第39代米海兵隊総司令官計画策定指針
10月初めには米陸軍が米陸軍2030に向けての変革の取組みについて紹介したところである。
米海兵隊も新たな脅威に対応した変革を進めているところである。この方向性を理解するために米海兵隊総司令官の計画策定指針の文書を紹介するところである。
第39代米海兵隊総司令官にエリック スミス 海兵隊大将が就任して1年経過し、指針文書が公開された。第38代総司令官のデービッド H. バーガー海兵隊大将の指針文書はMILTERMで2020年8月に米海兵隊総司令官計画策定指針として紹介しているところである。米海兵隊はフォース・デザイン2030に向けて取り組んでいるところであり今回の計画策定指針はその達成に向けた総司令官の強い意図を表したものである。
また、この指針文書の中にはスタンド・イン・フォースのコンセプト、米海兵隊の訓練・教育2030や米海兵隊の訓練・教育の年次報告で紹介したところのLVC(ライブ・バーチャル・コンストラクティブ)訓練環境についても触れられている。米海兵隊を理解するための一助になると考える。(軍治)
第39代米海兵隊総司令官計画策定指針
39th Commandant’s Planning Guidance
2024.8.29
意図:INTENT
米海兵隊の皆さん、1年間総司令官を務め、米海兵隊の隅々にいる米海兵隊員を訪問してきたが、私は、我々が米海兵隊として正しい道を歩んでいると確信している。フォース・デザインは依然として正しい旅路であり、我々はおそらく最も困難な段階である実行に移っている。我々の積極的なアプローチは、数年という短期間で実に大きな進歩を遂げた。フォース・デザインには、人材(才能)管理、訓練と教育、施設と兵站、プロジェクト・イーグル(Project Eagle)、「兵舎2030(Barracks 2030)」などが含まれ、多くの重要な取組みが現在も進行中である。戦争の性質の変化を先取りするためには、まだ多くの課題がある。フォース・デザインは依然として戦略的優先事項であり、スピードを落とすわけにはいかない。
「我々の核となる目的は変わらない:紛争を抑止すること、そして抑止が失敗した場合には、我が国の敵を会戦で打ち負かすことである」。
この米海兵隊総司令官計画策定指針(CPG)の私の意図は、米海兵隊の戦略的方向性をすべての米海兵隊員に提供することである。この文書は必然的に広範なものであり、私は必要に応じて副司令官と各司令官(Commanding Generals)に対して指示指針を発行する。フォース・デザインが我々の目標であることに変わりはなく、この指針は、近い将来の行動を必要とする具体的な課題に焦点を当てている。実現には時間がかかる項目もあるが、今その基礎を固めなければならない。
私の優先順位は変わらない。(1)危機対応と近代化のバランス、(2)海軍統合と組織的移動性、(3)生活の質、(4)米海兵隊員の採用、育成、維持、(5)予備役の可能性の最大化。これらの優先事項は、総司令官としての私の決断の原動力であり、この文書の至るところに織り込まれている。私の計画策定指針は、我々がこれらの優先事項を達成するための背景を提供するものであり、それによって我々は今日闘い、勝利し、将来勝利するための条件を整えることができる。
規律と中核となる価値は、目的をもって正面に打ち出している。それらは、我々の倫理的基盤であり、米海兵隊員としての我々を定義するものである。我々は、米海兵隊の文化と米海軍の伝統を何としても守らなければならない。私は、すべての米海兵隊員がこの計画策定指針を読み、指導者がその重要なコンセプトについて米海兵隊員と話し合うことを期待する。そして何よりも、ルイズ米海兵隊付上級曹長と私はあなた方を誇りに思い、あなた方の働きに感謝し、あなた方なしには我々の進歩はあり得ないと認識していることを知ってほしい。
規律と中核となる価値:DISCIPLINE AND CORE VALUES
鉄壁の規律はわが軍団の通貨である。基準への冷酷なまでの忠誠こそが、我々を兵団として特別な存在にしている。何百もの戦役や会戦で培われたこれらの基準は、我々をより優れた戦士にする。日々、細部にまで注意を払うよう強制されるため、戦闘中、つまり正確さが最も重要なときに、自動的にそうなるのだ。戦闘経験のある者は、これが真実であることを知っている。我々の職業である用兵(warfighting)は容赦がなく、不注意は許されない。戦闘中のミスは敗北につながり、米海兵隊員は負けることはない。米海兵隊員を引き離し、秩序と規律を損ない、安全を脅かし、会戦に勝つための結束力を奪うような否定的な行動を排除しなければならない。プロフェッショナリズム、自己規律、精神、用兵の熟練度(warfighting proficiency)、そして個人的な行動が、米海兵隊員であることを定義するのである。我々は皆、名誉、勇気、献身という共通の基盤を共有しており、互いにその価値観を守るよう努力しなければならない。
もし米海兵隊員が基準を満たせなかった場合、我々全員がその米海兵隊員を教え、指導し、基準を達成するまで訓練する義務がある。米海兵隊員に責任を負わせる場合、指揮官には、若い米海兵隊員を、失敗から学び成長する機会が与えられれば、将来の伍長、1等軍曹、あるいは大佐になり得る存在として見ていただきたい。道徳的、倫理的な欠点と、成果基準を達成できなかったことは違う。米海兵隊員の昇進や再入隊を審査する際には、裁判によらない処分や不利な処分、あるいはたった一度の劣悪な報告書の後でも、個人的な成長を考慮するよう、十分な注意を払うことを私は信じている。間違いなく、我々は基準を下げることはないが、正直なミスを犯した後に最も影響力のある学習が起こることも認識しなければならない。
米海兵隊の米海兵隊付上級曹長と私は、米海兵隊戦術文書6-10「変革の維持(Sustaining the Transformation)」の更新版を起草している。これは、すべての指導者が米海兵隊員に気を配り、制服の内外で成功を収め、米海兵隊の規律と中核となる価値(core values)を維持するための貴重なツールである。発行後は、階級や職種に関係なく、すべての米海兵隊員がこの本を読み、チームとしてどのように適用されるかを話し合うことを期待する。変革を維持するということは、制服の期間を通じて高い基準を維持し、日々米海兵隊での地位を獲得し、最終的にはより良い自分自身として社会に復帰することである。
我々の遺産:OUR LEGACY
米海兵隊員-我々は単純に違う。我々は皆、1775年にまで遡る鎖の輪である。先人たちがそうであったように、我々は皆、何よりもまず、ライフルマンである。その事実は決して変わらない。我々は闘うために米海兵隊員となり、そして、国に選ばれて真っ先に闘うために日々懸命に働いている。我々は、攻撃志向であり続け、すべての行動において攻撃的であり続ける。「真っ先に闘う(First to Fight)」は単なるスローガンではない。我々の用兵精神(warfighting ethos)は、我々が誰を惹きつけ、誰を訓練し、誰であるかを決定する。我々は海から闘い、前方で戦役を展開し、国家の利益を追求する戦士の軍団である。米国民は、我々が常に正しいことをし、常に勝利すると信頼している。わが国の信頼は、何世代にもわたる米海兵隊員たちの努力と幾多の会戦を経て築かれたものである。米海兵隊員には、過去から現在に至るまで、その信頼を強化し、さらに高めていく義務がある。我々はそうする。
米海兵隊員として、我々は互いに命を懸けて信頼し合っている。信頼関係があるからこそ、我々は高度に分権化された方法で作戦できる。部下が任務を達成するために必要なことを行い、そのための最善の方法を知っていることを知っているからだ。今日に至るまで、将校と下士官(NCO)の特別な関係は、米海兵隊に戦場での決定的な優位性をもたらしている。これからの闘いにおいても、将校と下士官の関係は、指導者と被指導者(leader to led)の関係と同様に、指導者と指導者(leader to leader)の関係であり続けるだろう。長い歴史の中で、米海兵隊が闘ってきた戦争、勝ってきた会戦、耐えてきた戦役の背景には、米海兵隊員一人ひとりの行動と、それを可能にする指導者の存在がある。将来も同じである。
「・・・我々は、国に選ばれて真っ先に闘うために日々懸命に働いている」
現在の環境:CURRENT ENVIRONMENT
2022年米国家防衛戦略(NDS)は、中華人民共和国(PRC)を迫りくる課題(pacing challenge)として優先しており、米海兵隊はそれに対応するために近代化を継続する。フォース・デザインは、革新的なフォーメーション、装備、コンセプトを創造するための米海兵隊の手段であり、迫りくる課題(pacing challenge)に対して最適化されながら、いかなる戦場でも致死性であり続けることを保証するものである。実際には、我々の目的は依然として、戦闘軍指揮官(Combatant Commander)と艦隊のニーズを満たす即応部隊の提供であり、具体的には、諸兵科連合と統合部隊への統合(一体化)が可能な遠征型の海兵空地タスク部隊(MAGTF)を通じてである。我が米海兵隊の有効性を測る尺度は、迫りくる課題(pacing challenge)に対する我が編隊の妥当性である。
米海兵隊は、フォース・デザインがどのような状況下で行われているかを共通認識することが重要である。ロシアは他の主権国家に対する違法な侵略戦争に関与している有能な急性の脅威であるが、我々は、能力、能力容量、大胆さにおいて成長を続けている中華人民共和国(PRC)という、我々の迫りくる課題(pacing challenge)に焦点を当て続けなければならない。中華人民共和国(PRC)は日々、国際ルールに基づく秩序を徐々に侵食し、独自の修正主義的世界観を推進するために、違法で強圧的、攻撃的で欺瞞的な戦術を実践している。こうした戦術に対抗するためには、政府全体のアプローチが必要であり、その中で、わが軍の遠征部隊は、戦役遂行、抑止、危機への迅速な対応、統合・連合戦闘作戦への貢献などを通じて、重要な役割を果たしている。
中華人民共和国(PRC)は、能力と意図の両面において、最も挑戦的な競争者である。しかし、あらゆる脅威は、ペースがあろうと急であろうと、学習し、適応し、わが統合部隊の強みに対抗する新たな方法を見つけ続けるだろう。高度な通常兵器や長距離精密弾薬は、かつては対等な軍隊やほぼ対等な軍隊だけが保有していたが、非国家主体による使用も含め、あらゆる戦場で拡散し続けるだろう。最も複雑で危険な脅威に焦点を絞ることで、米海兵隊は、中華人民共和国(PRC)、ロシア、イラン、朝鮮民主主義人民共和国、暴力的過激派組織など、我々が直面するいかなる挑戦にも先んじることができる。
フォース・デザインの導入は順調に進んでおり、部隊全体のボトム・アップによる改良の恩恵が続いている。私は、あらゆる階級の米海兵隊員から、コンセプトや装備の継続的な改善に対する創意工夫と献身的な取組みを目の当たりにし、常に驚嘆している。例えば、統合軽戦術車のメンテナンス・プログラムの欠陥を特定し、その修正を米海兵隊全体で共有したゲイジ・バルビエリ(Gage Barbieri)伍長のような米海兵隊員である; また、戦術データリンク・メインテナーのクリストファー・ハスマー(Kristopher Hassmer)3等軍曹は、自らの発案で業界を凌駕する小型形状(Small Form Factor)の航空指揮・統制システムを開発し、直ちに前方で使用できるようにした。サマンサ・デルガド軍曹は、数千マイル離れた航空捜索レーダーを安全に操作するための「リモート・キット」を構築してテストし、その結果、防空作戦に必要なデータをやり取りできる遠征指揮・統制(C2)ノードを完成させた。これらの米海兵隊員のイニシアチブの例は、革新の文化とはどのようなものかを示している。我々は、米海兵隊員が本来持っている才能を生かし、彼らの革新をスピード感を持って実行し続けなければならない。
フォース・デザインを前進させるにあたり、我々は常に現在地を評価し、成功を強化する方法で資源を投入しなければならない。「手を触れてはいけない(untouchable)」プログラムは存在しない。我々は、各プログラムの有効性と将来の闘いへの適用可能性に基づいて評価する。我々は「学習キャンペーン(Campaign of Learning)」を通じて、時代の先端を行くもの、あるいは追加的な実験の末に効果がないことが証明された優れたアイデアを特定し、そこからリソースを切り離していく。実験、部隊対抗演習(force-on-force exercises)、データ、分析を通じて、近代化を継続的に改良していくことが不可欠である。我々の「学習キャンペーン(Campaign of Learning)」は継続的なものであり、カノン砲兵の数量、歩兵大隊の規模と形状、海兵航空団内の能力容量、海兵航空団支援飛行隊の構成、隙間横断(gap crossing)能力などの改良を含め、必要な場合には喜んで調整することが証明されている。
変化する戦争の性質:THE CHANGING CHARACTER OF WAR
米海兵隊には、戦争の性質の変化に適応し、それを利用し、さらにはそれを推進する義務がある。ウクライナから中東に至るまで、活発な戦場で血まなこになって学ばれている教訓をとらえ続けなければならない。射程距離と精度の重要性が増していること、感知し、意味を理解し、射程距離で打撃すること、陸上を拠点とする海上拒否能力(shore-based sea denial capabilities)がコストを課す能力を持つようになったこと、そのような部隊をターゲティングすることが難しくなったこと、ドローン、徘徊型弾薬(loitering munitions)、搭乗員なしシステム(uncrewed systems)の普及と有効性、火力の不可欠な形態としての電子戦(EW)の採用などに、特に注意を払うべきである;対等な敵対者に対して永続的な航空優越を達成することの難しさ;偵察と反偵察の競合の重要性、戦略レベルの情報効果を形成する戦術的機動の能力、有機的移動性の用兵上の優位性、長期化する紛争を計画する必要性、競合する戦場における兵站と維持の困難性。
プロの戦士として、戦争の不変の性質を常に心に留めておくことが不可欠である。今後、どのような敵と闘おうとも、我々は摩擦、不確実性、偶然性、苦難など、激しい意志のぶつかり合いの永続的な要素に直面することになる。米海兵隊員として採用する技術よりも、我々の業務における人的要素の方が常に重要である。どのようなシステムをデザインしても、規律や肉体的な強さ、精神的な機敏性、道徳的な強さの重要性を減らすことはできない。部隊対部隊の訓練は、戦闘の厳しさをシミュレートするための絶対的基準(gold standard)であり、あらゆるドメインのあらゆる部隊階層で闘うかのように訓練できる海兵空地タスク部隊用兵演習(MWX)などの模範的な機会を維持しなければならない。
将来の対等な闘いにおいて、我々のフォーメーションにとって聖域を確保することは難しいだろう。基地や駐屯地も、たとえ本土であっても例外ではない。復元性、分散性、硬化性、迅速な修理と復旧、強固な指揮・統制(C2)システム・アーキテクチャは、すべての用兵機能(warfighting functions)にわたって、基地や駐屯地に固有の特徴でなければならない。重要なことは、基地や施設に対する脅威は、戦域を問わないということである。米海兵隊の施設計画は、将来の脅威環境に対応するためのロードマップであり、我々はこれを迅速に実施する。
軍種の計画策定が、対等対対等の紛争における長期化の重大なリスクを考慮することは重要である。高強度の闘い(high-intensity fight)が長期化した場合にも、復元性ある分散型兵站ネットワークに支えられ、十分な兵力を保有しなければならない。準備の整った有能な予備役部隊を維持することは、対等な敵対者に対する戦闘作戦を維持する能力において、非常に大きな役割を果たす。米海兵隊を退役するすべての米海兵隊員に対し、予備役への入隊を奨励し続けなければならない。歴史上、長期化する戦闘では、予備役の層の厚さが明暗を分けた。
射程距離を伸ばした先進的なキネティックな能力(kinetic capabilities)、そして宇宙、サイバースペース、電磁スペクトルを活用した高度なノン・キネティックな能力(non-kinetic capabilities)を近代化し、実戦配備する中で、訓練へのアプローチもますます独創的になっていかなければならない。新しい能力をフルに活用して訓練できるよう、実戦部隊の行動を補完するためのコンストラクティブ訓練とバーチャル訓練を演習に完全に統合しなければならない。バーチャル訓練とコンストラクティブ訓練はまた、敵対者に対して使用する準備が整うまで、特定の能力をよりうまく隠蔽することを可能にする。米海兵隊の「プロジェクト・トリポリ」は、米海兵隊が地球上のどこにいても、米海兵隊のフォース・デザインの能力一式を統合して訓練できるようにするため、また、その訓練を米海軍や統合部隊のパートナーと統合できるようにするため、米海兵隊全体のライブ訓練、バーチャル訓練、コンストラクティブ訓練の環境を開発するために急速に進んでいる。
財政的環境:FISCAL ENVIRONMENT
戦争の性質は、近代化を迅速に推進する能力に対する大きな制約と抑制と並行して変化している。米海軍省は、フォース・デザインを加速させる戦略的優先事項に対する議会の支援から、引き続き利益を得ている。予見可能な予算は、依然として成功の最も重要な手段であり、私は、我々の進歩の勢いを維持するために、予見可能でタイムリーな資金を擁護し続ける。米海兵隊員やその家族のケア、重要な能力、納品、インフラ整備を加速させるために必要な場合、私は基本予算以上の追加資金を求める。
予算には限りがあり、各軍種は将来の闘いに備えるため、資源に優先順位をつける難しい決断を下さなければならない。米海兵隊には、競合する多くの要件があるが、そのすべてが重要である。我々は、時間をかけて投資の順序を決め、最も効果のあるときに、最も効果のある場所に資本を投入しなければならない。同時に、米海兵隊の清廉な監査につながった懸命の努力を持続しなければならない。我々は、米国の納税者に対して正しい行動をとり、米海兵隊に投資された1ドルは、十分に使われた1ドルであることを実証する。
我々の部隊:OUR FORCE
米海兵隊にとって、個々の米海兵隊員ほど重要なプラットフォーム、作戦コンセプト、戦略はない。米海兵隊として行うことはすべて、米海兵隊の戦場での致死性を最大化することだけに集中しなければならない。我々が米海兵隊員に対して行う投資の中には、米海兵隊員が運用するプラットフォーム、米海兵隊員が使用する武器、米海兵隊員に与える訓練など、米海兵隊員の戦闘運用に直接影響を与えるものもある。また、生活の質や兵舎など、米海兵隊員が闘いに赴いた際のパフォーマンスを高めるための支援の取組みもある。我々が米海兵隊のパフォーマンス向上のために行う投資は、米海兵隊が戦闘で使用する武器と同様に重要である。
生活の質:QUALITY OF LIFE
我々は米海兵隊員に対して、戦場での成功につながる規律と中核となる価値(core values)を植え付ける義務がある一方で、彼らとその家族が次の遠征のために戻ってくるために必要な生活の質を維持する義務もある。我々の焦点は、単に我々の最終的な戦力強化のために兵力を維持することではなく、我々の国の息子や娘たち、そしてその家族に対して正しい行動をとることなのである。
「兵舎2030(Barracks 2030)」計画は、これまでで最も重要なインフラ投資計画である。現在の施設の状態は、長年、場合によっては数十年にわたる施設ポートフォリオ内の整備の遅れの結果である。この問題を解決するためには、数年先の予算サイクルにおいて、施設の維持管理、修復と近代化、軍事建設勘定への資金を増額し、さらに既存の在庫を適正化する取組みを支援する必要がある。多大な費用がかかるが、我々はこれをやり遂げるため、議会と正確かつ積極的に協力していく。同時に、米海兵隊の皆さんには、このプロジェクトには時間がかかることをご理解いただきたい。私は、可能な限り若手米海兵隊員に迅速な成果をもたらすことに全力を尽くす。もし、迅速かつ低コストで、部隊の士気やパフォーマンスに実質的な効果をもたらす良いアイデアがあれば、ぜひ教えてほしい。
我々の生活の質イニシアチブは、我々が米海兵隊員を採用する一方で、家族を保持するという認識である。我々には、21世紀の家族のニーズに現実的であるように政策を適応させる義務があり、これには、働く配偶者、育児のニーズ、地理的安定を支援するためのプログラムが含まれる。我々は、家族が次の割り当て任務について予測しやすくなるような政策を積極的に実施している。我々は、軍人配偶者優遇制度の拡大などの雇用権限を通じて、軍人配偶者に投資している。米海兵隊トータル・フィットネス(MCTF)プログラムは、すべての主要施設に戦士アスリート即応性と復元性(WARR)センターを拡大するために進行中である。米海兵隊トータル・フィットネス(MCTF)を強化するため、米海兵隊は、米海兵隊員、部隊、家族を社会的、霊的、心的、肉体的なすべてのフィットネス・ドメインで支援するため、将来防衛計画(FYDP)全体で327のフルタイム相当(FTE)職を設置する。総合的なフィットネス・プログラムを継続的に実施することで、国家に貢献するために必要な精鋭の戦士や家族を引き付け、成長させ、維持することができるようにすることが重要である。
募集と維持:RECRUITING AND RETENTION
米海兵隊にとって、質の高い米海兵隊員の確保と維持ほど重要な問題はない。現在の労働市場、歴史的な低水準にある資格取得率、兵役志向の低下など、すべてが新兵採用担当者を悩ませ続ける環境を作り出している。このような課題にもかかわらず、我々は任務を遂行し続けてきた。私は、我が新兵部隊の新兵たちを非常に誇りに思う。その状態を維持し、米海兵隊募集コマンド(MCRC)に質の高い人材(才能)を提供し続けなければならない。指導者たちは、募集要員として特別任務に選ばれた米海兵隊員は、わが米海兵隊の存続のために闘うために選ばれたのだということを理解しなければならない。彼らの資質と所属部隊への貢献は重要だが、米海兵隊全体よりも重要な部隊はない。
米海兵隊募集コマンド(MCRC)は募集の取組みの先頭に立つが、米海兵隊募集コマンド(MCRC)だけでそれを行うことはできないし、またそうすべきではない。すべての司令官と上級下士官は、この任務を分担しなければならない。この義務とは、地域社会のリーダーと関わりを持ち、可能な限りあらゆる場所で兵役の価値と重要性を伝えることである。過去も現在も、すべての米海兵隊員は我が米海兵隊の大使であり、その将来を確かなものにするために、我々全員がその役割を果たさなければならない。私は、米海兵隊募集コマンド(MCRC)に適切な資源を確保するためなら、他の分野でリスクを負うことも厭わない。
質の高い米海兵隊員と軍属を維持することは、依然としてフォース・デザインの重要な要素である。「人材(才能)管理2030」の発表以来、我々は採用した人材(才能)を維持する方法を進化させるために重要なステップを踏んできた。その重要な要素が、人材(才能)管理エンゲージメント・プラットフォーム(TMEP)であり、これは米海兵隊員に対し、より個人的な対応と透明性の高い配属システムを提供するものである。私は、米海兵隊員が配属を受ける際の予測可能性を高め、モニターとの透明性を確保し、人事管理システムを改善し、特別任務に志願した者に金銭的報酬を与え、特定の軍事職業専門分野への異動にボーナスを支給する、現在進行中の取組みを誇りに思っている。現役将校と予備役将校は現在、ペナルティーなしに昇進の検討から一度外れて、型破りなキャリア経験や正式な教育を受けることができる。この取組みは、今後数年間で全軍に拡大される予定である。我々は、人材(才能)管理の軌道を維持し、米海兵隊員がそもそもなぜわが米海兵隊に入隊することを決めたのかを思い起こさせ続ける。
用兵:WARFIGHTING
米海兵隊は海兵空地タスク部隊(MAGTF)として闘い、バランスの取れた空地、全ドメインの諸兵科連合の編成を一人の指揮官のもとに集め、単一での会戦効果を生み出す。この用兵システム(warfighting system)の最大の強みは、作戦環境や脅威の変化に応じて、目的に合わせて迅速に調整し、その後に規模を拡大できることである。海兵隊遠征部隊(MEU)であれ、海兵遠征旅団(MEB)であれ、海兵隊遠征軍(MEF)であれ、海兵空地タスク部隊(MAGTF)がタスク組織の基本単位であることに変わりはなく、海兵沿岸連隊(MLR)を含む連隊は、より大規模な編隊を構築するための基本組織単位である。我々は、海兵空地タスク部隊(MAGTF)の運用、タスク組織、有機的能力において柔軟性を維持するが、海兵空地タスク部隊(MAGTF)は実績のある用兵システム(warfighting system)であり、今後も存続する。
戦闘においては、我々は統合部隊指揮官の指揮の下、統合・連合部隊として闘う。米海兵隊の各部隊とシームレスに連携するのと同様に、統合構造ともシームレスに連携する能力は、対等な敵対者に対して成功するために不可欠である。海兵空地タスク部隊(MAGTF)の各要素は、統合の闘い(joint fight)から恩恵を受け、統合戦に貢献する能力を有していなければならない。
昨年来の私の観察によれば、指揮・統制とデータ共有能力は、将来の紛争において、特にスタンド・イン・フォース(SIF)や遠征前進基地作戦(EABO)のような分散型コンセプトの実現において、非常に大きな役割を果たすことになるだろうという確信が強まった。将来の大規模戦闘作戦では、海兵隊遠征軍(MEF)および中間司令部(海兵遠征旅団(MEB)、師団、兵站群、航空団など)において、高忠実度のターゲティング情報をシームレスに集約・発信し、機動支援におけるマルチドメイン効果を調整し、分散作戦を集中的な諸兵科連合効果に同期させることができる、十分な資源と近代化された司令部が必要となる。中間司令部全体のセンサーと指揮・統制(C2)能力も同様に、統合と連合の指揮・統制(C2)とキル・ウェブを可能にするために不可欠である。
海兵隊遠征軍:MARINE EXPEDITIONARY FORCES
海兵遠征軍(MEF)は、我々の主要な戦力発生源であると同時に、用兵司令部(warfighting headquarters)でもある。財政と人員の制約の中で近代化を進める中で、すべての海兵遠征軍(MEF)がもはやすべての任務を同等に遂行できるわけではないことを認識しなければならない。我々は、バランスの取れた海兵遠征軍(MEF)という従来のアプローチを、各海兵遠征軍(MEF)独自の構造、場所、資源を最大限に活用する、より柔軟なアプローチへと適応させなければならない。我が国の海兵遠征軍(MEF)は、割り当てられた地域の地政学的現実と、限られた資源の優先順位付けの両方により、その規模、能力、任務が必然的に互いに異なっている。海兵遠征軍(MEF)を計画的にタスク組織化することで、資源をより効率的に配分し、訓練時間の優先順位をつけて、より精緻な任務を遂行することが可能になる。さらに、各海兵遠征軍(MEF)の下位部隊は、他の部隊や海兵遠征軍(MEF)と迅速かつ効果的にタスク組織化できる態勢を整えておかなければならない。
第1海兵隊遠征軍(I MEF)
第1海兵隊遠征軍(I MEF)は、米インド太平洋軍(USINDOPACOM)の作戦地域(AOR)における大規模な有事作戦に重点を置く、世界展開可能な海兵遠征軍(MEF)である。大規模な実弾射撃場と水陸両用上陸地点にすぐにアクセスできるわが国最大の海兵空地タスク部隊(MAGTF)として、第1海兵隊遠征軍(I MEF)は主要な地域紛争を支援するための戦力投射と攻撃作戦に集中する態勢を最もよく整えている。そのため、第1海兵隊遠征軍(I MEF)は重要な戦闘力を保持する。個々の第1海兵隊遠征軍(I MEF)部隊が海上拒否任務を支援する任務と資源を与えられている場合、それらの部隊は必要に応じて、その任務に適した技能まで訓練することができる。第1海兵隊遠征軍(I MEF)は対戦中、作戦地域(AOR)全域で米インド太平洋軍(USINDOPACOM)の目標と態勢を支援する。危機に際しては、第3海兵隊遠征軍(III MEF)と肩を並べ、早期に優位に立つために即座に作戦を展開する。紛争時には、第1海兵隊遠征軍(I MEF)は水陸両用作戦や統合強行進入作戦(CJFEO)を実施し、同盟国やパートナーを支援するとともに、敵対者の利益を脅かすことによって競争空間を他の場所に広げる。米インド太平洋軍(USINDOPACOM)作戦地域(AOR)は広大であり、米国家防衛戦略(NDS)内での優先順位も高いため、優先順位の低い地域への突発的な任務から第1海兵隊遠征軍(I MEF)を守ることが不可欠である。
第2海兵隊遠征軍(II MEF)
第2海兵隊遠征軍(II MEF)は米海兵隊の危機対応の即応性の部隊(force-in-readiness)であり、海兵空地タスク部隊(MAGTF)の構成の下で大隊や連隊規模の部隊を迅速にタスク組織化することができる。軍種が保持した海兵遠征軍(MEF)として、第2海兵隊遠征軍(II MEF)は特に戦闘軍指揮官(Combatant Commander)に配属されるわけではないため、必然的に幅広い偶発事態に柔軟に対応しなければならない。これは「いつでも、どこでも、あらゆる事態に対応できるようにせよ」という意味ではない。私は、第2海兵隊遠征軍(II MEF)の指導部が米国家防衛戦略(NDS)の優先順位に従って、「迫りくる不測事態(pacing contingency)」の評価に対して計画を立てることを信頼している。
我々は能力容量の限界を認識しなければならないが、第2海兵隊遠征軍(II MEF)は、米中央軍(USCENTCOM)、米アフリカ軍(USAFRICOM)、米欧州軍(USEUCOM)、米南方軍(USSOUTHCOM)、米北方軍(USNORTHCOM)に対する計画的かつ新たな要件のための、米国本土(CONUS)を拠点とする「911部隊」として、我々の第一の頼みの綱となるべきである。大規模な有事の際には、第2海兵隊遠征軍(II MEF)は他の海兵隊遠征軍(MEF)に増強、増援、または司令部を提供することができ、統合任務部隊可能な司令部であり続ける。大規模な戦争が長期化した場合、第2海兵隊遠征軍(II MEF)は第2将官海兵空地タスク部隊(MAGTF)司令部を提供することに重点を移すことができる。
第3海兵隊遠征軍(III MEF)
第3海兵隊遠征軍(III MEF)は、中華人民共和国(PRC)を抑止するための戦役を展開する上で、我々の主要な取組みの海兵隊遠征軍(MEF)あり続けるだろう。第3海兵隊遠征軍(III MEF)は、米インド太平洋軍(USINDOPACOM)とPACFLTに、敵対者の兵器交戦ゾーン(WEZ)内にとどまり、相互に争われた空間を作り出し、敵対者の意思決定を複雑にし、より大規模な米海軍/統合戦役を促進し、パートナーの能力容量を構築する「今すぐ闘う(fight-now)」戦力待機能力を提供する。海兵沿岸連隊(MLR)を独自に装備した第3海兵隊遠征軍(III MEF)は、沿岸部の重要な海域を占領・保持し、長距離精密火力とユビキタス・センシングによって海上拒否を行い、第1海兵隊遠征軍(I MEF)と統合部隊による後続行動のための条件を整える態勢を整えなければならない。第3海兵隊遠征軍(III MEF)も同様に、インド太平洋全域で地域の危機に迅速に対応する態勢を整えており、米海兵隊固有の強固な危機対応能力を維持することが極めて重要である。
第3海兵隊遠征軍(III MEF)は、DC CD&I内に常設された海兵沿岸連隊(MLR)戦力開発チームの支援を受けながら、新能力を作戦部隊に統合する手段として、海兵沿岸連隊(MLR)の開発と実験を継続する。我々は、海兵沿岸連隊(MLR)の範囲、弾倉縦深(magazine depth)、および後方支援の選択肢を向上させるため、革新的な解決策を開発し続けなければならない。同様に、海兵沿岸連隊(MLR)の能力を最大化するために、需要が高いが密度が低い職業専門職を調達するために、軍種が闘い続けることも不可欠である。
スタンド・イン・フォース(STAND-IN FORCES :SIF)
スタンド・イン・フォース(SIF)の米海兵隊コンセプトは作戦コンセプトであり、特定の部隊や能力ではない。第3海兵隊遠征軍(III MEF)は、脅威と近接しているため、スタンド・イン・フォース(SIF)コンセプトに貢献する部隊を生み出す独特な能力を有している。これらの米海兵隊員は「統合部隊のJTAC」として行動する。「どんなセンサーでも、どんなシューターでも」という考え方で、統合部隊の他の部隊を察知し、理解し、伝達するのである。海兵空地タスク部隊(MAGTF)に含まれる独自の能力と、レイダーズ(Raiders)の特殊作戦能力とを組み合わせることで、兵器交戦ゾーン(WEZ)の内側から優位性を獲得・維持できる機敏性と致死性を備えた、近代化された用兵能力(warfighting capability)が形成される。我々は、スタンド・イン・フォース(SIF)の方法と装備を完全に成熟させるため、実験と演習を繰り返しながら、スタンド・イン・フォース(SIF)のコンセプトを発展させていく。
米海兵隊構成部隊:MARINE COMPONENTS
米海兵隊が海兵空地タスク部隊(MAGTF)の致死性と能力を高めるために投資を続ける際、統合用兵(joint warfighting)の文脈において、これらの部隊を使用する権限を有する各戦闘軍指揮官(Combatant Commander)との適切な連携を確保しなければならない。米海兵隊部隊(MARFOR)の役割と責任は、フォース・デザインの効果的な実施に不可欠な役割を果たす。米海兵隊部隊(MARFOR)は、能力、能力容量、範囲、規模、米海軍との統合など、有効な軍種の要件に合わせて調整されなければならない。我々は、優先順位の高い戦域では、特定の参謀の能力を意図的に資源化し、それ以外の戦域ではリスクを受け入れる。米海兵隊の戦術・作戦能力と戦闘軍指揮官(Combatant Commander)の権限との不可欠な連携を可能にすることが重要である。
米海兵隊予備:MARINE FORCES RESERVE
米海兵隊予備役(MARFORRES)は伝統的な米海兵隊遠征軍(MEF)として組織されてはいないが、常備海兵隊遠征軍(MEF)と変わらない形で重要な戦力提供者である。彼らは作戦予備軍であり、私はその即応態勢の維持に引き続き全力を尽くす。米海兵隊予備役(MARFORRES)は今後も、必要に応じて3つの海兵隊遠征軍(MEF)を補強、増強、維持するとともに、米南方軍(SOUTHCOM)と第4艦隊の要求をその手段の範囲内で支援する。予備役部隊には大隊レベルの派遣を優先させるが、現役部隊の編成を補完するため、必要に応じて小規模な部隊も柔軟に派遣する。
海兵隊遠征部隊(MEU)‐要件3.0:MARINE EXPEDITIONARY UNITS (MEUS) – 3.0 REQUIREMENT
水陸両用即応集団/海兵遠征隊(ARG/MEU)は、わが米海兵隊が提供する最高の戦力であり、私はそれを維持するために必要なあらゆる投資を行う。米海兵隊として、3隻の水陸両用即応集団/海兵遠征隊(ARG/MEU)ほど迅速で柔軟な編成は他にない。前方に配備された海兵隊遠征部隊(MEU)は、現場に常駐し、抑止、戦役遂行、危機対応、戦闘作戦に貢献する戦闘信頼性の高い部隊を我が国の指導部に提供する。水陸両用即応集団/海兵遠征隊(ARG/MEU)は、我が国の最高の海上隷属能力を提供するものであり、これは依然として国家の必須事項であり、作戦を実施する前に最初にアクセス、基地、上空飛行の許可を要求する必要がなく、比類のない柔軟性を提供するものである。対等な闘いでは、水陸両用即応集団/海兵遠征隊(ARG/MEU)は、敵対者との戦闘において、敵対者の海外保有資産を危険にさらすことができ、必要であれば、紛争を拡大し、長期化する紛争において敵対者の資源を疲弊させることができる。これらの理由から、各地理的戦闘軍指揮官(Geographic Combatant Commander)の水陸両用即応集団/海兵遠征隊(ARG/MEU)に対する需要は、米海軍と米海兵隊の調達能力を大きく上回っている。
米海兵隊は、米海兵隊の合衆国法典第10編の責務に不可欠なものとして、地理的戦闘軍指揮官(Geographic Combatant Commander)の継続的な海兵隊遠征部隊(MEU)プレゼンス要件を満たす義務がある。私の意図は、米海兵隊が各地理的戦闘軍指揮官(Geographic Combatant Commander)に継続的な3.0海兵隊遠征部隊(MEU)プレゼンスを提供することである。この3.0という用語は、東海岸から1個海兵隊遠征部隊(MEU)、西海岸から1個海兵隊遠征部隊(MEU)、そして日本の前方展開海軍部隊(FDNF)から出発する31個海兵隊遠征部隊(MEU)の、かかとからつま先までの展開を意味する。私は、この戦略を実現するために、米海軍作戦部長(CNO)と調整を続けるつもりであり、水陸両用即応集団(ARG)の創設と戦役遂行目標を支援するために5隻の前方展開海軍部隊(FDNF)を提唱することも含めている。各海兵隊遠征軍(MEF)と海兵隊部隊(MARFOR)は、この要件を満たすために、海兵隊遠征部隊(MEU)の生成と運用に優先順位をつけなければならない。
海兵隊遠征部隊(MEU)の近代化:MEU MODERNIZATION
水陸両用即応集団/海兵遠征隊(ARG/MEU)は、継続的な競争において我が国に多くの能力を提供してきた実績のある部隊である。軍種全体の近代化と並行して、海兵隊遠征部隊(MEU)の能力は各地理的戦闘軍指揮官(Geographic Combatant Commander)、統合および軍種の用兵コンセプト(warfighting concepts)の要求に適応し続けなければならない。将来の海兵隊遠征部隊(MEU)は、先進通常兵器の兵器交戦ゾーン(WEZ)内で作戦できる能力を備えていなければならない。海兵隊遠征部隊(MEU)は、現在水陸両用即応集団(ARG)に内在する有機的な感知能力を完全に統合するための統合部隊のノードとして、統合全領域指揮・統制(C2)(CJADC2)にさらに焦点を当てた実績のある能力を組み合わせなければならない。無人システムの増加する普及は、水陸両用即応集団/海兵遠征隊(ARG/MEU)の近代化にも影響しなければならない。統合部隊が急速に調達している無数の無人地中、地表、空中システムは、我々のウェルデッキ(上甲板の露天部)や飛行甲板と完璧にマッチしている。我々は独自の絶妙な低ボリュームのプラットフォームをデザインすべきではないが、我々は統合部隊のプログラムやイニシアチブを支援することができなければならない。最後に、私は争われた兵站空間での技術革新のための水陸両用即応集団/海兵遠征隊(ARG/MEU)よりも良い前方の拠点はない。我々の水陸両用艦船は、積層造形(additive manufacturing)、3D印刷、そして、航空戦闘部隊(ACE)や地表の連結機を通じて戦術的な配送を行う我々の手段と組み合わせるための高度な後方支援方法にとって最適な場所である。
現状の作戦上の要求における近代化とのバランス:BALANCING MODERNIZATION WITH CURRENT OPERATIONAL REQUIREMENTS
近代化と現在の作戦要件の間にある自然な緊張関係は、厳しい決断を必要とし、グローバル・フォース・マネジメントの兵力提供において、ある程度のリスクを受け入れることを要求する。過去には、派遣部隊や派遣前訓練計画(PTP)内の部隊に、米国防総省(DoD)が要求する水準や、他部隊の標準水準を大幅に上回る人員を定期的に配置してきた。今後も積極的に近代化を進めるにあたり、国防総省が要求する範囲内で、派遣部隊と派遣前訓練計画(PTP)部隊の適切な人員配置レベルを決定するため、体系的なアプローチを用いていく。さらに、限られた資源が吸収できる範囲を超えて過剰な任務を課さないよう、承認された米海兵隊速報(MCBUL)3120を作戦部隊が規律正しく順守することが不可欠である。長期的な利益のために短期的なリスクを受け入れることは、これまでも、そしてこれからも、フォース・デザインの本質である。
米海兵隊司令部は、人員配置、装備品納入スケジュール、全地球規模な部隊管理(global force management)を通じて、この制度的バランスを推進しなければならない。しかし、私は、中隊や大隊から海兵隊遠征軍(MEF)や海兵隊部隊(MARFOR)に至るまで、すべての指揮官が、訓練計画を策定し即応態勢を構築する上で最善の判断を下す際に、私の支援があることを知っておく必要がある。私は、あなた方が真の必要条件と単なる願望とを区別することを信頼している。私の優先事項は、第3海兵隊遠征軍(III MEF)における重要な能力ニーズを満たすことであり、具体的には、現在、艦隊増強プログラムを通じて管理的に対処されている体系的な不足を解消することである。我々は、第3海兵隊遠征軍(III MEF)と米海兵隊太平洋方面軍(MARFORPAC)が「今すぐ闘える(fight now)」ようにするために、できる限りのことをしなければならない。
同盟とパートナー:ALLIES AND PARTNERS
同盟国とパートナーは、米国家防衛戦略(NDS)における戦略的優位性の最大の源泉である。我々が共に闘う連合軍は、我々の戦略、作戦コンセプト、技術の開発に影響を与えなければならない。同盟国やパートナーを計画、分析、コンセプト開発、実験に参加させなければ、同盟国やパートナーとともに効果的な作戦を実行することはできない。我々の将来のデザインの取組みには、同盟国の意見や配慮が含まれていなければならない。我々は、同盟国やパートナーから選ばれる軍事サービス・パートナーとなるために闘い続けなければならない。共同訓練、安全保障協力、専門軍事教育は、我々に大きな投資対効果を与えてくれる。統合と情報共有に関しては、我々は、過度に制限された秘密区分を既定のものとするのではなく、解放のためのコンセプトを書かなければならない。
海軍の統合(一体化)と有機的な移動性:NAVAL INTEGRATION AND ORGANIC MOBILITY
大規模な戦闘の前に戦場を設定するために必要な行動から、陸上での戦力の投射と維持に至るまで、水陸両用即応集団/海兵遠征隊(ARG/MEU)は将来にわたって、わが国の用兵のシステム(system of warfighting)の重要な構成要素として機能し続けるだろう。現在進行中のロシアとウクライナの紛争から学んだ教訓は、現代の戦場における長引く紛争の膨大な兵站と維持の課題を浮き彫りにしている。水陸両用戦用艦船(AWS)、海上配備艦、大量の水上連結機はすべて、海上領域を作戦空間として利用するために不可欠な要素である。これらの米海軍アセットを組み合わせれば、外部からの増強なしに、定常的な競争や戦役遂行から危機対応やハイエンドの紛争への即時移行が可能になる。
議会が定めた水陸両用戦用艦船(AWS)の最低在庫は、10隻の強襲揚陸艦(LHA)と21隻の輸送揚陸艦(LPD)からなる31隻以上の水陸両用戦用艦船(AWS)である。将来に向けて、水陸両用戦用艦船(AWS)の数と可用性の要件は、米海軍と米海兵隊を合わせた3.0のプレゼンスを地球規模に創出するという要件によって決定される。海兵隊遠征部隊(MEU)3.0の要件に関連する物的・人的準備態勢の目標を達成するために、米海軍は複数の将来防衛計画(FYDP)にわたる資源の増加を必要とする可能性が高い。一方、海兵隊遠征軍(MEF)と海兵隊部隊(MARFOR)は、各戦闘軍指揮官(Combatant Commander)の要求を満たすために、完全な解決策ではなく、創造的な解決策を見つけなければならない。
沿岸機動:LITTORAL MANEUVER
陸上から陸上への有機的な水上連結能力は、海兵沿岸連隊(MLR)とスタンド・イン・フォース(SIF)の移動性と後方支援を支援するために不可欠である。35隻以上の中型揚陸艦(LSM)の調達は、この能力を構築するための米海兵隊の主要な取組みであり、議会が義務付けた31隻の水陸両用戦用艦船(AWS)とは別のものである。中型揚陸艦(LSM)は水陸両用戦艦ではなく、独自の能力を提供する連結機である。中型揚陸艦(LSM)の現在の調達スケジュールに基づくと、米海軍は、中型揚陸艦(LSM)艦隊が実戦配備されるまでの間、スタンド・イン・フォース(SIF)に有機的な移動性のレベルを提供する沿岸機動架橋ソリューション(LMBS)を近中期的に必要としている。米会計年度2026年(FY26)に引き渡しを完了する予定の2隻のリース船尾着艦艇は、軍種の実験に不可欠であるが、我々の短期的な移動性要件を満たすことはできない。我々は、中型揚陸艦(LSM)が完全に調達されるまでの間、最小限の変更を必要とし、維持と沿岸の移動性を提供できる既存の商業的および軍事的能力を利用しなければならない。この取組みは一時的なものであり、短期的な要件を支えるヘッジとして意図されたものである。
海上事前配置:MARITIME PREPOSITIONING
危機や紛争の際、敵対者はあらゆる領域とあらゆる手段を駆使して、米国本土から紛争地域までの兵站の動員や流れを混乱させ、争奪する。米海兵隊の前哨部隊は、固有の機動力と永続的な前方プレゼンスをもって、全世界をカバーする。米海兵隊の洋上および陸上事前配置プログラムは、各地理的戦闘軍指揮官(Geographic Combatant Commander)に拡張可能な海兵空地タスク部隊(MAGTF)と初期維持能力を提供しながら、反応時間と部隊閉鎖距離を短縮する重要な戦略的能力である。
我々は、日常的な戦役遂行、世界的な対応行動、戦域劇場設定行動を支援する海上事前配置部隊(MPF)作戦の永続的な価値を認めると同時に、米インド太平洋軍(USINDOPACOM)の陸上事前配置拠点を拡大しなければならない。中長期的な海上事前配置部隊(MPF)の運用は、既存の貨物コンテナ(T-AK)艦の在庫と、分散型作戦に最適な海上事前配置部隊能力のファミリーによって支援されなければならない。今、多様な能力ファミリーを開発する下準備は、長期的には、分散した、柔軟で、復元性ある後方支援の網を支援することができる次期海上事前配置船(MPS(X))の要件を定義する際に、配当となるであろう。
海上拒否、海上後方連絡船(SLOC)、そして指揮・統制(C2):SEA DENIAL, SEA LINES OF COMMUNICATION (SLOCS), AND C2
フォース・デザインは、米海兵隊の致死性を高めるだけでなく、米海軍と統合部隊により強力な能力を提供する道を開いた。米海兵隊の合衆国法典第10編の責任の中心は、「海軍戦役の遂行に不可欠な陸上作戦の実施」である。海上からの戦力投射が将来の海軍戦役の成功に不可欠であることに変わりはないが、陸上作戦は海上での海軍戦役目標に貢献しなければならない。米海兵隊は、重要な海上地形を掌握・防衛し、海上拒否能力によって敵対者の海上機動空間を拒否し、危険な状態にあるターゲットを保持し、必要な場合にはターゲットを破壊するか、統合部隊にそれを可能にする能力を維持しなければならない。
青は緑を支える – 人事:BLUE IN SUPPORT OF GREEN – PERSONNEL
米海軍の医療・宗教サービス要員は、国内外で我々の成功に貢献する貴重な存在である。我々の医師と牧師たちは、我々が倒れたときに引き上げてくれ、最善を尽くして闘い続けてくれる。医療と精神面の即応態勢を支える十分な人員配置がなければ、即応性の部隊(force-in-readiness)として機能することはできない。私は米海軍作戦部長(CNO)および米海軍長官と引き続き協力し、部隊に適切なレベルの衛生兵、医療部将校、牧師、宗教プログラム専門家(特に前方展開の部隊)が配置されるようにする。
重要な能力と将来への投資:CRITICAL CAPABILITIES AND FUTURE INVESTMENTS
我々は、実戦でのプロトタイプ・プラットフォームの実験を積極的に行っていく。ウクライナでの戦争が証明し続けているように、現代の戦場では、ハードウェアもソフトウェアも、開発から調達、そして陳腐化までのサイクルは電光石火の速さである。業界内の競争を奨励し、可能な限り複数のベンダーと契約を結ぶことで、これらの能力を提供する具体的なプラットフォームは継続的に進化していくだろう。将来、我々はプロトタイプで闘うことになるだろう。戦車による最初の戦闘から、ウクライナにおける一人称視点(FPV)ドローンの使用まで、歴史上の戦場がこの事実を証明している。我々は、重要な能力を特定したときに、それを実戦投入する速度を高めるために、取得プロセスに機敏性を組み込まなければならない。
米海兵隊が近代化を進めている課題の性質と重要性から、開発中の最新能力の多くは必然的に秘密区分によって保護されている。フォース・デザインの開始以来、米海兵隊は秘密区分のポートフォリオへの投資を435%増加させ、戦力の近代化とペースの速い脅威と戦うための将来の能力に重点を置いてきた。これらの投資は、フォース・デザインの基本であり、世界中でスタンド・イン・フォースとして前方プレゼンスを提供する際の戦略的優位性の維持を支えるものである。これらの能力は、兵器交戦ゾーン(WEZ)内での闘うための能力をさらに強化し、戦力の近代化を加速させ、急速に変化する戦場技術に歩調を合わせるものである。これらのプログラムへの投資を継続し、安全に演習や訓練を行い、我々が選んだ時と場所においてのみ敵対者に明らかになるような形で実戦配備を行うことが不可欠である。
我々の「学習キャンペーン(Campaign of Learning)」と現在の紛争の観察により、我々は次のような広範な能力セットに重点を置くことが固まった。このリストは、現在および将来の近代化投資のすべてを網羅するものではないが、フォース・デザインとスタンド・イン・フォース(SIF)のビジョンを実現するために必要な最も重要な能力を表している。我々は、対小型無人航空機システム(C-sUAS)、我々自身の無人航空機システム(sUAS)、および徘徊型弾薬(loitering munitions)を含む地上を基盤とする防空など、現代の戦場を定義している急成長中の能力への実験と投資を継続する。
- 争われた兵站と沿岸の移動性。このカテゴリーには、我々の海上事前配置部隊、全地球測位ネットワーク、沿岸の地表の連結機のための暫定的および長期的な解決策、最後の戦術的マイルを閉じるための自律型空中、地上、地下車両などの無数の急成長する戦術的補給能力が含まれる。
- 統合と連合の指揮・統制(C2)とキル・ウェブを可能にする。米海兵隊特殊作戦コマンド(MARSOC)のレイダーズ(Raiders)によって決定的に強化されたスタンド・イン・フォースの米海兵隊員は、統合・連合軍全体の槍の穂先である。米海兵隊の真価は、槍の残りの部分が何をすることができるようにするかにある。我々は、統合部隊の前方部隊として機能するための能力への投資を続け、戦術を洗練させていく。我々は、より小型の形状(smaller form factor)の指揮・統制(C2)ノードを追求し続け、戦術レベルでの分類のより高いレベルへのアクセスを提供することができるフィールド遠征インテリジェンス・コミュニティ指示(ICD-705)準拠のシェルター、および戦術的なエッジで意思決定を強化するために人工知能の進歩を活用する。我々のサイバー海兵隊は、すでにサイバーと宇宙のドメインで多大な効果を生み出しており、将来の紛争でも重要な役割を果たすだろう。
- 長距離精密火力。黒海と紅海の両方で観察された教訓は、海上拒否を効果的に行うための陸上精密射撃の有効性を再強調した。さらに、安価で長距離の一方向攻撃ドローンが、両紛争で甚大な犠牲を強いる上で大きな効果を発揮した。広大な太平洋において最も効果的な抑止力であるだけでなく、直面する敵対者に多大な犠牲を強いる最良の手段でもあるからだ。我々は、長距離ミサイル・バッテリーの実験を続ける一方で、我々の遠征的本質に沿ったよりより小型の形状(smaller form factor)の能力も追求していく。
ある種の永続的な優先事項は、予算サイクルを通じて存続し、主要な軍種の目標であり続けなければならない。兵舎、生活の質、募集、報奨金などは、米海兵隊の成功に対する重要性に見合った、毎年一貫した予算配分を行わなければならない。
結論:CONCLUSION
米海兵隊、我々は長い道のりを歩んできたが、敵対者も我々より優位性を獲得しようと懸命に努力している。我々が直面している課題は、複雑で、層が厚く、多面的であり、柔軟な解決策が必要であることを理解している。米海兵隊は困難な問題から逃げず、前進するための正しい道を見つける。
ルイズ(Ruiz)米海兵隊付上級曹長と私は、このトップ・ダウンの指針に対するボトム・アップの改良を期待し、また必要としている。階級や職務に関係なく、我々は一つのチームとして計画し、訓練し、闘う。
米海兵隊員であることは生涯で最も名誉なことであり、あなた方の総司令官であることに身の引き締まる思いである。皆さんもそうであるべきである。間違いなく、我々は直面する課題、闘うべき会戦、耐えるべき挫折を味わうことになるでしょう。どの時代の米海兵隊員もそうであるように、我々は比類なき規律をもってそれらを克服し、前進していくでしょう。皆さん一人ひとりが、新兵訓練や任官プログラムを卒業した瞬間に、誇り高き遺産を受け継いだのである。この遺産は、皆さんの前に現れた米海兵隊員たちの名誉、勇気、そして献身の上に築かれたものである。私は、皆さんが彼らの遺産を守り、彼らがその遺産を築くために払った取組みと犠牲を尊重することを知っている。
常に忠誠を‼
米海兵隊総司令官
エリック M. スミス米海兵隊大将