ウクライナから将来の軍隊への教訓(第17章)(The Army War College)

MILTERMで、既に紹介しているウクライナから将来の軍隊への教訓(序章から第1章まで)(第2章から第3章まで)(第4章)(第5章)(第6章)(第7章)(第8章)(第9章)(第10章)(第11章)(第12章)(第13章)(第14章)(第15章)(第16章)に続き、第17章を紹介する。この章は、一方的にウクライナに侵攻したロシアがその目的・目標を達成できないまま戦争が続いている中で、いわゆる正戦論(Just War Theory)の観点からこの戦争を確認するとともに、望ましい終結のあり方についてJus Post Bellumを適用した戦争終結の枠組みについて論じたものである。戦争終結のあり方について失敗を重ねてきた米国(米陸軍)の立場を参考に論じており興味が持たれる内容である。(軍治)

行動喚起:ウクライナから将来の軍隊への教訓

Call to Action: Lessons from Ukraine for the Future Force

まえがき

序章:ウクライナから将来の軍隊への教訓

エグゼクティブ・サマリー

第1章 ウクライナの歴史と展望

第2章 1991年から現在までの米国とウクライナの安全保障協力:さまざまな記録

第3章 ウクライナの場合:復元性による抑止

第4章 2022年のロシア・ウクライナ戦争における作戦術

第5章 インテリジェンス

第6章 火力

第7章 ミッション・コマンド

第8章 効果的な戦闘リーダーシップの維持

第9章 後方支援:兵站

第10章 大国間競争の時代における戦略的人的予備役

第11章 ロシア・ウクライナ戦争の機動についての教訓

第12章 防護:電子、航空、民間人、インフラ

第13章 ロシア・ウクライナ戦争での軍事医療適応

第14章  マルチドメイン作戦にとってのロシア・ウクライナ戦争の教訓

第15章 海での戦争からの教訓

第16章 ウクライナ戦争でのロシア航空戦力の失敗

第17章 ユス・ポスト・ベルム:より良い平和を創る:Jus Post Bellum: Creating a Better Peace

Marlon A. Thomas and Gabriella N. Boyes

キーワード:ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellum)、終結の正当な理由(just cause for termination)、倫理的推論(ethical reasoning)、ロシア・ウクライナ戦争

英国の理論家バジル・リデル・ハート(Basil Liddell Hart)卿が書いたように、戦争の目的は「より完全な平和(more perfect peace)」である[1]。ロシアとウクライナがより良い平和に到達するためには、正戦の倫理(just war ethic)を適用して、両国政府が紛争の根本原因に対処し、人間の苦しみを終わらせる平和へと舵を切らなければならない。ロシア・ウクライナ戦争で起こりうる結果を分析するには、まず、この戦争で起こりうる結果の道徳的な質を判断する出発点として、正戦の倫理(just war ethic)を適用することから始まる。より良い平和を創造することは、正戦の倫理(just war ethic)、特に「ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellum:戦後の法)」の原則を目の前の紛争に適用する方法を学ぶことである。持続可能な平和を達成するためには、ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellum)の原則に焦点を当てなければならない。その中には、終結の正当な理由(just cause for termination)、正しい意図(right intention)、戦争終結宣言(public declaration)、正統な権威(legitimate authority)、国内権保護(domestic-rights protection)、区別(discrimination)、比例性(proportionality)などが含まれる[2]。ロシア・ウクライナ戦争は、現代的な文脈における戦争終結の難しさを示すとともに、米国が将来、武力紛争の解決をよりよく模索するための洞察を与えてくれる。

ユス・ポスト・ベルムとは何か

カナダの哲学者であるブライアン・オーレンド(Brian Orend)が書いているように、正戦の倫理(just war ethic)とは「戦いの初期、中期、終期において、国家がいつ、どのように道徳的に振る舞うべきかを記述した思想体系」である[3]。正戦の倫理(just war ethic)には3つの要素がある:ユス・アド・ベルム(Jus ad bellum(国家が戦争を行う権利:a state’s right to wage war)、ユス・イン・ベロ(Jus in bello(戦争中の国家の行動と振舞い:a state’s actions or behavior while at war)、ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellum(紛争後の正義:justice following a conflict)[4]

ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellumによれば、戦争を正当に終結させるためには、ロシアとウクライナの双方がより良い和平に到達し、正義が果たされ、ウクライナの復興が開始されなければならない。戦争の現実が徐々に明らかになり、平和の可能性の輪郭が浮かび上がってくるにつれ、戦後の時代はウクライナの人々にとって困難なものとなるだろう。ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellumの原則は、ウクライナの人々が国家と経済を再建する間、正義感を与えることができる。また、ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellumの原則は、和平合意や紛争後の社会の持続可能性、公平性、安定性を明確にするための枠組みを提供することができる。

ユス・ポスト・ベルムの原則

戦争終結の正当な理由とは、「そもそも戦争に訴える根拠となった権利の侵害が合理的に正当化された場合、国家が当該正当な戦争の終結を求める理由がある」場合である[5]。戦争終結の正当な理由の原則は、交戦国が戦争を完全に終結させるための合意に達することを保証しようとするものである。領土保全(territorial integrity)は、侵略者が獲得した領土の大部分またはすべてを元の国に返還することで回復される。最後に、戦争の犠牲者は何らかの補償を受けなければならないし、加害者は処罰を受けなければならない。

正しい意図(right intention)とは、国家が「他のユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellumのルールに含まれる原則の観点からのみ、戦争終結のプロセスを遂行する意図を持たなければならない」と規定するものである[6]。正しい意図の原則は、正義へのコミットメント、関係者への説明責任、紛争に影響を受けたすべての人の長期的利益を確保し、戦争から平和への移行を指示することを意味する。しかし、復讐心(vengeance)や個人的な利益が正しい意思の動機となってはならない。

戦争終結宣言(public declaration)、正統な権威(legitimate authority)、国内権保護(domestic-rights protection)の原則は、「平和の条件は正当な権威によって公示されなければならない」と定めている[7]。この原則は、戦争から平和への移行が透明性をもって行われ、国民に情報が提供されることを保証するものである。さらに、正当な統治権者は、紛争終結時に決定を下し、行動を起こす権限を持つ唯一の存在である。最後に、すべての関係者の権利がプロセスを通じて保護されなければならない。

平和の条件を設定する際に区別(discrimination)を達成するために、「正義と戦勝国(victorious state)は、侵略政権内の政治・軍事指導者、兵士、民間人を区別する」[8]。戦勝国(victorious state)は、政治的・軍事的指導者に対し、その指導者の軍隊が他国に対して行った侵略行為について責任を追及する。一般市民や上官の命令に従っただけの兵士に苦難が降りかかってはならない。しかし戦勝国は、戦争犯罪の罪を犯した兵士が命令に従っていたにせよ、自らの意思で行動したにせよ、その責任を追及する。

ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellumの観点から見た比例性(proportionality)とは、「いかなる和平条件も、合理的な権利の擁護という目的に比例したものでなければならない」という意味である[9]。比例性(proportionality)の原則は、紛争が被害者に与えた損害や被害を最小限に抑えることを期待して、合理的な補償のための制度を設けることの重要性を強調している。同様に、正義を促進するために取られる行動は、犯罪を考慮した適切なものでなければならず、不正を悪化させたり、被害を拡大させたりしてはならない。

ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellumの実践例は、第二次世界大戦末期に起こった。米国の戦略家エドワード・N・ルトワック(Edward N. Luttwak)は、「戦争が平和をもたらすのは、暴力の絶頂期を過ぎてからだ」と述べている[10]。ルトワック(Luttwak)の嘆かわしい真実を示す最も説得力のある例は、第二次世界大戦である。枢軸国は、6年間にわたる壊滅的な被害と、そのほとんどが民間人であった数百万人の死傷者を出した後、ドイツは完全な軍事的敗北に直面し、日本は広島と長崎への原爆投下後に講和を求めていたため、戦争を継続することができなかった。国民が闘う意欲を失っていたため、日本は戦争を終わらせる正しい意図を持っていた[11]。枢軸国の敗北後、枢軸国が占領していたすべての領土の処分を決めるなど、戦争から平和への複雑な移行が始まった[12]

連合国はまた、ドイツのニュルンベルクに国際軍事法廷を設置した。ニュルンベルク裁判は差別の一例である。なぜなら、政治的、軍事的指導者は、たとえその指導者が公的責任に基づいて犯罪を犯したとしても、人道に対する罪、平和に対する罪、戦争犯罪の責任を問われたからである。さらに、ニュルンベルク裁判は、その過程を通じて被告の権利を守り、有罪の当事者に正義を下そうとした[13]。第二次世界大戦後、正義と説明責任を確立し、戦争で荒廃した国々を復興させるための取組みは、ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellumの原則の優れた実践例である。

正戦の倫理(just war ethic)に加えられたのは比較的最近のことだが、ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellum)は、ロシア・ウクライナ戦争の正当な終結に関係している。ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellumの原則を適用することで、交戦国側は戦争終結の説明が公正であり、当事者双方と国際社会の利益に合致していることを主張できるようになる。ウクライナとその国民が、ロシアの不当な戦争に続いて公正な平和を達成するためには、ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellumが今後の道筋を示すかもしれない。

ロシア・ウクライナ戦争への正戦の原則の適用

戦争を正当に終わらせるには、戦争の目標が紛争の過程で変化する可能性があることを認識しながら、戦争が始まったときに紛争当事者が達成しようと望んでいたことを理解し、多くの場合、それを変えることが必要である。

紛争開始時のロシアの目標

ロシアは、自国の利益と価値観を共有する旧ソ連諸国の中で、地域の覇権を握ることを目指している[14]。しかし、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)のウクライナにおける到達目標は複雑で、欺瞞が絡み合い、常に変化している。ロシア・ウクライナ戦争が始まったとき、ロシアはウクライナで複数の目標を持っていた。第一の目標は、ウクライナが欧米の影響に近づきすぎないようにすること、特にウクライナがNATOやEUに加盟しないようにすることだった[15]。ウクライナがこうした国際的な同盟に加わることを阻止すれば、ヴィクトル・ヤヌコヴィッチ(Viktor Yanukovych)大統領政権と同様の親ロシア政権を復活させる下地を作ることになる。ロシア・ウクライナ戦争は、ウクライナがNATO圏に定着するのを阻止するための取組みとして最もよく理解できる[16]

ロシアの第二の目標は、ウクライナを「非ナチス化(denazify)」することだった。ロシアは、ナチスのイデオロギーがウクライナ政府を支配していると主張した[17]。このナラティブは、主にアゾフ連隊の波瀾万丈の過去に起因している。この連隊は、2014年のクリミア危機の際に志願兵部隊としてウクライナを防衛したもので、一部のネオナチを含む極右メンバーを惹きつけた過去がある[18]。アゾフ連隊は極右思想、場合によってはネオナチ思想と結びついているが、ウクライナ政府は連隊に対する懸念を意識しており、連隊の政治部門である国民軍団は国会で議席を獲得できていない[19]。この政治的人気のなさは、ウクライナ政府におけるナチズムの存在に疑念を抱かせる。さらに、ヴォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領はウクライナ系ユダヤ人であり、ウクライナ政府にネオナチの影響があるという考え方はさらに信用できない。プーチンが用いたナラティブは、政治的権力を得ることに何度も失敗してきた小さな悪者集団に言及することで、政府全体を特徴づけるものであり、誤解を招くものだった。アゾフ運動の過去とウクライナ政府の現在を同一視する議論には何のメリットもない。

ロシアの第三の目標は、黒海周辺での支配性(dominance)を主張することだった。不凍港(warmwater ports)へのアクセスは、ロシアに経済的な優位性をもたらすだけでなく、この地域に戦力を投射する能力も提供する。特に、このようなアクセスは、かつてソ連圏に属していたウクライナとジョージア(Georgia)に対して影響力を行使することができ、ロシアが両国の西欧化に対抗しようとする力を与えることになる。安全保障の観点からは、ロシアが黒海を支配することで、ロシアと西ヨーロッパの間に緩衝地帯を確保し、NATO加盟国の中距離ミサイルに対するロシアの脆弱性を減らすことができる[20]

ロシアの最後の目標は、ロシアとウクライナの間に経済的な依存関係を築くことだった。プーチンは、欧米企業がウクライナの天然資源を搾取し、利益を得ていると主張した[21]。プーチンは正しいかもしれないが、彼が主張するほどではない。ほとんどの資本主義組織では、生き残ることが目標である。さらに、ウクライナはヨーロッパとロシアを行き来する商品やサービスの重要な戦略的ハブとしての役割も果たしている[22]。その結果、ロシアはウクライナに対する完全な経済支配から利益を得ることになるだろう。ロシアの極端な到達目標を達成するために、プーチンはロシアのあらゆる権力手段を駆使した。プーチンによれば、「ウクライナの真の主権はロシアとのパートナーシップにおいてのみ可能」だという[23]

ウクライナの目標

ウクライナの目標は理解しやすい。ロシア・ウクライナ戦争の初期に、ゼレンスキー(Zelensky)はこう言った。「私たちの国民は、ウクライナだけでなく全世界で、私たちが共有する価値観のために、自由と民主主義のために戦っている」[24]。ゼレンスキー(Zelensky)は、ウクライナは自由民主主義のための戦争を闘っており、ロシアによる民主主義への急襲が他国に波及するのを防ぐためにあらゆる手段を講じなければならないと主張する。ウクライナの第一の目標は、領土保全を含む主権の保持である[25]。ウクライナ軍はロシアの進攻を食い止め、かつて占領されていた地域を奪還し、ウクライナ政府を防衛している[26]。こうした戦場での成功は、ウクライナが国際社会から資金援助や軍事援助を得るのに役立っている[27]。ウクライナの最終的な目標は、国の再統一と経済の再建である[28]。戦争の結果、多くのウクライナ人が避難を余儀なくされた。ウクライナから避難している人々にとって、戦争が終結して祖国に戻り、再建を始められることが希望なのだ。

ロシアの新しい目標

ロシアによる最初の侵攻の失敗という既成事実、犠牲者の増加、ウクライナ人の復元性から、ロシアは当初の目標を見直し、達成できると考える新たな目標を打ち立てたのだろう。ロシアは、こうした新しい、より限定的な目標を達成しようとする場合でさえ、より多くの軍隊を必要とする。ロシアは30万人以上の人員を動員し、戦争で闘う意志のある囚人の刑期を短縮した[29]

ロシアの新たな目標には、ドンバス地域の「解放(liberation)」と、新たに併合された地域の支配権の主張が含まれている[30]。ウクライナの占領地域では親ロシア政権が樹立された。ウクライナの占領地および併合地では、ロシア連邦への加盟に際して住民投票が実施されたが、ウクライナ政府および国際社会はこれらの住民投票を有効なものとは認めていない[31]。最後に、ロシアはウクライナの軍事力を低下させ、ウクライナがロシアにとって脅威でなくなることを狙っている[32]

ロシアとウクライナの戦争は1年半以上続いており、事態の収束は予見されていない。ハート(Hart)によれば、「戦争における自己消耗は、いかなる外国からの襲撃者よりも多くの国家を殺してきた」[33]。ロシアとウクライナは疲弊にますます近づいている。正戦の倫理(just war ethic)は、両国の完全な崩壊を防ぐ紛争の潜在的な解決策を示唆することができる。

ルトワック(Luttwak)が書いているように、「しばしば見落とされる不快な真実は、戦争は大きな悪であるが、政治的対立を解決し平和に導くことができるという大きな美徳もあるということだ」[34]。ロシアとウクライナが現在進行中の紛争を終結させ、より安定した和平に向けて前進することができない場合、終結の正当な理由(just cause for termination)、正しい意図(right intention)、戦争終結宣言(public declaration)、正統な権威(legitimate authority)、国内権保護(domestic-rights protection)、区別(discrimination)、比例性(proportionality)という原則が、より良い和平への道筋を示すかもしれない。

終結の正当な理由(just cause for termination)が適用されるためには、ロシアとウクライナが戦争に対する何らかの正当性を得るか、戦争を継続することがどちらか、あるいは両方の国にとって不利益にならなければならない。ロシアは現在の形で戦争を終結させ、新たな現状に落ち着くことを望むかもしれない。クリミアを含む、ロシアが現在占領しているウクライナの領土は、ロシア連邦の支配下に置かれたままとなる[35]。さらに、ウクライナの軍事力を低下させるために、西側諸国はウクライナへの財政・軍事援助を停止しなければならない。一方、ウクライナは戦争終結に対してまったく異なるアプローチを取るだろう。ウクライナは、クリミアを含む2014年以前の領土の完全性の回復を望んでいる[36]。この回復には、ウクライナからすべてのロシア軍を撤退させる必要がある[37]。ロシアの要求は、終結の正当な理由(just cause for termination)の原則との摩擦(friction)を引き起こすだろう。

終結の正当な理由(just cause for termination)の原則が適用されるためには、ロシアかウクライナのいずれかが軍事的に敗北するか、疲弊状態に達するか、闘う意志(will to fight)を喪失しなければならない。領土主権を獲得するためには、ウクライナは和平のために譲歩しなければならないかもしれない。ロシアは2022年2月の紛争開始時に占領したすべての領土をウクライナに返還すべきである。クリミアの問題はもっと問題だ。この地域はロシアにとって、少なくともプーチンにとってはレッドラインかもしれない。和平交渉ではクリミアが最大の争点となる可能性が高く、プーチン政権が続く間はウクライナはこの点で譲歩せざるを得ないかもしれない。しかし、譲歩したからといって結果が最終的なものになるわけではない。「後日、政治的状況の中で解決策が見つかるかもしれない」からである[38]

紛争を終結させ、ロシアとウクライナの双方に平和をもたらすためには、正しい意図(right intention)が不可欠である。しかし、ロシアはその意図について完全な透明性を持っておらず、自国の利益を促進するために過去を利用してきた[39]。したがって、ロシアは現在、戦争から注意をそらし、将来的に国の到達目標を達成するために、正しい意図(right intention)の原則を利用するだろう。さらに、ロシア政府は戦争によって多大な人的・財政的損失を被った[40]。ロシア政府がウクライナや西側諸国に対して秘密作戦(covert operations)という形で報復行動(retaliatory action)を取れば、ロシアは人的・金銭的損失の一部を取り戻すことができるかもしれない。ロシアがクリミアをウクライナに返還しなければ、ウクライナはクリミアへの淡水などの資源の流入を制限し続けるだろう。クリミアを失うことは、ウクライナにとってより有利な平和のビジョンを複雑にする。何らかの形で平和を育むためには、両当事者が正しい意図(right intention)の原則にコミットしなければならない。

正しい意図(right intention)の原則が機能するためには、ロシアとウクライナの双方が、それぞれの到達目標や復讐の欲望を脇に置かなければならない。両国は、いかなる隠された意図もなく、国際社会に認められる合意に達し、平和的解決に向けて取り組む必要がある。さらに、戦争犯罪を犯したとされる人々の裁判は、個々の国家ではなく、特別な国際法廷が管轄権を持つべきである。インドの戦略家カウティリヤ(Kautilya)によれば、「王は、自分が敵に比べて相対的に衰えていることを発見したときに和平を結ぶ」[41]。ロシア・ウクライナ戦争は2年目を迎え、この間、双方で数千人の軍事的犠牲者が出ており、ウクライナ側でも数千人の民間人が犠牲になっている。終わりが見えない中、ロシアとウクライナの両国が戦争を終わらせる正しい意図(right intention)を育むことができれば、より良い平和が実現できるかもしれない。

戦争終結宣言(public declaration)、正統な権威(legitimate authority)、国内権保護(domestic-rights protection)の原則は、ロシアとウクライナを平和への正しい道に導くことができる。しかし、現在のウクライナの指導者を認めていないロシアは、ウクライナ政府がナチスに浸透していると主張している[42]。その結果、ロシアはほぼ間違いなく、転覆(subversion)を通じてウクライナ政府を弱体化させる方法を模索するだろう。さらにプーチンは、ロシアとウクライナは共通の祖先を持つ一つの国家であると述べた。ウクライナはロシアの親族とのより強い結束を求め、西側諸国に接近したいという願望を放棄すると予想される[43]。したがって、ウクライナがロシア人に戦争終結宣言(public declaration)、正統な権威(legitimate authority)、国内権保護(domestic-rights protection)の原則を適用するためには、ロシアの利益と一致しなければならない。対照的に、ウクライナ政府は自国の監督を望んでおり、ウクライナの利益は欧米諸国の利益とより密接に一致している。もしロシアが提案する和平条件が、ウクライナの指導部やウクライナが西側諸国とビジネスを行う方法を変えることを強いるものであれば、ウクライナはその条件を受け入れず、和平を宣言する可能性が高い。

インドの戦略家カウティリヤは「平和を築くということは、特定の条件を伴う合意を締結することだ」と述べた[44]。ロシアとウクライナは、戦争終結宣言(public declaration)、正統な権威(legitimate authority)、国内権保護(domestic-rights protection)のユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellum)の原則を実現するために、相当な努力を払わなければならないだろう。両国の現政権は、それぞれの国の国民が異なる指導者を決めない限り、現指導者が権力の座にとどまることを理解しなければならない。さらに、敵対行為を終結させる合意に達した場合、両国の首脳はその合意を公式に国民に発表することが義務付けられている。公的宣言、正当な権限、国内権保護の原則が成功する可能性を持つためには、参加者の法的権利が常に保護されなければならない。

原則としての区別(discrimination)とは、ロシアとウクライナが軍の高官と一般兵士、選挙で選ばれた政府高官とその有権者を区別しなければならないことを意味する。抑圧的な政府からウクライナ人を解放しているという主張とは裏腹に、ロシアは戦争中、軍事と民間の両方をターゲットにしてきた。ロシアの侵略の結果、何百万人ものウクライナ国民が家を追われ、基本的な生活必需品の不足に苦しんでいる[45]。ロシアはまた、ロシア・ウクライナ戦争に反対したり、それに抗議したりしたロシア市民を迫害したり逮捕したりしてきた[46]。ロシアの行動は、同国が戦闘員と非戦闘員を区別しておらず、自国の利益に逆らう者には誰であろうと懲罰的な措置を取ることを示している。ウクライナの主な到達目標は、ウクライナの領土と市民を守ることだ。しかし、国際社会はウクライナを支援し、ロシアに厳しい制裁を課している[47]。国際的な制裁措置はロシア経済に影響を与え、ロシア国民にも少なからず影響を与えている[48]

区別(discrimination)の原則は、ロシアとウクライナが国民に不釣り合いかつ不当な苦難を強いることのない制度を実施することができた場合にのみ有効となる。政治的、軍事的な上級当局は、国家を代表して他国に対して行われたあらゆる侵略行為については、唯一の責任を負う。双方の軍人は、自らが犯した戦争犯罪の責任を負う。正しい意図(right intention)の原則に関する議論でも述べたように、特別な国際法廷が、侵略者の指導者を告発する責任を負わなければならない。最近、国際刑事裁判所(ICC)は戦争犯罪の容疑でプーチンに逮捕状を発行した[49]。国際社会は、国際刑事裁判所(ICC)の訴訟でロシアに対して取られた懲罰的措置を認めるだろうが、指導者が懲役刑に直面する可能性はほとんどない。

比例性(proportionality)によって、ロシアとウクライナはそれぞれの国の国民の苦しみを和らげ、あるいは終わらせながら、正義を前進させることができる。国際社会はロシアを厳しく制裁している[50]。その結果、ロシア国外の銀行は数十億ドルを保有している[51]。ロシアはすべての制裁を解除し、資産へのアクセスを回復することを望んでいる。

ロシアは極超音速兵器の使用によってさらに危険度を高めた[52]。これらの新型弾薬はウクライナの軍事施設やインフラに大打撃を与え、同国にさらなる苦難と荒廃をもたらしている[53]。ロシアは、ウクライナを打ち負かすために戦争への取組みを強化し、和平の可能性を低くしている。ロシアが攻撃をエスカレートさせると、ウクライナはどんな犠牲を払っても自国の領土と住民を守るという姿勢を貫く。いずれかの国が正義を促進するためにとる行動は、よりよい平和に比例したものでなければならず、不正(injustice)を悪化させるものであってはならない。

比例性(proportionality)の原則は、紛争から平和への移行を促進し、復興と癒しのプロセスを開始する「ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellum」の重要な要素である[54]。国際社会は、科される罰や制裁がロシアやウクライナの一般市民に不必要な苦痛を与えないようにしなければならない。さらに、侵略者からの適切な賠償は、戦争被害者の生活再建を助け、戦争によって中断されたかもしれない重要なサービスの正常な運営を回復させることができる。

米国にとっての教訓

戦争とは、より良い平和を求めるために費用のかかる行為であり、そして、ロシア・ウクライナ戦争は、このような費用と、現在の国際情勢において暴力を停止させることの難しさを例証している。米国は現在、活発な大規模戦闘に参加していないため、具体的な提言を行うことは難しいが、ロシア・ウクライナ戦争は貴重な教訓を与えてくれる[55]。ロシア・ウクライナ戦争におけるユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellum制定の課題は、終結の正当な理由(just cause for termination)、正しい意図(right intention)、戦争終結宣言(public declaration)、正統な権威(legitimate authority)、国内権保護(domestic-rights protection)、区別(discrimination)、比例性(proportionality)の原則に従って、米国が紛争終結のアプローチをどのように調整できるかについての洞察を与えてくれる。

終結の正当な理由

戦争の終結には正当な理由が必要であり、それは平和が代替案よりも優れていなければならないことを意味する[56]。戦争は、紛争にかかる費用を増やすことで降伏を誘導するか、あるいは和平を求めることによる影響を軽減するかのいずれかを行う必要がある。どちらの場合も、降伏がより魅力的な選択肢となるようにパラダイムをシフトしなければならない。ウクライナは存亡をかけた戦争状態にあるため、ウクライナ人にとって、そしておそらくプーチン大統領個人にとっても、終結の正当な理由(just cause for termination)のハードルは信じられないほど高い[57]

米国が戦争を遂行する場合、米国は自国と敵対者にとっての利害関係と、米国民が血と財宝と時間を犠牲にする意志の両方を理解しなければならない。ウクライナにとって、敗北の代償は大きいため、同国は困難を受け入れる意志がより強いということになる。しかし、最近の米国の紛争では利害関係が低くなっており、その結果、紛争終結への期待と達成可能な結果の間に不一致が生じている。例えば、ベトナム戦争やモガディシュの会戦(Battle of Mogadishu)では、米国軍が被った死傷者に対する米国民の怒りが、米国が勝利を達成できなかった一因となった。このような暴挙により、米国は国家の目標を達成する前に撤退することになった[58]

イラク戦争やアフガニスタン戦争のような長期にわたる紛争も、長期にわたる紛争に対する国民の焦りを示している[59]。どちらにとっても存亡の危機となれば、米国は必要な資源を投入するか、和平条件を変更する覚悟をしなければならない。一方で、米国の関与は地上部隊の派遣(boots on the ground)、より多くの死傷者、そしてより高性能な兵器(higher grades of weaponry)を意味するかもしれない。一方、この約束は、妥協と体裁を保つための措置を含む、完璧とは程遠いより良い平和のために譲歩することを意味するかもしれない。ロシア・ウクライナ戦争は、戦争を継続するよりも和平の条件の方が高くつくため、各国が紛争に陥ってしまうというジレンマを示した。パラダイムシフトが起こった場合にのみ、終結の正当な理由(just cause for termination)が発生する可能性がある。

正しい意図

平和が安定するのは、双方がユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellumの他の原則に合致した解決を追求する場合のみである[60]。ロシア・ウクライナ戦争が終結し、当事国がある程度の正義に達しない限り、戦争は再燃するか、より低いレベルの紛争で継続する可能性が高い。近年、米国は必ずしも正しい意図(right intention)をもって紛争を終結させたわけではなく、結果としてさらなる暴力を引き起こしている。疲弊(exhaustion)は終結の正当な理由(just cause for termination)に寄与するが、この原則は紛争の中心にいる戦闘員に適用されなければならない。ベトナム戦争とアフガニスタン戦争では、米国はすでに存在していた大国のひとつに代わって介入した。正しい意図(right intention)をもって戦争を終結させるには、元の当事者に終結の正当な理由(just cause for termination)が必要だったはずだ。しかし、米国が和平を押し付けようとしたのは、疲弊と(闘いが起こっていた国ではなく)国内からの政治的圧力が原因だった。米国による和平の押し付けは、協定内の約束が信用できない状況を作り出し、その結果、和平は崩壊した[61]。米国がベトナム戦争を終結させようとしたのは、ベトナム国内の当事者による正当な終結の理由(just cause for termination)に基づいて終わらせようとしたのではなく、国内の力、すなわち反戦運動によるものだった[62]

アフガニスタンからの米軍撤退の重要な原動力となったのは、米国が目標を達成できなかったことと、戦争疲れだった[63]。アフガニスタンに平和をもたらすための合意が成立したとき、専門家たちはタリバンが不誠実な交渉をしている可能性が高いことを理解していたし、インテリジェンスも停戦の破綻と、米軍駐留に関係する民間人をターゲットにした区別(discrimination)の原則の違反の両方を予測していた[64]。それゆえ、ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellumの原則に従った正義の追求を意味する正しい意図(right intention)の原則は満たされなかった。ベトナムでもアフガニスタンでも、和平は維持されず、ほぼ即座にさらなる流血が起こった[65]。紛争から離れることは、それが終わることを意味しない。ロシア・ウクライナ戦争が、両当事者の合意を促すような正義の措置なしには終結しないように、米国が関与する紛争も、双方が和平合意やユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellum)の理論に示されたその他の原則を遵守する意志があれば、持続的に終結させることができるし、またそうすべきである。

区別

米国が将来的に紛争を終結させるためには、指導者と国民を区別しなければならない。区別(discrimination)の欠如は、ウクライナがロシア・ウクライナ戦争に敗北する代償を高める。ロシアは歴史的に、戦争において民間人と兵士を区別してこなかった。第二次チェチェン戦争後、多くのチェチェン人が祖国を逃れ、報復を恐れて、戦争が終わって何年経っても戻ってこなかった[66]。たとえウクライナが和平の名の下に領土を譲歩したとしても、その領土の住民は報復を予想しうる。さらにロシアは、ウクライナ人に対する扱いから、イラクにおける米国のバース党解体の取組み(de-Baathification effort)に対する反発のような反乱を予想することができる[67]。区別(discrimination)が予想されない場合、より大きな抵抗、合意形成のさらなる困難、長期的な安定性の問題が予想される。予想される市民の待遇は、平和の代償の大きな要因である。従って、米国が慈悲深い評判を高め、平和をより魅力的なものにすることが賢明な道であろう。

逆に言えば、区別(discrimination)は依然として和平交渉の問題を引き起こしている。戦争当事者は民衆に対する報復を恐れているが、政治指導者に対する報復もまた平和を妨げる。なぜなら、条約を締結する責任を負う政治指導者そのものが、処罰を受け入れる個人となるからだ。もしウクライナがロシア・ウクライナ戦争に勝利すれば、プーチンに対する国際刑事裁判所(ICC)の令状が証明するように、区別(discrimination)には指導者への影響も含まれる。少なくとも、ロシア政府関係者はしばらくの間追放され続けるだろうし、負けたことで屈辱を味わうことになるだろう。米国政府は自らを正義の戦士とみなしているかもしれないが、紛争において敵対する政治家の処罰を主張することで、米国は交渉相手との関係を悪化させる危険を冒している。

正統な権威

中傷(vilification)は和平の試みを悪化させ、交戦国の政府の正当性が疑問視されると、悪化の影響はしばしば増幅される。ロシア・ウクライナ戦争では、ロシアがウクライナ政府の正当な権威を否定することで、交渉の試みが滞っている。歴史的に、米国は交戦国の政府の正当性を否定する戦術も用いてきた。米国が民主主義の原則に反する価値観を持つ敵と戦争をしている場合、敵の政府の正当性を否定する傾向がしばしば見られる。例えば、1954年に他の国が北ベトナム政府を承認していたにもかかわらず、米国は北ベトナム政府を承認せず、中華人民共和国の承認を1979年まで遅らせ、北朝鮮政府を正式に承認せず、タリバンを承認せず、サダム・フセイン(Saddam Hussein)を倒してイラクに新政府を樹立することを選択したことなどが挙げられる[68]。これらの政権の多くは、米国の理想と相反するものとみなされ、国際社会が非難する手段によって樹立された。しかし、これらすべての事例は、何らかのレベルでの外交上の決裂が、誤解(miscommunication)、競争(competition)、紛争をもたらしたことを示している。

ロシア・ウクライナ戦争は、一方が他方の政府の正当性を認めない場合、交渉がはるかに困難になることを示している。他国の行為に反対することと、他国の政府を軽視することはまったく別のことだ。米国は、大小を問わず将来の紛争を見据えるとき、ある政府を承認しないという選択をすることのコストを考慮すべきである。政府を承認しないことは主権を否定することになり、ウクライナで明らかなように、侵略して「合法的な(legitimate)」政府を樹立するための正当な理由として機能する[69]。政府を承認しないことは望ましい結果かもしれないが、それは侵略者を追い詰めることになる。プーチン大統領はウクライナ政府の正当性を否定しているため、態度を一変させればロシア国民の間での彼自身の信頼を損なうことになる。

米国にとって、承認されていない政府との交渉は、テロリストとの交渉とほとんど変わらない。たとえそうであっても、認知された指導者との政治的解決に至ることは、新しい安定した政権を樹立するために大量の血と財と時間を費やすという代替案よりもはるかにコストがかからない。第二次世界大戦末期でさえ、ナチス政府は国家間の交流の中で連合国に降伏した[70]。国家を承認することは、その国家の行動を容認することではないが、承認することによって交渉の可能性が広がる。これは、きわめて困難な状況であっても、米国は国家間の対話を検討すべきだということを示唆している。

比例性

紛争中や紛争後、国家は自国の利益を守るため、あるいは復讐のために過剰な補償をしたくなるだろう。比例性(proportionality)の範囲を超えた行動や処罰は、さらなる暴力を生む。この考え方は、ロシアとウクライナが使用する弾薬の種類、特にクラスター弾に関する議論で注目されるようになった[71]。兵器(arms)のエスカレートが続けば、不公正に対する不満が高まり、平和の可能性は低くなる。同様に、ウクライナと西側諸国、ロシアのいずれかがロシア・ウクライナ戦争後に過度に懲罰的な経済措置を取れば、その措置は関係をさらに緊張させる可能性が高い。

戦争の霧の中では、視野を失い、自国の痛みだけに目を向けることは簡単だ。米国は脅威に対して執念深く対応するつもりはないし、第二次世界大戦末期には慈悲深い勝利者であった。しかし、米国の犠牲を最小限に抑えようとする試みは、東京大空襲や「宣言されていない作戦戦域」でのドローン打撃のように、時として民間人の犠牲を増やすことになった[72]。比例性の失敗(failure of proportionality)は、目標を達成するために必要な範囲を超えて、武力を行使したり、危害を加える措置を実施したりすることによって特徴付けられる[73]。ロシア・ウクライナ戦争は、敵対者の決意(adversary’s resolve)を強固にしないよう、武力を行使する際には細心の注意を払うことを思い起こさせる。適切な見通しを保つことで、米国は逆効果となる破壊を防ぎ、公正な平和の基盤を築くことに貢献できる。

結論

ロシア・ウクライナ戦争は何百万人ものウクライナ人の生活に影響を与え、無数の罪のない人々の命を奪った。ウクライナの人々は、癒しと復興のプロセスを開始するために、より良い平和を必要としている。故マーティン・ルーサー・キング・Jr(Martin Luther King, Jr.)牧師によれば、「平和とは、単に私たちが求める遠い到達目標ではなく、その到達目標に到達するための手段である」[74]。正戦の倫理(just war ethic)は、より良い平和を実現し、ロシア・ウクライナ戦争を終結させる手段を提供することができる。米国が戦後の世界秩序の条件を決めるという将来の課題に直面するとき、米国はより良い平和とは和解を伴う正義を意味することを理解しなければならない。ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellumの原則は、ウクライナが平和協定と紛争後の社会の耐久性、公平性、安定性を明確にするために使用できる枠組みとして不可欠である。

権利の合理的な擁護、領土保全の大部分または完全な回復、被害者への補償、加害者への処罰が行われた場合、終結は正当化される。正義、説明責任、そして長期的な利益こそが、正しい意図(right intention)の原動力でなければならない。戦争から平和への移行が公然と行われるためには、戦争終結宣言(public declaration)、正統な権威(legitimate authority)、国内権保護(domestic-rights protection)が不可欠である。紛争が終結した時点で、決定を下し行動する権限を有するのは正当な統治権者のみであり、すべての当事者の権利が保護されなければならない。国家が区別(discrimination)を行使するのは、政治的・軍事的指導者、兵士、市民を区別する場合である。平和の条件は、合理的な権利の擁護という到達目標に比例したものでなければならず、正義を前進させるためにとられる行動は、適切なものでなければならず、復讐心(vengeful)に満ちたものであってはならない。

悲しい真実は、ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellum)の原則がより良い平和につながるためには、指導者の交代が起こらない限り、ロシアは戦闘を継続する手段も意志もないほどの疲弊レベルに達する必要があるということである。そうして初めて、ユス・ポスト・ベルム(Jus Post Bellum)の原則がロシア・ウクライナ戦争により良い平和をもたらすことができる。

ノート

[1] Basil Liddell Hart, Scipio Africanus: Greater Than Napoleon (Cambridge, MA: Da Capo Press, 1926), 152.

[2] Brian Orend, War and International Justice: A Kantian Perspective (Waterloo, CA: Wilfrid Laurier University Press, 2000), 232.

[3] Orend, War and International Justice, 2.

[4] Orend, War and International Justice, 269.

[5] Orend, War and International Justice, 232.

[6] Orend, War and International Justice, 232.

[7] Orend, War and International Justice, 232.

[8] Orend, War and International Justice, 232.

[9] Orend, War and International Justice, 233.

[10] Edward N. Luttwak, “Give War a Chance,” Foreign Affairs 78, no. 4 ( July-August 1999): 36.

[11] Robert A. Pape, “Why Japan Surrendered,” International Security 18, no. 2 (Fall 1993): 190.

[12] Encyclopedia Britannica, s.v. “Potsdam Conference,” accessed on January 11, 2024, https://www.britannica.com/event/Potsdam-Conference.

[13] Encyclopedia Britannica, s.v. “Nürnberg Trials,” accessed on January 11, 2024, https://www.britannica.com/event/Nurnberg-trials.

[14] Max Bergmann, Tina Dolbaia, and Nick Fenton, Russia’s Adaptation Game: Deciphering the Kremlin’s “Humanitarian Policy” (Washington, DC: Center for Strategic and International Studies, December 2022).

[15] Paul Kirby, “Has Putin’s War Failed and What Does Russia Want from Ukraine?,” BBC News (website), February 24, 2023, https://www.bbc.com/news/world-europe-56720589.

[16] John J. Mearsheimer, “ Why the Ukraine Crisis Is the West’s Fault,” Foreign Affairs 93, no. 5 (September/October 2014).

[17] Kirby, “Putin’s War.”

[18] “Azov Movement,” Stanford Center for International Security and Cooperation (website), August 2022, https://cisac.fsi.stanford.edu/mappingmilitants/profiles/azov-battalion.

[19] “Azov Movement.”

[20] Paul Stronski, “What Is Russia Doing in the Black Sea?,” Carnegie Endowment for International Peace (website), May 20, 2021, https://carnegieendowment.org/2021/05/20/what-is-russia-doing-in-black-sea-pub-84549.

[21] Vladimir Putin, “Article by Vladimir Putin ‘on the Historical Unity of Russians and Ukrainians,’ ” President of Russia (website), July 12, 2021, http://en.kremlin.ru/events/president/news/66181.

[22] Jonathan Masters, “Ukraine: Conflict at the Crossroads of Europe and Russia,” Council on Foreign Relations (website), February 14, 2023, https://www.cfr.org/backgrounder/ukraine-conflict-crossroads-europe-and-russia.

[23] Putin, “ ‘On the Historical Unity of Russians and Ukrainians.’ ”

[24] Carole Landry, “How Zelensky Thinks the War Will End,” New York Times (website), November 30, 2022, https://www.nytimes.com/2022/11/30/briefing/russia-ukraine-war-zelensky.html.

[25] Stephen Collinson, “How Zelensky Changed the West’s Response to Russia,” CNN (website), February 28, 2022, https://www.cnn.com/2022/02/28/politics/zelensky-us-response-to-russia/index.html.

[26] Collinson, “West’s Response to Russia.”

[27] Alexander Noyes and Richard Bennet, “Military Assistance to Ukraine Is a Rare Success,” RAND Blog, May 26, 2023, https://www.rand.org/pubs/commentary/2023/05/military-assistance-to-ukraine-is-a-rare-success.html.

[28] Charles P. Ries and Howard J. Shatz, “Looking beyond the War: Planning for Ukraine’s Reconstruction,” RAND Blog, September 18, 2023, https://www.rand.org/pubs/commentary/2023/09/looking-beyond-the-war-planning-for-ukraines-reconstruction.html.

[29] Uliana Pavlova, “Putin Signs Law to Mobilize Russian Citizens Convicted of Serious Crimes,” CNN (website), November 5, 2022, https://www.cnn.com/2022/11/05/europe/russia-ukraine-law-mobilize-serious-crime-offenders-intl/index.html.

[30] Kirby, “Putin’s War.”

[31] Julien Lemaignen, “ What Are Ukraine’s Annexation Referendums? Strategic for Putin, Illegitimate for Kyiv and Allies,” Le Monde (website), updated September 27, 2022, https://www.lemonde.fr/en/international/article/2022/09/24/what-are-ukraine-s-annexation-referendums-strategic-for-putin-but-illegitimate-for-kyiv-and-allies_5998016_4.html.

[32] George Wright, Vitaliy Shevchenko, and Paul Kirby, “Russia-Ukraine War: Putin Tells Russia His War Objectives Are Unchanged,” BBC News (website), December 14, 2023, https://www.bbc.com/news/world-europe-67711802; and Steven Pifer, “Russia, Ukraine and Existential War,” Stanford Freeman Spogli Institute for International Studies (website), March 6, 2023, https://fsi.stanford.edu/news/russia-ukraine-and-existential-war.

[33] Basil Liddell Hart, Strategy, 2nd rev. ed. (New York: Plume, 1991), 355.

[34] Luttwak, “Give War a Chance,” 36.

[35] Riley Bailey et al., “Russian Offensive Campaign Assessment, December 12, 2023,” Institute for the Study of War (ISW) (website), December 12, 2023, https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-december-12-2023.

[36] “Zelenskiy Vows to End Russian Occupation of Crimea, Defends Strategy,” Reuters (website), August 23, 2023, https://www.reuters.com/world/europe/ukraines-zelenskiy-vows-end-russian-occupation-crimea-2023-08-23/.

[37] Jorge L. Ortiz and John Bacon, “Zelenskyy Rejects Kissinger Plan to Concede Territory to Russia; Ukraine Hero Alive, in Russian Custody: Live Updates,” USA Today (website), May 26, 2022, https://w w w.usatoday.com /stor y/news/pol it ics/2022/05/25/uk ra ine-r ussia-invasion-l ive-updates/9916925002/.

[38] Carl von Clausewitz, On War, ed. and trans. Michael Howard and Peter Paret (Princeton, NJ: Princeton University Press, 1976), 80.

[39] Isaac Chotiner, “Vladimir Putin’s Revisionist History of Russia and Ukraine,” New Yorker (website), February 23, 2022, https://www.newyorker.com/news/q-and-a/vladimir-putins-revisionist-history-of-russia-and-ukraine.

[40] Helene Cooper et al., “Troop Deaths and Injuries in Ukraine War Near 500,000, U.S. Officials Say,” New York Times (website), August 18, 2023, https://www.nytimes.com/2023/08/18/us/politics/ukraine-russia-war-casualties.html; and Howard J. Shatz and Clint Reach, The Cost of the Ukraine War for Russia, RR-A242-1 (Santa Monica, CA: RAND Corporation, 2023).

[41] Kautilya, The Arthashastra, ed. and trans. L. N. Rangarajan (New Delhi: Penguin Books, 1992), 528.

[42] Rachel Treisman, “Putin’s Claim of Fighting against Ukraine ‘Neo-Nazis’ Distorts History, Scholars Say,” NPR (website), March 1, 2022, https://www.npr.org/2022/03/01/1083677765/putin-denazify-ukraine-russia-history.

[43] Vladimir Putin, “Address to the People of Russia on the Donbas Problem and the Situation in Ukraine” (speech, Kremlin, Moscow, RU, February 21, 2022).

[44] Kautilya, Arthashastra, 528.

[45] “Ukraine Emergency,” UN High Commissioner for Refugees (website), n.d., accessed on December 18, 2023, https://www.unrefugees.org/emergencies/ukraine/.

[46] Simone McCarthy et al., “Tearful Scenes and Protest as Mobilization Gets Underway in Russia,” CNN (website), September 23, 2022, https://www.cnn.com/2022/09/22/europe/russia-protests-partial-mobilization-ukraine-intl-hnk/index.html.

[47] “Ukraine-/Russia-Related Sanctions,” Department of the Treasury (website), n.d., accessed on December 18, 2023, https://ofac.treasury.gov/sanctions-programs-and-country-information/ukraine-russia-related-sanctions; and “EU Restrictive Measures against Russia Over Ukraine (since 2014),” European Council (website), updated February 2, 2024, https://www.consilium.europa.eu/en/policies/sanctions/restrictive-measures-against-russia-over-ukraine/.

[48] Alexandra Prokopenko, “ How Sanctions Have Changed Russian Economic Policy,” Carnegie Endowment for International Peace (website), September 5, 2023, https://carnegieendowment.org/politika/89708; and “US Says Ukraine Conflict Is Damaging Russian Economy – FT,” Reuters (website), December 14, 2023, https://www.reuters.com/world/europe/us-says-ukraine-conflict-is-damaging-russian-economy-ft-2023-12-14/.

[49] “Situation in Ukraine: ICC Judges Issue Arrest Warrants against Vladimir Vladimirovich Putin and Maria Alekseyevna Lvova-Belova,” International Criminal Court (website), March 17, 2023, https://www.icc-cpi.int/news/situation-ukraine-icc-judges-issue-arrest-warrants-against-vladimir-vladimirovich-putin-and.

[50] “Ukraine-/Russia-Related Sanctions.”

[51] Agathe Demarais, “The Unintended Consequences of Seizing Russian Assets,” Foreign Policy (website), November 27, 2023, https://foreignpolicy.com/2023/11/27/russia-ukraine-war-central-bank-reserves-assets-seize-reparations-sanctions/.

[52] Imtiaz Tyab, Agnes Reau, and Tucker Reals, “Russia Fires Hypersonic Missiles in Latest Ukraine Attack As War in East Drives Elderly Holdouts into a Basement,” CBS News (website), March 10, 2023, https://www.cbsnews.com/news/ukraine-news-russia-war-hypersonic-missiles-civilians-shelter-donetsk-basement/.

[53] John Ismay, Matthew Mpoke Bigg, and Andrew E. Kramer, “Questions Surround Russia’s Use of Hypersonic Missiles in Its Latest Attack,” New York Times (website), March 9, 2023, https://www.nytimes.com/2023/03/09/world/europe/hypersonic-missiles-russia-ukraine.html.

[54] Orend, War and International Justice, 197.

[55] Nahal Toosi, “The Line Biden Won’t Cross on Ukraine,” Politico (website), February 23, 2022, https://www.politico.com/news/2022/02/23/biden-troops-russia-ukraine-00011049.

[56] Orend, War and International Justice, 218–19.

[57] Pifer, “Existential War.”

[58] William L. Lunch and Peter W. Sperlich, “American Public Opinion and the War in Vietnam,” Western Political Quarterly 32, no. 1 (March 1979): 21–44; and Carolyn J. Logan, “US Public Opinion and the Intervention in Somalia: Lessons for the Future of Military-Humanitarian Interventions,” Fletcher Forum of World Affairs 20, no. 2 (Summer/Fall 1996): 155–80.

[59] Frank Newport, “American Public Opinion and the Afghanistan Situation,” Gallup (website), August 27, 2021, https://news.gallup.com/opinion/polling-matters/354182/american-public-opinion-afghanistan-situation.aspx; and Carroll Doherty and Jocelyn Kiley, “A Look Back at How Fear and False Beliefs Bolstered U.S. Public Support for War in Iraq,” Pew Research Center (website), March 14, 2023, https://www.pewresearch.org/politics/2023/03/14/a-look-back-at-how-fear-and-false-beliefs-bolstered-u-s-public-support-for-war-in-iraq/.

[60] Orend, War and International Justice, 270.

[61] Fredrik Logevall, “50 Years Later, the Legacy of the Paris Peace Accords Isn’t One of Peace,” Ash Center for Democratic Governance and Innovation (website), January 26, 2023, https://ash.harvard.edu/50-years-later-legacy-paris-peace-accords-isn%E2%80%99t-one-peace; and Mujib Mashal, “Taliban and U.S. Strike Deal to Withdraw American Troops from Afghanistan,” New York Times (website), updated August 23, 2021, https://www.nytimes.com/2020/02/29/world/asia/us-taliban-deal.html.

[62] Robert Levering, “How Anti-Vietnam War Protests Thwarted Nixon’s Plans and Saved Lives,” Waging Nonviolence (website), November 12, 2019, https://wagingnonviolence.org/2019/11/anti-vietnam-war-moratorium-mobilization-nixon/; and Bill Zimmerman, “The Four Stages of the Antiwar Movement,” New York Times (website), October 24, 2017, https://www.nytimes.com/2017/10/24/opinion/vietnam-antiwar-movement.html.

[63] “Remarks by President Trump, Vice President Pence, and Members of the Coronavirus Task Force in Press Conference,” White House (website), February 29, 2020, https://trumpwhitehouse.archives.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-vice-president-pence-members-coronavirus-task-force-press-conference-2/; and Franco Ordoñez, “Here’s Why Biden Is Sticking with the U.S. Exit from Afghanistan,” NPR (website), August 14, 2021, https://www.npr.org/2021/08/14/1027552833/heres-why-biden-is-sticking-with-the-u-s-exit-from-afghanistan.

[64] Dan De Luce, “ ‘ We Will Kill You’: Thousands of Afghans Who Helped U.S. Want to Evacuate before the Taliban Finds Them,” NBC News (website), May 10, 2021, https://www.nbcnews.com/politics/national-security/we-will-kill-you-thousands-afghans-who-helped-u-s-n1266744 ; Julian E. Barnes, Thomas Gibbons-Neff, and Eric Schmitt, “Officials Try to Sway Biden Using Intelligence on Potential for Taliban Takeover of Afghanistan,” New York Times (website), updated April 23, 2021, https://www.nytimes.com/2021/03/26/us/politics/biden-afghanistan-intelligence.html; and Rahim Faiez, “More Than 200 Former Afghan Officials and Security Forces Killed since Taliban Takeover, UN Says,” Associated Press (website), August 22, 2023, https://apnews.com/article/un-report-taliban-killing-right-violations-75c5111add0db5e1f7884be5399722f7.

[65] Jason Cooley, “Understanding the Failure of the US Security Transfer during the Vietnam War,” Journal of Indo-Pacific Affairs 6, no. 6 (September 2023): 72–92; and Visual Journalism Team, “How the Taliban Stormed across Afghanistan in 10 Days,” BBC News (website), August 16, 2021, https://www.bbc.com/news/world-58232525.

[66] Agence France-Presse, “Russia’s Relentless Hunt of Chechens Decades after Putin’s War,” Voice of America (website), May 5, 2022, https://www.voanews.com/a/russia-s-relentless-hunt-of-chechens-decades-after-putin-s-war/6557970.html.

[67] James P. Pfiffner, “ US Blunders in Iraq: De-Baathification and Disbanding the Army,” Intelligence and National Security 25, no. 1 (Spring 2010): 76–85.

[68] “A Guide to the United States’ History of Recognition, Diplomatic, and Consular Relations, by Country, since 1776: Vietnam,” Department of State Office of the Historian (website), n.d., accessed on July 11, 2023, https://history.state.gov/countries/vietnam; “A Guide to the United States’ History of Recognition, Diplomatic, and Consular Relations, by Country, since 1776: China,” Department of State Office of the Historian, n.d., accessed on January 2, 2023, https://history.state.gov/countries/china; “U.S. Relations with the Democratic People’s Republic of Korea,” U.S. Department of State (website), August 23, 2021, https://www.state.gov/u-s-relations-with-north-korea; Clayton Thomas, Afghanistan: Background and US Policy, Congressional Research Service (CRS) Report R45122 (Washington, DC: CRS, 2023), 2; and “ Why Did the US and Allies Invade Iraq, 20 Years Ago?,” BBC News (website), March 19, 2023, https://www.bbc.com/news/world-64980565.

[69] Mercedes Sapuppo, “Putin’s Russia Is Trapped in Genocidal Denial over Ukrainian Independence,” UkraineAlert (blog), Atlantic Council (website), August 23, 2023, https://www.atlanticcouncil.org/blogs/ukrainealert/putins-russia-is-trapped-in-genocidal-denial-over-ukrainian-independence/.

[70] Encyclopedia Britannica, s.v. “Yalta,” accessed on January 11, 2024, https://www.britannica.com/event/World-War-II/Yalta.

[71] Sean M. Zeigler, “Why Biden Was Justified to Send Cluster Munitions to Ukraine,” RAND Blog, August 14, 2023, https://www.rand.org/pubs/commentary/2023/08/why-biden-was-justified-to-send-cluster-munitions-to.html.

[72] Larry May, “Jus Post Bellum Proportionality and the Fog of War,” European Journal of International Law 24, no. 1 (February 2013): 315–33; and Sarah Kreps, Paul Lushenko, and Shyam Raman, “Biden Can Reduce Civilian Casualties during US Drone Strikes. Here’s How,” Brookings Institution (website), January 19, 2022, https://www.brookings.edu/articles/biden-can-reduce-civilian-casualties-during-us-drone-strikes-heres-how/.

[73] Michael A. Newton, “Jus Post Bellum and Proportionality,” in Just Peace After Conflict: Jus Post Bellum and the Justice of Peace, ed. Carsten Stahn and Jens Iverson (Oxford, UK: Oxford University Press, 2020), 79–96.

[74] Martin Luther King Jr., “Martin Luther King Jr. on the Vietnam War,” Atlantic (website), n.d., accessed on December 18, 2023, https://www.theatlantic.com/magazine/archive/2018/02/martin-luther-king-jr-vietnam/552521/.