マルチドメイン作戦を維持するために (Military Review)
MILTERMでは、米陸軍のArmy University PressのMilitary Reviewの記事の中からも紹介している。2023年3-4月号では、2022年10月に公表された「FM 3-0 Operations」に関する投稿も見られる。3月17日に紹介した「Modern War Institute」のサイトに投稿された記事も、そうであったが、このことは新たな作戦ドクトリンが公表され、それぞれの立場で解釈され始めていることの証左であろう。
ここで紹介するのは、「FM 3-0 Operations」に対して、作戦の持続性を担保するための意見を述べた投稿である。海上の島嶼を含むマルチドメイン作戦環境での後方支援は非常に困難を伴うことが予想されるところである。特にSelf-Sustainmentに対する評価は厳しく、最前線の部隊への補給路の確保に対して、新しい技術を取り入れた後方支援のアーキテクチャの構築を提言しているものである。
参考までに、2022年10月に公表された「FM 3-0 Operations」のMILTERM掲載部分は以下のとおり。(軍治)
マルチドメイン作戦を維持するために
米陸軍の作戦コンセプトが直面する兵站的課題
Sustaining Multidomain Operations
The Logistical Challenge Facing the Army’s Operating Concept
Maj. Bryan J. Quinn, U.S. Army
March-April 2023 Military Review
ブライアンJ.クイン(Bryan J. Quinn)米陸軍少佐は、ミシシッピ大学で修士(MS)を取得し、米海軍指揮参謀大学も卒業している。現在、米欧州司令部J-35の陸軍戦略官として勤務している。
サウジアラビアでのプロバイダー・キャラバン作戦(Operation Provider Caravan)中の2021年12月24日、M1000重機器輸送セミトレーラーのタイヤ交換を協力して行う第24複合トラック中隊とスパルタン・タスク部隊の兵士。サウジアラビアとクウェートの軍隊と共に行われたこの作戦は、米軍とパートナー軍が必要な場所に物資や資材を届けるための資源と柔軟性を確保するため、米中央軍の責任範囲内で兵站能力の一部を行使した。 (写真:メアリーS.カッツェンバーガー(Mary S. Katzenberger)米陸軍1等軍曹) |
戦略とは、政治と同様、可能性の術(art of the possible)であると言われる。しかし、可能性とは、単に兵力の数的な強さ、ドクトリン、インテリジェンス、武装、戦術によって決まるのではなく、第一に、最も困難な事実、すなわち、要件、利用できる物資と期待できる物資、組織と管理、輸送と通信の動脈(arteries of communication)に関するものであることは間違いない。
-マーティン・ヴァン・クレフェルト、補給戦:ウォーレンシュタインからパットンまでの兵站
2014年、ロシアはウクライナのドンバス地方に侵攻し、クリミアを併合したことで、米国と欧州の同盟国に足元をすくわれた。サイバー戦(cyber warfare)、ハイブリッド戦(hybrid warfare)、通常戦(conventional warfare)の組み合わせで、米国とNATO同盟国が対応する前に、ロシアは急速に目標を達成した。これは、米国が海外の紛争に対応する際に直面する時間と空間の基本的な課題を明確にした。
この課題をさらに悪化させているのは、ロシアが、米国の戦力投射と欧州戦域へのアクセスに挑戦することを目的とした、レイヤー化されたスタンドオフ戦略(layered standoff strategy)に沿った接近阻止/領域拒否(A2/AD)能力を追求していることである[1]。一方、太平洋地域では、中国が米国の時間的・距離的制約を利用し、米国の海上・航空的優位性に対抗するために、同様に接近阻止戦略(antiaccess strategy)を追求しており、将来の紛争においていずれの敵対者の目標も否定する米国の能力に疑問符が付く[2]。
この課題に対応するため、米陸軍は、競争(competition)において敵対的な接近阻止/領域拒否(A2/AD)アプローチを緩和し、紛争(conflict)においてこの戦略を打ち破るために、マルチドメイン作戦(MDO)のコンセプトを開発した[3]。
しかし、マルチドメイン作戦(MDO)は接近阻止戦略(antiaccess strategies)に対抗する試みにもかかわらず、アフガニスタンとイラクの過去の紛争に最適化された後方支援アーキテクチャ(sustainment architecture)と、固有の兵站的課題(logistical challenges)を解決するための新しく実証されていない兵站的能力への依存によって、そのコンセプトは制限されている。その結果、将来の紛争において、マルチドメイン作戦(MDO)の勝利の理論(theory of victory)に合致した米国の目標達成能力がリスクにさらされる可能性がある。
マルチドメイン作戦(MDO)の兵站的不足(logistical shortfalls)を解消するには、接近阻止環境(antiaccess environments)下での紛争で地上部隊を確実に維持できる、より復元性(resilient)があり、効果的な後方支援アーキテクチャ(sustainment architecture)が必要である。その結果、米陸軍は マルチドメイン作戦(MDO)の支援コンセプトの実装とデザインの両方を再検討する必要がある。まず、米陸軍は、将来の紛争におけるリスクを軽減し、成功を確実にするために、マルチドメイン作戦(MDO)における地上部隊の維持方法(how it sustains)を見直さなければならない。
第二に、マルチドメイン作戦(MDO)の支援コンセプトと将来の戦争の性質をよりよく一致させるために、後方支援部隊(sustainment forces)の組織と装備の方法(how it organizes and equips)を再考する必要がある。「最終的な結果よりも、道具の完成度、事業の一部である構成要素や機動の熟練度(mastery of the components and maneuvers)の方が、より吸収力がある」と、フレッド・イクレ(Fred Iklé)は1971年に米国のベトナム戦争遂行について書いている[4]。
同様に、マルチドメイン作戦(MDO)は、一連の接近阻止問題(antiaccess problem)を打ち破るために必要な戦術的・技術的要件に焦点を絞った結果、論理的一貫性と兵站的実現性(logistical feasibility)が犠牲になり、将来の紛争で成功を収めるための能力を制限している。米陸軍の新しい作戦コンセプトをより良く評価するためには、まず、過去の軍事的なコンセプト的な進歩と技術的な進歩、その後の対応、そしてマルチドメイン作戦(MDO)が今日の同様の課題にどのように対処するつもりなのかを明確に理解することが必要である。
マルチドメイン作戦(MDO)の歴史的類似性:MDO’s Historical Parallels
今日、米国の戦力投射が直面している基本的な問題(主にアクセスや行動の自由(freedom of action))は、新しいものではない。最近の接近阻止/領域拒否(A2/AD)は、サイバー、長距離精密火力、一体化した防空システムなど、ハイテクを駆使しているが、敵対的な行動を阻止または妨害することは、長い間、戦争における到達目標であった。
攻撃と防御の間のこの古くからの緊張関係をさらに悪化させるのは、火力、移動性、防護のバランスを崩す可能性のある新技術または新興技術の開発である[5]。その結果、軍事的な膠着状態に陥ったり、一方が圧倒的に優位性を得たりするため、新しいプラットフォームや戦術、あるいは作戦環境の変化を考慮した作戦コンセプトの見直しや適応が必要になる。
相手の行動の自由(freedom of action)を制限したいという願望と、火力増強とその兵器からの残存の周期的な本質(cyclical nature)は、何世紀にもわたって戦場で繰り広げられてきた[6]。例えば、第一次世界大戦では、協商国(訳者註:フランス・ロシア・英国等)と中央同盟国(訳者註:ドイツ帝国、オーストリア・ハンガリー帝国、オスマン帝国およびブルガリア王国から構成された連合国)の間で悪名高い行き詰まりが生じ、塹壕戦(trench warfare)やその他の防御戦術によって攻撃行動を制限された不動状態(immobility)に対抗するために、地上部隊の防護力と移動性が向上した[7]。
同様に、戦間期には、敵の防御を回避したいという同じ願望が、米国、ドイツなどの空のドメインの限界を押し広げ、空中戦能力、戦術航空機、戦略爆撃戦役のコンセプトを開発させた[8]。これらの進歩は、その後、レーダー、対空兵器、その他の防御能力の進歩につながり、攻撃的な戦術と防御的な技術の間で振り子が揺れることを実証した[9]。
20世紀初頭の地上部隊のカウンターパートと同様、艦隊も魚雷や潜水艦などの新しい攻撃技術によって麻痺状態に陥った。そこで、英国は行動の自由(freedom of action)を取り戻し、海上での膠着状態を打破するために、ドイツの沿岸防衛を突破するコンセプト「バルチック計画(Baltic Project)」を策定した[10]。
現代のドクトリン上の解決策とほぼ同様に、英国は、沿岸砲兵、機雷、潜水艦の重層的な防御を前に、密接に同期した海軍と水陸両用作戦によってドイツの主要な沿岸地形を占領することを計画していた(20世紀初頭の接近阻止/領域拒否(A2/AD)に相当)[11]。
冷戦末期、米国とNATOの同盟国は、ソ連の数的・戦場幾何学的優越のために、再び行動の自由(freedom of action)が制限されることになった。これに対し、米国とその同盟国は縦深攻撃(deep attack)と呼ばれる新しいコンセプトを打ち出した[12]。
縦深攻撃(deep attack)は、その前身となるドクトリンと同様、ロシアの防御的優位性に対抗するために新技術に傾注したが、その前身となるドクトリンの中心は、初期投入部隊(initial entry forces)を使用して主導性を獲得し、最終的に戦略的目標を達成するために大規模な後続部隊に依存するというものであった[13]。
これまでの技術やコンセプトの進歩と同様に、この戦略の転換は、NATO軍とソ連軍の間の不均衡を引き起こし、ロシアの反応を必要とした[14]。その結果、ロシアは接近阻止能力(antiaccess capability)を高めることで対応し、最近のサイバーや火力の進歩によって、再び米国の攻撃的な適応が求められるようになった[15]。
図1. 縦深攻撃(Deep Attack)1982年、縦深作戦(Deep Operations)1986年、縦深作戦(Deep Operations)1993年、攻勢における作戦的枠組み(Operational Framework in the Offense)2001年 (図は、FM100-5「作戦(Operations)」(1982、1986、1993版))とFM3-0「作戦(Operations)」2001版から) |
それぞれの歴史的事例が示すように、攻撃的戦術と防御的戦術の間の振り子の揺れによって引き起こされるコンセプトと技術の革新のサイクルは、他に類を見ないものではない。技術は紛争の性質を変えるかもしれないが、その本質は変わらない。
その結果、過去の解決策は、将来のドクトリンや戦力デザインを修正するための貴重な青写真を提供することができる。どのような進化を遂げた例であっても、具体的な作戦や技術的な課題があるにせよ、それぞれが共通の論理を貫いている。
例えば、図1に示すように、米国は歴史的に、より大規模な後続部隊が後方連絡線(lines of communication)を確保し、より大きな作戦上の目標のために最初の成功を利用できるように、遠征(初期投入)部隊を運用している[16]。
今日の地上部隊も、兵站上の制約から、その範囲、規模、期間において同様に制限されているため、その適用も同様に一貫しているはずである。したがって、今日の接近阻止の課題(antiaccess challenge)に対する解決策は、戦争の変化する性質に合わせて適応しながらも、戦争の物理学(physics of war)、すなわち時間と空間がほとんど変わらないように、同様の論理の糸をたどる必要がある。
マルチドメイン作戦(MDO)を維持すること:Sustaining MDO
マルチドメイン作戦(MDO)は、そのドクトリン上の前任者と同様、クロスドメイン(cross-domain)の連携部隊を通じて米国の技術的優位性を活用し、戦力を投射し、作戦範囲を拡大し、米国の機動の自由(freedom of maneuver)を制限するようにデザインされた敵の防御を打ち破ろうとするものである[17]。しかし、以前のコンセプトでは、位置的優位を達成するため、または通常の後続部隊の採用を促進する手段として遠征部隊(expeditionary forces)を使用していたが、遠征部隊、または「内部」部隊が マルチドメイン作戦(MDO)の主たる取組み(main effort)を構成する[18]。
マルチドメイン作戦(MDO)のコンセプトと一致し、「内部部隊(inside forces)」が短期間の優越の窓から挿入されると、これらの戦力は、単に接近阻止環境(antiaccess environment)内で作戦することによって相手の接近阻止/領域拒否(A2/AD)アプローチを弱め、敵対者のスタンドオフ戦略を打ち破る[19]。接近阻止/領域拒否(A2/AD)システムに対する短期間の優越を達成するためには、宇宙、サイバー、その他の統合効果(joint effects)が必要であるが、これは初期地上部隊を投入するための手段に過ぎない。
しかし、この勝利の理論(theory of victory)には、米陸軍参謀総長の「米陸軍マルチドメイン・トランスフォーメーション(Army Multi-Domain Transformation)白書」にもあるように、将来の紛争では実現不可能とされる従来の地上部隊の編成についての考察がないのが特徴的である[20]。
しかし、後続の地上部隊を排除することで、マルチドメイン作戦(MDO)は歴史的な前例から乖離するだけでなく、革新を優先し、持続可能性よりも技術的な能力を優先するため、マルチドメイン作戦(MDO)が紛争で成功する可能性に疑問符がつく。
マルチドメイン作戦(MDO)の内部部隊は、初期投入部隊(initial entry forces)という名称を変えたとはいえ、他の縦深機動部隊(deep maneuver force)と同様に、兵站的課題(logistical challenges)や後方支援の課題(sustainment challenges)、最高潮のリスクにさらされることに変わりはない。これは、圧倒的な防衛力を前にして、初期の拠点(initial lodgment)を確保することに非常なリスクがあったからではなく、初動部隊の成功後に戦力を保持・維持することが現実的でなかったからである[21]。
信頼できる支援コンセプトがなければ、英国指導部は初期作戦の成功を欧州におけるより大きな軍事目標に論理的に結びつけることができなかった。マルチドメイン作戦(MDO)は今日、同様の課題に直面している。後続部隊を持たないマルチドメイン作戦(MDO)には後方連絡線(lines of communication)を確保する能力がなく、その結果、支援地域との復元性ある接続(resilient connection)なしに初期の拠点(initial lodgment)を拡大したり、成功を収めたりすることの可能性は疑問のままである。
図2. 現在のマルチドメイン作戦(MDO)旅団戦闘チーム自立後方支援(Self-Sustainment)モデル (著者ブライアンJ.クイン氏作成) |
信頼できる空や地上の後方連絡線(lines of communication)がない縦深機動地域(deep maneuver area)で地上部隊を維持するという課題に対処するため、米陸軍の訓練ドクトリン・コマンドと米陸軍将来コマンドは、図2に描かれたマルチドメイン作戦(MDO)の後方支援のための機能コンセプトを開発した。
この支援コンセプトは、マルチドメイン作戦(MDO)の後方支援の課題に対する解決策を明確にしており、主に「精密な兵站(precision logistics)」を採用することで、「作戦を支援するために必要な、レイヤー化された、機敏で応答性の高い後方支援能力」を提供する[22] 。
この能力はその後、「予測的決心支援システム(predictive decision support system)」、「リアルタイムの共通運用図(real-time common operating picture)」、および「配送要件を50%軽減する」ための部隊全体の「需要削減(demand reduction)」によって実現される[23]。つまり、マルチドメイン作戦(MDO)の兵站的課題(logistical challenges)を解決するために、後方支援用兵機能(sustainment warfighting function)は、不確実性を最小化することによって需要を削減することを狙いとしている。これは、歴史上、戦いや商用兵站におけるとらえどころのない野心的な到達目標である。
しかし、このような願望的な能力は、より効率的な解決策に向けて後方支援を推進するかもしれないが、将来の作戦環境と敵対的脅威は、効率よりも有効性と復元性(resiliency)を優先する後方支援アーキテクチャ(sustainment architecture)を必要とする。
他の用兵機能(warfighting functions)においても、支援コンセプトは同様に、「兵站需要の削減、有機的な発電、自律的な補給、および積層製造(additive manufacturing)(訳者註:3Dプリント)によるクロスドメイン機動(cross-domain maneuver)」の後方支援を想定している[24]。しかし、これらの解決策はいずれも大規模で実証されておらず、技術だけでは戦略にはならない。
戦闘部隊が自活できるようになる能力(ability)は、野心的な長期の到達目標だが、実証されていない新興技術の拡張性と信頼性に依存することは、問題の先送りを願うことと同じである。当面の間、戦闘部隊は、主に地上線に沿って大量の物資を物理的に移動させることによって、これまでと同じように維持され続けるだろう。
否定された敵対的な領域(denied, hostile territory)での作戦を確実に継続するという課題を解決しなければ、米軍はマルチドメイン作戦(MDO)の勝利の理論(theory of victory)の基本である敵対者の接近阻止/領域拒否(A2/AD)ネットワークに挑戦することができない。
後方支援の再評価:Sustainment Reassessment
結局のところ、実現可能な支援コンセプトがなければ、マルチドメイン作戦(MDO)は競争において敵対者を抑止し、紛争において戦闘力を発揮する能力において制限を受けたままである。その結果、マルチドメイン作戦(MDO)は2つの中心的な課題を解決しなければならない。第一に、後方支援の課題(sustainment challenges)を解決するために実証されていない技術に過度に依存することで、マルチドメイン作戦(MDO)部隊の後方支援(sustainment)が疑わしくなる。
第二に、これまでの対反乱・対テロ任務を支援するためにデザインされたレガシーな配分ネットワークに依存しているため、将来の闘い(future fight)には不適格であることが挙げられる。これらの課題に対処するため、マルチドメイン作戦(MDO)の支援コンセプトは、より高い効果を求め、より復元性(resilient)があり、かつ冗長な(redundant)後方支援ネットワーク(sustainment network)と、予想される戦争の性質に沿った成功を可能にするためにより良い態勢の後方支援組織(sustainment organization)の要件を推進する。
作戦は、自立後方支援(self-sustainment)の方法と後方連絡線(line of communication)による方法の2つで維持することが出来る[25]。マルチドメイン作戦(MDO)は現在、前者に頼っているが、この方法で戦闘作戦を維持できるのは、部隊の基本的な負荷が許す限りであり、通常は最高潮の数日前までである[26]。
捕獲した糧食や採食、技術的な進歩によって持久性(endurance)は伸びるかもしれないが、多くの補給物資の制限や、提案された高度な能力の維持は、最終的に部隊が独立して作戦できる期間を制限する。さらに、敵の接近阻止兵器は、これまでの紛争でよく利用されてきた大規模な空中補給を妨げる。
その結果、マルチドメイン作戦(MDO)の縦深機動部隊(deep maneuver forces)は、後方地域から縦深機動地域(deep maneuver area)まで延びる地上線を越えて維持する必要がある。この連携がなければ、遠征部隊(expeditionary forces)は孤立し、戦略的目標を達成する能力をリスクにさらすことになる。
将来の作戦環境に合わせ、マルチドメイン作戦(MDO)の支援コンセプトは、より復元性(resilient)があり、かつ冗長な(redundant)後方支援アーキテクチャ(sustainment architecture)を提供しなければならない。この復元性(resiliency)を実現するためには、後方支援ノード(sustainment nodes)を追加することで供給ラインを短縮し、動的な方向転換を可能にするためにラインの数を増やし、中断を防ぐ必要がある。
将来のフォーメーションは、戦闘部隊と支援地域を結ぶ一握りの大規模な主要補給路にもはや頼ることはできない。最近のグローバルなサプライ・チェーンの混乱が、有効性と効率性のバランスを見直すきっかけとなったように、作戦環境内の脅威は、将来の紛争における兵站にも同じバランスをもたらす必要がある。
マルチドメイン作戦(MDO)の支援コンセプトは、兵站的課題(logistical challenges)を解決するために、最近の商業や民間の動向から多くを借り入れ、サプライ・チェーンの革新と新興技術による効率化に依存している。しかし、過去1年間の大規模な世界的混乱に部分的に後押しされ、他のより新しく適用可能な開発は除外されている。
例えば、商業ベンダーは最近、アマゾンなどが普及させた地域ごとの大規模なフルフィルメント・センター(fulfillment centers)への依存から、ラストマイル配送戦略へと移行している[27]。このアプローチでは、ベンダーとそのサプライ・チェーンと消費者を結ぶ小規模な兵站ノードが急増することになる[28]。
限られた需要の高い物資を保管し、消費者に直接発送する小規模なターミナルや配送ステーションに力を注ぐことで、ベンダーは配送時間とサプライ・チェーンの混乱の両方を減らすことができる[29]。
図3. 提案するマルチドメイン作戦(MDO)支援コンセプトと戦域枠組み (著者ブライアンJ.クイン氏作成) |
同様に、分散した内部部隊(inside forces)の後方支援を確保するため、将来の紛争でも同様のアプローチを適用し、大規模な補給ノードと地上線の途絶のリスクを低減することができる。後方支援地域(rear support area)から縦深地域(deep area)まで後方支援ノード(sustainment nodes)と補給線の数を拡大することで、マルチドメイン作戦(MDO)は図3で表される地上部隊と後方支援ネットワーク(sustainment network)との間のより復元性(resilient)があり、かつ応答性の高い接続を確保することができる。
このアプローチは、地上の後方連絡線(lines of communication)の長さを短縮し、後方支援の応答性を加速させ、経路やノードが障害や拒否を受けた際に動的に開閉することで、後方支援アーキテクチャ(sustainment architecture)の回復力と冗長性を高めることで、後方支援の柔軟性を実現する。
複数の経路に沿ってフォーメーションを分散させると効率は悪くなるが、効果が高まれば復元性が増し、リスクが軽減されるため、より強固な後方支援ネットワーク(sustainment network)が実現する。軍事的進歩の周期的な本質と一致し、追加の中間的な後方支援ノード(sustainment nodes)を通じて遠征部隊(expeditionary forces)を支援するというコンセプトは、米陸軍と統合の両ドクトリンにすでに存在する。
中間準備基地(intermediate staging base:ISB)は、「部隊の準備、後方支援、作戦地域への出入りに使用する一時的な場所」を提供することで、統合強制投入作戦を維持するための中心的な兵站ノードである[30]。
内部部隊(inside forces)を維持するために重要なこの後方支援ノード(sustainment node)では、進入点を増やし、後方支援能力容量(sustainment capacity)を作戦地域から直接遠ざけつつ、即時支援に十分な距離を確保することで、冗長性を高め、後方支援部隊(sustainment forces)のリスクを軽減する[31]。現在のドクトリンでも、中間兵站ノードの重要性は認められており、中間準備基地(ISB)がなければ「(接近阻止/領域拒否(A2/AD)に)直面しても圧力を維持し続ける能力は著しく低下する」と述べている[32]。
同様に、中間準備基地(ISB)のような能力をマルチドメイン作戦(MDO)の支援コンセプトに一体化することで、戦術的支援領域から地上部隊を持続的に支援することが可能になり、マルチドメイン作戦(MDO)の後方支援アーキテクチャ(sustainment architecture)の冗長性と復元性(resiliency)を高めることができるのである。その結果、マルチドメイン作戦(MDO)の後方支援の解決策はすでに存在し、数十年にわたって開発された既存のコンセプトにわずかな変更を加えるだけで、軍事の後方支援を革新しようとする現在の試みとは異なるかもしれない。
第2に、マルチドメイン作戦(MDO)部隊を維持するために、米陸軍は、予想される戦争の性質により合致するように、後方支援部隊(sustainment units)の組織と装備を見直す必要がある。イラクとアフガニスタンでの20年にわたる紛争の結果、米陸軍は後方支援部隊(sustainment force)の構造を段階的に縮小し、有効性を犠牲にして効率性を優先させた[33]。
その結果、有機的な戦術レベルの後方支援部隊(sustainment units)、および別個のタスクで組織された後方支援部隊(sustainment units)の構造は、対反乱作戦および緊急時対応作戦に対応した組織の進化の結果である。米国が敵対者に対してかなりの優位性を維持する紛争では、戦術レベルに至るまで契約された支援に大きく依存し、静止した場所から作戦を展開した。
しかし、戦争の性質が兵站の対応策を決定しなければならない[34]。したがって、作戦環境と敵対的脅威が変化するにつれて、米陸軍の上級指導者は、マルチドメイン作戦(MDO)と将来の脅威環境に最適化するために、現在の後方支援部隊(sustainment force)の構造を見直す必要がある。
2021年7月19日、テキサス州フォートフッドで輸出可能な戦闘訓練能力演習を行う際、全テネシー州兵の支援に必要な重要物資の整理を協力して行う第230後方支援旅団の兵士。 (写真:エベレット・バビット(Everett Babbitt)米陸軍上等兵) 註:輸出可能な戦闘訓練能力(eXportable Combat Training Capability)とは、現役の米陸軍旅団と米陸軍州兵旅団との間で行われる一連の訓練で、州兵部隊の技能と即応性を高めることを意図しているもの (https://www.dvidshub.net/feature/ExportableCombatTrainingCapability) |
マルチドメイン・タスク部隊(multidomain task force)とそれに続くインテリジェンス、サイバー、電子戦、宇宙ユニットに限定したマルチドメイン作戦(MDO)の現在の部隊構造の変更以外では、米陸軍は大部分が前回の戦争のために構築した部隊で次の戦争を闘うことを意図している。
つまり、マルチドメイン作戦(MDO)のコンセプトの中で特定された要件のほとんどは、現在の能力や古い戦術を増幅することを意図した近代化、革新、および技術に基づく能力である。しかし、後方支援(sustainment)を含む用兵機能(warfighting functions)全体の戦力構造は、過去20年間に開発されたモジュール型の旅団戦闘チーム(BCT)中心の構造からほとんど変化していない。
フバ・ワス・デ・ゼゲ(Huba Wass de Czege)退役米陸軍准将は、マルチドメイン作戦(MDO)の信頼性について、当時米陸軍訓練ドクトリン・コマンドの司令官であったデビッド・パーキンス(David Perkins)米陸軍大将への2018年の回答でそのように指摘し、このコンセプトは現在の米陸軍構造の技術的欠点にあまりにも狭く焦点を当て、異なる文脈での適性を疑うことを怠っていると論じている[35]。
その結果、米陸軍は、以前の紛争の効率性よりもマルチドメイン作戦(MDO)に要求される有効性を優先して、後方支援アーキテクチャ(sustainment architecture)を再バランス化しなければならない。
例えば、標準的な旅団戦闘チーム(BCT)の旅団支援大隊は、旅団から大隊への補給物資の配給を促進する。しかし、この組織では、後方支援任務(sustainment mission)を遂行するために、単一の配送中隊と単一の輸送小隊しか保持していない[36]。
同様に、米陸軍師団の有機的な後方支援は、師団支援区域から近接区域を経て縦深機動地域まで隷下の旅団を維持する責任があり、単一の師団支援旅団で構成されている。
その中で、1つの師団戦務支援大隊(division service and support battalion)とトラック中隊が、師団後方支援のための唯一の責任を維持している[37]。その結果、旅団戦闘チーム(BCT)も師団も、将来の大規模戦闘やマルチドメイン作戦(MDO)が想定する戦闘を維持するための適切な後方支援アーキテクチャ(sustainment architecture)を現在装備していない。
同様に、マルチドメイン作戦(MDO)の分散・独立作戦コンセプトを支援するため、前方支援中隊や旅団支援大隊を含む戦術レベルの支援部隊も、より分散した環境で作戦するための装備を整える必要がある。将来の後方支援作戦では、縦深機動地域や支援地域にわたって作戦するために、強化した通信、頑強な機動支援能力、防空、およびその他の防護能力が必要となる。
したがって、マルチドメイン作戦(MDO)は、敵の妨害に対して後方支援構造(sustainment structure)を強固にするために、より大きな有機的防護も重視しなければならない。防護アセットを後方支援部隊(sustainment units)にタスク編成することは可能だが、マルチドメイン作戦(MDO)の後方支援アーキテクチャ(sustainment architecture)は、予想される脅威と作戦環境に合致した目的をもって構築した解決策に偏らせなければならない。
その結果、これらのプラットフォームをコンセプト的なレベルから支援部隊とより密接に一体化することで、より大きな同期化と一体化が要求される将来の環境において、アドホックなタスク編成の部隊よりも効果を高めることができる。
2017年9月22日、バージニア州フォートA・P・ヒルでの統合戦術航空補給機(Joint Tactical Aerial Resupply Vehicle:JTARV)演習に参加した米歩兵第3連隊の兵士。この演習で、統合戦術航空補給機(JTARV)は戦場の兵士が自律的な補給を実行する可能性を示した。しかし、統合戦術航空補給機(JTARV)は距離、容量、シグネチャーで大きく制限されている。 (写真:ガブリエル・シルバ(Gabriel Silva)米陸軍1等兵) |
結局のところ、マルチドメイン作戦(MDO)と将来の戦闘を支援するため、より強固な配分ネットワークを構築するために、後方支援の冗長性と復元性(resiliency)を高めることは、コストを伴う。敵対的な接近阻止/領域拒否(A2/AD)アプローチにより、より長く、よりリスクのある後方連絡線(lines of communication)が必要となり、より大きな兵站の冗長性を必要とするため、後方支援のフォーメーションはより多くの装備を要求し、結果として整備、後方支援、人的コストを増加させることになる。
単純に言えば、マルチドメイン作戦(MDO)と将来の作戦環境は、戦闘、支援、防護の各アセット間の比率を高めることを要求している。米陸軍将来コマンドもこのジレンマを認識しており、「著しい技術的進歩と需要の減少がなければ、旅団戦闘チーム(BCT)の要件は後方支援部隊(sustainment force)の構造と能力容量への大幅な再投資をもたらすだろう」と述べている[38]。
この譲歩に伴い、より効果的で復元性(resilient)ある後方支援アーキテクチャ(sustainment architecture)を可能にするため、米陸軍は後方支援部隊(sustainment force)を、予想される環境と一致して独立し分散して作戦できるように最適化しなければならない。
まとめ:Concluding Remarks
2022年に発表されたフィールド・マニュアル3-0「作戦(Operations)」を受けて、マルチドメイン作戦(MDO)は米陸軍の作戦コンセプトとして「統一された地上作戦(unified land operations)」に取って代わった。マルチドメイン作戦(MDO)をドクトリンに昇格させることで、米陸軍はこのコンセプトが当面の間、事業、部隊構造、部隊デザイン、およびドクトリンを推進することを確実にした。しかし、マルチドメイン作戦(MDO)の信条を実行し、その野心を完全に実現する前に、米陸軍は、将来の紛争で機動部隊を最もよく維持するための兵站部隊の編成方法を見直す必要がある。
政策の最終目的(policy ends)よりも技術的手段を重視し、地上部隊を維持する方法やより大きな戦略的目標を達成する方法についての明確な考えとリンクしていないため、マルチドメイン作戦(MDO)の内部部隊(inside forces)はそれ自体が最終目的(end)となり、アクセスを獲得することが戦略となっている。
過去の紛争と同様、技術は次の紛争の特徴を定義し、部隊が会戦(battle)でどのように使用されるかを形成する上で重要な役割を果たすだろう。マルチドメイン作戦(MDO)にとって、部隊(unit)のシグネチャーを減らし、需要を減らしながらより大きな自律性(greater autonomy)への移行を加速する技術は、リスクを軽減し、後方支援の課題(sustainment challenges)を緩和することができる。
しかし、技術的な解決策は、後方支援の課題(sustainment challenges)と兵站的課題(logistical challenges)を軽減する機会を与えるかもしれないが、技術だけでは戦略の代わりにはならない。同様に、遠征部隊(expeditionary forces)の技術的優位性や将来的な技術への期待に頼るだけでは、失敗するリスクがある。その結果、将来の紛争において、新たな技術がどの程度後方支援の要件(sustainment requirements)を補うことができるかは、依然として疑問が残る。
戦略の要諦(point of strategy)が敵の意思決定と戦略計算に影を落とすことであるならば、いかなる作戦コンセプトも、敵の対象に疑問を投げかける論理的で信頼できる勝利の理論(theory of victory)を通じて、敵対者の心(adversary’s mind)に疑念を抱かせなければならない[39]。しかし、新しい作戦コンセプトに沿った作戦を実施するために必要な兵站要件を現実的に理解しなければ、米陸軍の時間と距離の問題に対する解決策は不完全なものとなってしまう。
この欠陥を修正するために、上級指導者は、遠征部隊(expeditionary forces)をどのように維持するか、将来の戦争の特徴に合致した後方支援部隊(sustainment units)をどのように組織し装備するかを再検討することによって、マルチドメイン作戦(MDO)の後方支援アーキテクチャ(sustainment architecture)の復元性(resiliency)と冗長性を高める必要がある。これらの欠点に対処し、戦術と兵站の不可分の本質を認めなければ、最終的には、将来の紛争で米地上部隊が目的を達成することができなくなる可能性がある[40]。
ノート
[1] Keir Giles and Mathieu Boulegue, “Russia’s A2/AD Capabilities: Real and Imagined,” Parameters 49, no. 1 (Spring/Summer 2019): 23–27.
[2] Mathew Jameson, “Countering China’s Counter-Intervention Strategy,” The Strategy Bridge, 11 August 2020, accessed 3 June 2022, https://thestrategybridge.org/the-bridge/2020/8/11/countering-chinas-counter-intervention-strategy.
[3] Field Manual (FM) 3-0, Operations (Washington, DC: U.S. Government Publishing Office [GPO], October 2022), ix, 3-1.
[4] Fred C. Iklé, Every War Must End (New York: Columbia University Press, January 2005), 14–15.
[5] Nicholas Murray, “Adaptation and Innovation: Breaking the Tech Stalemate” (lecture, Naval War College, Newport, RI, 14 December 2021).
[6] Clifford Bradley, “Historical Military Cycles,” Armor 92, no. 1 (January-February 1983), 21–22.
[7] Murray, “Adaptation and Innovation.”
[8] Leonard Rapport and Norwood Arthur, Rendezvous with Destiny: History of the 101st Airborne Division (n.p.: Infantry Journal Press, 1948), 4–10.
[9] Bradley, “Historical Military Cycles” 24–25; Murray, “Adaptation and Innovation.”
[10] Richard Hough, The Great War at Sea, 1914–1918 (Oxford, UK: Oxford University Press, 1983), 146–48.
[11] Ibid.
[12] Michael J. Sterling, Soviet Reactions to NATO’s Emerging Technologies for Deep Attack (Santa Monica, CA: RAND Corporation, 1985), 3, accessed 8 September 2022, https://www.rand.org/content/dam/rand/pubs/notes/2009/N2294.pdf.
[13] FM 100-5, Operations (Washington, DC: U.S. Government Printing Office, August 1982 [obsolete]), 8-1–8-7.
[14] Sterling, Soviet Reactions to NATO’s Emerging Technologies for Deep Attack, v–vii, 11–15.
[15] Future Warfare Division, U.S. Army Futures and Concepts Center, The Fiscal Year 2021 Future Study Program: Character of Warfare 2035 Seminar Report (Fort Eustis, VA: U.S. Army Futures Command, January 2021), 4–6.
[16] FM 100-5, Operations (1982), 7-14–7-17; FM 100-5, Operations (Washington, DC: U.S. Government Printing Office, August 1986 [obsolete]), 107; FM 100-5, Operations (Washington, DC: U.S. Government Printing Office, August 1993 [obsolete]), 7-7; FM 3-0, Operations (Washington, DC: U.S. Government Printing Office, June 2001 [obsolete]), 7-7.
[17] Joint Publication (JP) 3-18, Joint Forcible Entry Operations (Washington, DC: U.S. GPO, May 2017).
[18] James C. McConville, Army Multi-Domain Transformation: Ready to Win in Competition and Conflict, Chief of Staff Paper #1 (Washington, DC: Headquarters, Department of the Army, March 2021) 6–7, 31.
[19] Ibid.
[20] Ibid., 5–6.
[21] Hough, Great War at Sea, 148.
[22] U.S. Army Training and Doctrine Command (TRADOC) Pamphlet 525-3-1, The U.S. Army in Multi-Domain Operations 2028 (Fort Eustis, VA: TRADOC, December 2018), 13.
[23] Army Futures Command (AFC) Pamphlet 71-20-2, Army Futures Command Concept for Brigade Combat Team Cross-Domain Maneuver 2028 (Washington, DC: U.S. GPO, February 2017), 66.
[24] Ibid., 27.
[25] FM 100-10, Combat Service Support (Washington, DC: U.S. Government Printing Office, February 1988), 2-12.
[26] Ibid.
[27] Steve Banker, “Amazon Supply Chain Innovation Continues” Forbes (website), 1 April 2021, accessed 5 February 2022, https://www.forbes.com/sites/stevebanker/2021/04/01/amazon-supply-chain-innovation-continues/?sh=3266579a77e6.
[28] Ibid.
[29] Ibid.
[30] JP 3-35, Deployment and Redeployment Operations (Washington, DC: U.S. GPO, January 2018), VI-19.
[31] Army Techniques Publication 4-0.1, Army Theater Distribution (Washington, DC: U.S. GPO, April 2014), 2-9.
[32] FM 3-99, Airborne and Air Assault Operations (Washington, DC: U.S. GPO, March 2015), I-7.
[33] Michael Lundy, Richard Creed, and Scott Pence, “Feeding the Forge: Sustaining Large-Scale Combat Operations,” Army.mil, 18 July 2019, accessed 8 September 2022, https://www.army.mil/article/223833/feeding_the_forge_sustaining_large_scale_combat_operations
[34] Julian Thompson, The Lifeblood of War: Logistics in Armed Conflict (Lincoln: University of Nebraska Press, 1 September 1991), 302.
[35] Huba Wass de Czege, Commentary on “The US Army in Multi-Domain Operations 2028” (Carlisle, PA: U.S. Army War College Press, April 2020), x–xii.
[36] FM 4-0, Sustainment Operations (Washington, DC: U.S. GPO, July 2019), 2-54–2-56.
[37] Ibid., 2-48–2-50.
[38] AFC Pamphlet 71-20-2, Army Futures Command Concept for Brigade Combat Team Cross-Domain Maneuver 2028, 67.
[39] Edward N. Luttwak, The Political Uses of Sea Power (Baltimore: Johns Hopkins University Press, 1974).
[40] Thompson, The Lifeblood of War, 295.