウクライナにあるインターネットサービスとハードウェアで広範囲に障害が発生し始めた。マルウェアはウクライナ全土、そして国境を越えて何千ものシステムを破壊した。仮想プライベート・ネットワーク経由でシステムに侵入したこの攻撃は、内部で急速に拡散し、衛星モデムに影響を与え、インターネットへの接続を遮断するコマンドをプッシュし、再接続をブロックした[4]。当時、同社は「何万台もの端末がダメージを受け、操作不能になり、修理もできない」と報告した[5]

ウクライナの国防軍(Ukrainian defense forces)が主なターゲットだったが、この障害は瞬く間にヨーロッパ全土に広がり、ドイツでは5,800基の風車の遠隔監視がオフラインになり、フランスでは9,000人の顧客が、その他のヨーロッパ5カ国では数千人の一般市民がウェブから遮断された[6]。それからわずか1時間後、従来のロシア軍の大規模な隊列が北と東からウクライナに押し寄せた[7]。ウクライナのサイバーセキュリティ専門家ビクター・ゾラ(Victor Zhora)は、この攻撃がウクライナの防衛に及ぼした影響について、「戦争が始まった当初、通信において実に大きな損失が生じた」と述べた[8]。ロシアは、21世紀最初の大規模戦闘作戦(LSCO)のフォース・オン・フォース(force-on-force)の例として、通常攻撃と同時に物理的な戦場を準備するために、合成サイバー・ドメイン(synthetic cyber domain)への攻撃を調整したところだった。

この侵攻前のサイバー攻撃は予想外ではなかったが、ロシアの技法を確認する貴重な材料となった。ウクライナはここ数年、ロシアによる執拗なサイバー戦争にさらされており、真冬にロシアが発電所のスイッチを切るという攻撃もあった[9]。戦争が始まってからの10カ月間、ロシアの攻撃は猛烈な勢いで行われ、同じターゲットを何度も攻撃し、ネットワークへの秘密アクセスを維持しながら物理的な装置を破壊することもあった[10]

大量の攻撃は、軍事的に大きな損害を与えるにはほとんど効果がないことが証明されているが、その理由は2つある。戦略国際問題研究センターの報告書によれば、第一は、「サイバー攻撃は過大評価されている」、「サイバー攻撃を劇的な迷惑以上のものにするには、真の取組みが必要である」ということである[11]。もうひとつの理由は、大規模な攻撃が始まる前のサイバー防衛における米・ウクライナの協力関係である。米サイバー・コマンドは2021年12月、ウクライナに兵士を派遣し、ただちに同コマンドが「ハンティング(hunting)」と呼ぶロシアの攻撃をオンラインで探す手法を開始した[12]。兵士たちはウクライナで2カ月間、ロシアのオンライン攻撃が被害をもたらす前に検知できるよう、ウクライナの工作員たちと協力し、訓練を受けた[13]。似たようなやり方が流行し、NATOのサイバーセキュリティ部門は行動を起こし、最近ではエストニアに集まり、ハンティング・チーム(hunting team)がウクライナに提供した訓練のような演習を行った[14]

ロシアは、軍事と非軍事の両方のターゲットに対してサイバー攻撃を行うことで、通常の戦場を準備する意欲を示している。こうしたサイバー攻撃の多くは、銀行、エネルギー、通信に影響を及ぼしており、軍事力よりも一般市民に大きな影響を与える可能性がある。この研究ではロシアに焦点を当てているが、サイバー能力を持つ脅威はロシアだけではない。中国、北朝鮮、あるいはコンピューターと接続性を持ついかなる行為主体も脅威である。この脅威は地域を超えたものである。外国の軍事的関与があった場合、米国の海はもはや米国本土を守ることができず、米国人はより脆弱になる。今後、サイバー戦(cyberwarfare)は、競争の連続体の特徴であり続けるだろう。サイバー対策部隊や機関に適切な資源を供給し、訓練することは、同盟の成功にとって重要な要素である。

この戦いのもう一つの側面は、我々が「目に見えない戦い(invisible warfare)」と呼ぶことができるもので、電磁スペクトラムである。米陸軍将来コマンド(AFC)は、その防護コンセプトの中で、ウクライナのロシア軍が利用できる潜在的な「ギャップ(gaps)」や「継ぎ目(seams)」として電磁スペクトラムを挙げている[15]。米国の最近の戦争では、兵士たちは電磁波のフットプリントについて無頓着だった。兵士たちは前線基地で個人の携帯電話やノートパソコンを携行して作戦しており、過度の無線通信や盗聴の可能性について無関心だった。将来の戦争では、この種の行動は致命的(deadly)となる可能性がある。ロシアとウクライナは、電磁シグネチャーを検出する無人航空機(UAV)を使って部隊の位置を特定し、地上基地システムを使って全地球測位システム、衛星、無線通信の妨害を行っている[16]。ウクライナが持つ、米国がロシアとの紛争の際に享受できない優位性の一つは、現在の両国が同じタイプの衛星通信を使用しているため、ロシアが自国の通信を妨害せずにウクライナの通信を妨害することが困難になっていることだ[17]

米国企業はすでにロシアの妨害電波を克服しなければならなかった。2022年3月、ロシアがスターリンクの信号を妨害した際、SpaceX社は即座に追加コードで対応し、24時間以内に妨害を解除した[18]。このような復元性、迅速な対応、サイバー・ドメインと電磁スペクトラムにわたる民軍パートナーシップは、対等およびほぼ対等な競争下にある軍事衛星にとって極めて重要である。

紛争の激しい電磁環境に対する訓練は、現代の戦争に備える指導者にとって極めて重要となる。偵察員と前方監視員を訓練し、直接電子戦車両を優先度の高いターゲットとして扱うようにすることは、任務の成功にとって極めて重要である。より高価な方法としては、米空軍のEC-37B Compass Call1の完成を優先させ、将来の戦争開始時に敵の電子戦システムを妨害する能力を開発することである[19]。進化する敵の脅威に迅速に対応できるオペレーターを備えた復元性のあるシステムを開発・維持することで、部隊は米国の技術的優位性を維持することができる。

※1 Compass Callとは、敵の指揮・統制・通信、レーダー、ナビゲーションシステムの通信を妨害し、敵の防空を抑制する空中戦術電子攻撃システムで、約40年間運用されている。現在は、米Lockheed Martinの「C-130 Hercules」をベースにした「EC-130H」14機が重要な役割を果たしているが、今後EC-37Bに置き換わる予定。EC-37Bでは、ビジネスジェット「Gulfstream G550」をベースに、BAEシステムズおよびL3Harrisのシステムを統合している。クロスデッキ構想の下、従来のEC-130Hのミッションシステムを受け継ぎつつ、スピード、耐久性、スタンドオフ範囲を強化し、高度な通信やレーダーの脅威に対抗するため、改良型スタンドオフジャミング性能と柔軟性を戦闘部隊司令官へ提供する。(参考:https://engineer.fabcross.jp/archeive/220916_ec-37b-compass-call.html)

最後に、そしておそらく最も重要なことだが、兵士が使い慣れた技術システムが敵によって除去されたり劣化したりした場合、兵士は盲目の状態でも機能するように準備しなければならない。おそらく、対等およびほぼ対等な敵対者は、マルチドメイン作戦(MDO)が可能だろう。通信、信号情報、全地球測位システム航法の妨害など、電磁スペクトラムや宇宙ドメインへの妨害的脅威は確率的なものである。これらのドメインで作戦する敵は、米軍が過去数世代にわたって享受してきた技術的優位性を脅かす。兵士は、通信や衛星が劣化したり、危険にさらされたりした場合でも、地図とコンパス、そして指揮官の意図(commander’s intent)だけを頼りに、アナログの世界で分散した戦術的なフットプリントを踏んで作戦できなければならない。

無人航空機システムと防空・ミサイル防衛

ロシア兵士の分隊が夜遅く、ウクライナ東部の森に潜んでいる。突然、頭上でブザーが鳴り、4人の兵士が走り出し、3人は止まったままだった。遠く離れたウクライナの兵士が、ロシア軍を発見したドローンから赤外線で送られてくるスクリーン越しにその光景を見ている。ウクライナの無人偵察機は3人の兵士にズームインし、安定させて小型の弾薬を投下する。ウクライナ軍は後に、3人のロシア兵全員が死亡したと報告する[20]

このようなシーンは、現在のウクライナ紛争の両側で数え切れないほど繰り広げられてきた。米国とその同盟国は、戦場上空を旋回する大型無人偵察機から攻撃を仕掛ける練習を積んでいるが、今回のシナリオはそれとは異なる。より小さく、より軽く、より速く、より安く、使い捨てで、台所のテーブルの上で再構成可能で、電子商店の棚ですぐに手に入る、 この脅威の新バージョンは、米国がかつて経験したことのない挑戦を突きつけている。無人航空システム(UAS)に関する輸出規制が緩和され、市場が拡大したことで、無人航空システム(UAS)は先進的な軍隊だけのツールではなくなった[21]。イラクとアフガニスタンにおける20年以上の間、米軍は大規模な食堂施設と騒々しい発電機付き照明セットを備えた前方作戦基地で生活していた。敵は米陸軍の居場所を知っていたが、その情報に基づいて行動する手段は比較的不正確で小規模なものしか持っていなかった。現代の大規模戦闘作戦(LSCO)では、部隊を集約したり、非常に小さなグループ以外で作戦したりすると、敵のドローン・パイロットの主要なターゲットになる、そして大規模な戦闘戦術作戦センターは過去のものになりそうだ。

無人航空システム(UAS)は、現在の紛争における即席爆発装置(IED)とも言えるし、おそらく次の紛争も同様だろう。技術の普及により、国家主体・非国家主体を問わず、小型で安価、しかも致死性の高い無人航空システム(UAS)を開発できるようになった。これらのシステムは、比較的訓練を受けていない攻撃者が、安全な距離からより致死性の部隊を攻撃することを可能にする。テロとの戦いにおける即席爆発装置(IED)の進化と適応サイクルのように、無人航空システム(UAS)の適応的な使用は、次の紛争において致死性の脅威(lethal threat)を課す可能性がある。イラクやアフガニスタンのような場所では、即席爆発装置(IED) はもともと車両の側面をターゲットとしていたため、「装甲強化(up-armoring)」につながった。その後、即席爆発装置(IED)が車両の下側をターゲットにするようになり、その結果、地雷抵抗性待ち伏せ防護車両が誕生した。UAS-IEDの脅威のこの第3のエポックは、車両の上部をターゲットにし、より高い位置から人員を攻撃する。このような事態に備えていない人員や車両オペレーターは、従来は戦場の後方とみなされていた地域であっても、すぐに犠牲者となる。

利用可能な無人航空機(UAV)やドローンの構成は多岐にわたるため、それらに対する防御が課題となる。米国の敵対者の多くは、こうした新兵器を保有している。中国は最近、軍事用ドローンの輸出で世界一になった[22]。将来の紛争では、大型ドローンと小型ドローンの両方が使用される可能性が高く、ドローンのスウォーム(drone swarms)を倒すのは非常に困難で、兵士や装備品に重大な危険をもたらす可能性がある。より大型の無人機としては、ロシアのオルラン-10(Orlan-10)UAVがあり、これは翼幅がほぼ10フィート、長さが6フィート、最大射程距離が370マイルで、イランのシャヘド-136(Shahed-136)徘徊型弾薬(loitering munition)は翼幅が8フィート、長さが11フィートである[23]。ウクライナの防空は、このような大型ドローンを中程度の成功率でターゲットにすることができる[24]

しかし、より小型のドローンはレーダーで位置を特定するのが非常に難しく、地上にいる兵士が目視で気づくことさえ難しい。将来の戦争で、敵対者が地元の商店で購入した小型で安価なiPhone制御のドローンを発進させ、敵の戦車小隊を発見するという事態が容易に想像できる。戦車は、自分たちを発見した小型無人機のブンブンという音を聞くことができず、偵察機はシャヘド136を呼ぶことができるが、その弾薬の速度のため、レーダー上では鳥の群れ(flock of birds)と誤認されるだろう[25]。これらの比較的安価なドローンは、数百万ドルの戦車を数秒で破壊することができる。ウクライナでの戦争は、現代の戦争において、前方の防衛線を回避した無人航空機(UAV)が、自軍の前線より後方の地域に挑む可能性さえあることを示している。

米国とその同盟国にとってのもうひとつの課題は、防空・ミサイル防衛戦を通じて部隊を守ることである。米国は、非常に能力が高いが、まだ未検証の防空砲兵(ADA)兵科を保有している。この兵科は規模が小さく、将来の闘い、特に広い地理的地域にまたがる拡大された将来の闘いでは、最大限の能力容量を発揮する可能性が高い。争われた空域は米軍兵士にとって作戦行動に不慣れな状況だが、ウクライナは、多くの人が避けられないと予想していたロシアの航空の優越性(air supremacy)を阻止するために、米軍のスティンガー・ミサイルを使用し、驚くべき成功を収めた。実際、2022年11月第1週の時点で、少なくとも117機のロシアの有人航空機が撃墜されている[26]

その結果、ロシアは局地的な航空作戦から、ウクライナ領空外からの弾道ミサイル発射へと戦術を変えた。たとえば、2022年12月初旬の攻撃では、ロシアはベラルーシ上空のMiG-31とロシア上空のTu-95戦略爆撃機からウクライナのインフラに向けてミサイルを発射した[27]。MiG-31は、これまでの紛争では使用されていなかった新たな脅威であるKh-47M2キンジャール(Kh-47M2 Kinzhal)極超音速ミサイルを発射する能力も備えており、最先端の防空システムにも挑戦することになる[28]。ウクライナは、大量のロシア製ミサイルを撃ち込まれ、苦境に立たされている。しかし、米国のシステムの中には目覚ましい成功を収めているものもある。ロイド・オースティン(Lloyd Austin)国防長官が最近行ったブリーフィングに関する記事によれば、「米国が提供したNASAMS防空システムは、ウクライナでロシアのミサイルを100%の確率で迎撃している」という[29]

しかし、防空砲兵(ADA)兵科は10年間の縮小の後、再整備を始めたばかりだ。ウェストポイントの現代戦争研究所によれば、2002年から2014年の間に現役部隊は短距離防空兵器の在庫から車両をほぼ完全に処分し、これらの車両を州兵に移管しており、軍は2005年以降スティンガーを発注していなかった[30]。2013年から14年にかけてのウクライナ危機を受けて、指導者たちは防空砲兵(ADA)兵科を代表して新たな危機感を導入し、米陸軍は新たな移動式短距離防空システムを発注した。米陸軍はストライカー戦闘車をベースにしたこのシステムの実戦配備を開始しており、2025年までに144両の納入が予定されている[31]。この時間軸では、航空優勢に挑戦し、ミサイルや無人航空機(UAV)の脅威で戦力を脅かす可能性のある同業またはそれに近い敵国との潜在的な紛争に至るまで、米国は急な学習曲線を残すことになる。ロシアは、軍事・非軍事両方のターゲットに無差別に発砲することを厭わないことが証明されている。現在の防空砲兵(ADA)の部隊と装備の規模と構成を考えれば、大国間の紛争は防空砲兵(ADA)のアセットを急速に圧迫するだろう。米陸軍は、ロシアが現在ウクライナで発揮している能力を考慮し、防空砲兵(ADA)兵科の兵力構成を徹底的に見直すべきである。

ウクライナは、ほとんどの無人航空機(UAV)攻撃を迎撃し、破壊する能力において大きな成功を収めている。しかし、ミサイルや無人航空機(UAV)に対するウクライナの防衛成功率に関する言及は、ウクライナの情報源に基づいており、外部からの検証は難しい。最大限の効果を得るために、米国はDroneDefenderなどの最前線の対無人航空機(UAV)ツールに投資すべきであり、Mossberg 500ショットガンなどの追加ツールを直接火力に使用することもできる[32]。(米国の対ドローン会社Dedrone社は、同社のDroneDefenderは、市販の無人航空システム(UAS)技術の典型的な周波数をスキャンし、受信機に通知する能力があると主張している。一旦警報が発せられると、防衛機のキャリアは、直接見通し可能なハンドヘルド・デバイスを介して無人航空システム(UAS)を妨害し、破壊または捕獲のために車両を墜落させることができる。Mossberg 500ショットガンはすでに米陸軍の在庫となっている。通常、ドアを破るために使用されるショットガンは、ドローンに対する直撃武器として使用できるが、効果はやや限定的で、完璧にするには実戦訓練が必要だ。)米中央軍(United States Central Command)は最近、無人航空機(UAV)に対する防衛能力を開発するため、新たな試験場を開設する意向を明らかにした[33]。この種の施設は、資金を調達して迅速に実施すれば、将来の紛争で大きな利益をもたらす可能性がある。対ドローン警備のために、掩護、隠蔽、個人および車両偽装の基本に戻るような訓練を実施すべきである。さらに、防空砲兵(ADA)部隊はウクライナでの教訓を生かし、無人航空機(UAV)レーダーのシグネチャーを認識する必要がある。

防空砲兵(ADA)兵科が近代化を続ける中で、米国は機動部隊と支援部隊に機動短距離防空兵器と分遣隊の防護と統合(一体化)を再認識させる措置を講じるべきである。このような車両は、紛争時には高い価値を持つターゲットとなるため、その防護を最大化することも訓練に含めるべきである。最後に、防空砲兵(ADA)部隊は、敵対行為の勃発と同時に、部隊を拡大するか、あるいは迅速に拡大できるよう準備する必要がある。現在の組織のままでは、防空砲兵(ADA)の人員とシステムは、作戦区域の幅と縦深に脅威が及ぶ可能性が高いため、すぐにオーバータスクになってしまう。

民間人と民間インフラの防護

暗いアパートの一室で、寒さに耐えながら身を寄せ合う家族。通常であれば、子供たちはキッチンのテーブルを囲んで宿題をし、その間に母親か父親が夕食を作る。しかし、数日前の爆発で停電し、一家は電気と暖房を失った。通りの向こうの医師や看護師たちは、発電機で動く薄暗い地下室で、さらなる爆発の犠牲者をトリアージしている。国は戦争中で、これらの患者は兵士ではなく、おばあさんや子供たちである。舞台は、無誘導爆弾が近隣全体を無差別に破壊した第二次世界大戦中のロンドンではなく、ミサイルやドローンが意図的に近隣全体や民間の電力インフラを破壊する2022年のキーウである。その意図は82年後も変わらない。敵の民間人の闘う意思(will to fight)を喪失させ、爆撃で服従させるのだ。

ウクライナでロシアは、同じ価値観を共有しない敵対者と闘う場合、米国とその同盟国は、学校や病院、アパートといった伝統的な民間人のターゲットを守れない可能性があることを証明した。このようなターゲティングは、友好国で闘う米国部隊に問題を引き起こす可能性がある。指導者たちは、民間人やインフラを防護するためにどのようなリソースを割くか(もし割くとしても)を決めなければならない。この防護は、防空砲兵(ADA)のアセットをさらに拡大することになる。指揮官は、都市部を防衛することと、その地域が軍事作戦に使用されることで合法的な軍事的なターゲットにならないようにすることのバランスをとらなければならない。

ウクライナの公共インフラへの被害の真の影響を判断するためのデータは、おそらく敵対行為の停止後でないと得られないだろうが、2022年9月時点で公開されているデータでは、被害額は1270億ドル(米ドル)以上とされている[34]。2023年12月16日現在、より深刻な統計によれば、この損害のうち500億ドルは住宅、40億ドルは教育施設、110億ドルはエネルギー、20億ドルは水と衛生のインフラに及んでいる[35]。注目すべきは、ロシアが意図的にエネルギー・インフラをターゲッティングし始めたのは、このデータがまとめられた後のことだということだ。実際、2022年12月16日、ロシアは4都市の民間インフラに向けて76発のミサイルを発射し、ハリコフだけでも9つのエネルギー施設を破壊した[36]。この例は、友好国や占領地における紛争後の復興が、大きな財政的影響をもたらすことを思い起こさせるものでもある。軍事用ドローンが民間人のターゲットを攻撃した前例は懸念すべきものである。ある防衛専門家は、「第二次世界大戦末期にドイツがV-1ミサイルを使用したのと同じようなものだ。新しい技術が戦場での損失を埋め合わせることを望んでいる国は、国内戦線を恐怖に陥れる」と述べている[37]

補給線と軍事インフラの防護

午前5時30分、モスクワ州の町カリーニネッツの警備員は、ロシア軍を支援する倉庫をぼんやりと見回る。警備員はウクライナ国境から約500キロ (310マイル)離れており、そこでの紛争は、夕方のニュースで話題になる人物たちの議論の材料に過ぎないように思われる。警備員はウクライナの大砲の射程圏外にいるし、ロシア空軍が上空を完全に掌握しているため、心配はしていない。突然、砲撃が鳴り響き、彼の施設をターゲッティングした2機のドローンが空から落ちてきた。小型で汎用性の高い無人航空システム(UAS)は、航続距離の拡大やレーダーを回避する能力、あるいは安全だと考えられている領域内から発射する能力を実証したばかりだ[38]

将来の戦場では、地上、空中、海上からの攻撃から兵站サプライ・チェーンを守ることは、非常に難しいが、極めて重要である。米軍の後方支援部隊は、敵の監視下に常に置かれる可能性が高く、部隊を維持するためには生存性の高い技術が必要であることを認識しなければならない。米国は第二次世界大戦後、すべてのドメインで争われる補給線の見通しに直面したことはない。したがって、兵站の指導者や計画担当者は、特に広大な太平洋のドメインで、争奪戦が繰り広げられる兵站環境に備えるため、今すぐ不測の事態に備えた計画を策定する必要がある。

道路と橋は、重要な能力、アセット、活動の一部であり、地上の後方連絡線にとって特別に重要である。正当なターゲットである道路や橋は常に脆弱である。ロシアは一貫してウクライナのインフラをターゲットにしており、攻撃が成功すれば攻撃部隊の勢いを鈍らせ、人道支援や避難を制限し、後方支援を中断させることに成功している。ウクライナの国営道路局であるウクラフトドール(Ukravtodor)によると、2月24日の侵攻開始から4月3日までのわずか38日間の戦闘で、なんと23,000キロの道路と273の橋が破壊されたという[39]。これらの橋や道路の多くは、ロシア軍の侵攻による最初の衝撃を和らげるために、ウクライナ人自身が破壊したものだ。9月までに破壊された橋の数は320にのぼり、一時的に再建されたのは53のみだった[40]

おそらく、橋は将来的に大規模戦闘作戦(LSCO)の開始時、そして全体を通してターゲットになるだろう。これらの橋は、友軍が増援を期待して時間と空間を交換して破壊したにせよ、敵の衝撃と畏怖の作戦によって破壊されたにせよ、反撃のために架け替える必要がある。指揮官は多くの戦場でこの難題に直面するだろう。

迅速な軍事架橋は、移動と機動、時間と空間を交換する部隊の防護、後方地域の兵站に不可欠である。しかし、これらの仮設橋は限られたアセットであり、合理的な見積りでは、急速に大量の橋梁資材が必要になる可能性がある。米陸軍の架橋工兵の数は限られている。実際、架橋や道路補修の工兵の大部分は、米陸軍予備役や米陸軍州兵にいる。これらの部隊は、戦闘地域に到着するまでに長い予備動員期間を必要とするかもしれない。さらに、世界の主要河川の多くで必要とされる大規模な隙間横断では、複数の橋梁会社相当の設備が必要となり、工兵は極めて長期間にわたって露出していなければならない。さらに、これらの部隊は独自の装備フットプリントを持ち、作戦中は通常は静止した位置で作戦するため、敵は部隊の位置を簡単に事前にターゲットにすることができる。このような作戦上の必要性から、これらの部隊は、先に言及した兵站ノードのように、ドローンによる攻撃や監視に対して脆弱になる。この脆弱性は、非常に限られた人的・設備的アセットに深刻なリスクをもたらす。

米陸軍はドライギャップ・ブリッジング2の近代化に取り組んでいる。しかし、ウクライナのようなシナリオを想定した場合、米陸軍の在庫の中で十分な架橋が可能かどうかを判断するために、真剣な研究が行われるべきだ。さらに、米陸軍は、迅速な戦力投射に必要な工兵能力の適切な組み合わせを確保するため、現役部隊、州兵、予備役部隊間の工兵の配分と人数を見直すべきである。架橋・水平建設工兵の指揮官とその兵士は、監視によって争われ、火力の被害を受けやすい環境で活動する心構えが必要である。これらの部隊は、脅威の中で効果的に身を守るために行動を起こさなければならない。

※2 固定式または可搬式の橋で、対戦車溝や道路のクレーターなど、通常は水を含まない隙間に架けられる。(参考:https://www.thefreedictionary.com/dry+gap+bridge

ドローンや正確な砲兵が脅威となる中、戦闘における土の役割には持続力があることが証明された。ウクライナ東部のロシア軍は、クリミアに通じる高速道路に沿って5マイルごとに補給線と重要な道路の分岐点を守るため、古くから伝わる塹壕戦(trench warfare)の伝統を復活させた[41]。将来の紛争では、小規模な部隊が大規模な攻撃から身を守るために、「縦深の防御(defense in depth)」がカギとなる可能性がある。前線突破を防ぐために迅速に構築された、ロシア軍がウクライナに構築した複雑な生存陣地と塹壕線(trench lines)は、突破するには手ごわい。これらの要塞は、直接接触する部隊を守るのに非常に効果的だろう。

しかし、工兵部隊と機動部隊は、塹壕線(trench line)を守る部隊の頭上を掩護するために特別な注意を払わなければならない。米国製のスイッチブレード(Switchblade)のような小型の神風型ドローンは、塹壕の上を飛行するだけで、土壁の防護を無効にすることができる。同様に、個人の、乗組員が勤務する、および車両の闘いの位置も、長時間有人である場合でも、頭上の掩護を考慮に入れる必要がある。

さらに、ロシアの防衛の欠陥は、自然地形の優位性を取り入れた包括的な防衛アプローチの必要性を浮き彫りにしている。観測筋は、ロシアの防御陣地について、「戦場を横切る通信線をつなぐのではなく、陣地は道路や野原からあまり離れない『精巧な障害物(elaborate roadblocks)』のように見える」と指摘する[42]。このような構成は、バイパスを可能にする可能性がある。路外移動が可能な高速移動部隊は、戦線の間隙を突いて後方から攻撃するか、陣地を包囲することができる。このような欠陥は、空中監視が簡単にできる時代における徹底した掩護(coverage)の重要性を浮き彫りにしている。

部隊に対するさまざまな脅威が出現し、進化している中、従来の個人防護の方法をマスターすることは非常に重要である。個人、車両、装備の偽装が再び重要になる。特に重要なのは、個々の兵士と車両の分散である。兵士の編隊は個人をより安全にするだろうが、分散した兵士は敵の間接火力のターゲットになりにくい。兵士は、戦友(battle buddies)の手が届かないところで、いかに火力と相互支援するかを訓練されなければならない。この分散的な考え方が、精密攻撃のリスクを軽減するカギとなる。

結論

ウクライナで進行中の戦争は、最強の交戦国が必ずしも勝利に最も適しているとは限らないという新たな戦いの方式(method of warfare)を到来させた。さまざまな技術の進歩とその拡散は、防護の用兵機能(protective warfighting functions)を進化させる必要性を生み出している。米陸軍将来コマンド(AFC)は、軍に改善のための勧告を提示し、ロシア・ウクライナ戦争は、こうした改善の必要性を日常的に示してきた[43]。米国は、常に存在する無人航空機(UAV)やミサイルの脅威に加え、防護態勢を確立し、重要な能力、アセット、活動を確保する必要性から、サイバーと電子のドメインで挑戦を受けることになる。

本章では、現在進行中の紛争におけるロシア軍とウクライナ軍の成功と失敗というレンズを通して、兵士とその指導者のための学習と訓練を、これらのタスクに焦点を当て直す必要性について、いくつかの例を概説しようと試みた。この提言は、急速に進展する出来事から得られたオープンソースの情報に基づいてなされた。米陸軍は依然として世界でも傑出した陸上戦力部隊を持っているが、過去20年間に顕在化した脅威とは大きく異なる脅威に直面する準備を始めるべきである。

米国は、軍と民間人の両方をターゲットにしたサイバー戦作戦に対して、積極的に警戒しなければならない。通信や衛星が劣化した場合に、地図とコンパスと指揮官の意図(commander’s intent)だけでアナログの世界で作戦できる指導者や兵士を育成することの重要性は、いくら強調してもしすぎることはない。小型無人航空システム(UAS)に対抗する技術を兵士に装備させ、小さな脅威さえも探知して破壊する防空砲兵(ADA)のスキル・セットを開発することは、生存に必要な要件となるだろう。

さらに、小規模で過重なタスクを負い、近代化しつつある防空砲兵(ADA)部隊を運用しながら、民間人と民間インフラの安全確保と軍人・軍備の安全確保を両立させるための計画を、今すぐ策定すべきである。戦闘中、米軍は、兵士がしばしばオープンかつ計画的な方法で活動することが求められる複雑で紛争の多い空間において、重要な軍事橋梁および水平建設アセットと人員の防護を優先すべきである。さらに、3つの構成部隊にわたる工兵部隊の構成と規模、および在庫内の橋梁アセットの数を徹底的に調査することが重要である。また、防護陣地構築の訓練を行いながら、陣地構築の速度と頭上からの掩護に集中できるようにすることも重要である。

重要なことは、兵士は潜在的な作戦戦域において、より分散した戦術的なフットプリントを残す訓練をしなければならないということだ。

戦争は常に進化し続けるものであり、最も適応力があり、準備の整ったものが優位に立つ。イタリアのジュリオ・ドゥーエ(Giulio Douhet)航空元帥が航空戦力の黎明期に言った有名な言葉である。「勝利は戦争の性質の変化を予期した者に微笑むものであり、変化が起こってから適応するのを待つ者に微笑むものではない」[44]。 次の戦争の正確な本質を予測することは難しいが、別の戦争が起こることは間違いない。ロシア・ウクライナ戦争から得た知見により、米国は軍が現代の戦争に適応するという課題に立ち向かわなければならない戦略的変曲点(strategic inflection point)に立っている。ロシアの本格的な侵攻が始まってから数年間、勇敢なウクライナ人たちがそうしてきたように、今日の軍事指導者たちは、明日の軍隊が劣勢でも戦えるように、そして勝利できるように守る準備をしなければならない。

ノート

[1] David Barno and Nora Bensahel, “ The U.S. Military’s Protection Deficit Disorder,” War on the Rocks (website), July 5, 2016, https://warontherocks.com/2016/07/the-u-s-militarys-protection-deficit-disorder/.

[2] US Army Futures Command (AFC), Army Futures Command Concept for Protection 2028, AFC Pamphlet 71-20-7 (Austin: AFC, 2021), v.

[3] AFC, Concept for Protection, 7.

[4] Lee Matthews, “Viasat Reveals How Russian Hackers Knocked Thousands of Ukrainians Off line,” Forbes (website), March 31, 2022, https://www.forbes.com/sites/leemathews/2022/03/31/viasat-reveals-how-russian-hackers-knocked-thousands-of-ukrainians-off    line/?sh=54f1b89960d6.

[5] Foreign, Commonwealth & Development Office and Elizabeth Truss, “Russia behind Cyber- Attack with Europe-Wide Impact an Hour Before Ukraine Invasion,” news release, May 10, 2022, https://www.gov.uk/government/news/russia-behind-cyber-attack-with-europe-wide-impact-an-hour-before-ukraine-invasion.

[6] “Case  Study:  Viasat,”  Cyber  Peace  Institute  (website),  June  2022,  https://cyberconflicts.cyberpeaceinstitute.org/law-and-policy/cases/viasat.

[7] Foreign, Commonwealth & Development Office and Truss, “Russia behind Cyber-Attack.”

[8] Raphael Satter, “Satellite Outage Caused ‘Huge Loss in Communications’ at War’s Outset – Ukrainian Official,” Reuters (website), March 15, 2022, https://www.reuters.com/world/satellite-outage-caused-huge-loss-communications-wars-outset-ukrainian-official-2022-03-15/.

[9] Gordan Corera, “Inside a US Military Cyber Team’s Defence of Ukraine,” BBC News (website), October 30, 2022, https://www.bbc.com/news/uk-63328398.

[10] Andy Greenberg, “Russia’s New Cyberwarfare in Ukraine is Fast, Dirty, and Relentless,” Wired (website), November 10, 2022, https://www.wired.com/story/russia-ukraine-cyberattacks-mandiant/.

[11] James Andrew Lewis, Cyber War and Ukraine ( Washington, DC: Center for Strategic and International Studies, June 2022).

[12] Corera, “Cyber Team’s Defence.”

[13] Corera, “Cyber Team’s Defence.”

[14] Maggie Miller, “NATO Prepares for Cyber War,” Politico (website), December 6, 2022, https://www.politico.com/news/2022/12/03/nato-future-cyber-war-00072060.

[15] AFC, Concept for Protection, 7.

[16] Liam Collins, “Russia Gives Lessons in Electronic Warfare,” Association of the United States Army (AUSA) (website), July 26, 2018, https://www.ausa.org/articles/russia-gives-lessons-electronic-warfare.

[17] Joseph Trevithick, “Ukrainian Officer Details Russian Electronic Warfare Tactics Including Radio ‘Virus,’ ” Warzone (blog), October 30, 2023, https://www.thedrive.com/the-war-zone/30741/ukrainian-officer-details-russian-electronic-warfare-tactics-including-radio-virus.

[18] Stephen Losey, “SpaceX Shut Down a Russian Electromagnetic Warfare Attack in Ukraine Last Month—and the Pentagon Is Taking Notes,” Defense News (website), April 20, 2022, https://www.defensenews.com/air/2022/04/20/spacex-shut-down-a-russian-electromagnetic-warfare-attack-in-ukraine-last-month-and-the-pentagon-is-taking-notes/.

[19] Losey, “SpaceX.”

[20] Chris Pleasance, “Infrared Video Shows Ukrainian Drone Bombing Russian Troops,” Daily Mail (website),  June  13,  2022,  https://www.dailymail.co.uk/news/article-10911131/Infrared-video-shows-Ukrainian-drone-bombing-Russian-troops.html.

[21] Elias Yousif, “Drone Warfare in Ukraine: Understanding the Landscape,” Stimson Center (website), June  30,  2022,  https://www.stimson.org/2022/drone-warfare-in-ukraine-understanding-the-landscape/.

[22] Atul Chandra, “ Why China’s Armed UAVs Are a Global Export Success, and Its Fighter Jets, Not So Much,” Defence Procurement International (website), November 5, 2021, https://www defenceprocurementinternational.com/features/air/china-has-disrupted-the-military-drone-market.

[23] “Orlan-10 Uncrewed Aerial Vehicle (UAV),” Airforce Technology (website), March 24, 2023, https://www.airforce-technology.com/projects/orlan-10-unmanned-aerial-vehicle-uav/; and “Shahed-136 Kamikaze UAV, Iran,” Army Technology (website), April 26, 2023, https://www.army-technology.com/projects/shahed-136-kamikaze-uav-iran/.

[24] “Ukrainian Defenders Shoot Down 10 Russian Orlan Drones in 24 Hours,” Ukrainska Pravda (website),  May  1,  2022,  https://www.pravda.com.ua/eng/news/2022/05/2/7343390/.

[25] Mark Bowden, “The Tiny and Nightmarishly Efficient Future of Drone Warfare,” Atlantic (website), November  22,  2022,  https://www.theatlantic.com/technology/archive/2022/11/russia-ukraine-war-drones-future-of-warfare/672241/.

[26] Peter Mitchell, “Contested Skies: Air Defense After Ukraine,” Modern War Institute at West Point (website), November 3, 2022, https://mwi.usma.edu/contested-skies-air-defense-after-ukraine/.

[27] Patrick Hilsman, “Russia Deploys Strategic Bombers to Launch Cruise Missiles on Ukraine,” United Press International (website), December 16, 2022, https://www.upi.com/Top_News/World- News/2022/12/16/ukraine-missiles-strategic-bombers/9961671200175/.

[28] Paul Kirby, “Russia Claims First Use of Hypersonic Kinzhal Missile in Ukraine,” BBC News (website),  March  19,  2022,  https://www.bbc.com/news/world-europe-60806151.

[29] Idrees Ali and Phil Stewart, “NASAMS Air Defense System Have 100% Success Rate in Ukraine – Pentagon Chief,” Reuters (website), November 16, 2022, https://www.reuters.com/world/europe/nasams-air-defense-system-have-100-success-rate-ukraine-pentagon-chief-2022-11-16/.

[30] Mitchell, “Contested Skies.”

[31] Tong Ong, “US Army Fields First M-SHORAD System in Decades,” Defense Post (website), April 27, 2021, https://www.thedefensepost.com/2021/04/27/us-army-fields-m-shorad-system/.

[32] “DroneDefender: Drone Jammer for Hostile Environments,” Dedrone (website), n.d., accessed on December 16, 2022, https://www.dedrone.com/solutions/drone-defender.

[33] Courtney Kube, “U.S. Military Is Developing Plans to Open a New Testing Facility in Saudi Arabia,” NBC News (website), September 7, 2022, https://www.nbcnews.com/politics/national-security/us-military-developing-plans-open-new-testing-facility-saudi-arabia-rcna46343.

[34] Kyiv School of Economics Institute, Assessment of Damages in Ukraine Due to Russia’s Military Aggression as of September 1, 2022 (Kyiv: Kyiv School of Economics, 2022).

[35] “Ukraine Infrastructure Damage 2022,” Statista (website), December 2022, https://www.statista.com/statistics/1303344/ukraine-infrastructure-war-damage/.

[36] Tom Sanders, “Ukrainian Soldier Downs Russian Cruise Missile with Nothing but a Machine Gun,” Metro (website), December 17, 2022, https://metro.co.uk/2022/12/17/ukrainian-soldier-downs-russian-missile-with-nothing-but-a-machine-gun-17954449/.

[37] John Haltiwanger, “ Ukraine’s Battlefields Look Like World War I but with a New and Terrifying Addition That Leaves Troops with Almost Nowhere to Hide,” Business Insider (website), January   22,   2023,   https://www.businessinsider.com/ukraine-battlefield-like-world-war-i-but-with-terrifying-drones-2023-1.

[38] Isabel van Brugen, “Drones Target Moscow amid Suspected Warehouse Attack,” Newsweek (website), June  21,  2023,  https://www.newsweek.com/drones-target-moscow-warehouse-military-attack-war-ukraine-1808040.

[39] Anhelina Sheremet, “Ukravtodor: 23,000 Kilometers of Roads in Ukraine Have Already Been Destroyed Due to War,” Babel (website), April 3, 2022, https://babel.ua/en/news/77516-ukravtodor-23-000-kilometers-of-roads-in-ukraine-have-already-been-destroyed-due-to-the-war.

[40] Voice of America, Ukraine Replacing Destroyed Bridges (Washington, DC: Voice of America, 2022), video,   https://www.voanews.com/a/ukraine-replacing-destroyed-bridges/6753387.html.

[41] Marco Hernandez and Josh Holder, “Defenses Carved into the Earth,” New York Times (website), December  14,  2022,  https://www.nytimes.com/interactive/2022/12/14/world/europe/russian-trench-fortifications-in-ukraine.html.

[42]  Jake Epstein, “Satellite Images Show Russia Is Making a Big Gamble on How It Plans to Defend Territory near Crimea from Ukraine,” Business Insider (website), December 1, 2022, https://www.businessinsider.com/satellite-images-show-russia-gambling-defense-territory-near-crimea-ukraine-2022-12.

[43] AFC, Concept for Protection.

[44] U.S. Air Force Academy Public Affairs, “The Contrails: Quotes,” United States Air Force Academy (website), April 14, 2016, https://www.usafa.af.mil/News/Features/Article/721102/the-contrails-quotes/.